剣姫転生 〜エルフの娘は世界最強の剣士を目指す〜   作:カゲムチャ(虎馬チキン)

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お久しぶりです!
最近はHJ大賞とかの方で頑張ってたカゲムチャ(虎馬チキン)です!

ついに始まりましたね、無職転生アニメ3期!!
ということで、こっちの番外編も復活です!

エリス修行編、最高だった……!
映像化すると、剣術三人娘、想像以上に好きだ!
オーベールさんも思ってた以上にテンション高めで、良い味出してやがる!
ガルさん、レイダさんの強キャラ感は言わずもがな。
ジノくんは完全にモブで、覚醒した時のインパクトやばそう……!
アニオリの剣神流コートの話も、自然な流れで入れられてて素晴らしい!

あとは、ギレーヌのカメラアングルですよ……!
前々から思ってたけど、制作陣に絶対いるよね!
アスラ王族に匹敵するような逸材がさぁ!

……ふぅ。
ということで、今回の番外編も前回に引き続き剣の聖地です。
時系列も前回と大して変わりません。


番外 天国の日々

「ガァアアアアアッッッ!!!」

 

 剣が迫ってくる。

 剣神流奥義『光の太刀』

 これ一つ覚えれば大抵の相手に勝てる必殺の奥義。

 

 そして、ここはそれ一つじゃどうにもならない、上澄み達の巣窟だ。

 

「『光の太刀』!!」

「ッ!?」

 

 今日は真っ向勝負の気分!

 対戦相手の光の太刀を、北神流『打鉄』の要量で迎撃。

 普段と違う対処法に、相手は少しだけ動揺した。

 

「アアアアアアッッッ!!!」

「フフッ……! それでこそ……!」

 

 即座に動揺を静めて連撃を放ってくる好敵手。

 迎撃! 迎撃! 迎撃!

 横槍が入らないように体勢を変え続けながら、剣に剣を合わせ続ける。

 そして──バキリッ、という音がした。

 

「なっ……!?」

「名付けて、奥義『打鉄光破』」

 

 剣の聖地で使われてる特殊な木刀。

 中に鉄が仕込まれてるそれを、同じ光の太刀でぶつけ続けたのに、相手の木刀だけが一方的に壊れた。

 

 これはシャンドルが唯一『私以上だ』って褒めてくれた、武器に闘気を纏う技術の賜物。

 どうも私は神級の剣士と比べても、圧倒的にこれが上手いらしい。

 ただし、武器の形状は剣限定で。

 

 まるで魂が剣を我が身の一部と認識しているかのようだ。byシャンドル

 と言わしめた技術。

 おかげで剣以外を持つと弱体化するまであるんだけど、代わりに私が握る剣はナマクラでも名剣と化す。

 

 武器の打ちつけ合いだと、こっちに分があるぞ!

 

「覚悟!」

「させません!」

 

 トドメの一撃を放とうとしたところで、ようやく横槍が入った。

 『水王』イゾルテ・クルーエルが前に飛び出し、強固な盾となる。

 

「『烈断』!!」

「『流』!!」

 

 普通は木刀で放てば、武器の方が保たない大技。

 当然、受ける側もそれは同じ。

 でも、イゾルテさんは上手く力を受け流し、己のみならず武器まで守ってみせた。

 

 この人の突破は時間がかかる。

 一対一でも結構大変なのに、こういう試合形式だとなおさら。

 

「フッ……!」

「来たね!」

 

 イゾルテさんが私を引きつけた隙に、背後からもう一人が奇襲。

 『剣聖』ニナ・ファリオン。

 殺気の隠れた光の太刀による奇襲は、本当に神経を使わされる……!

 

 左斜め後ろから来るのもポイント高い。

 魔眼のない側からの攻めを主体にするのは、私相手には凄く合理的な選択。

 本気で倒しにきてる。

 だからこそ楽しい!

