剣姫転生 〜エルフの娘は世界最強の剣士を目指す〜 作:カゲムチャ(虎馬チキン)
「オオオオオオオオオオ!!!」
闘神が雄叫びを上げながら迫ってくる。
迎え撃つのは、返し技の達人達だ。
「イゾルテ、少しは腕を上げたんだろうねぇ?」
「お師匠様こそ、半分楽隠居で腕が衰えてないですよね?」
「ハッ! 言うようになったねぇ!」
「「奥義『流』!!」」
「ぬぉおおおう!?」
守りの剣の頂点、水神流トップの剣士が二人がかりで使った受け流しの奥義。
それは受け流しだけに留まらず、闘神の体勢を大きく崩して、大きすぎる隙を作り出した。
「****!」
「ランドルフ! 合わせなさい!」
「まさか、あなたと肩を並べて戦う日がくるとは思いませんでしたよ」
「「奥義『砕鎧断』!!」」
「****!!」
飛び出したアトーフェさんの攻撃に合わせて、シャンドルとランドルフさんが剣を振るう。
北神流の中でも源流と言える魔神殺し、大物殺しの剣技を受け継いだ三人の攻撃が、伝説の闘神鎧を大きく破壊した。
当然、すぐに修復は始まったんだけど、神級三人がかりの砕鎧断(アトーフェさんのはただの全力攻撃だけど)は破壊規模も大きくて、2秒くらいは修復に時間がかかると思う。
それだけあれば充分!
「エミリー!」
「わかってる! 不治瑕北神流奥義『破断』!!」
「ぬぅ!?」
鎧が剥がれた右肩のあたりに私の破断が命中し、闘神の右腕を根元から斬り飛ばした。
久しぶりに有効打が入った!
切断された右腕がくっつく気配は無し!
でも、右腕を包んでた金色の籠手は、3秒くらいしたら流動するスライムみたいに右腕から離れて、外見だけは元と変わらない金色の腕に戻ってしまった。
あれ!?
最初に斬った時と違くない!?
「ふん!!」
闘神は中身が無いはずの右腕で、さっきまでと一切変わらない威力の拳を繰り出してきた。
「「ハッ!」」
それを再びレイダさんが受け流して、イゾルテさんが軸足を刈って転倒させる。
「うぉおおおおお!!」
「ふっ!!」
そして、転倒した闘神の頭にザノバさんが棍棒を、ドーガさんが斧の一撃を叩き込んで、地面にめり込ませた。
「ハァアアアアアアア!!」
「よっとぉ!」
「*********!!」
「ウラァアアアアアア!!」
闘神はすぐにノーダメージで起き上がったけど、起き上がるまでの隙に再びシャンドル、ランドルフさん、アトーフェさんによる鎧砕きの連続技。
今度はギレーヌもそこに加わり、光の太刀で砕けた鎧を鱗剥ぎのように削ぐ。
それによって闘神鎧は更に大きく損傷した。
「『破断』!!」
そこへ私がもう一発、不死殺しの斬撃!
腕がダメなら胴体を真っ二つだ!
ギレーヌの攻撃の分、さっきより闘神鎧の破損が大きくなってたおかげで、私の一撃は何とか左肩から右脇腹に抜けて、闘神を真っ二つにすることに成功した。
更にレイダさんとイゾルテさんが、別れた闘神の上半身と下半身を別の方向に吹っ飛ばす。
「フハハハハハハハ!」
でも、闘神はテケテケみたいに上半身だけ、下半身だけで走ってきて、当たり前みたいにドッキングしてしまった。
不死身か!?
いや、不死身の魔王なんだけどさぁ!
それにしたって、これはなくない!?
どうやって倒せと!?
「鎧を本体から引き剥がせ! 闘神鎧はそれで止まる!」
と思ったら、物知りオルステッドがアドバイスをくれた。
「闘神鎧に装着者を回復する機能は無い!
エミリーが不治瑕の技で刻んだダメージは、バーディガーディの本体に残っているはずだ!」
おお、なるほど!
つまり、どういうことだってばよ!?
