男女コラボは炎上する?男の娘なら問題ないよねっ! 作:ベジタブル
[四ノ宮 葵【Virtual SKY】]
7/15(月・祝)
【親子コラボ】息子ができました【#メロドーア】
「ねぇねぇ! 明里の事『お姉ちゃん』って呼んでみて!!」
「明里お姉ちゃん?」
「ひゃわっはあああ!! んぎゃわえぇええ!!」
「ん? ふふ、オソラーお兄ちゃん♪」
明里さん――顔合わせ...というか声合わせ? の時に、翠さんや悠希さんと同様の呼び方が良いと言われたのでこの呼び方をしている――の要望に応えつつ、羨ましがっている視聴者さん達にも声を掛ける。
「ヌッッッッ」とか「ヴッッッッ!?」とか呻いている人が多いけど、大丈夫かなぁ...?
あっ、ダメならコメント打てないか......
「えっ?」
「ご、ごめんね、明里ちゃん......もう配信始めちゃったよ......?」
「ぬヴェえええ!? はず!? はっず!? 今の聞かれてたの!? 明里の清楚なイメージがぁかああ!!」
「明里ちゃんの魅力はそこじゃないから...!」
「明里さんの魅力はそこじゃないですよ!」
「親子揃ってフォローしなぁいで!!」
「いいよ! 明里は開き直ってやるかんね! ソラくんの事めちゃんめちゃんに可愛がったるから!」
「わぁ! 光栄です!」
「こ の 後 輩 つ お い !!」
いやでもホントにありがたい限りだ。
明里さんはこの配信を開始する前にも、ボクに気を使って何度も声を掛けてくれたり、緊張を解すために小ボケを挟んだりしてくれたのだ。
彼女の言葉には、なんと言うかカリスマのようなものがあった。聞いていると、落ち着いてくる――というには、些か賑やかだけど、暖かい気持ちにはなってくる。
陽だまりのような人だと、ボクは思った。
「という訳で、日曜不定期でやらせてもらっている、このメロドーアコラボに、今日はゲストとして五河ソラくんに来て頂きました...!」
「はい、ご紹介にあずかりました! 夢はバチャスカ所属男性V4人でゲーム配信! Virtual SKY所属、新人男性Vtuberの五河ソラですっ!」
ちなみにメロドーアコラボというのは、明里さんと葵さんの2人でのコラボの事を指す。
元ネタは、つい最近35周年を迎え、ナンバリングタイトルが13作にも登る大人気RPG、ドラゴンファンタジー、略してドラFだ。
このゲームに登場する炎の魔法と氷の魔法を組み合わせた上級魔法をメロドーアというのだが、炎=赤、氷=青という連想から、シリーズファンである明里さんが名付けたのがこのコラボ名という訳である。
ちなみに、コラボ名の方は正式に表すとMellow Doorとなるそうだ。
意味としては「甘い世界への入口」という意味を持たせたいらしい。
「でもなんかさぁ...さっきの息の合い方見てると、メロドーアwithソラくんってより、親子コラボwith明里って感じじゃない?」
「あっ、そういえば、昨日の配信でチョロっと言っただけですから、知らない人もいますよね」
「そうだったそうだった! その話をちゃーんとしないとね! なんと! このソラきゅんのぷりちーなぼでーはね! あおちゃんが産んだんだよー!」
産んだ......?
