剣姫転生 〜エルフの娘は世界最強の剣士を目指す〜   作:カゲムチャ(虎馬チキン)

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大列強武闘祭が開かれるようになってからの話です。


番外 危険物処理

「エミリー、ルーデウス、アレクサンダー、準備はいいな?」

「いつでも、オッケー」

「俺も大丈夫です」

「僕も問題ありません!」

 

 現在、私はオルステッド、ルーデウス、アレクの三人と一緒に、お忍びでとある場所へと訪れていた。

 その場所とは、各大陸に囲まれるようにして存在する巨大な海『リングス海』の中心。

 そこにある世界三大迷宮の一角『魔神窟』の入り口。

 かつて最深部に闘神鎧が封印されていたという場所。

 そんなところにわざわざ来た理由は、ここなら誰も巻き込まないからだ。

 

 私とアレクは剣を構えて、とあるものに向き合う。

 今回は珍しいことに、お互いの武器を入れ替えてる。

 アレクから押収して事務所の備品になった世界最強の剣『王竜剣カジャクト』を私が持ち、逆にアレクは滅多に使わない私の切り札こと、魔剣『仙骨』を握りしめる。

 それだけの武器が無いとどうしようもない相手と向き合ってるからっていうのもあるけど、それ以上に、これが一番効率的だからそうしてるのだ。

 何せ、今回やるのは戦いではなく、危険物の解体作業。

 作業に必要なのは、すなわち効率である。

 

 私達の視線の先には、解体するべき危険物がある。

 事務所から封印状態のまま持ってきた、中身の入ってない黄金の鎧。

 かつて不死身の魔王とウチのアホが着用して、強大すぎる敵として私達の前に立ち塞がった『闘神鎧』だ。

 時間をかけて装着者の意識を乗っ取り、バーサーカーに変えてしまう呪いの装備。

 

 元々、これはできることなら壊しておきたかった。

 でも、不治瑕の奥義を使っても3秒で修復されるようなオーパーツを壊せるか! ってことで、今まではオルステッドの結界魔術とルーデウスの莫大な魔力で封印してた。

 

 だけど、私の体も大分成長してきて15〜16歳くらいになったし、決して長身ってわけじゃないけど、お子様体型を脱して手足がスラリと伸びて、筋力とかが大きく向上した。

 加えて、王竜剣に込められた重力魔術の感覚を覚えるために使ってるうちに、この剣は莫大な魔力を込めた時、とんでもない威力の攻撃を放てるということが判明した。

 だったら、これにルーデウスのチート魔力を思いっきり注いで、強化された私の馬鹿力で振り回せばあるいは……って話になったのだ。

 

 まあ、やるだけやってダメだったら、また封印すればいいやって気楽な気持ちで、私達は闘神鎧の解体作業の実施を決断した。

 で、有効打を増やすために不治瑕の使い手であるアレクも動員して、うっかり制御をミスると山を吹き飛ばしちゃうような攻撃に誰かを巻き込まないために海の真ん中まで来た。

 万が一にでもヒトガミに闘神鎧を奪取されないように、お忍びで。

 これにて準備完了。

 後は思いっきりやるだけだ。

 

「じゃあ、やるよ、アレク」

「ああ! 我が未熟さの象徴を、今こそ葬り去ろう!」

 

 北神流の大好きな中二なセリフを叫びつつ、アレクが剣を上段に構える。

 それに習って、私も王竜剣を上段に構えた。

 

「不治瑕北神流!」

「奥義!」

「「『破壊十字断』!!」」

 

 まずは手始め。

 二人同時の破断を闘神鎧に叩きつける。

 シャンドルと一緒に放った時は、『闘神』バーディガーディにもちゃんと通じた技だ。

 あの時より使い手のパワーも武装も上。

 おまけに今の闘神鎧は中身が入ってない。

 だったら効かない道理はなくて、闘神鎧は一撃で粉々に砕けた。

 

「アレク!」

「わかってる! たたみかけよう!」

 

 当然のように3秒で全快しようとした闘神鎧に、私達は連続で破断を叩き込み続ける。

 まるで餅つきのように、交互に剣を振り下ろす!

 余波だけで魔神窟が悲鳴を上げ、流れてくる海水をルーデウスが凍らせて止めてくれてる。

 まだまだぁ!

 

「『破断』!!」

「『破断』!!」

「『破断』!!」

「『破断』!!」

「よいさ!」

「ほいさ!」

「よいさ!」

「ほいさ!」

 

 だんだん、かけ声まで餅つきみたいになっていったけど、私達は構わず剣を振るった。

 10回、20回、30回と振るい、何度も何度も闘神鎧は粉々になったけど、まだ回復が止まらない!

 

「魔力切れ……! ルーデウス!」

「へい! お待ち!」

 

 王竜剣に込められてたルーデウスの魔力が底をつき、私は一旦アレクに連続攻撃を任せて、ルーデウスに魔力の補給をお願いする。

 餅つきっぽいテンションに釣られたのか、ルーデウスの言動が若干変になってたけど、魔力の供給は普通に済ませて、再び私は解体作業、ルーデウスは現場の維持管理に戻る。

 

「えい!」

「やぁ!」

「えい!」

「やぁ!」

 

 破断を使う。

 破断を使う。

 破断を使う。

 何時間もぶっ続けで破断を使い続け……。

 

「回復が遅くなっている! もう少しだ!」

 

 オルステッドの分析に力をもらい、私達は力を振り絞った。

 

「「うりゃあああああああああああ!!!」」

 

 渾身。

 渾身の力を込めて剣を振り抜く。

 回復が止まるまで。

 闘神鎧の息の根を止めるまで!

 

 そして、ついに……。

 

「ハァ……ハァ……。回復、しない……?」

「や、やったか?」

 

 アレク、それフラグ。

 そのせいで盛大に不安になったけど、壊れた闘神鎧の欠片にオルステッドが近づいて、確認した。

 まじまじと観察し、じっくりと調べ…………オルステッドは、私達に向かって大きくうなずいた。

 

「や……」

「や……」

「「やったぁーーーーー!!」」

 

 長き死闘を制して、私とアレクは思わず抱き合って喜んだ。

 直後にアレクが赤くなってうろたえ始めたけど、知るか!

 今はこの感動に浸っていたい!

 

 こうして、伝説の闘神は今度こそ完全に打倒され、七大列強の席が一つ空いたのだった。

 ただし、闘神は中身がある状態で倒さないと勝ったことにはならないみたいで、私かアレクが列強三位になることはなかった。

 私はしばらくふてくされた。




七大列強

一位『技神』
二位『龍神』
三位『魔神』
四位『姫神』
五位『北神』
六位『剣神』
七位『魔導王』


・闘神鎧
『魔龍王』ラプラスですら壊せなかった最凶の鎧だが、今回は中身が入ってないところに、大人エミリー+王竜剣+ルーデウスのチート魔力+アレク+仙骨というイカれたリンチによって、めでたく完全破壊。
残った残骸は、もったいないという理由で鉱神に預けられ、『闘神剣』という新たな最強装備として生まれ変わった。
闘神剣の詳細に関しては、第二次ラプラス戦役にて。


・大列強武闘祭
七大列強の席が一つ空いたことによって、更なる盛り上がりを見せた。
『魔導王』ルーデウスは絶対に即行で失冠すると自分でも思っていたが、意外と長く君臨した。
ヒトガミはキレた。
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