剣姫転生 〜エルフの娘は世界最強の剣士を目指す〜   作:カゲムチャ(虎馬チキン)

149 / 149
アニメ4話放送!
今回も内容がミッチリ詰まってましたねぇ。
黒狼の牙から始まり、アイシャとゼニス、ルーシーとリーリャ、エッチな触手加入にご神体脅迫事件、クリフ・ザノバ・ジュリときて、Bパートの王級魔術。

その全てに過去を思わせる描写と、未来への伏線が詰まりに詰まってるとか、ちょっと30分の密度じゃないですよ……。
とても全部を網羅した番外編とか無理ぃ……。

ということで、番外編のテーマは断腸の思いで一つに絞りました。
時系列はオルステッド戦の直後、初仕事に行く前です。


番外 電気攻めを求める変態

「………本当にやるのか?」

「どんと、来い……!」

 

 オルステッド戦後の昏倒から目覚めて少しして。

 そろそろ初仕事が始まるかなって頃。

 私は死闘に付き合わせた借りを返せってことで、ルーデウスをシャリーア郊外に連れ出した。

 他の皆には内緒で、こっそりと。

 

 最初こそ「もしかして、これお忍びデートか……!? ダ、ダメだぞ! そりゃ確かにエミリーにもキュンときたとは言ったし、そっちも好きになってくれたなら嬉しいけど……! 冷静に考えて、これ以上の修羅場はさすがにマズいというか……!」などという妄言を吐き散らしていたルーデウスだけど。

 

 ここに至ると、心の底から理解不能なナニカを見る目を私に向けていた。

 まあ、気持ちはわからなくもない。

 

「いいから、私に、雷光(ライトニング)を、撃って……!」

 

 習得したとは聞いてたけど、実際に見たことはなかったルーデウスの王級魔術。

 オルステッド戦にて解禁されたそれが、今は気になって仕方ない。

 

 あの時は世界最強を前にして、それどころじゃなかったからスルーしたけど。

 色々な問題が一段落して、次の戦いまで少しだけ間が空いてる今、私の心は彼に囚われている。

 

「お願い、ルーデウス……♡」

 

 興奮で心臓をドキドキさせながら。

 はぁはぁと息を乱して頬を染めながら。

 私はルーデウスにそんなお願いをする。

 中々にヤバい要求をしてる自覚が、さすがにちょっとはあった。

 

「は、発情期みたいな顔をしている……! なんてこった……! 大好物のはずなのに恐怖しか感じねぇ……!」

 

 ルーデウスの顔色は真っ青だった。

 さすがにちょっと大袈裟じゃない?

 

「お、落ち着こう、エミリー。やっぱり、こんなのは良くないって。病み上がりだし、皆も心配するぞ?」

「だから、こっそり、来た」

「ちくしょう……! こんな時だけ頭を使ってやがる……!」

 

 ふっふっふ。

 甘いんだよ、ルーデウス。

 私はポンコツだけどバカじゃない。

 好きなことに関しては、ちゃんと頭が回るのだ。

 

「一回、雷、斬ってみたい。剣士の、本能」

「落ち着こう……! マジで落ち着いてくれ……! 電撃は闘気を貫通して肉体を痺れさせるんだぞ? 下手したら死んじゃうんだぞ?」

「水神流は、魔力、そのものを、受け流す。だから、大丈夫。…………多分」

「最後の一言が怖いって!? 嫌だぁ!! 万が一にでも義妹殺しとか嫌だぁ!!」

 

 マズい。

 ルーデウスが思った以上に日和ってしまった。

 説得をしなければ。

 

「ルーデウス。私達は、これから、オルステッドの、駒になる。敵は、強い」

「へ? あ、ああ、そうだな……」

「ヒトガミが、魔術師、使ってくる、かもしれない。色んな、相手を、想定して、修行、しておくべき」

「この流れで、まともなこと言い出した……!?」

 

 雷に打たれたような驚愕の表情を浮かべる義兄。

 これが好きなこと極振りの力!