「不治瑕の技で解体すればいいってことだよ! 右腕はもう無い!
だが、胴を真っ二つにした時みたいに、切り離した状態でも充分に動かせるだけの体が残っていれば、鎧が中身ごと回収してしまうみたいだ!
だから、まずは残りの四肢を奪う! そして最後に、残った頭と胴体の鎧を砕いて、中身を引きずり出すんだ!」
シャンドルが具体的な作戦を立てて教えてくれた。
これ絶対、私への配慮だと思う。
さすが先生。よくわかってる。
「レイダ殿とイゾルテ殿は盾役!
ランドルフ、ドーガ、ギレーヌ殿、ザノバ殿は鎧の破壊をやってくれ!
不治瑕での攻撃は私と母さんとエミリーが請け負う!
***! ****!」
「**ー! ****!」
シャンドルが全員に指示を出し、アトーフェさんにも魔神語で何かしら告げた。
さすがは仲間達と共に数々の英雄譚を紡いできた北神カールマン二世というべきか、的確な指示のおかげで誰からも反論が出ない。
子育てダメダメ男とは思えないリーダーシップだ。
やっぱり、家庭と戦場は全くの別物ってことだと思う。
「話し合いは済んだか! 作戦は決まったか! ならば行くぞ!」
闘神が再び突撃してくる。
ダメージはあるはずなのに、負ける可能性だってあるはずなのに、どこまでも愚直な突進。
それこそが、このバーディガーディという人の戦い方なのかもしれない。
「そら!」
「ハァ!」
でも、そんな単純すぎる攻撃に屈する水神達じゃない。
またしてもあっさりと、闘神の攻撃が受け流されて大きく体勢が崩れる。
闘神が戦い方を変えるか、二人の体力が尽きるまで、この展開は変わらないと思う。
「まずは、さっきの袈裟斬りで脆くなってるはずの左腕からですかねぇ。『砕鎧断』!」
「******!!」
ランドルフさん達がこじ開けた鎧の綻びに、アトーフェさんが全力の破断を叩き込んだ。
それによって闘神の左腕が斬り飛ばされ、それをランドルフさんが遠くに蹴り飛ばす。
右腕と同じように、左腕を覆ってた金色の籠手も中身の腕から離れて本体に合流。
金色の義手みたいな感じになった。
その一連の攻撃が行われるのと同時に、私とシャンドルも仕掛ける。
「シャンドル! 右脚!」
「わかった!」
狙いはランドルフさん達が狙って、闘神の意識が行ってる左腕の正反対。
無防備な右脚。
そこに渾身の十字砲火!
「不治瑕北神流!」
「奥義!」
「「『破壊十字断』!!」」
かつて、ファランクスアントの群れを相手にアレクと一緒に使った、二人同時に烈断を放つ『烈風十字断』の上位互換。
二人同時の破断を叩き込む技。
それが寸分の狂いもなく、闘神の右脚をハサミで切るようにして振るわれた。
左右同時攻撃故に衝撃の逃げ場の無い斬撃は、強固な闘神鎧を無理矢理に両断して、右脚をほぼ根元から斬り飛ばす。
それを今度はシャンドルが遠くに蹴り飛ばし、右脚もまた鎧から分離された。
残るは左脚と胴体のみ!
「ぬ……!」
その時、闘神が跳ねた。
残った左脚による跳躍。
それで私達の頭上を取り、ぐぐぐっと、砲弾の発射を思わせるように強く、強く右拳を後ろに引いて構えた。
「ッ……!」
違う。
これは今までの力任せの攻撃とは違う。
あれはヤバいと私の直感が叫んでる。
あの構えを見てると、まるでオルステッドが刀を抜いてマジモードになった時みたいに背筋が凍る。
あれは、ただの力任せの攻撃なんかじゃない。
あれは……『技』だ!
しかも、かなりとんでもないレベルの!
