犬夜叉RTA 桔梗救済ルート   作:パプリオン

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続Part14 淫夢堕ちした妖の末路

 

ポルターガイストくんもびっくりの現象が巻き起こる実況プレイ、はーじまーるよー。

 

前回は迫りくる毒虫を処しつつ、鳴動の釜を開いて桔梗と浅葱を救出したところまででした。

 

先ほどまで灼熱の業火にさらされていたはずの二人は、何事もなかったかのようにぴんぴんしています。やはりヤバイ。

で、そのうち桔梗の掌に収まっているのは奏から受け渡されたという玉櫛の箱。中には『四闘神の真の力』なるものが込められているようで、奏は蛍の姿となってからもこれを封じるべく自ら釜の中に入っていたようです。

 

どうしてそんな物騒なものをわざわざ外に持ち出させたんですか?

箱を釜の中に封印したまま四闘神をパパっと倒して終わり!じゃダメだったんですか?

 

……という正論尽くしな声も聞こえてきそうですが、玉櫛の箱はハリポタでいうところの"分霊箱"的な扱いになっているようで、やつらを完全にくたばらせるためには箱の中に込められている『真の力』ごと四闘神を葬り去らねばならないのです。

 

もちろん箱の封印を解かれる前に跡形もなくぶっ壊してしまえばそれで解決するのですが、この玉櫛の箱はひで並みの耐久力を兼ね備えており、どれほど強い攻撃を打ち込んだとしても破壊できません!(攻撃が)効くっつったのに効かねえっておかしいだろそれよぉ!違うか!?

 

現在も全員の必殺技(破魔の矢、破魔の竜巻、鎖鎌、火炎放射、鬼火髪、etc)を可能な限り注ぎ込みまくっているのですが、玉櫛の箱くんは未だその形を保っています。

ちなみに箱を置いた状態でそれをやっているので、既に地面が10メートルほど抉られてしまっていますが、そのへん気にしたら負けです。ようやく打ち解けてきたはずの子供たちは完全にドン引きしていますが、これに関しても気にしたら負けです。いいね?

 

「……やはり、攻撃以外の手を考える必要があるかもしれぬな」

 

地面を20メートルほど抉ったところで、ようやく桔梗が方針転換を促しました。ちょっと遅かったんとちゃう?

 

玉櫛の箱が取り出されてから相当の時間が経過しており、四闘神もこれに気付かないほどポンではありません。目当ての箱を奪いとるべく、まさかの手段を用いるんですね。

 

▼何の前触れもなく現れた"彼女"。

▼その接近に誰も気付けなかったのは──"彼女"が、桔梗とそっくりな顔をしていたからだろう。

 

 

 

……来たっ、来た、来たなぁ!

 

 

 

満を持して現れたのは、もう一人の桔梗様。

本物の彼女と比べると少しだけ装いを異ならせていますが、その顔立ちや迸る霊力などは全くと言っていいほどに同じものであることが分かります。

 

「なっ……あれは、私…!?」

 

彼女の美しいご尊顔を二人分も堪能できるということでプレイヤー的には大満足なのですが、当事者としてはそれどころの話ではありません。なにせ桔梗と瓜二つの人物が──それも、死人でなく生きた人の気配を漂わせた状態で──存在しているのですから。

 

▼え、なっ、え、ドゥ、え…?

▼どっ、もうわけわかんねぇよ……

 

ご覧のとおり、肝心のほもちゃんも「嫌いじゃないけど好きじゃないよ」と言われたあの人並に混乱しています。

 

そして呆然となる味方サイドの虚を突く形で、突然現れたほうの桔梗──ややこしいので、TDN表記でKKYU(桔梗)と称します──が玉櫛の箱を奪わんと襲い掛かってきました。

何故か弓矢でなく剣を得物とするKKYUの攻撃を受け、剣圧で吹き飛ばされてしまう一行。玉櫛の箱は破壊するという目的で手放した状態でいましたから、ロクな抵抗もできずあっという間に奪われてしまいました。お前の管理ガバガバじゃねえか。

 

