剣姫転生 〜エルフの娘は世界最強の剣士を目指す〜 作:カゲムチャ(虎馬チキン)
リニア&プルセナ、良いですよね。
二次創作やってると、どうしても書くキャラクターに偏りが出てしまって、あの二人をあんまり書けなかったのが残念です。
違うんですよ。
あんまり書かないキャラが嫌いなわけじゃないんですよ。
ただ、エミリーとの関わりがあんまり無かったり、良い感じに面白くできる話が思いつかなかったりするだけなんだ。
というわけで、今回の番外編はリニア&プルセナゆかりの地である大森林から。
時系列はララ弟子入り直後。
なんでアニメのところじゃないんだって?
パッと思いつけなかったからさ……。
なんだかんだで、あの二人との付き合いは長い。
魔法大学に入った直後に絡まれ始めたから、11歳くらいの頃から知ってることになる。
なんてこった。
下手したら幼馴染を名乗れる。
『でしたら、お二人より長い付き合いの私とも幼馴染ですね。一生ものの関係ですね』
ああ、はい、そうですね。
でも、今はそれどころじゃないので、出てこないでください、女王様。
『むぅ……』
不満げな顔をして、私の脳裏から消えていくイマジナリー・アリエル様。
……こんなのが思い浮かんでくるなんて、想像以上に私は現実逃避がしたいのかもしれない。
何せ、現在地はミリス大陸、大森林、ドルディア族の里。
私の両隣にはリニアとプルセナ。
後ろにはのしかかってくる、グレイラット家の守護魔獣レオ。
前方には土下座するルーデウスと、ドルディア族の重鎮の皆さん。
冷や汗が出てくる。
昔、リニプルを獣族のお姫様だなんて知らずに、ぶっ飛ばしちゃった時とよく似た恐怖。
皆が皆、格差社会の権化を胸に実らせて、私の神経をささくれ立ててくることといい、どうにも獣族とは相性が悪いのかもしれない……。
◆
こんなことになった原因は、言わずもがな、ララの弟子入り騒動。
今はその後始末中で、最も迷惑をかけたドルディア族への謝罪中である。
本当なら全ての元凶であるララを連れてきて土下座させなきゃなんだけど。
あれでもララは、獣族の信仰対象『聖獣様』に選ばれた救世主。
本来なら15歳の誕生日に、大森林中の種族。
獣族の各氏族に、
それに意味があるという、数年がかりの大計画だったらしい。
……そう。
だったらしい、だ。
過去形である。
大事な大事な救世主様とのハジメテを、私達はあまりにもアホな追いかけっこで奪ってしまったのだから。
せめてもの措置として、本人を気軽には連れてこなかったけど、焼け石に水な気がする。
真っ二つにした斬殺死体の傷口にツバを塗り込む民間療法を試みてるような気分。
手遅れ感が凄い。
「******ッッ!! *******ッッ!!」
「****。******」
まずは先鋒ルーデウスによる、大声での謝罪。
それに対して向こうのリーダー。
ギレーヌのお兄さんにしてリニアのお父さん。
『ドルディア族長』ギュエス・デドルディアさんは、重々しい声で返答した。
獣神語での会話だから、何言ってるか全然わからないけど。
「***! *****、******!」
「**********! 『****』******! *******!」
その時、両隣のリニプルが動いた。
バッと大きな身振り手振りで、真ん中の私を目立たせるようなポージング。
言ってることはわかんないけど、この行動とドヤ顔には見覚えがある。
私のことを『姉御』って呼んで、全力で威を借りにくる時の顔だ。
あれ? 今って謝罪中じゃなかった?
わけがわからないよ……。
通訳デウス、なんとかしてくれ……!
「ワン!」
そして、このタイミングでレオがひと鳴き。
と同時に、より一層私に体重をかけてくる。
家だったら、甘えてるのかな? って思って撫でてあげるところだけど、今は緊張と不安で微動だにできない。
「……****。********」
ギュエスさんは、レオの鳴き声に、神妙な顔で頷いた。
どうも獣族の一部の人達は、レオの言ってることが、かなり具体的な言語としてわかるらしい。
そして、信仰対象ってだけあって、基本的にレオには絶対服従。
40代くらいの渋いおじさまが、おっきい豆柴にペコペコしてる姿は、見てて凄い違和感がある。
「エミリー殿」
「あ、はい!」
突然、ギュエスさんに人間語で話しかけられた。
ギレーヌから武力と親しみを削って、知性と威厳に変換したような雰囲気の人。
ペルギウスさんや、ちゃんとしてる時のアリエル様にも少し似てる。
つまり、王の覇気を纏う人。
「偉大なる救世主様を導く者。大森林の息吹を受け継ぎし
「…………んん?」
なんか変なこと言い出した。
エルフの神がなんですって?