「レイダさん! イゾルテさん!」
「わかってるよ!」
「はい!」
私もレイダさん達に合流して、水神流三人で攻撃に備えた。
シャンドル達も北神流にもある防御の型を取って、ギレーヌやザノバさんみたいな防御の技に乏しい人を守る。
そして、闘神の拳が放たれた。
拳から発生したのは絶大な衝撃波。
多分、破断系列と似たタイプの技だ。
それでいて、私達全員分の破断を合わせたような、とんでもない威力。
なんで今になってこんな技を!?
まさか、今まで舐めプされてたの!?
そんな嫌な想像を振り払いながら、防御ができる全員で分担して、どうにか衝撃波を散らした。
次の瞬間には、地面に降りた闘神が、今までとは比べ物にならない洗練されたフォームで走ってくる。
「予定変更! 短期決戦だ! 胴体を砕いて一気に決めるよ!」
シャンドルのそんな号令によって、即座に私達は動いた。
闘神が拳を引く。
またあの極大打撃を放つ気だ。
防御を……
「あれはあたしらが防ぐ! あんた達は攻撃に集中しな!」
そこへ飛んだレイダさんの言葉。
レイダさんとイゾルテさんが、二人で闘神の前に立ちはだかった。
無茶だとは思わない。
あの二人は水神流の頂点。
当代最高の守りの剣士。
そんな二人がやるって断言したなら、信じる!
「「奥義『流』!!」」
水神流の基礎にして奥義の技が、闘神の一撃を完全にいなした。
レイダさん達も無傷じゃない。
私達の方には通さなかったけど、我が身を守る余力までは無かったみたいで、かなりのダメージを受けてる。
それでも中級治癒くらいで治りそうな傷だ。
さすがは水神。
なら、次は私達の番だ!
「まずは私達の仕事ですねぇ。もう一発、『砕鎧断』!」
「『光の太刀』!」
「『烈断』!」
「うぉおおおお!!」
ランドルフさん、ギレーヌ、ドーガさん、ザノバさんの一斉攻撃。
でも、闘神はそれを防いだ。
今まではレイダさん達が体勢を崩してくれてた上に、闘神に大した技術が無かったから簡単に決まったけど。
今回はまるで流○岩砕拳みたいな技を金色の腕で振るって、ランドルフさんとギレーヌの攻撃を受け流してしまった。
やっぱり舐めプされてたんだ!
それでもランドルフさんとギレーヌが手を煩わせたおかげで、ドーガさんとザノバさんの攻撃は命中したけど、胴体を砕くには威力が全然足りてない!
でも、行くしかない!
「*******!!」
「エミリー! 母さんに合わせるんだ!」
「了解!」
「「『破滅三極断』!!」」
破壊十字断の更に上。
三人同時の破断。
それが闘神鎧を大きく砕く。
でも、まだ足りない!
もうひと押しなのに、それが足りない!
無情にも闘神鎧は不死殺しの力を振り払い、私達が追撃を繰り出す前に修復が開始される。
「『
「ガァアアアアアアア!!」
「うらぁああああああ!!」
「ぬぉおおおおおおお!!」
「私もいるぞぉおおお!!」
「「食らえーーーーー!!」」
「え!?」
でも、ここで更なる援軍!
魔力を使い果たしてたはずのルーデウスの魔術が飛来し、体力が尽きてたはずのエリスさん、師匠、オーベールさん、
更にはウィ・ターさんとナックルガードまで走ってきて、修復開始直前の闘神鎧に攻撃を叩き込んだ!
そっか!
ルーデウスは魔導鎧を動かせるくらいの魔力は失ったけど、ラスト一発をぶっ放すくらいの魔力は残ってたんだ!
その一発を最も有効に使えるチャンスを狙ってたな!
師匠達は普通に体力を回復させて駆けつけてくれたんだと思う。
でも、やっぱり無理してるのか、全員顔色が悪いままだ。
だけど、これで最後のひと押しは決まった!
闘神鎧の胴体部分が完全に砕け散る。
すぐに飛び散った破片が集結しようとしてるけど、遅い!
