剣姫転生 〜エルフの娘は世界最強の剣士を目指す〜   作:カゲムチャ(虎馬チキン)

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アイシャ編こと、ジョブレス・レッドカーペット発売!!
いやぁ、面白かったですね!
最速で買って、筋トレによる筋肉痛を堪えながら、即行で番外編を書きましたよ!

時系列は甲龍歴499年。
最終決戦が近づいてきてる時代。
まだこの時代の情報が少ないので、早く好き勝手に二次創作が書けるくらい刊行してほしいですねぇ。


番外 499年

 甲龍歴499年。

 私は赤竜山脈にある拠点を訪れていた。

 

「ルイシェリア〜!」

「エミリー姉さん」

 

 早速、知り合いというか親戚を見つけて絡みに行く。

 ルイシェリア・スペルディア。

 ノルンちゃんとルイジェルドさんの娘。

 今となっては同僚で、戦友だ。

 

「元気、だった?」

「好調だ。今しがたも重要任務を達成した。褒めてくれ」

「偉い」

「……ふふふ」

 

 頭を撫でると、ニマニマと口元が緩んでいった。

 可愛い。

 

 彼女とは本当に産まれた時からの付き合い。

 ルイシェリアは、スペルド族の成長の遅さと、皆が自分を置いて大人になっていくような感覚に悩んでて。

 奇しくも私も他人と成長速度が違う問題には直面してたから、珍しくお悩み相談でちゃんと力になれて、それ以降は随分仲良くなれた。

 

 今では実の姉みたいに慕ってくれてる。

 本当に可愛い子なのだ。

 

「あ! 先輩だ! 久しぶり!」

「お、お元気そうで、良かったです」

 

 そこで一緒に来た二人が合流。

 片方はルイシェリアを見るなり抱きついて、もう片方はそれを引き剥がそうとしながら小声で挨拶をした。

 

「ラピスとラズリか。見ないうちに、またデカくなったな」

 

 『双神』ラピスラズリ。

 二十代後半を迎え、私の予想より早く神級に至った獣族剣士コンビ。

 最上位の階級に辿り着いても、まだまだ伸び代がある最有望の若手の一角。

 ルイシェリアとも仲が良い。 

 

「なぁなぁ、先輩! ウチに戻ってこいよ! また四従士やろうぜ!」

「ちょ!? 堂々と引き抜くのやめてくださいよ!?」

「あ? 誰だよ?」

 

 ラピスのおねだりにインターセプトが入った。

 影の薄い男だ。

 はて? 誰だろう?

 見覚えはあるんだけど、名前が出てこない……。

 

「俺です。ヘンリーです」

「あ゛!?」

 

 男が魔道具の仮面をつけて名乗った瞬間、私は凄まじい罪悪感に襲われた。

 慌てて彼に駆け寄って、優しく抱きしめる。

 ああ、またやっちゃった……!

 

「ごめん、ヘンリー……! また、忘れてた……!」

 

 ヘンリー・マケドニアス。

 『他人から認識されにくくなる呪子』

 呪い軽減の仮面がないと、家族にすら顔と名前を忘れられる気の毒な体質の持ち主。

 

 高精度の魔力眼を持つ私なら、出力強の時だけは仮面なしでも認識できるんだけど、気を抜いてると、彼の存在が頭からポーンと抜けちゃうんだよね……。

 

「い、いえ、大丈夫ですから、その、毎回抱きつかなくても……」

「姉さん、離れて」

「あうっ」

 

 ルイシェリアに引き剥がされた。

 

「ヘンリーの性癖が歪む」

「性癖って……。家族、なのに……」

 

 ヘンリーは、ルーシーの孫。

 つまり姉の曾孫で、私にとっても曾孫みたいな存在だ。

 グレイラットの血筋も広がったから全員と親しいわけじゃないけど、彼に関してはルイシェリアと同じ仲の良い親族で、気にかける理由もあるし。

 

「あ、相変わらず、良い匂い……!」

「ほら見ろ」

「……ごめん。気をつける」

 

 かなりドギマギしてる曾孫を見て、私は考えを改めた。

 まあ、次会ったらまたヘンリーと一緒にこの反省も忘れて、同じことを繰り返すかもしれないけど。

 

「──本当に気をつけてください。先生は身内への危機感が足りないんですから」

「あ、チィ」

 

 同行してた、もう一人が合流した。

 『光と闇』のチィ・ター。

 見た目は変わらず12歳くらいの幼い姿だけど、中身は魔術師としての成熟を迎え、魔導鎧と魔力総量を抜きで考えるなら、往年のルーデウスと同等以上に成長した、龍神道場の最高傑作の一人。

 

「半年ぶりですね、ルイシェリア先輩」

「……ああ。久しぶりだな」

 

 チィとルイシェリアの間で、含みのある視線が交差した。

 ……この二人は、少しだけ色々あった。

 二人とも見た目以上に長生きしてるから、やっぱり色々積み重なる。

 

「戻ってくるなら、歓迎しますよ」

「ありがとう。けど、もう少し第二軍(こっち)で頑張らせてくれ」

「……そうですか」

 

