剣姫転生 〜エルフの娘は世界最強の剣士を目指す〜   作:カゲムチャ(虎馬チキン)

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ストレス発散に書き殴ってたら、なんかできちゃった二次創作を投稿したので、北神流『流入効果狙いの術』。
あと、最終更新日順で下の方になってきたので……。
私に剣姫転生を書かせたければ、無職転生の二次創作をもっと持ってこい!

今回は最初に盛大なネタバレをしておきます。
夢オチです。


番外 エミリーと最強の力(夢オチ)

「私は、最強!」

 

 気分が良い。

 体の奥底から無限に力が湧いてくる。

 今なら何だってできる!

 

「うりゃあああああ!!」

「「「ぐはぁああああ!?」」」

 

 私は剣を振るう。

 世界最強の剣、『王竜剣』カジャクトを。

 その一撃によって、立ち塞がる連中を薙ぎ倒す。

 蹂躙する。

 

「やめろ! もうやめるんだ!」

「止まってくれ、エミリー!」

 

 最強の私に立ち向かってくる勇者、もとい愚者達が現れた。

 ルーデウスとアレクだ。

 アレクが私に突撃し、ルーデウスはそれをサポートするべく、得意の岩砲弾(ストーンキャノン)ガトリングを私に向ける。

 

「無駄ぁ!」

「「ぐっはぁああああ!?」」

 

 アレクとルーデウスが吹き飛ぶ。

 帝級相当の岩砲弾を連射するガトリングも、今の私には一切通じない。

 世界最強の鎧、『闘神鎧』が魔術の威力を大幅に削いでるからだ。

 弱体化を極めた魔術ごとき、水神流を使うまでもなく、王竜剣の雑な一振りで吹き飛ばせる。

 その雑な一振りでアレクも吹っ飛んだ。

 あれだけ強くなったアレクを、こんなに雑に倒せてしまう。

 今、私は、

 

「究極の、パワーを、手に入れた、のだー!」

「「「うぎゃあああ!?」」」

 

 暴れる。暴れる。暴れ回る。

 究極のパワーを思う存分に振り回す。

 誰も私を止められない。

 闘神鎧に蓄積された奥義の数々を王竜剣に乗せて振るう私は、あのオルステッドですら止められない。

 

「くっくっく。オルステッド、無様なり」

「おのれ……!」

 

 私の足下で、神刀を抜いて全力を出したオルステッドが這いつくばっていた。

 この私にやられた敗北者として。

 私はとうとう、全力の世界最強に勝ったのだ。

 目指した場所に到達したのだ。

 

 技神も、もう倒した。

 既に私は七大列強第一位。

 実質的な最強まで倒して、名実ともに世界最強の称号を手に入れた。

 観衆は大喝采だ。

 誰も彼もが私を褒めそやす。

 憧れて、恐れて、頭を下げる。

 

 私は世界最強となり、世界の頂点に立った。

 そうして、私は……。

 

「…………虚しい」

 

 ━━ひたすらの虚無感に襲われた。

 こんな貰い物の力を振り回して何が楽しいのか。

 あんなに輝いて見えたはずのライバル達を雑に踏み潰して、何が面白いのか。

 謎の高揚感で今までは感じなかったけど、ちょっと冷静になってみれば空虚に過ぎる。

 褒められてキャーキャーされても、恐れられてヘコヘコされても、気分が悪くなるだけだ。

 自分が成し遂げた偉業と呼ばれることの全てを、皆が凄い凄いと褒め称えることの全てを、まるで誇ることができない。

 

「はぁ」

 

 貰い物の力によって到達した世界の頂点にて、私はひたすらに憂鬱なため息をついた。

 

 

 

 ◆◆◆

 

 

 

「んぁ?」

「起きたか」

 

 目が覚める。

 真っ先に目に飛び込んできたのは、黒いヘルメットを被った大男。

 オルステッドだ。

 

「あ、そっか」

 

 私はオルステッドにいつものごとく挑みかかって、手刀で頭を打たれて気絶したんだった。

 もう痛みは感じない。

 治癒魔術を使った覚えは無いけど、誰かがかけてくれたのか、それとも成長によってますます頑強になってきた体のおかげで、既に自然治癒したのか。

 

「どうする? まだやるか?」

「やる」

 

 私は立ち上がって木剣を構えた。

 そして、もう一度オルステッドに挑みかかる。

 この最強の男には全然勝てない。

 たま〜〜〜にマグレで一本取れることはあるけど、そのまま続けても勝利に手が届くことは無い。

 本気なんて、まるで出してない状態でこれだ。

 全力全開のオルステッドに勝てるのはいつになることやら……。

 そもそも、本当に勝てるかどうかもわからない。

 生涯を懸けても、マグレ勝ちすらできないかもしれない。

 むしろ、その可能性の方が高い。

 

「ふふ」

「? どうした?」

「いや、楽しいなって」

 

 手刀で体中を打ち据えられて、全身が痛い。

 けど、楽しい。

 別にそっち系の趣味に目覚めたわけじゃない。

 アリエル様じゃないんだから。

 ただ、痛みと疲労と集中の中で、少しずつ少しずつ自分を研ぎ澄ましていくのが、堪らなく楽しいのだ。

 それを受け止めてくれる強敵がいてくれることが、堪らなく嬉しいのだ。

 

 夢を見た。

 貰い物の力であっさりと最強になる夢を。

 虚しさしか感じなかった。

 やっぱり、強さっていうのは血反吐を吐くような研鑽の果てに手に入れてこそだ。

 そうして手に入れた力で成したことなら、きっと私は自分を誇ることができるだろう。

 

 そんなことを思いながら、私はまたしてもオルステッドにボッコボコにされた。

 今日は血反吐じゃなくてゲロ吐いた。

 くやちい。




・王竜剣+闘神鎧装備エミリー
夢では無双してたけど、実際はまず間違いなくマジモードオルステッドに負ける。
全盛期ならあるいは……。


・ドMミリー
アリエル様大勝利!
というのは冗談で、実際はただの修行オタク。
でも、アリエル様がなりふり構わず本気を出せばあるいは……。

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