「ギレーヌ!!」
「ウラァアアア!!」
胴体をこの場に留めてる最後の引っかかりである左脚を、一番近くにいたギレーヌが渾身の光の太刀で切断。
そのままギレーヌは左脚を蹴り飛ばして遠くにやった。
胴体は皆の攻撃の威力で吹っ飛び、闘神鎧の復活地点から離れてる。
後は
私は衝撃波を自分の背中に叩き込んで加速。
袈裟懸けに斬り裂いた時に胴体と分離して、今は闘神鎧の残骸が集束しようとしてる場所になってる、頭と右肩の部分に狙いを定める。
そこを守るボロボロの兜に向けて、渾身の一撃を放った。
「北神流『
形は違うけど、かつてオルステッドがシャンドルの剣を破壊して奥義の発動を防いだ技。
あれだけヒビだらけになった鎧なら、この技で充分に壊せる。
そして、この技はマイナーだけど奥義でも何でもない普通の技。
その分、難易度が低くて素早く発動できるのだ!
それによって遂に、遂に闘神鎧が完全に砕け、兜の中身が露出する。
私は出てきた中身を闘神鎧の復活地点から離すために、サッカーボールみたいに思いっきり蹴りつけた。
「ふん!」
「ぬぉぉぉ!?」
金色の兜から出てきた、快活な表情が似合いそうな偉丈夫の顔がすっ飛んで地面に転がる。
そして、闘神鎧の方は中身が完全に無い場所で復活して…………動きを止めた。
オルステッドの言った通りだ。
やっぱり、どこまで行っても鎧は鎧。
装着者無しじゃ動かないんだと思う。
「フハハハハ! 見事だ! 少し
「叔父上……」
分離された中身の方、バーディさんが元気にそんなこと言った。
不死魔族だし、再生不能のところを抉り取ったら普通に復活しそうなくらい元気だ。
殆ど頭だけしか残ってないのに。
どんだけだよ。
っていうか、
「飲まれ、かける?」
「闘神鎧は着用してから時間が経つほどに、鎧に備わった自我が装着者の意識を乗っ取る。
その状態になると、鎧があらゆる武器を錬成し、あらゆる武術を模倣し、戦況を見極め、千を超える奥義から最適なものを選び放つようになる。
そうなる前に倒せたのは僥倖だった」
「オルステッド……」
物知りオルステッドによる解説が入った。
はぁ、なるほどねぇ。
つまり最後の方になって急に技を使い始めたのは、それまで舐めプされてたからじゃなくて、バーディさんの意識が乗っ取られかけてたわけかぁ。
呪いの装備じゃん!?
しかも呪われてた方が強くなるとかマジですか?
ば、化け物すぎる……!
マジモードに片足突っ込んだくらいの状態で倒せて良かった。
もし最初から呪い全開の武術マスター状態だったら……正直、勝てたかどうかわからない。
勝てたとしても、最低でも仲間の半分以上は死んでたと思う。
オルステッドといい、闘神といい、そういう相手側の制約に頼らないと、これだけの仲間を集めてもまだ列強上位と対等とはいかないかぁ……。
ラプラスにそういう制約があるなんて話は聞いてないし、これはまだまだ修行しないとダメだね。
「だが、これで終わりだろう。
『不死身の魔王』バーディガーディよ、まだ戦うつもりはあるか?」
「無い! 我輩は敗れた! 完膚無きまでに敗れた!
そして、我輩がヒトガミに力を貸すのはこの一度のみ! そういう約束である!