産んだ...うん、まぁ「描いた」と言ってしまうのはメタっぽくなっちゃうから良くないのか。
にしたって、それではまるで葵さんが経産婦になったみたいで風評被害が凄そうなんだけど。
「あはは......はい、ソラくんのママは私が担当させて貰いました。皆さんの期待に応えられたか心配ですけど......」
「そんな! 謙遜しないでくださいよっ! とっても素敵な身体が貰えて、ボクとっても嬉しかったんですよ? 名前の通り、青空を人の形に切り取ったみたいです」
「そうだよそうだよー! ソラくんめーっちゃ可愛いじゃん! ねぇ、みんなー?」
そう言って明里さんがリスナー達を煽ると、それまで以上のスピードでコメントが流れていくようになる。
全てに目を通せる訳ではないが、把握しきれる限りではどこを見ても肯定的な意見ばかりだ。
「あ、ありがとうございます......! よかったぁ。最初にソラくんの声を聞かせてもらった時、こんなに可愛い子のママになるんだって、結構プレッシャーだったんです」
「えっ?」
葵さんと初めて喋ったのは、正式デビュー日が決まって、挨拶とこのコラボの打ち合わせの為に通話をした時の筈で、その時には既に体は完成していたんだけど......
「あぁ、あの音声ね! 絶対盗撮でしょってやつ!」
「あはは、そうそう、そんなやつ。でも良かったの? 結構日常生活って感じの音声だったけど」
「えっ、何それ知らない」
「えっ?」
「あっ」
「えっ、ほ、ホントに? 聞かされてないの...? えっ、とその......あはは、ご、ごめんね?」
「あ、い、いや、葵さんが謝ることではないので......というか、どんな感じの音声を......?」
それ次第では中々恥ずかしい事になってしまう気がする。
いや、別に多くの人に声を聞かれるというのは、Vtuberというか配信者になろうって言うんだから抵抗も何もないんだけど、聞かせるつもりのない声を聞かれるっていうのはちょっと思うところがあるのだ。
「うぇひひ、こんな感じのやつだよ!」
そう言って明里さんが何かしら操作し始める。と言っても、ワンボタン押す程度のもので、すぐに「こんな感じ」という音声が流れ始めてしまった。
〜〜〜〜〜
『
『んー......何でもいいぞ?』
『もぉっ! それが1番困るっていつも言ってるでしょ? 折角リクエスト聞けるんだから、食べたいもの言ってよ』
『お前の飯は何でも美味いからなぁ...』
『おだてたって夕飯しかでないよ、もぉ』
〜〜〜〜〜
「何やってんの!? 何やってんのおじさん!? 何でこんな会話を先輩方に聞かせてんの!?」
「......ちゃんと名前の所は加工してあるんだね、あはは」
「もち! ちなみに返事の声は、この音声を撮ってくれたソラくんの叔父さんだよ〜!」
〜〜〜〜〜〜!!
体を作ってもらう為の資料として葵先輩に渡すって言ってくれたら、いくらでも録音したし、何ならそんな理由なんて無くても一言「録音させて」って言ったらいくらでも喋る性格だって分かってるくせに!
な〜んで盗撮って方向に行っちゃったかなぁ!!
「おっ、ムッツリママ! スパチャありがとね〜ん! でもいくらママでもソラくんは渡せないよ、ね? あおちゃん!」
「う、うん! いくらムッツリ師匠でもソラくんは渡せない...かな?」
「あっ! そうだ、ソラくん! あおちゃんの事ママって読んでみなよ! 明里達もムッツリママの事ママって呼んでるしさ」
「え、えぇ...!?」
ま、ママかぁ......
それはちょっと色んな意味で複雑というか。
そもそも設定上で言うと、この3人は同級生だし、それにボクの母親は......
ふと暗い感情が心に擡げてくる。
今は人前に立っているというのに、この場そのものは誰もいない自室だからだろうか、感情も表情も凍ってしまいそうになる。
部屋の隅から這い出た闇が、ボクの懐かしさをつついてきて――
っと、少し逡巡していると、葵さんがちょっとだけしょんぼりしてきてしまっている!
ボクの我儘で盛り下げるなんて、あってはいけない事だ...!
