剣姫転生 〜エルフの娘は世界最強の剣士を目指す〜   作:カゲムチャ(虎馬チキン)

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アニメ十八話、放送!
ルディとシルフィの愛の結晶は尊いを通り越してるし、ノルンちゃんは可愛いし、アイシャも可愛いし、静香さんも元気になってて嬉しいし、ついに揃ったザノバさん一家もとても良いし、クリフお爺ちゃんは頑張ってるし、久しぶりのヒトガミからの不穏な流れもなんだかんだで大好きだし、お婆ちゃんはカッケェし、ザノバさんもカッケェし、最後のノルンちゃんとの会話は最高だし、ああ、もう、内容が詰まり過ぎてて情緒がグチャグチャだよ!

あ、今回の時系列は、アニメ十八話の裏側です。
原作ではターニングポイントだけど、エミリーにとってはいつも通り。
というか、ターニングポイントの数字が原作とズレてるのはあれだよなぁ……。


番外 一方その頃 2

 ──シャリーアside

 

「ゼニス救出困難、救援を求む……!?」

 

 甲龍歴423年。

 シルフィエットと結婚し、妹達との暮らしが安定し始め、ついに子供ができるという幸せ絶頂のルーデウスのもとに、その報せは届いた。

 ベガリット大陸にいるギースからの手紙。

 ルーデウスにとってのターニングポイント。

 

「どういうことだ!? ベガリットにはエミリーがいるから大丈夫じゃなかったのか!?」

「大丈夫さ。ちょっと遭難中だけど、エミリーはちゃんと間に合う。今のあの子は北帝だよ? 最終的に君が行かなくても君の母親はエミリーが救い出すさ」

 

 夢に出てきたヒトガミはそう言った。

 けれど、彼女のポンコツを知る者としては、いまいち安心できない。

 それでも、自分には家族が、産まれてくる子供が……。

 

「でも、だって、兄さん……! お父さんとお母さんが、大変なんですよ!?」

 

 (ノルン)が涙の溜まった目を向けてきた。

 

「……ベガリットにはエミリーがいる。学校に凄い武勇伝が残ってる天才剣士だ。だから……」

「でも! あの人はちょっとアレな人じゃないですか! 昔のこと少しだけ覚えてます! よくアワアワしてました!」

 

 幼児の記憶に残るほどのポンコツ。

 家族の命運を託すには不安すぎる。

 

「なんで……!? なんで兄さんは助けに行かないんですか!? 兄さん、とっても強いのに、旅だってできるのに! なんで……!?」

 

 ノルンには力が無い。

 彼女はあまりにも幼く、力も無い。

 不安で不安で堪らないのに、助けに行きたくても行けない。

 だが──ルーデウスにはその力がある。

 ベガリット大陸まで行き、家族を助けられるだけの力が。

 

「……ノルン、わかったよ。俺は、ベガリット大陸に行く」

 

 正しいかどうかはわからない。

 自分が行かずとも解決される問題なのかもしれない。

 それでも、自分が行くことで、この大きな不安を晴らすことができるのなら。

 

「俺は、家族を助けに行く」

 

 そうして、ルーデウスは覚悟を決めた。

 

◆◆◆

 

 ──ベガリットside

 

 ……おかしい。

 どうしてこうなった。

 

「******ッッッ!!!」

「*****!! *******!!」

 

 後ろから凄い怒号が聞こえる。

 チラッと振り返ってみれば、馬に乗って血走った目で武器を構える集団の姿。

 言語は闘神語だから何言ってるかわからない。

 でも、前に会った盗賊どもと違って、正当性しかない罵詈雑言を言ってるんだろうなぁと察した。

 何故なら、

 

「ア・レ・クゥゥゥッッッ!!」

「アッハッハ! ごめん、エミリー! 少しだけこのお姫様に付き合ってくれ!」

「***! ***!」

 

 並走中の案内人(アレク)がふざけた格好でふざけたことを口走る。

 奴の腕の中には、お姫様抱っこされたアラビアンな装いの美少女の姿。

 

 アレク(バカ)曰く、彼女は私達が今日滞在した町を含め、ここらへん一帯を治める国の王女様、つまりマジモンのお姫様らしい。

 王族としての窮屈な生活に息が詰まり、お忍びで城下町に遊びに繰り出し、タチの悪い輩に絡まれてたところをアレクが救出。

 そこへ家出娘捜索隊が現れ、お姫様は意気消沈しながら連行──されるはずがアレク(バカ)によって誘拐。

 

「籠の中の麗しき姫に、一夜の自由をプレゼントしたいんだ! 手伝ってくれ!」

「ああ、もう!」

 

 あったねぇ! 北神英雄譚にそんな感じのエピソード!

 いや、勇者アルスの物語だっけ?

 どっちにしろ、北神英雄譚の主人公(シャンドル)ならノリノリでやりそうなことではあるけど!