KKYUは地面に置かれていた箱を拾い上げると、人間離れした跳躍で撤退を始めます。四闘神の元へ箱を届けるつもりなのでしょう。

犬夜叉がこの場にいると劇場版よろしく真っ先に彼女を追いかけていくのですが、今回はその役をほもちゃん自ら引き受けます。そうすることで私がやりたかったことの”仕込み”を完成させる狙いもあります。

 

じゃあ私、逃げたKKYUのこと追いかけるから……

 

 

 

 

 

仲間と別れて単独行動に切り替わったら、素早い動きで移動を続けるKKYUを追跡していきます。

 

まるで『うふふ、私を捕まえてごらん!』『こやつめハハハ』を実践するカップルみたいだぁ……(白目)

 

この時点で彼女の行先は固定されていますから、そこへたどり着くまでは追いついたとしても手を出さないようにします。きちんとつかず離れずの距離を保つほもちゃんはストーカーの鑑。

 

▼島全体を見渡せる高台の崖に辿り着いたところで、桔梗(?)がその足を止めた。

▼私は未だ理解が及ばぬまま、それでも彼女に声をかけようとする。

 

健気っすねこのほもちゃん。

しかし残念ながらその声は彼女に届かず……少しの間をおいて、四闘神がKKYUを取り囲む形で現れます。

 

「何を言っても無駄だぜ。こいつは50年前に巫女の血を奪って作り出した、複製だからな!」

 

なんということをしてくれたのでしょう。

KKYUは四闘神によって作られた、桔梗のクローンだったのです。

 

数百年後の技術をいとも簡単に再現してしまうとは、四闘神の実力 た ま げ た な ぁ 。

 

「おら、さっさと開けちまえよ!」

 

勝手にたまげていると、四闘神の命によりKKYUが玉櫛の箱を開けようとします。箱は奏の封印により四闘神自身が開くことはできないようになっており、だからこそ巫女である桔梗のクローンを利用したわけです。

 

展開によってはここで情け容赦なく斬りかかることも可能ですが、桔梗との「友好度」もしくは「好感度」が一定以上の場合は、(私にはできない…!)という独白が入り、操作を受け付けてくれなくなります。劇場版で複製と分かっていても彼女を斬れなかった犬夜叉の気分を味わわせてくれる細かい設定ですねクォレハ……

 

そうこうしているうち、ついにKKYUが玉櫛の箱を開けてしまい、中から四闘神の力の源がドバーっと出てきてしまいました。もう体じゅう力まみれや。

ついでに序盤で倒していた剛羅(亀のでっかいやつ)も当然の権利のように復活しちゃいます。

 

「くくく、ようやく戻ってきたか。おれたちの真の力が…!」

 

空手部KMRから覚醒KMR並みの変貌を遂げた四闘神。奴らを食い止めるため1対4の戦闘が始まる……と思いきや、KKYUが襲いかかってくるのでまずはそちらと戦っていきます。

 

俺は野郎尻なんかに興味ねぇんだよ。桔梗様の劇場版限定衣装を堪能したいだけなんだよ。

そういった紳士の方々のニーズにしっかりと答えた展開となっていますね。

 

いつもの巫女服の上に紫色の鎧を纏った姿、言わずもがな私は好きです。スクショしとこ。

 

 

 

 

 

さて、ここから先の方針としてはKKYUと戦いながら徐々に四闘神から距離を取っていきます。そうすると連中もこちらを深追いしてくることはないため、早い段階で彼女と二人きりの状況を作ることができます。

 

前述した通りKKYUの武器は刀であり、それを躊躇なくぶん回しているので下手に近づくと危険です。しかしその反面、破魔の矢や式紙など霊力を用いた攻撃をしてこないのでガードさえ固めておけば安全です。

 

斬撃後の隙を突き、接近からの投げ飛ばし(非殺傷)!

これを繰り返していると次第にKKYUの動きが鈍っていき、最終的には片膝をついた状態で動けなくなります。今の状態なら彼女に何をしても抵抗されることはありません。

 

 

 

……じゅるり。

 

 

 

と出てきた涎を飲み込んで、現代から持ってきた『頑丈な縄』を使いKKYUを捕縛します。

なぜかほもちゃんがやると亀甲縛りになってしまうのはご愛敬。興奮してるのか分かりませんが、無力化できればそれでいいのよ。

 

で、結果としてかなり扇情的な姿になってしまった彼女を抱え上げ、運んでいきます。亀甲縛りのヒロインをお姫様抱っこする主人公とか、こいつすげぇ変態だぜ?

