剣姫転生 〜エルフの娘は世界最強の剣士を目指す〜 作:カゲムチャ(虎馬チキン)
アニメをリアタイした後、超特急でクソ短い番外編を仕上げるのが恒例になってきました……。
眠い。事前に仕上げとけと自分でも思う。
けど仕方ないんだ……。
アニメに触発されないと、もうネタが出てこないんだ……。
え? 十七話の感想?
言葉が出ねぇよ……!
あ、今回の時系列はビヘイリル王国の戦いから少し経って、ノルンちゃんが結婚した直後あたりです。
「よろしく頼む」
「こちらこそ、よろしく、お願い、します」
剣を構え、白亜の三叉槍を持った緑髪の戦士と向き合う。
感じるプレッシャーはかなりのもの。
油断すれば列強の地位を奪われる。
「ハッ!」
「フッ!」
まずはお互い小手調べ。
戦士が槍を突き出し、私が捌く。
高速連続の突きを水神流の技で受け流していく。
「小揺るぎもしないか。さすがだな」
戦士はニヤリと笑うと、突きと見せかけて槍の穂先を地面に突き刺し、土をひっくり返して目眩ましをしてきた。
北神流『土流隠れ』に近い動き。
まあ、北神流は見たり思いついたりした動きを勝手に流派に取り入れて技名を付けることが多いから、同門認定するには早い。
「せい!」
剣を一振り。
それで目眩ましを振り払う。
でも、その頃には相手はバックステップを決め、私の必殺の間合いから外れると共に、森の木々の中に紛れた。
「!」
気配を消し、音を消し、木々を足場に立体機動。
高速&隠密を両立した動きで私の死角に回り込み、そこからの不意打ちを狙ってくる。
「ぬん!」
「!」
闇の中から繰り出される槍。
異様に的確な攻撃。
お互いの視線は切れてるのに、見てる以上の精度でこっちの位置も体勢も見抜かれてる。
「む……」
しかも、私が防ぐと一瞬で姿を消す。
一撃離脱戦法。
ヒット・アンド・アウェイの徹底。
槍のリーチを活かし、絶対に私の必殺の間合いに入ってこない。
「なるほど……!」
武術家の動きじゃない。
これがラプラス戦役を生き抜いた戦争経験者の動き。
真っ向勝負が多い現代の剣術とは、また違ったタイプの強さで楽しい。
槍使いっていうのも新鮮で良い。
この世界は長物の武器が流行ってないから、実は私はこの手の相手と戦った経験が少ないのだ。
身長差もあって、リーチに結構な差があるからこそ、一撃離脱戦法がより有効に作用する。
斬撃飛ばし?
あれは剣本体に比べれば遅いんだよね。
「でも!」
「ッ!?」
何度目か突撃の時、私はタイミングを完璧に読み、剣を三叉槍の刃の間に差し込むことに成功した。
そのまま、突撃と攻撃の勢いを絡め取るように、グルリと剣をねじる。
「奥義『流』!」
「くっ……!?」
半端な実力者なら、絡め取られた力でキリモミ回転するはずの技。
けど、この相手は多少体勢が崩れる程度で耐えてきた。
彼が超一流の戦士である証。
だけど、このレベルの戦いで、その隙は致命的だ。
私はねじった剣を、最短の軌道で相手の喉元に持っていった。
「ふっ。見事だ」
「ありがとう、ござい、ました」
試合終了。
ホッと息を吐く。
見た目ほど余裕の戦いじゃなかった。
オーベールさんと定期的にやってる隠れ鬼の経験が無かったら危なかったかも。
ありがとう、奇襲の申し子。
「完敗だな。最後の攻撃の速さ、お前がその気なら最初の対面から逃げられずに詰んでいた」
「実戦なら、最初から、隠れてた」
「まあ、そうだな」
ニヤリと笑う緑髪の戦士。
……オーベールさんやランドルフさんもそうだけど、来るってわかってる手合わせならともかく、気を抜いてる日常生活で暗殺に来られたら負けそう。
常在戦場の心得をもっと極めねば。
「あ! お帰りなさい!」
手合わせを終え、帰路についた私達を、金髪碧眼の新妻巨乳美少女が出迎えてくれた。
新妻で、巨乳の、美少女だ。
大事なことだから二回言った。
何が大事かと言えば、彼女がすっかり大きくなって、色んな意味で私より遥かに成長したこと。
ノルン・グレイラット改め、ノルン・スペルディア。
精神も、身長も、プロポーションも、恋愛も、戦闘力以外の全てで私を超えていった少女がそこにいた。
「ああ。ただいま」
そんなノルンちゃんに、緑髪の戦士はとても優しい顔で「ただいま」を言った。
彼こそがノルンちゃんを娶った男。
幼少期から彼女が憧れを抱いていた歴戦の勇士、ルイジェルド・スペルディア。
500年以上の時を生きる長命な
愛に歳の差は関係ない。
「ノルンちゃん、ルイジェルドさん」
「はい?」
「なんだ?」
二人がこっちを向く。
「また、たまに、遊びに、来ても、いい?」
「もちろん!」
「いつでも来い」
◆◆◆
それから約一年後。
二人の愛の結晶が生まれ、ルイシェリアと名付けられた。
ノルンちゃんは昔のゼニスさんそっくりの顔で、私にルイシェリアを抱っこさせてくれた。
「昔の、ノルンちゃん、そっくり」
「皆そう言ってましたね。そんなに似てますか?」
「似てる」
さすがに、二十年近く前に比べれば随分マシになった手付き(それでも未だにちょっと怖いけど)で抱っこしながら、私は感慨に耽った。
不思議な気分。
この世界で初めて抱き上げた、うっかり壊しちゃわないかビクビクしてた小さな命が、今では新しい命のママになってる。
時が経つのは早いなぁと、私は年寄りみたいなことを思った。
……いや、前世を含めると、私はもうこれを冗談と笑えない歳なのか。
気づいてしまった恐ろしい事実に、私はそっと蓋をした。
大丈夫。見た目はまだ十四歳くらいなんだから、全然大丈夫。