剣姫転生 〜エルフの娘は世界最強の剣士を目指す〜   作:カゲムチャ(虎馬チキン)

131 / 146
アニメ十四話放送!
OPもEDもエモすぎるんじゃぁ……!

時系列はベガリット大陸から帰ってきた直後、シルフィ一家が勢揃いしたあたりです。


番外 家族飲み会

「じゃあ、ドラゴンロードの、家族会、始める。とりあえず、乾杯!」

「「「乾杯!」」」

 

 ベガリット大陸から帰ってきて数日後。

 ルーデウス邸の二階で、私達は飲み会を開いた。

 参加メンバーは、私、姉、父、母、お婆ちゃん、クリフさんのドラゴンロードファミリーだ。

 ようやく勢揃いできた。

 

「それにしても……」

 

 私はチラリと姉のお腹を見る。

 ぽっこりと膨らんでいて、小さな命がそこにいるんだってありありと伝わってくる。

 

「シルが、ママ。未だに、実感、湧かない」

「……そうだね。本当にその通りだよ、エミリー」

「「「!?」」」

 

 その時、隣に座ってる父から「ゴゴゴゴゴゴッ」という凄まじいオーラが噴き出した。

 かつて対峙した世界最強の男すら超える、圧倒的威圧……!

 

「ルーデウスくんとは、明日にでも二人きりでお話がしたいなぁ……!」

「い、今までは、やらなかったの……?」

「ベガリット大陸ではゼニスさんの救出が最優先だったからね。腰を据えてじっくりという機会は無かったんだ」

 

 あ、言われてみればそうか。

 他にも一連のロキシーさん事件とかあったし。

 と思った瞬間、父も同じことを思ったのか、髪が逆立って怒りのスーパーエルフ人状態に突入した。

 ひぇっ。

 

「ア、アハハ。お父さん、お手柔らかにね」

 

 姉が頬を引きつらせ、困ったように耳の後ろをポリポリしながら、控え目なブレーキをかけた。

 残念ながら、その程度でこの暴走トラックが止まるとは思えない。

 次回、ルーデウス死す!

 

「まあ、男親はともかくとして、私は離れていた間のシルフィのことが聞きたいわ。ルーデウスくんとの恋愛話とかも」

「それは、私も、興味ある」

「え、えぇっと、その、ね……」

 

 にじり寄る母と私を見て、姉は顔を赤くした。

 父がスーパーエルフ人2に突入し、お婆ちゃんは凄く優しい目でこっちを見てる。

 

「もちろん、お婆ちゃんと、クリフさんの、方もね」

「うぇ!?」

「!」

 

 あんまり交流の無い人間関係の中に放り込まれて肩身が狭そうにしてたクリフさんが、突然の流れ弾にビックリして声を上げ。

 お婆ちゃんは交ぜてもらえて嬉しいのか、花が咲くような笑顔を浮かべながらエルフ耳をピョコピョコさせた。

 可愛いかよ。

 

「ね、聞きたい。お願い、クリフ、お爺ちゃん」

「そ、そうだな! 君達とも仲良くしたいし、聞きたいと言うなら語らせてもらおう! あれは僕がシャリーアでの暮らしに打ちのめされ、大分ふてくされていた頃のことだ──」

 

 水を向ければ、クリフさんは話してくれた。

 夕暮れ時、ふと見上げた窓辺に佇んでいた女神。

 一目惚れし、当時嫌っていたルーデウスに頭を下げて紹介してもらい、勢いのままその日のうちにプロポーズ。

 呪いは絶対に僕が治す! だから結婚してくれと──

 

「おぉ……」

 

 興が乗ってきたのか、自分の世界に入って語り続けるクリフさん。

 さすがに家族の前だと恥ずかしいのか、茹でダコみたいに真っ赤な顔で俯き、でも嬉しそうにエルフ耳をピョコピョコさせ続けるお婆ちゃん。

 キラキラした目の母に、スーパーエルフ人状態を解除して酷く真面目な顔で聞き入る父。

 今、クリフさんがこの場の中心になっていた。

 

「なんというか、凄い、人だね」

「そうだねぇ」

 

 クリフさんに注目が集まり、私と母の追求から一旦解放された姉が、微笑みながらその光景を見る。

 

「シル?」

 

 そして、おもむろに私の手をそっと握ってきた。

 

「エミリー。ありがとう。お父さんとお母さんを守ってくれて」

 

 凄く幸せそうな顔をして、姉は私の手を握る。

 六年ぶりの両親との再会。

 楽しそうな家族の姿。

 それを噛みしめるような顔で。

 

「本当に、ありがとう。ボクは今、凄く幸せだよ」

「……そっか」

 

 釣られて私も笑った。

 今の姉とそっくりな幸せそうな顔をしてるんだろうなって自分で思った。

 ……前世の家族とも、もっとこうするべきだったなぁ。

 私にできることなんてあんまり無いだろうけど、静香の研究を全力で手伝おうと改めて思った。

 死んでごめん、けど私は異世界で幸せにやってるぜ! って、せめて伝えたいと強く思った。

 

「シル」

「なぁに?」

 

 だから、とりあえず。

 

「あれが、終わったら、ルーデウスとの、こと、根掘り、葉掘り、聞くから」

「…………うん」

 

 手紙のネタになるような話を大量に仕入れないと。

 楽しい思い出にあふれた辞書くらいの厚さの手紙、というか自伝みたいなものを送りつけてやろう。

 私は本当に楽しく生きたって、胸を張って書いてやろう。

 

「ふふ♪」

 

 とうとう愛のポエムを詠み始めたクリフさんの声をBGMに、私はニカッと笑った。




・剣崎家
エミリー同様、精神の強い一族。
妖精剣姫伝説が送られてきたら、涙を流しながらも大声で笑うことでしょう。


・お婆ちゃん
公衆の面前ではイチャつけても、息子夫婦や孫達の前では別問題。
真っ赤になってプルプル震えるエリナリーゼさん……良い!


・クリフお爺ちゃん
アレクよりはまだマシってレベルで空気が読めず、ズンズン行くことに定評のある彼ですが、さすがに嫁の親族(しかも複雑な関係)の前では緊張した。
が、愛を語ってるうちにブレーキは壊れた。


・スーパーエルフ人2
ルーデウスはアレクよりギルティ。
ハイクを詠め!
それはそれとして、クリフお爺ちゃんのポエムは息子として大真面目に聞いていた。
母をよろしくお願いします。


・母
身内の恋バナに興味津々。
が、重婚デウスには少し思うところがある。
ハイクを詠め!


・姉
根掘り葉掘り聞き出された。
翌日、ルーデウスは土下座した。


・エミリー
あれ? もしかして、この場で結婚妊娠どころか、彼氏すらいたことないの私だけ……?
さすがに親族会議の場では多少思うところがあるようです。
多少止まりなのがエミリーさんですが。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。