 

「退きなさい!!」

「ちょ……!? エリス!」

 

 そんなニナさんを押し退けるように、最初に剣を折ったはずの対戦相手が復帰。

 『剣聖』エリス・グレイラット。

 折れた木刀の代わりに真剣を引き抜いて、殺意全開で襲いかかってくる。

 

「それも、イイ……!」

「ガァアアアアアアアアアアアッッッ!!!」

 

 ぶつかる、ぶつかる、ぶつかってくる。

 この前習得した、殺気を覆い隠す技術。

 その内側でメラメラと燃える、燃えたぎる闘志が、剣を通して私に叩きつけられる。

 

「ああ、楽しい……!」

 

 これぞ『鍛錬』。

 熱い衝撃を叩きつけて、より強く、より硬く、己を鍛え上げていく。

 

 エリスさんの剣には、凄まじいほどの熱意が乗ってる。

 情熱……そんな生ぬるい代物じゃない。

 己の無力を責めるような、咎めるような、振り払うような、強迫めいた暗い熱量。

 

「『流』」

「クソッッ!!」

 

 でも、世界は残酷だ。

 気持ちの強さならエリスさんは私を圧倒してるのに、実際の実力では私が彼女を圧倒してる。

 

 気持ちの強さは関係ない。

 とあるアゴヒゲの二刀流使いの言葉だけど、これは半分本当だと思う。

 強すぎる気持ちは逆に集中を乱すことすらある、扱いの難しいエネルギーだ。

 

「でも……!」

「折れて、堪るかぁぁぁぁぁッッッ!!!」

 

 逆境を前に、エリスさんの動きが一段と激しくなる。

 気持ちの強さは関係ない。

 いくら心の中で感情が荒ぶっても、身体機能がいきなりググンと上がるわけじゃないし、スーパーな野菜星人みたいに覚醒して髪型が変わることもない。

 ……そういう種族とか神子がいないとは限らないけど。

 

 でも、エリスさんのこれは、そういうのとは違う。

 気持ちの強さの真価は、困難を前にした時。

 普通なら弱気になって心が折れちゃいそうな時、折れるどころか逆境をバネにして気合いを入れられること。

 エリスさんを見てると、アゴヒゲ理論には続きがあるんだってヒシヒシと実感する……!

 

「エリス! 一人で突っ込み過ぎないでください!」

「ホントよ! ルーデウスと一緒に『龍神』と戦うのが夢なんでしょ!」

「……チッ!」

 

 扱いの難しい感情というエネルギー。

 それを他の二人が手綱を握ることで、空回り気味だったのが修整された。

 

 イゾルテさんやニナさんのような、気持ちのバランスが取れてるメンタルの安定感も大きな武器。

 平常心。明鏡止水。

 エリスさんの苛烈さとは別種の強さ。

 

 強さの種類は一つじゃない。

 強者に至る道筋も一つじゃない。

 色んな強さがあって、色んな鍛え方があって、大事なのは、それをどれだけ自分の力にできてるか。

 そこにプラスして、才能とか時の運とか、色々ひっくるめた合計が自分の実力だ。

 

 単純な計算なんかじゃ絶対にない。

 複雑怪奇な計算式の混ざり合った総合芸術。

 なのに、数学や科学の問題と違って、最高にドキドキワクワクする。

 足りない脳ミソじゃなくて、剣士の血潮と魂で理解できるから!

 

「──だから、大好き」

「「「やぁああああああああああッッッ!!!」」」

 

 三人娘が迫ってくる。

 ぎこちないながらも、どんどん良くなっていく連携で。

 確実に私を脅かす『強さ』に、私の『強さ』で対抗して──

 

「ばぁ!」

「…………ふぁ!?」

 

 突然、パラボラアンテナみたいな、強烈なインパクトの髪型が目に飛び込んできた。

 エリスさんを弾き飛ばしたと思ったら、その背中からオーベールさんがこんにちはしたのだ。

 アスラ王国に帰ったはずじゃ……って剣を構えてる!?

 

「『朧十文字』!!」

「うぬっ……!?」

 

 完全に不意を突かれて、良い一撃をもらった……!

 龍聖闘気もどきのおかげで致命傷じゃないけど、それより体勢を崩されて、イゾルテさんの方に吹っ飛ばされたのがマズい!

 

「あ、えっと……!? 好機!」

「ふにゃ!?」

 

 イゾルテさんの攻撃で、更に体勢が崩される。

 決定打を狙うのではなく、確実性を重視した妨害の剣撃。

 水神流らしい冷静な一手……!

 

「ニナ!」

「『光の太刀』!!」

「へぶっ!?」

 

 イゾルテさんの崩しから、ニナさんの一閃!

 ガードがあまりに不完全で、またしても吹っ飛ばされた!

 上も下もわからない転がるような不格好で、最後のパスが繋がる先は、赤髪の大魔神……!