「えと......葵、母さん?」
そう呼ぶと、葵さんの顔は、アバター越しにでもハッキリと分かるくらいパァっと明るくなる。
コメント欄も葵さんの嬉しそうな声が聞けて盛り上がっていた。
「う、うん! なぁに? ソラくん」
「葵母さん...その、ボクのこと、産んでくれてありがとう」
「......ううん、こちらこそ、だよ。私達の後輩になってくれて、私の子どもになってくれて本当に嬉しかったんだよ?」
そう言って微笑む葵さんの表情には、予めプログラミングされた絵が動いて出来ただけのものであるというのに、何よりも「
「だから......産まれて来てくれて、ありがとう」
あっ......
言うなれば、それは――その言葉は衝撃だった。
見たことも聞いたことも嗅いだこともない風が吹いて、ボクの心の澱みを雪ぐような、そんな暖かで爽やかな風。
優しさに包まれるように、ボクは葵さんの何かに体を撫でられた気がした。
だけど、全身の皮が向けてしまって敏感になっているボクには、その優しい感触ですらも大きな刺激で――
ダメだ、ダメだダメだ!
配信中に泣いちゃダメだ!!
ここで泣いたら放送事故になってしまう!
そんなボクを引き戻してくれたのは、明里さんの声だった。
「てぇてぇええええええええ!!!」
♪ ♪ ♪
そんな感じで、少し危ない所もあったけど、その後は終始和やかに配信は進んだ。
明里さんに「可愛い可愛い」と構い倒されたり、葵さんにボクの体のデザインについて、拘った事や気に入っている点を教えてもらったりしながら過ごした時間は非常に有意義だったと思う。
視聴者の皆さんにもそう思っていただけたようで、ボクが出ているという事実のみを捉えて低評価を付ける人もある程度いるようだが、それ以上の高評価がそれらを打ち消してくれていた。
「あっ、そろそろ時間だね...」
「うぇー! ホントだー!? もっとソラくんとお喋りしたいのになぁ......」
「これからいくらでも機会はありますよ!」
「そうだね......なんて言ったって私達に出来た初めての後輩だもんね」
「そっか、確かに! じゃあこれからいーっぱい一緒に遊ぼうね、ソラくん!」
「はい! 昨日今日と1期生の皆さんとお話できてとっても楽しかったので、またこのような機会が頂けるのなら、すっごく嬉しいです!」
そんな風に言うと、いつも大きく左右に揺れている明里さんの動きがピタリと止まり、「ハッ!?」と息を飲む音が聞こえた。
――な、何かおかしな事を言ってしまっただろうか?
「そういや、明里たちって1期生ってやつなんだね! なんかかっちょよくない!?」
あっ、思いの外どうでもよかった...
「そういえばそうだねぇ......ソラくんは2期生って事になるのかなぁ? 同期居ないけど」
「いえ、ボクは1.5期生って扱いみたいです。同期が居ないのはちょっと気にしてるんですよねぇ......」
「ソラくん! 同期はいなくても、明里たちにいーーっぱい頼ってくれればいいからね!」
「そうだね、うん。 私もソラくんのママとして、出来ること何でもしてあげるから...! 新衣装とかも一緒に考えようね!」
「ありがとうございます...!」
「よぉし! じゃあ今日はこの辺でおしまい! 何か告知とかある人いるー?」
「あっ、告知という程ではありませんが、明日の夜から早速通常配信を行っていこうと思いますので、お時間のある方は来て下さると嬉しいです!」
「ソラくん、頑張ってね......!」
「じゃあ、おつアカリーン!」
「お疲れ様でした...!」
「おつソラ、でしたっ!」
[五河ソラChannel]
チャンネル登録者数:1.83万人
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「ハッ!?」
叔父さん盗撮ボイスからの記憶がない......!?
尊過ぎて気を失ってしまったのか......
またアーカイブを見直さねば。
今日も
もうあと数分でリアルタイムで喋る
めちゃくちゃアーカイブ見直そ......
『1.5期生って扱いみたいです』
うーん、『五河ソラ先輩』か......
コラボする事になったら何て呼ぼうかなぁ...!!
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