 

当初の予定ではこのまま彼女を運び、無傷のまま仲間と合流したいところだったのですが……想定外の事態が起こります。

 

 

 

▼四闘神の凶羅 が現れた!

 

 

 

コイツの見た目で最初綺麗系のお姉さんと勘違いして映画見てカマホモだったことに絶望した人は正直に手をあげなさい。

 

 

 

 

 

はーい!!!

 

 

 

 

 

ということで、四闘神の参謀的存在である凶羅が出現してしまいました。

ネットミームでS○X!とか毒電波!とか言い出しそうな声してんなお前な。

 

「そんなものを連れて、どこへ行こうというのです?」

 

い、いや別に、何もやましいことは考えてませんよ!?

抱っこしている間に彼女の匂いを堪能していたとか、お体に触れていることに興奮したりとか、そんなことは微塵もありませんでしたよ!?

 

「そうですか。まぁ、あなたのやろうとしていることに興味はありません。なぜなら、あなたはこの場で灰となり消えてしまうのですから──灼熱鳥!」

 

凶羅が扇を振るった瞬間、鳥の形をした炎がこちらに襲い掛かってきました。通常であればこの程度の攻撃は簡単に防ぐことができるのですが、KKYUを抱えている今それをされるのは滅茶苦茶困ります。マジでやめろやお前ぇ!(語録無視)

 

プレイヤーとしてはこのKKYUに一切の傷をつけたくないという思いがあります。焼死なんてもってのほか、下手な火傷すら許せません。

 

本当なら少し遠くの場所に彼女を置いて凶羅との戦いに専念し、先に倒しきってしまうのが一番だったのですが……案の定アドリブの利かない私は、あろうことか自分の身体で敵の攻撃を防ぐ方法を選択してしまいました。

思い返せば、数ある策のうち最も愚かな選択だったと言えるでしょう。

 

「自らの身を挺して、複製を庇いますか……ならばそのまま焼け死になさい!」

 

アカンこれじゃほもちゃんが死ぬぅ!

 

すいません許してくださいなんでもしますから!

 

待って!助けてください!お願いします!アアアアア!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

継続ダメージでほもちゃんのHPが尽きると思われた瞬間、画面が真っ黒になってしまいました。

 

本来ここで出てくるのはGAME OVER表記のはずなんですけども……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こういうケースは前にもあったよなぁ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

※※※※※※※※※※

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

百江はとっさの判断で、己が身を盾に桔梗の複製を庇おうとした。

歯を食いしばる彼女の背に、凶羅の元より放たれた灼熱鳥が襲いかかる。

 

先ほど得たばかりの真の力を用いての火炎攻撃は、相手を骨も残さず消し去ってしまうほどの威力を持っていた。

 

「っ……ああっ!」

 

「自らの身を挺して、複製を庇いますか……ならばそのまま焼け死になさい!」

 

凶羅は残忍な笑みを浮かべながら、尚も一方的な蹂躙劇を続けようとする。

二度、三度とその攻撃に耐えていた百江であったが、やがて限界が訪れたようでその場に倒れ伏した。

 

理由は分からずじまいであったが、どうやら巫女の複製は思った以上に連中の心を惑わせる材料になったらしい。

 

 

 

まさしく絶体絶命の窮地。

いや。意識を失った百江からは、そんな言葉すら浮かんではいまい。

 

「これで仕舞いです。せめてもの手向けに、その複製もろとも炎の渦に包みこんであげましょう──ん?」

 

 

 

 

 

止めを刺そうと扇を振りかぶった凶羅がその異変に気付いたのは、偶然のことではなかった。

 

 

 

 

 

つい先ほどまでは、遠目からでも分かるほどの強い霊力を迸らせていたはずだ。なのに、今の彼女から放出されているのは──

 

 

 

「──邪気?」

 

 

 

その言葉に反応するかのように、百江の体がどくりと鳴った。

 

鼓動が繰り返されるたび、身体からは霊力が失われていき……うってかわるように瘴気と邪気の纏わりが強まっていく。

 

 

 