 

「エリス!」

「決めてください!」

「うらぁあああああああああああああッッッ!!!」

「!?」

 

 エリスさん渾身の光の太刀。

 なんとか防ぎはしたけど、木刀を弾き飛ばされた。

 

 そして、エリスさんは剣を構え直す時間すら惜しんで、最速の攻撃としてタックルを選択。

 妙に手慣れた動きでマウントポジションを取られ、腕を足で封じられ、喉を狙った剣の切っ先が振り下ろされる。

 それは本気で死ぬ!?

 

「ふんぎぃぃぃぃッッッ!!!」

「…………チッ」

 

 なんとか……! 本当になんとか歯で止めた……!

 龍聖闘気もどきと、生まれついての頑丈な歯とアゴが無かったら死んでた……!

 母、頑丈に産んでくれてありがとう……!

 

「なんで、これでも、届かない、のよ……」

 

 オーバートレーニングと合わせて体力が尽きたのか、エリスさんが気を失って倒れ込んできた。

 マウントポジションのせいで、格差社会の象徴に私の顔が埋まる。

 本日一番の大ダメージ……!!

 

「ハッハッハ! まだまだだな、エミリー!」

「オーベールさん……。なんで、いるの?」

「忘れ物だ! しかし、剣士の心得は常在戦場。これが殺しの仕事でなくて良かったな!」

「……勉強に、なります」

 

 なるほど。

 オーベールさんは帰ったはずって先入観のせいで、余計に混乱しちゃったんだ。

 ありがとう、奇襲の申し子。

 これでまた一つ、強くなった……!

 

「ハッ! オーベールの言う通りだな。そんなんじゃ俺様に勝てる日はまだまだ先だぞ」

「相変わらず汚いねぇ、北神流。ま、それにやられる方が悪いってのは同感さね」

「「師匠!」」

 

 そこにガルさんとレイダさんも現れた。

 返す言葉もございません……。

 この屈辱を糧にします……!

 

「おら、ギレーヌ! エリスを連れてけ! まあまあ良くなってきやがったからな。起きたら俺様が少し揉んでやるって伝えとけ」

「! わかった!」

 

 嬉しそうなギレーヌによってエリスさんが輸送されていく。

 あの人は多分、折れない。

 次にやる時はまた強くなってそうで、ワクワクする。

 負けてられない!

 

「オーベールさん……! エリスさんの、代わりに、入って……! リベンジマッチ、お願い……!」

「残念だが、もう行かねばならんのでな。勝ち逃げさせていただく!」

「ぐぬぬ……!」

 

 意地悪!

 いや、次の戦いを見据えた精神攻撃か!

 私が意地になれば、その隙を突いてくる気に違いない。

 

 段々ふわふわしてくる頭じゃなくて、直感でそうだと確信できた。

 ここにいると、勘も感覚もどんどん研ぎ澄まされていく。

 

 まるで空気中に濃厚なバトルの栄養素が満ちているかのよう……!

 最高だぜ、剣の聖地!




・剣の聖地のバトル空気
エミリー周辺の濃度が異様に高い。
剣聖の皆さんも当てられて、少なからず熱が入ってる人達もいるけど、ジメジメした部分も依然として存在する。
多分、この頃の『剣聖』メクジナ・コーザソークさんは、そのエリアに生息しているはずです。


・闘気纏い
原作やアニメを改めて見ると、闘気は武器に纏わせるものではなく、武器の強度上昇はやってないように感じた。
しかし、斬撃が飛ぶということは、武器を発射台にして闘気を射出することは可能なはず。
エミリーは魂からの剣術愛によって、射出される闘気を剣の形に合わせて保持することが異様に上手い。
だからこそ、闘気纏いが上手くいかない他の武器では、素手より弱くなるなんて現象が起きるのだ。

ということにしました。
後から判明した設定や、解釈を改めた設定を上手く料理するのが創作のコツ。
なんて、のたまってみたりします。
……水神流の五つの奥義の名前とかが全然違ったりしたらどうしよう。(恐怖)


・愛剣『バースデー』
パウロの目利きは間違っていない。
値段のわりには本当に質の良い名剣。
エミリーの闘気を纏うことで、48魔剣とすら打ち合える大業物となっていたが、やはり世界最高レベルと戦い続けるのは厳しかったのだ……。
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