わたくし、外見的特徴にたまたまエルフが強く出てるだけの
あとは人族二分の一に、獣族四分の一、それと
やばい。
混乱し過ぎて、心の中がお婆ちゃんの口調になっちゃった。
あ、でも、そのお婆ちゃんが一時期大森林で暮らしてたって話だし、父も一応大森林育ちだったっけ?
会ったことない母方のお婆ちゃんも、獣族で大森林育ちって言ってたような……。
あれ?
じゃあ、大森林の息吹を受け継ぐって、あながち間違ってない?
まあ、お婆ちゃんはエルフに相当嫌われてる上に、父はそれで差別されて、母方のお婆ちゃんは攫われて奴隷になってたらしいから、良い思い出とは無縁なんだけど……。
「此度は我らに力不足を思い知らせてくださったこと、深く感謝申し上げる。大森林の氏族一同、長き平和で弛み切った心身を深く恥じ、復活する魔神に立ち向かえる強い次世代を育てていくことを、ここに誓います!」
「え、えっと……」
通訳デウスを見る。
頼む、話を合わせてくれ……! と言わんばかりの、必死のアイコンタクトを送ってきてた。
リニアとプルセナを見る。
キラキラした目を私に向けながらドヤ顔をキープしてた。
最高に甘い汁すすれてるぜ! って感じの顔だった。
レオを見る。
誇れ、お前は強い、とでも言い出しそうなキリッとした顔つきだった。
無性にムギュッとしてやりたくなった。
対面する獣族の人達を見る。
覚悟と使命感に燃えた、熱い瞳の一斉掃射だった。
普段なら大好物なんだけど、今はただただ胃が痛い。
「…………がんばって、ください」
「「「ハハァ!!」」」
時代劇の侍達のように、一斉に頭を下げてくる獣族の皆さん。
……良いように考えよう。
これで量産型ギレーヌの生産拠点ができたと思おう。
あと、今回のアホ騒ぎも、上手いこと収められたんだと思おう。
深く考えてはいけない……!
◆
『──ってこで、怖かったよぉ』
『お疲れ様』
ところ変わって空中城塞。
ちょうど静香の目覚めの日が近かったから、流暢に話せる日本語で愚痴ってます。
『でも、ちょっと意外ね。エミリーって、もっと洒落にならない戦いの時でも堂々としてるのに』
『暴力で解決できる問題ならね〜。こういうのは、そうじゃないじゃん』
責任の負えない問題っていうのは怖いよ、そりゃ。
最近は一応、自分の立場ってものを少しは自覚してきたから、なおさら。
これがアスラ王国とかなら上層部に知り合いが多いし、最悪アリエル様に身売りすれば何とでもなりそうだから、多少は落ち着けるんだけど、大森林はそうじゃない。
世界三大国家の一つと正面から戦争できる勢力を怒らせたらどうなるか……。
考えるだけで恐ろしい。
追いかけっこの時は、神級帝級入り乱れた身内軍団を蹴散らしたノリと勢いのまま突撃しちゃったからなぁ……。
空中城塞に突っ込んだ時に匹敵する大失態。
冷静になってから、久しぶりにやっちまった……! と思ったよね。
『でも、エミリーなら大森林ごと蹴散らせるんじゃない?』
『…………静香、思考回路がダメな時の私に似てきてるよ』
『!?』
ちょっと私の影響を受け過ぎだと思う。
しっかりしてほしい。
静香だって、貴重な私のブレーキ役の一人なんだから。
・リニア&プルセナ
最初は二人がメインの番外編やりたかったのに、わかる言語すら喋ってない。
おかしい……。どうしてこうなった……。
なお、エミリー的に、鍛えれば聖級くらいまでは楽に(エミリー基準)到達できるほどの才覚と現地点での積み重ねを感じている。
でも、傭兵団の仕事が忙しそうだからレッツトライは遠慮してた。
が、故郷からの鍛えてやってくれ要請がきたので、地獄のブートキャンプが確定。
途中で折れなければ、エリス級の強さに到れるかもしれない。
・ギュエス
個人的に、いまいち強さがわかりづらい男。
アニメだと人質込みとはいえ北聖に遅れを取ったし、強敵相手の経験値がちょっと足りない聖級くらい?
ただ、彼が族長で実力トップクラスと考えると、ドルディア族がかなり弱く感じてしまう。
まあ、族長と実力No.1は別かもしれないし、それにミリス神聖国も聖級上級の混成部隊が対人戦だと実力トップみたいだし。
あと、戦争となると個人の戦闘力以上に、数が多くて、鼻も耳も良くて、地形踏破能力とか高そうな獣族は厄介そうだから、国としては相当強い気はする。
これで個々の戦闘力が量産型ギレーヌになったら……第二次ラプラス戦役が楽しみですね。
・エミリー
実はシルフィ共々、大森林のDNAを結構受け継いでる。
無職転生続編で、他のエルフとかも出てくると嬉しいな。
・ナナホシ
キヲツケロ……。ノウキン ハ カンセン スル……。