故に、我輩はもう戦わん!」
「そうか。ならば、ヒトガミを捨て、俺に下れ」
あ、オルステッドが勧誘してる。
普段の仕事で出会うヒトガミの使徒は大体問答無用で殺してるオルステッドだけど、最近はこういう交渉の余地がある時は勧誘するようになったのだ。
ルーデウスとか、レイダさんとか、元ヒトガミの使徒でも頼れる味方になる人だっているって学んだんだと思う。
オルステッドの勧誘を受けたバーディさんは、一瞬ポカンとした顔してた。
「フハハハハ! 嫌われ者の龍族が、不死魔族たる我輩に配下になれと言うか!」
「一時は敵となったが、貴様はルーデウスの友だ。
アレックスも、アトーフェもこちらについた。一考の余地はあろう?」
「無い!」
バーディさんはキッパリと言い切る。
断れば殺されるかもしれないのに、凄い胆力。
「我輩は元々、誰かと戦うのは好きではないのだ。
旅をし、酒を飲んで笑い、行きずりの女を口説き、抱き、時に婚約者にどやされ、友を作って酒を飲み、笑い、歌い、疲れ果てた者達が満足そうに眠る顔を見るのが好きなのだ。
今回はヒトガミが頭を下げて願うので、出向いたに過ぎん。
どうしても、ルーデウス・グレイラットとエミリー、そして『龍神』オルステッドを殺してほしい。
今、我輩とキシリカが同じ時代に生きているのは誰のおかげか。
4200年前のことを思い出し、かつての恩を返してくれ、とな。
それに対して、我輩は「一度だけだ」と了承した」
ん?
いきなりキシリカさんの名前が出てきたぞ?
どういうことぞと思ってると、いつの間にか近づいてきてたルーデウスが小声で説明してくれた。
なんでも、バーディさんはキシリカさんの婚約者らしい。
ああ、ランドルフさんの話に出てきた婚約者ってキシリカさんのことか。
あれ?
でも、その人は死んだって話じゃなかったっけ?
ああいや、キシリカさんは死んでも千年くらい経ったら蘇る『不死身の魔帝』だったか。
うーん、ややこしい。
「そして、その一度は終わった。もはや我輩は誰の味方にもならん!」
「……ならば、ヒトガミとの戦いが終わるまで、どこかに封印する。それでいいか?」
「構わん! 命を取られないだけ儲けものである!」
バーディさんは豪快に笑って、封印という選択肢を受け入れた。
なんにしても戦闘終了だ。
いきなり始まったこの最終決戦も、ようやく終わり……
「ギースッッ!!」
あ、そうだ!
まだギースさんがいた!
師匠の叫びでそのことを思い出す。
その師匠はある方向を見つめて、そこに向かって飛翔する光の太刀を放っていた。
「ぐえっ!?」
その視線の先にはギースさん。
師匠の一撃を食らって死にかけてる。
死んでないのは、何かの防具かマジックアイテムで身を守ったんだと思う。
でも、これでギースさんも捕縛だ。
今度こそ終わ……
「え?」
その瞬間、とんでもないことが起きた。
装着者を失ったまま修復された闘神鎧がスライムみたいに溶けたと思ったら高速で流動して、ある一点で集束する。
ギースさんが倒れた場所のすぐ近くで。
そこには、黄金の全身鎧を纏った一人の剣士が立っていた。
手に持つのは世界最強の剣、『王竜剣』カジャクト。
『闘神鎧』に『王竜剣』。
二つの最強装備を纏って、一度は倒したはずのそいつが復活していた。
「へへっ、戦いは最後の最後まで気ぃ抜いたらダメだぜ? 最後の詰めを誤ると痛い目見る、ってな」
死にかけの状態で、ギースさんが笑う。
……さっき、師匠に斬られる前、ギースさんは何してた?
金色の籠手をあいつに装着してた。
闘神が現れた時、着地の衝撃波でどこかに飛ばされていって、闘神に釘付けにされた皆の意識からも視界からも外れてたあいつに。
それを起点にして、闘神鎧があいつに装着されたんだ。
「なんで……!?」
なんで闘神鎧の一部である金色の籠手をギースさんが持ってるの!?
と思った瞬間、珍しく私は即座にピンときた。
私が最初に斬り落とした腕だ。
何故か鎧の方まで再生しなかった腕だ。
後で皆と一緒に斬った時と違うから「あれ?」って思ったけど、まさかこのために……!?
ギースさん、有能の極みか!?
「英雄は、どれだけ追い詰められても、復活し、逆転する。やっぱり、そういう風にできている」
復活した剣士が。
新しい『闘神』が。
そんなことを口にした。
「我は『北神カールマン三世』アレクサンダー・ライバック。
雪辱を、果たさせてもらおう」
そうして新たな闘神は、アレクは、私に向かって王竜剣を突きつけた。
ラスボス降臨!