剣姫転生 〜エルフの娘は世界最強の剣士を目指す〜   作:カゲムチャ(虎馬チキン)

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アニメ4話放送!
今回も内容がミッチリ詰まってましたねぇ。
黒狼の牙から始まり、アイシャとゼニス、ルーシーとリーリャ、エッチな触手加入にご神体脅迫事件、クリフ・ザノバ・ジュリときて、Bパートの王級魔術。

その全てに過去を思わせる描写と、未来への伏線が詰まりに詰まってるとか、ちょっと30分の密度じゃないですよ……。
とても全部を網羅した番外編とか無理ぃ……。

ということで、番外編のテーマは断腸の思いで一つに絞りました。
時系列はオルステッド戦の直後、初仕事に行く前です。


番外 電気攻めを求める変態

「………本当にやるのか?」

「どんと、来い……!」

 

 オルステッド戦後の昏倒から目覚めて少しして。

 そろそろ初仕事が始まるかなって頃。

 私は死闘に付き合わせた借りを返せってことで、ルーデウスをシャリーア郊外に連れ出した。

 他の皆には内緒で、こっそりと。

 

 最初こそ「もしかして、これお忍びデートか……!? ダ、ダメだぞ! そりゃ確かにエミリーにもキュンときたとは言ったし、そっちも好きになってくれたなら嬉しいけど……! 冷静に考えて、これ以上の修羅場はさすがにマズいというか……!」などという妄言を吐き散らしていたルーデウスだけど。

 

 ここに至ると、心の底から理解不能なナニカを見る目を私に向けていた。

 まあ、気持ちはわからなくもない。

 

「いいから、私に、雷光(ライトニング)を、撃って……!」

 

 習得したとは聞いてたけど、実際に見たことはなかったルーデウスの王級魔術。

 オルステッド戦にて解禁されたそれが、今は気になって仕方ない。

 

 あの時は世界最強を前にして、それどころじゃなかったからスルーしたけど。

 色々な問題が一段落して、次の戦いまで少しだけ間が空いてる今、私の心は彼に囚われている。

 

「お願い、ルーデウス……♡」

 

 興奮で心臓をドキドキさせながら。

 はぁはぁと息を乱して頬を染めながら。

 私はルーデウスにそんなお願いをする。

 中々にヤバい要求をしてる自覚が、さすがにちょっとはあった。

 

「は、発情期みたいな顔をしている……! なんてこった……! 大好物のはずなのに恐怖しか感じねぇ……!」

 

 ルーデウスの顔色は真っ青だった。

 さすがにちょっと大袈裟じゃない?

 

「お、落ち着こう、エミリー。やっぱり、こんなのは良くないって。病み上がりだし、皆も心配するぞ?」

「だから、こっそり、来た」

「ちくしょう……! こんな時だけ頭を使ってやがる……!」

 

 ふっふっふ。

 甘いんだよ、ルーデウス。

 私はポンコツだけどバカじゃない。

 好きなことに関しては、ちゃんと頭が回るのだ。

 

「一回、雷、斬ってみたい。剣士の、本能」

「落ち着こう……! マジで落ち着いてくれ……! 電撃は闘気を貫通して肉体を痺れさせるんだぞ? 下手したら死んじゃうんだぞ?」

「水神流は、魔力、そのものを、受け流す。だから、大丈夫。…………多分」

「最後の一言が怖いって!? 嫌だぁ!! 万が一にでも義妹殺しとか嫌だぁ!!」

 

 マズい。

 ルーデウスが思った以上に日和ってしまった。

 説得をしなければ。

 

「ルーデウス。私達は、これから、オルステッドの、駒になる。敵は、強い」

「へ? あ、ああ、そうだな……」

「ヒトガミが、魔術師、使ってくる、かもしれない。色んな、相手を、想定して、修行、しておくべき」

「この流れで、まともなこと言い出した……!?」

 

 雷に打たれたような驚愕の表情を浮かべる義兄。

 これが好きなこと極振りの力!

 今の私は冴えているぞ!

 

「死ぬ、可能性が、あるなら、今、対策を、覚えたい。慣れて、おきたい。──お願い、お義兄ちゃん」

「ッ!?」

 

 理詰め+アイシャちゃんをお手本にした上目遣いのおねだり。

 こういうのが好きなんでしょ?