 今の私は冴えているぞ!

 

「死ぬ、可能性が、あるなら、今、対策を、覚えたい。慣れて、おきたい。──お願い、お義兄ちゃん」

「ッ!?」

 

 理詰め+アイシャちゃんをお手本にした上目遣いのおねだり。

 こういうのが好きなんでしょ?

 落ちてしまえ、ルーデウス!

 

「……………………ああもう! わかった! わかったから! 死なないでくれよ、エミリー!」

 

 頭を抱えて、壮絶に葛藤した末に、ルーデウスはその杖を空に向けた。

 『傲慢なる水竜王(アクア・ハーティア)』というカッコイイ名前の魔杖から、凄まじい魔力が放出されて天に昇っていく。

 

 私は最高にワクワクした気持ちで、術者を巻き込まないように距離を取った。

 

「『雄大なる水の精霊にして、天に上がりし雷帝の王子よ!

 我が願いを叶え、凶暴なる恵みをもたらし、矮小なる存在に力を見せつけよ!』」

 

 カッコつけるためか、それとも発射のタイミングをわかりやすくしてくれてるのか。

 ルーデウスは、ここまで届く結構な大声で詠唱を口ずさみながら、魔術を完成させていく。

 

「『神なる金槌を金床に打ち付けて畏怖を示し、大地を水で埋め尽くせ!

 ああ、雨よ! 全てを押し流し、あらゆるものを駆逐せよ!』」

 

 空に雷雲が生まれた。

 魔力が暴れ狂う。

 転移事件には及ばないまでも、あの龍神に手傷を負わせるほどの暴力的な魔力の奔流。

 それが吹きつける風と、振り注ぐ雨と、バチッバチッと音を立てる雷に変換されて、私に狙いをつけている……!

 

「『雄大なる光の精霊にして、天を支配せし雷帝よ!

 そびえ立つ者が見えるか! 傲慢なりし帝の御敵が!

 我は神なる剣にて、かの者を一撃に打倒せんとする者なり!

 光り輝く力を以って、帝の威を知らしめん!』」

 

 圧縮されていく。

 広がっていた雷雲が一点に凝縮されて、魔力が、威力が、極限にまで高められる。

 そして──光の剣が落ちた。

 

「『雷光(ライトニング)』!!」

 

 振り注ぐ落雷。

 まさしく雷速の一撃。

 

 でも、ちゃんと見えた。

 ちゃんとわかった。

 

 雷そのものではなく、私に振り注ごうとする魔力の流れ。

 それを魔眼が捉えて、剣士としての経験値が、感覚としても教えてくれる。

 

 大丈夫。

 私はこれを──斬れる。

 

「水神流奥義」

 

 剣を振るう。

 雷をかき分けるように。

 光の剣を縦に裂くように。

 天からの攻撃に対して、下から上へと剣を振るう。

 

 

「──『(ナガレ)』」

 

 

 闘気を纏った私の愛剣が──雷撃の剣を真っ二つに引き裂いた。

 

 雷切(ライキリ)

 

 まさにファンタジー。

 まさに剣士の夢。

 

「ああ……! 今の、私、最高に、カッコイイ……!」

 

 脳汁がドバドバ出る。

 天に掲げた剣が、最高に誇らしい。

 若干焼け焦げて痛みを訴える腕すら愛おしい。

 

「この、瞬間の、ために、生きてる……!!」

「……そうか。良かったね」

 

 心底ホッとしたような、あるいは全てを諦めたような目で、ルーデウスが呟いた。

 私の勇姿を見て「あとでフィギュアにでもしておくよ」と彼は言う。 

 ありがとう、お義兄ちゃん!




