剣姫転生 〜エルフの娘は世界最強の剣士を目指す〜 作:カゲムチャ(虎馬チキン)
時系列は適当。
子供達がそんなに大きくない時期です。
「あー……」
聖なる夜、クリスマス。
その日、私は事務所でサンタコスに着替えた後、肝心のプレゼント袋を自宅に忘れたことに気づいて取りに行った。
すると、寝室の方から父と母のくぐもった声が聞こえてきて、気まずい思いをすることとなった。
「…………」
うん。
父はハーフエルフらしくまだまだ若々しいし、母もザ・人妻って感じの美熟女だ。
今日は性なる夜、じゃなくて聖なる夜だし、そういう雰囲気にもなるよね。
とりあえず、北神流隠密術でコッソリプレゼント袋だけ回収しよう。
「ふー……」
まだ何もしてないのに、少しだけ精神が疲弊した。
「よし」
気を取り直してサンタをやろう。
最初の目的地は、一番付き合いのあるルーデウス邸。
お婆ちゃん家とどっちを先にしようか一瞬迷ったけど、今は旦那であるクリフさんが一時帰宅してるし、遭遇する可能性が高いと見て後回しにした。
ちょっと、二回連続で身内の濡れ場には遭遇したくない。
……と思ったんだけど、私は甘かった。
ルーデウス邸からは、姉とルーデウスの喘ぎ声が聞こえてきたのだ。
ロキシーさんとエリスさん、離れの方からは師匠、ゼニスさん、リーリャさんの声もセットで。
「…………」
この時間なら子供達がまだ起きてるから大丈夫だろうって思ってたのに、まさか即行で寝かしつけて、クリスマスベイビーの生産作業に入っていたとは……!
修行で研ぎ澄ました鋭敏な感覚が憎い……!
「私は、サンタ……!」
それでも、サンタの使命は果たさなければ……!
夢見る子供達のために……!
私は無心で完璧なスニーキングミッションを行い、誰にも気づかれず、一瞬のうちに子供達の枕元にプレゼントを置いて去った。
リアルサンタも真っ青な恐ろしく速い配達。
オルステッドじゃなきゃ見逃しちゃうね。
次に向かったのはお婆ちゃんのところ。
語るまでも無い。
秒で終わらせた。
絶対に起きるんじゃねぇぞ、クライブ……!
その次はオーベールさんのところ。
奥さんに食べられてた(白目)
ウィ・ターさん、ナックルガードも同じく。
どいつもこいつも……!
唯一の良心が、まだそういうことする気力の無いパックスな時点でもうね。
それだって、夫婦水入らずで甘い雰囲気自体は出てたし……。
小パックス?
ルーデウス邸でジークと一緒に寝てたよ。
夫婦円満なところが多いなぁ! 私の知り合い達は!
いや、良いことなんだけども!!
性夜の魔力に辟易しながら、それでもサンタの使命を果たすべく、私は事務所の転移魔法陣で次の子供達のもとへ飛んだ。
とりあえず、危なそうなところを最優先で回る。
バカップルどものところは、気力が残ってるうちに片付けておきたい。
まずは、ビヘイリル王国のノルンちゃんとルイジェルドさんのところへ。
甘ぇ……甘ぇよ……。
絶対に起きるんじゃねぇぞ、ルイシェリア……!
剣の聖地のニナさんとジノくん。
……さすが世界屈指の攻撃力を誇る剣神流カップル。
プレイが激しい。
アスラ王国のイゾルテさんとドーガ。
新婚の熱がまだ抜けないんですか。そうですか。
もう子供も生まれてるのに長いっすね。
「うぼぁ……」
一箇所回るごとに、気力がゴリゴリ削られていく……。
恐るべし性夜。
だが、本当の恐怖はこの直後だった。
「…………………」
最後に訪れたのはアリエル様のところ。
乱
あの人は結婚したわけじゃなくて、王族として跡継ぎを残す義務を果たすために、大量の妾を囲った感じだからなぁ……。
あれだけ私のこと口説いてきたくせにって、若干面白くない気持ちはあるけど、私に向けて発散できない衝動をお妾さん達にぶつけてるって言われたら何も言えなくなったのは微妙な思い出だ。
「はぁ……」
早くサリエルちゃんとかエドワードくんにプレゼントをあげて帰──
「ッ!?」
ぬ!? 背筋に凄まじい悪寒が!?
この感じはアリエル様……まさか逆探知された!?
バカな!?
神級剣士達にすら気づかれずにミッションを遂行してきた、このパーフェクトサンタが捕捉されただと!?
は、早く子供達にプレゼントを渡して撤退を……って、シャンドル!? ギレーヌ!?
もう先回りされた!?
手回しが早すぎる!!
「王の命令だ! 捕らえろ!」
「悪いね、エミリー!」
「ぬわぁーーーーー!?」
こっちは丸腰どころか、守らなければいけないプレゼントを抱えた状態。
対して、二人は武装を通り越して、捕獲用のマジックアイテムフル装備状態。
加えて、支援者ペルギウスさんの提供した帝級結界魔術の罠まで使ってきた。
職権乱用すんなし!
え? 名目上は動作テスト?
なら仕方ない……仕方ない?
わ、わからん……!
とりあえず、全力で逃げつつ、サンタの使命は全うした。
サンタの使命
でも、撤退が成功したかと言うと──
◆◆◆
「ゔぁぁぁ……」
シャリーアに帰還した時、私は聖夜だというのにゾンビのような足取りだった。
疲れた……。
もうそれしか言えない。
「エミリー!? どうしたんだい!? 凄い顔してるよ!?
それに、なんでこんな早い時間に事務所に……」
「アレク……」
そんな私を発見して、心配そうな顔で駆け寄ってくるアレク。
思わず、私はアレクの体中をクンクンと嗅ぎ回った。
「うひゃぁ!? な、何!? 何!?」
結果、アレクは無罪。
今夜一晩で嫌ってほど嗅がされた、あのむせ返るような匂いがしない。
それだけで、なんか異様に安心する。
「アレク、抱っこ」
「え!? え!?」
疲れて、いつにも増して頭が悪くなってた私は、しばらくアレクに抱きついて、無罪の匂いを肺いっぱいに吸い込んで精神を落ち着かせた。
そして、そのまま寝落ち。
翌朝、私が目にしたものは──
この物語はフィクションです。
無職転生にクリスマスはありませんし、剣姫転生にもクリスマスはありません。
つまり、フィクションなら何をしても良いのでは?
よし。聖夜のアリエル&アレク・R18書くか(性夜の魔力で錯乱状態)