 落ちてしまえ、ルーデウス!

 

「……………………ああもう! わかった! わかったから! 死なないでくれよ、エミリー!」

 

 頭を抱えて、壮絶に葛藤した末に、ルーデウスはその杖を空に向けた。

 『傲慢なる水竜王(アクア・ハーティア)』というカッコイイ名前の魔杖から、凄まじい魔力が放出されて天に昇っていく。

 

 私は最高にワクワクした気持ちで、術者を巻き込まないように距離を取った。

 

「『雄大なる水の精霊にして、天に上がりし雷帝の王子よ!

 我が願いを叶え、凶暴なる恵みをもたらし、矮小なる存在に力を見せつけよ!』」

 

 カッコつけるためか、それとも発射のタイミングをわかりやすくしてくれてるのか。

 ルーデウスは、ここまで届く結構な大声で詠唱を口ずさみながら、魔術を完成させていく。

 

「『神なる金槌を金床に打ち付けて畏怖を示し、大地を水で埋め尽くせ!

 ああ、雨よ! 全てを押し流し、あらゆるものを駆逐せよ!』」

 

 空に雷雲が生まれた。

 魔力が暴れ狂う。

 転移事件には及ばないまでも、あの龍神に手傷を負わせるほどの暴力的な魔力の奔流。

 それが吹きつける風と、振り注ぐ雨と、バチッバチッと音を立てる雷に変換されて、私に狙いをつけている……!

 

「『雄大なる光の精霊にして、天を支配せし雷帝よ!

 そびえ立つ者が見えるか! 傲慢なりし帝の御敵が!

 我は神なる剣にて、かの者を一撃に打倒せんとする者なり!

 光り輝く力を以って、帝の威を知らしめん!』」

 

 圧縮されていく。

 広がっていた雷雲が一点に凝縮されて、魔力が、威力が、極限にまで高められる。

 そして──光の剣が落ちた。

 

「『雷光(ライトニング)』!!」

 

 振り注ぐ落雷。

 まさしく雷速の一撃。

 

 でも、ちゃんと見えた。

 ちゃんとわかった。

 

 雷そのものではなく、私に振り注ごうとする魔力の流れ。

 それを魔眼が捉えて、剣士としての経験値が、感覚としても教えてくれる。

 

 大丈夫。

 私はこれを──斬れる。

 

「水神流奥義」

 

 剣を振るう。

 雷をかき分けるように。

 光の剣を縦に裂くように。

 天からの攻撃に対して、下から上へと剣を振るう。

 

 

「──『(ナガレ)』」

 

 

 闘気を纏った私の愛剣が──雷撃の剣を真っ二つに引き裂いた。

 

 雷切(ライキリ)

 

 まさにファンタジー。

 まさに剣士の夢。

 

「ああ……! 今の、私、最高に、カッコイイ……!」

 

 脳汁がドバドバ出る。

 天に掲げた剣が、最高に誇らしい。

 若干焼け焦げて痛みを訴える腕すら愛おしい。

 

「この、瞬間の、ために、生きてる……!!」

「……そうか。良かったね」

 

 心底ホッとしたような、あるいは全てを諦めたような目で、ルーデウスが呟いた。

 私の勇姿を見て「あとでフィギュアにでもしておくよ」と彼は言う。 

 ありがとう、お義兄ちゃん!




・エミリー
雷切に憧れて暴走。
この後は、大規模フロストノヴァと、隕石落としと、核爆発もどきの、オルステッドぶち込みコンボ全てを制覇したくなった。
ルーデウスは勘弁してほしくなった。


・ルーデウス
エミリーとこっそり二人で出掛けて、帰ってきた時はエミリーが最高にご機嫌になってたので修羅場になりかけた。
妹には興奮できないが義妹には興奮できる男なので、一歩間違っていたら色々危なかったかもしれないが、剣狂いの思考回路を理解できないのが救い。
あれが元日本人とか嘘だろ……。いくらなんでも、この世界に染まり過ぎだろ……。
とか思ってるかもしれない。
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