 プイッとそっぽを向いて、チィはどこかに行ってしまった。 

 それを見て、ラピスとラズリが一言ずつ。

 

「素直に帰ってきてって泣きつけば良いのにな〜。あいつ、先輩のこと大好きだし」

「み、皆がラピスみたいに単純じゃないんだよ……」

 

 ルイシェリアを後ろから抱っこして、頭の上に顎まで乗せたラピスを、引き剥がすのを諦めたラズリがやんわりと制す。

 頭が単純で人懐っこいラピスと、気弱な外付け制御装置のラズリは、地味に社交性のスキルが高いのだ。

 

「エミリー姉ぇぇぇぇ!!」

「お、アルス〜!」

 

 と、そのタイミングで、この拠点の最高戦力が現れた。

 鬼神帝国軍第二軍特務部隊隊長。

 『狂剣王』エリス・グレイラットの息子で、父『魔導王』ルーデウスから『龍神の右腕』の称号を引き継いだ男。

 

 ──七大列強第六位『風神』アルス・グレイラット。

 

 70歳を越える人族の老人でありながら、戦乱の時代の七大列強に相応しい実力を未だ保持する、龍神道場最高傑作の一人。

 そんな自慢の甥っ子が、何故か凄い駆け足で詰め寄ってきた。

 

「オリベイラに聞いたぞ!! アスラ王国に行ったのか!?」

「あ、あー、その……」

「行ったんだな!?」

 

 肩を掴まれて、ガックンガックンと揺らされた。

 オリベイラめ、チクったか。……とは、さすがに言えない。

 だって、全面的に私が悪い。

 

「アリエル様の、お墓参りに、ちょっと……」

「国交断絶中なんだが!? というか、戦争が始まるんだぞ!?」

「だからだよ」

 

 世界はいよいよ激動の時代に突入した。

 第二次ラプラス戦役や、ヒトガミとの最終決戦の前に、まさかの人族同士の大戦争の引き金が引かれようとしてる。

 

 現在私達が所属する鬼神帝国、かつての同盟国だったアスラ王国、あと王竜王国とかも参戦してきそうな世界大戦だ。

 さすがに、あのアリエル様の子孫や部下を相手にするって考えたら、色々込み上げてきたというか、夜中に空を飛んでコッソリと……。

 

「ごめん……」

「……まあ、気持ちはわかるけども。こっちだって、アイシャの最後の策を無駄にできないんだ。わかってくれ」

「ホント、ごめん」 

 

 甥っ子に深々と頭を下げる。

 この手の謝罪は慣れてるけど、年々内容がシリアスになってきてるのが平和の終わりを感じさせて、なんだか切ない。

 

「アルス。姉さんをイジメるな」

「イジメって、ルイシェリア、お前……。あー、まあ、その、なんだ」

 

 アルスはバツが悪そうに私の肩から手を離して、頭をかきながら言った。

 

「頼りにしてるんだから、しっかりしてくれよ。──俺達の最高戦力」

「……うん。頑張る」

 

 龍神直属特別独立機動小隊『姫龍隊』隊長。 

 カッコイイけど堅苦しいそれが、今の私の肩書き。

 自由気ままな妖精剣姫でいられない時代っていうのは寂しいけど、精一杯やろうと思ってる。

 

「ああ、そうだ。ルイシェリア達がさっき、これを回収してきたんだ。エミリー姉も読むか?」

「? 何それ? どこかで、見たような……」

「ルーデウスの書だよ。幻の二十九巻だ。本当に記憶ガバガバだな……」

 

 今度は呆れた目で見られた。

 いやいや、ルーデウスの書って、それ君らにとっては重要文化財みたいな感じかもしれないけど、私にとっては義兄が書いてたメモ帳みたいなもんだからね?

 

 記憶から飛んだっておかしくないでしょ!

 今回ばかりは、その呆れた目に遺憾の意を表明する!

 

「あ、これ、アイシャちゃんの、駆け落ちの、時の」

「か、駆け落ちですか?」

「なんだそれ! 気になるぞ!」

 

 ラズリとラピスは興味津々って感じだった。

 ルイシェリアとヘンリーも私視点が気になるのか、ちょっとソワソワしてる。

 

「アルス、話していい?」

「ああ。俺もエミリー姉がどう思ってたのかは興味ある」

「わかった」

 

 若い世代に昔話っていうのも、たまには良い。

 私もすっかり年長者が板についたものである。




レッドカーペット読んでて、アルスの戦い方がエミリーそっくりで、なんか笑っちゃいました。
ルーシー経由で習得したみたいだし、こっちの時空ではエミリーの影響を多大に受けてそう。
子供達から見たエミリーとかの番外編もやりたくなってきますね!

なお、この時代の確定情報がまだ少なすぎるので、いつもの後書きでの補足はナシです。

あ、それと最近、ハーメルンやカクヨムに復帰して、またWEB小説を頑張ろうと思ってるので、よろしくお願いします!(ダイレクトマーケティング)
え? なろう?
スリーアウト垢バンが怖いから、剣神の更新くらいしかもうできないかも……。
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