剣姫転生 〜エルフの娘は世界最強の剣士を目指す〜 作:カゲムチャ(虎馬チキン)
時系列は前回の聖夜の翌年です。
「メリー、クリスマス!!」
リベンジじゃオラー!
聖夜。
私は去年囚われの身になった雪辱を果たすべく、ミニスカサンタコスでアスラの王城に特攻をかけた。
サンタの誇りにかけて今年も武器は持たず、守らなきゃいけないプレゼント袋も健在。
その代わり、今年は助っ人を連れてきた。
「行くよ、トナカイ!」
「ああ! 共に戦おう!」
トナカイにしてはやけに勇ましい返事をくれたのは、モコモコの毛皮に身を包み、頭に巨大なツノを装着したアレクだ。
彼もトナカイらしく武器は持ってない。
丸腰だ。
頼れるのは己の拳……すらも無駄にクオリティーの高いトナカイスーツで隠されてるから、頼れるのはトナカイの蹄のみ。
このコンビで、あの聖夜の魔王を攻略する。
いざ行かん!
「くせ者だ!」
「いきなりバレたか!」
「むぅぅ……!」
最初に遭遇したのは、魔王城に放たれた猟犬、ギレーヌ。
気合いの入った索敵で、あまりにも早く発見された。
くっ……! やっぱり侵入経路が煙突しかないのは辛い……!
「であえであえ!」
「エミ……じゃなくてサンタ! ここは僕に任せて先に行け!」
「わかった!」
トナカイに足止めを任せて先を急ぐ。
お前の犠牲は無駄にしない!
「行かせません!」
「イゾルテさん!」
次に立ち塞がったのはイゾルテさん。
でも、トナカイを犠牲にしてまでスピード勝負を仕掛けたおかげか、他の人はまだ到着してない。
一人だけなら抜けられる!
「奥義『剥奪剣』!」
「ぬぉおおおおおおおお!」
剥奪剣は、この狭い廊下で避けられる技じゃない。
私はプレゼント袋を担いだまま、片手でイゾルテさんの奥義を全力ではたき落とした。
滅茶苦茶キツい!
向こうが真剣を持ってないとはいえ、かなりの無茶……!
しかも、
「うっ……!」
一撃防ぐごとに、腕がどんどん重くなる。
多分、イゾルテさんが愛剣の代わりに装備してるマジックアイテムの効果。
「でも!」
「ッ!?」
動けなくなる前に射程内に捕らえた!
私はイゾルテさんの懐に飛び込み、剣を振るう腕を掴む。
馬鹿力で動きを封じつつ、時間をかけて練り上げた魔術を発動!
「『
「ぐッッッ!? あ、相変わらず、化け物、ですね……!」
ルーデウスが開発し、ロキシーさんによって随分と改良が加えられた電撃魔術。
闘気の鎧を貫通する一撃で、イゾルテさんをしばらく戦闘不能にした。
「でも、タダでは、通しません……! ダーリンッッ!!」
「!?」
気づけば、そこに巨体があった。
イゾルテさんに集中してしまった警戒の隙間を突いて、彼女の旦那であるドーガが私の死角を取っていた。
「イゾルテを、離せ!!」
「うぐぅ!?」
密着した私達のうち、正確に私だけを捉えた斧の一撃。
避けられずに受け流してしまった。
どんな効果があるかわからないマジックアイテムに触れてしまった。
「なっ!?」
右腕が、動かない……!?
触れた相手の関節を固める効果?
さすがアスラの王城。
貴重なはずの有用なマジックアイテムが次から次へと!
「でも、負けない!!」
「!?」
右腕は動かない。左腕はプレゼント袋を手放せない。
なら、残る武器は足と──
「『烈断(頭)』!!」
「がっ!?」
足払いでドーガの体勢を崩し、落ちてきた頭に渾身の頭突き。
頑丈なドーガを一発で戦闘不能にするために強めにいった。
「ふぅ……。次!」
これでギレーヌ、イゾルテさん、ドーガを攻略した。
代わりに右腕とトナカイを失った。
こうなってくると、トナカイの方に何人が行ってくれるかが勝負の分かれ目かも。
「──隙あり」
「………………へ?」
その時、ここにいるはずがない人の声がした。
そして、動揺した次の瞬間には、左足が動かなくなってた。
見れば、見た目以上に重く感じる鉄球が装着されてる。
「まだまだだな、エミリー」
「オーベールさん!?」
やってくれたのは、奇襲の達人オーベールさん。
アスラ王国から永久追放されたはずの人がなんで……!?
「手段を選ばない女王陛下に正体不明の武人として雇われたのだ。
今の某はさすらいの武芸者、クジャクール・フォン・グランドール。
本日の稼ぎで娘に盛大なプレゼントを贈らせてもらうとしよう」
「ぐぬぬ……!」
おのれ聖夜の魔王!
「フッ。強くなったね、オーベール。いや、『謎の武人』クジャクール」
「おお、お師匠様! ではなく親戚どの!」
「うげっ」
しかも、ここにきてシャンドル襲来。
てっきりトナカイの方に行くかと思ってたのに。
「さあ、エミリー。いや、サンタよ。絶体絶命だね」
「……上等」
確かに状況は最悪。
四肢が三つも使えず、目の前には北神流最高峰の師弟。
援軍も続々と集まってる気配がする。
「でも、私は、サンタ!」
サンタの誇りにかけて諦めない!
シャリーアで任務を全うしてる
「押し、通る!」
「かかってきなさい!」
「参る!」
◆◆◆
「うふふ。今年も私の勝ちですね♪」
「悔しい……」
「やめろ……! やめろぉおおおおお!?」
結局、私達は敗北し、捕虜として
私はアリエル様に後ろから抱っこされて、ペットのように思う存分愛でられ。
最終的にミニスカサンタコスと共にサンタの称号も剥ぎ取られ、子供達へのプレゼントはアリエル様が責任を持って届けた。
全部取られちゃったよ……。
いつの世も、敗残兵に待つ未来は悲惨なのだ……。
この物語はフィクションです。
無職転生にクリスマスはありませんし、剣姫転生にもクリスマスはありません。
・クリスマスウォー
これ以降、毎年の恒例行事になったとか、なってないとか。
・防衛戦力の皆さん
ギレーヌ 仕事だから真面目にやる
イゾルテ&ドーガ 二人揃っての休暇をくれるって言われたから
オーベール 給料が良かった
シャンドル ノリノリ
・アリエル
ご満悦
・
脳が焼かれた