剣姫転生 〜エルフの娘は世界最強の剣士を目指す〜 作:カゲムチャ(虎馬チキン)
静香さんのツンデレ、健気なシルフィ、シスターズの前で……! クリフさんカッケェ! イケメンお婆ちゃん! でも性と死の狭間がカットされたの悲しい! 松風デカくね!? 恋のキューピッドその2(サキュバス)、スケベしようやぁ(笑)、男漁りが苦痛に……。
今回も色々感想があふれてくる濃い内容で最高でしたが、やっぱり尺の都合なのか砂漠の旅の大半がカットされちゃって悲しい……。
恋のキューピッドその1(ファランクスアント)も出てこなかったよ……。
ということで、今回はルーデウス視点。
モザイクが危険生物を変なところに放り込んだせいで若干変化した砂漠の旅をお送りします。
母ゼニス救出のため、義理の祖母エリナリーゼと共に転移魔法陣を使ってベガリット大陸へと渡ったルーデウス。
まずは転移魔法陣の隠された砂漠の真ん中から、最初の町バザールへの移動。
初日の夜にグレイラット家の天敵サキュバスと遭遇してピンチに陥ったものの、それ以降は順調に歩みを進められた。
遭遇する魔物は強くて数も多かったが、Sランク冒険者と帝級相当の魔術師のコンビなら対処できないほどではない。
「ファランクスアントの群れですわ!」
ただ、最後の方で結構危険な魔物と遭遇した。
百匹ほどの真っ赤なアリの群れ。
それを見た瞬間、エリナリーゼはルーデウスを押し倒して隠れさせる。
「あの数、あの大きさならA級下位といったところでしょう。できれば避けて通りたい相手ですわね」
「ですね」
A級下位と言えば、地に落ちた赤竜と同格。
この距離であれば大規模魔術一発で壊滅させられるとは思うが、そんな派手なことをしたら他の魔物が寄ってきかねないし、万が一撃ち漏らしでもしたら最悪。
エリナリーゼの言う通り、避けて通らせてくれるのなら、それが最善だ。
「ッ!?」
「ッッ!?」
「ッッッ!?」
「ん? エリナリーゼさん、ファランクスアントの様子が……」
「ええ。おかしいですわね」
アリの群れは何やらキョロキョロとあたりを見回し始めた。
もしや見つかったのではと二人は緊張感を高め、いつでも迎撃・逃走ができるように気を引き締める。
そして──アリの無機質な眼がエリナリーゼの姿を捉えた。
「「「!!??」」」
次の瞬間、アリの群れは凄まじい速度で逃走を開始した。
まるでオルステッドを連想させるナナホシと再会した時のルーデウスのような、恐ろしい化け物から死力を尽くして逃げるような全力疾走。
予想外の展開に、二人はポカーンとした。
「なんだったんですかね……」
「不気味ですわ……」
何やら得体の知れない怖気を感じつつ、引き返すわけにもいかないので旅を続行。
その後は特に不可思議な現象が起こることもなく、二人は最初の町バザールに辿り着いた。
◆◆◆
「これも何かの縁。ラパンまでワシを護衛してくれんか?」
バザールに着いた時、グリフォンの群れに襲われているのを見て助けた商人ガルバン。
彼はちょうど目的地である迷宮都市ラパンまでの護衛を欲しており、ラパンへの道案内を欲していたルーデウス達は利害の一致によって彼に雇われることとなった。
どこぞのポンコツはここでババを引いて遭難生活に突入してしまったのだが。
ベガリットの言語である闘神語もちゃんと話せて力も見せつけたルーデウス達はそんなことにならず、ガルバンもどこぞの同業者のように商/人になるような愚行を犯すことは無かった。
道中、盗賊に襲われるという事態には陥ったが──
「くそっ! くそぉ! なんで!? なんでこんな強ぇ奴とばっかり遭遇するんだよぉ!?」
その盗賊達は無事に撃退。
ルーデウスによって捕縛された盗賊の一人は、滂沱の涙を流して崩れ落ちた。
「ハリマーフの旦那に付いていけば間違いないと思ったのに!
あのクソ商人があんな化け物を連れてきたせいで旦那は殺されるわ、仲間は散り散りになるわ、逃げた先でファランクスアントに襲われるわ、なんかクソ強ぇお姫様に取っ捕まるわ!
やっとの思いで兵士から逃げ出して、新しい盗賊団で下っ端から出直そうと思ったのに、最初の仕事でこれとか、俺の運勢どうなってんだよぉおおおお!?」
「うわぁ……」
相手は多くの人達を不幸にしてきた盗賊。
同情の余地など無い悪党なのだが、さすがにちょっと哀れになってしまう運の悪さだった。
いや、むしろ、ここまで酷い目に合ってまだ命があるあたり、悪運が強いと言うべきなのかもしれないが。
「泣いてないで、とっとと歩け!」
「ぐぇ!?」
「やったな! こいつ、良い金になる!」
哀れな盗賊はガルバンに縄を引かれてラクダに括り付けられ。
それを見た同じ護衛である『
「は、ははは……」
ルーデウスは頬を引きつらせながら愛想笑いを浮かべる。
その後、夜な夜なすすり泣く哀れな盗賊に精神を削られながらラパンへの道を行った。
ゼニス救出の前にどっと疲れた、砂漠の旅での出来事だった。
危険な外来種を無闇に解き放つのはやめましょう!