・エミリー
雷切に憧れて暴走。
この後は、大規模フロストノヴァと、隕石落としと、核爆発もどきの、オルステッドぶち込みコンボ全てを制覇したくなった。
ルーデウスは勘弁してほしくなった。


・ルーデウス
エミリーとこっそり二人で出掛けて、帰ってきた時はエミリーが最高にご機嫌になってたので修羅場になりかけた。
妹には興奮できないが義妹には興奮できる男なので、一歩間違っていたら色々危なかったかもしれないが、剣狂いの思考回路を理解できないのが救い。
あれが元日本人とか嘘だろ……。いくらなんでも、この世界に染まり過ぎだろ……。
とか思ってるかもしれない。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

無職転生ールーデウス来たら本気だすー(作者:つーふー)(原作:無職転生)

無職転生の世界に転生しました。▼親はラプラスでした。▼なんでやねん。▼幼少期リベラルイメージ画像▼【挿絵表示】▼使用させていただいたメーカー:「テイク式女キャラメーカー」▼リベラル大人ver▼【挿絵表示】▼【挿絵表示】▼【挿絵表示】▼https://x.com/haruka_reality?t=5WLIzh2ML-l7QZe0B4Os9A&s=09▼…


総合評価:9544/評価:8.33/完結:116話/更新日時:2025年05月03日(土) 01:29 小説情報

目が覚めたら難易度ナイトメアの世界です(作者:寝る練る錬るね)(原作:Re:ゼロから始める異世界生活)

ラムレムの弟に生まれたリゼロ原作知識持ちの愉悦部が、推しに罪悪感マシマシな生活を送らせる為に全力を尽そう………として苦難する話。▼ 主人公はチートだから全部がうまく行く─────と思ったら大間違いだよ馬鹿野郎。チート能力持ってようがリゼロ世界では問答無用で死にますねぇ!!▼ あ゛^〜心(臓)がぴょんぴょんするんじゃぁ〜▼※タグの認識には個人差があります。▼…


総合評価:34759/評価:8.79/連載:99話/更新日時:2021年07月22日(木) 00:00 小説情報

受肉転生 ~宿儺と一緒に本気出す~(作者:てとらとりす)(原作:無職転生)

オリ主が宿儺と一緒に無職転生の世界で精一杯人生を生きていくという二次創作です。▼ヒロインはアイシャです。▼戦闘はありますが今の所無双系ではないです。▼作者は小説自体書くのが初めてなのでルールなどやったほうがいいことがあったら教えてほしいです。▼思い付きで始めた小説で自分の妄想を書き起こしただけです。▼原作とは時間のズレが多々見られると思います(特に転移後)▼…


総合評価:10841/評価:7.65/連載:93話/更新日時:2026年07月09日(木) 22:00 小説情報

【本編一旦完結】たすてけ勇者一行がくぁwせdrftgyふじこlp【原作更新待ち】(作者:丹羽にわか)(原作:葬送のフリーレン)

フリーレン世界の魔族にTS転生した。してしまった。人類種の天敵──相互理解なんて不可能な、ヒトを喰らう狡猾な獣に。ヒトのココロを持って。▼(完璧に隠蔽して引きこもってる筈なのになんで勇者一行がくるんだぁぁぁぁ!! 嫌だァァァ!! 死にたくないぃぃぃ!!)▼(他の魔族が絶滅して存在が忘れられてから外に出ようと悠長に構えてたのが悪かったのか!? でも仕方ないじゃ…


総合評価:71314/評価:8.97/完結:46話/更新日時:2025年12月05日(金) 20:44 小説情報

傲慢の魔女『フラン』(作者:オド・ラグナの対義語)(原作:Re:ゼロから始める異世界生活)

私は『傲慢の魔女』、フランダース・スカーレット。495歳まであと90年くらいの約400歳児。フランドールほどの狂気はないけど、頑張るよ。──これはよくある転生をした一人の少女の物語。   ※思ったより続けれたので短編から連載に変更しました▼


総合評価:3458/評価:8.34/連載:29話/更新日時:2026年07月13日(月) 19:13 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>