やがて百江は、何者かに操られるようにゆらりと起き上がった。

 

しかしそれも一瞬のこと。

彼女ははっきりと自分の意思で周囲を見渡したのち、上空に控える凶羅と目を合わせる。

 

先ほどまで榛色に輝いていたはずの百江の瞳は、青黒く()()()を秘めていた。

 

 

 

 

 

彼女の中で何が起きているのか理解しかねる凶羅は、戦いの姿勢を崩さぬまま、眼前の相手を冷静に見極めようとする。

 

霊力と邪気。

相反する二つの力を内に秘めるというのは、本来であれば不可能なことだ。

 

しかし彼女は、何らかの方法でそれを可能にしているらしい。

 

 

 

それが意味するところは、おそらく──

 

 

 

 

 

「いったい、あなたは何者です?」

 

 

 

 

 

──別の誰かが、彼女の人格を乗っ取ったということだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いつしか日も暮れ、空には妖しく光る月が浮かんでいた。

 

 

 

彼女はにやりと口を歪ませながら、大仰に両手を開く。

 

 

 

 

 

帰るさの

 

御幸物憂く

 

おもほえて

 

そむきてとまる

 

かぐや姫ゆゑ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「わらわは──神久夜。悠久の時を生きる、天空の姫」

 

 

 

場の空気を完全に変えてしまった神久夜は、語り聞かせるように自らの名を口にする。

 

 

 

先の戦いで百江に取り込まれたはずの彼女が、再び表舞台へと姿を現した。

 

 

 

「どうやら狂言を演じているわけではないらしい。先ほどまでの彼女とは……まるで別人の気配だ」

 

「無論じゃ。あやつのような"小娘(ほもがき)"と、わらわを一緒にするでない」

 

「…?」

 

意味の分からぬ単語に引っかかる凶羅であったが、神久夜は取るに足らずと辺りを見渡し、もったいぶるように大きく息を吐く。

 

「噂に聞きし蓬莱島……『永遠の安寧が続く豊かな楽園』というのも、今となっては昔の話か」

 

骨喰の薙刀を片手に一歩を踏み出した神久夜は、射貫くような視線を凶羅に向ける。

並の生物であれば、それだけで足が竦んでしまうほどの、鋭い視線を。

 

「されど──きさまらのような無粋な連中が消え去れば、少しはましになるやもしれぬな」

 

だが、その相手は並の妖怪をはるかに凌ぐ力を持つ四闘神。

桔梗の複製を庇うために防戦一方だった百江とは異なり、随分と()()()()()()相手であることに血が滾るのを感じていた。

 

「いいでしょう。四闘神の名を以て、全身全霊でお相手いたします……はぁっ!」

 

凶羅が再び扇を振るうと、鳥の姿を模した炎が神久夜の元に殺到する。

 

だが──その一つ一つが常人であれば耐え難いほどの熱量を持っているはずなのに──神久夜は薄ら笑いを崩すことなく、経文を唱え始めた。

 

すると彼女を包んでいた炎が武器の薙刀へと流れていき、ひときわ大きな妖火球を作り出される。

 

 

 

「お返しじゃ。遠慮せずに思う存分食らうがよい」

 

 

 

一切の躊躇なく放たれた火球は、凶羅に二の句を継がす間も与えなかった。

 

 

 

全身を焼き尽くされ、後に残るものは散在する火種のみ──

 

 

 

「成程、認めましょう。あなたはお強い……ですが、四闘神の敵ではない」

 

 

 

──そう思われた、刹那。

 

凶羅は何事もなかったかのように火種の中から姿を現した。

 

自らの肉体を炎に変えることで、あらゆる攻撃を無効化してしまう。それが凶羅の本来持つ能力だった。

 

 

 

「認める、とは随分と傲慢な物言いじゃな。まるで自らが神の使いにでもなったかのように」

 

「使いなどではない。私自身が神なのです!」

 

遠距離での戦いは互角とみるや、一気に近づき紅雀鬼扇(くじゃくせん)で神久夜を薙ぎ払う。

見た目のうえでは刃がついてない武器であっても、凶羅が扱うことで空気をも切り裂くほどの力が生まれている。

 

「楽しいですねぇ。やはり闘いはこうでなくては…!」

 