 

 要するにこのバカ、シチュエーションに酔って、なんも考えずに王女誘拐をやらかしやがったのだ。

 私ですら、そこまで考え無しじゃない。

 見ろ! お姫様の私に向けてくる申し訳なさそうな顔! 後ろの捜索隊の皆さんの殺気に満ちた顔!

 悲壮な想像してるのか、一部泣いてる人までいるじゃん!

 このお姫様、ちゃんと愛されてるよ!

 

「思ったより速い……! 良い馬を揃えてるね……! エミリー、パス!」

「へ!?」

「……!?」

 

 推定時速100キロ越えで走りながら、お姫様を私にパスするアレク。

 危ないでしょ!? お姫様白目剥いちゃったよ!

 

「北神流『土流隠れ』!」

「「「ぎゃあああああああ!?」」」

「**!?」

 

 あーーーーーー!?

 や、やりやがった!

 王竜剣の一撃で砂漠の地面がひっくり返り、砂の津波が捜索隊を飲み込む。

 皆強そうだったから死にはしないと思うけど、絶対に攻撃認定されるやつ!

 

「よし! 行こう!」

「この、アホ!!!」

「あ痛ッ!?」 

 

 ああ、もう、どうしよう……!

 明日、絶対指名手配だよ!

 

◆◆◆

 

「***!」

「そう。肩の、力は、抜いて、剣の、勢いを、活かす」

「**!」

 

 …………私は何をやってるんだろう。

 あれから一時間。

 現在、お姫様は爽やかな汗を流しながら、隣で王竜剣を振るアレクの真似をし、私は言葉が通じない代わりに身振り手振りで改善点のアドバイスをしていた。

 

 このお姫様、意外と肝が据わってたみたいで。

 もうこうなったらって感じで、今日一日を満喫することに決めたらしい。

 それで最初にやりたいって言ったのが剣術だったのだ。

 彼女もまた、ベガリット大陸に伝わる北神英雄譚のファンだったらしい。

 

 そして、ここにいるのは、そういうのが大好きな剣バカ二人。

 アレクはその主人公と確執があるけど、憧れと超えたいって想いを持ち続けてる、言わばこじらせファン。

 結果、言語の違いなんてモノともしないほど話が弾み、いつの間にか私は今の危機的状況を忘れ、気づいたら剣術初心者講座が始まってた。

 

 しかも、この人、凄く筋が良い!

 開始一時間で、もう北神流初級の認可をあげてもいいくらい成長してる!

 

『天才は割とあちこちにいるのさ。この概ね平和な時代、戦う必要が無かったり、指導者に巡り会えなかったりして埋もれてるだけでね』

 

 ふと、前にシャンドルに言われた言葉を思い出した。

 埋もれた天才。

 こういう人のことかと、今強く実感してる。

 

「***!」

 

 お姫様の笑顔が眩しい。

 昔の姉を思い出す。

 きっと、師匠も私に教える時はこんな気持ちだったんだと思う。

 

 ああ、師匠、ごめんなさい。

 多分、私はゼニスさん救出に間に合いません。

 というか、ミリスでその情報を見てから結構な時間が経ってるわけだし、とっくの昔に救出完了してるだろうなぁ。

 

 なら、まあ、いいや。

 ちょっとくらい寄り道しても。

 

「光の太刀、いっとく?」

「いやいや、エミリー! 北神流の門下生として、他流派にかぶれるのはどうかと思うよ!」

「アレクは、頭が、固い」

 

 お姫様育成計画に熱が入り、教師同士の対立が勃発。

 その後も紆余曲折あった末に──数日後、お姫様は追ってきた捜索隊を自分の手でボコボコにし、満面の笑みでお城に帰っていった。

 更に数日後、私達の指名手配も無事に取り消されて、なんとか、めでたしめでたし。

 

「ふんッ!」

「ほぎゃ!?」

 

 でも、それはそれとして、アレクのことは改めて殴った。




・エミリー
ゼニスに関しては、ベガリット大陸のラパンにいることしか知らない。
多分、めっちゃ移動が難しいんだろうなぁ、もう師匠が行って連れ帰ってるんだろうなぁと思ってる。
まさか、あんなことになってるとか予想できるか!


・アレク
はっちゃけモード。


・お姫様
才能だけなら七大列強級の埋もれていた天才。
本来の歴史では上級剣士止まりのエリスと似た感じ。
バカ二人の指名手配を取り消すために大暴れした結果、その力を認められることとなる。
後に祖国が滅亡の危機に瀕した際、その圧倒的な剣技で敵国を押し返し、ベガリット大陸最強の女傑として歴史に名を刻む。
彼女の残した国は、第二次ラプラス戦役にて大きな戦力になったという。


・社長
ベガリットの歴史が……。


・ヒトガミ
コラテラル・ダメージ……! コラテラル・ダメージ……!
救世主さえ抹殺できれば関係ないから……!
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