「闘争に愉悦を覚えるか。いかにも理性を失った、(けだもの)らしきことよ」

 

「これは異なことをおっしゃる。戦う事に生きがいを、そして殺し合う事に喜びを感じられるのは、われらが絶対的な存在であるがゆえのこと!」

 

まともに食らえばひとたまりもないであろう連撃を、神久夜は軽い身のこなしでいなしていく。

百江に宿る巫女としての力を引き出すことは出来ないが、彼女が有する膨大な邪気を刀身に纏わせることで、凶羅の攻撃を相殺していた。

 

「あなたほどの歪な力を持つ者が、この感情を理解できないとは思えません!」

 

確信めいた物言いに、神久夜は興味深げに目を細めた。

 

「そうやって偽りの仮面を被りながら、心の底では果てのない闘争を望んでいる……違いますか?」

 

彼女の様子に図星を突いたと信じて疑わない凶羅は、さらに一歩分の距離を詰めて仕留めにかかろうとする。

 

 

 

だが、優勢を誇っていたはずの凶羅が扇を振りかぶった瞬間──あり得ないことが起きた。

 

 

 

「な…!?」

 

気付くと視界が反転し、上空を見上げている。

いや、視界だけではない。凶羅はその体ごと仰向けの状態で叩き付けられていたのだ。

 

「これが、押し受け(腰抜け)じゃ」

 

相手の攻撃を受け流し、その勢いを利用して投げ飛ばす。

本来神久夜が使えるはずのない有段者用の空手技であったが、彼女はどういうわけか見事に一本を決めてみせた。

 

「どうした。そんなことでは虫も殺せぬぞ?」

 

「ふざけた真似を…!」

 

神久夜の挑発に、凶羅は初めて顔を歪めた。まるですべてが計算ずくだったと言わんばかりの表情を浮かべる彼女の前で、怒りの感情がふつふつと湧き上がっていく。

 

「きさまなぞわらわの玩具でよいのじゃ上等であろう?」

 

「舐めるなッ!!」

 

普段であれば一度距離を取ったうえで用心深く相手の出方をうかがっていたであろうところ、憤怒の感情に支配された凶羅はその場で起き上がり、再び神久夜に突貫しようとした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それこそが致命的な一手──命取りになるとも知らずに。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

再び訪れた、静寂。

 

 

 

 

 

凶羅の持つ紅雀鬼扇(くじゃくせん)は神久夜の体に触れることなく地面に落ち。

 

反対に骨喰の薙刀が凶羅の胴体を貫いていた。

 

 

 

「馬鹿、な……」

 

その場に片膝をつき、愕然とした声をあげる凶羅。

己の敗北を受け入れられぬまま、自らが生み出した炎の中へと消えていく。

 

 

 

「果てなき闘争を望む、か。実に片腹痛い」

 

 

 

難敵をいとも容易く下してみせた神久夜は、感慨なさげにそう呟くと同時に、闘いの場から背を向ける。

 

 

 

「わらわが(まこと)に欲するは、永遠の闇。そして──」

 

 

 

──野獣先輩の正体じゃ。

 

 

 

かつての自分であれば、際限なく力を欲し、闘いに身を委ねることを否としなかっただろう。

 

だが、神久夜は知ってしまった。

 

凶羅には想像もつかぬ世界を。クッソ汚いが何故か中毒になる淫夢コンテンツを。

 

 

 

端的に言って、神久夜は淫夢厨と化していた。

 

 

 

「さて……百江よ、わらわは今しばらく眠りにつこう。そなたの記憶に宿る"淫夢本編りんく"は、まだ山のようにあるゆえな」

 

 

 

身体を纏っていた瘴気が晴れ、徐々に霊力が強まっていく。

それは、神久夜の意識が深層心理の元へ落ち、百江としての人格が再び浮上していくことを意味していた。

 

 

 

「ああ、それを見終わったら"音まっど(MAD)"と"びーびー(BB)先輩劇場"にも手を出さねばならぬ……せわしないものじゃ」

 

 

 

無限に近い時を、『例のアレ』で消費する神久夜。

 

 

 

 

 

彼女がこの世界の誰よりも詳しいホモビ知識を身につけるまで、さほど時間はかからないだろう。

 

 

 

 

 

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