剣姫転生 〜エルフの娘は世界最強の剣士を目指す〜 作:カゲムチャ(虎馬チキン)
エリスに始まり、エリスに終わった、良い最終回でした!
いや、第2クールが控えてるから最終回じゃないけども!
ということで、剣姫転生の番外編もここまでとなります。
第2クール放送までお休み……いや、蛇足編4巻出たら何かやるかもですね。
蛇足編も4巻で完結らしいですし、あとはジョブレスと古龍の昔話の単行本が出たら、ついに無職転生続編が始まるのかな? ってワクワクしながら待ってます!
というわけで、最後の番外編をどうぞ!
甲龍歴425年。
来たるオルステッドとの戦いに向けた、魔導鎧の鋭意制作中の期間。
「あの〜、エミリーさん……」
「何?」
なんだか、凄くへりくだった感じのルーデウスに声をかけられた。
「……剣の聖地で、エリスがどんなだったか教えてください」
どうやら、来たる修羅場に向けた情報収集がしたいらしい。
ルーデウスの顔色は真っ青だ。
オルステッドやヒトガミに匹敵するほど、怒れる狂犬が怖いと見える。
「やる気の、塊って、感じだった。
剣を、学ぶ、気概の、熱量で……負けてるって、思ったのは、久しぶり」
「そ、そうか……。エミリー以上のやる気かぁ……」
ルーデウスが更に青くなっていく。
22世紀の猫型ロボットでも意識してるのかな? ってくらい青くなっていく。
「口癖は『ルーデウスと、一緒に、オルステッドを、斬るの』」
「ぐふっ……!?」
「何も、知らなければ、凄い、一途な、人だなって、思えた。
……姉の、旦那の、惚気話、聞こえてくる、生活。どう思う?」
「まことに申し訳ございませんでしたーーー!!」
ルーデウスが土下座した。
せいぜい、エリスさんのことで頭を悩ませて、ヒトガミとオルステッドへの恐怖を上書きすると良い。
いや、これストレスの上乗せになってるかな……?
どっちだろう?
「まあまあ、そう深刻になるなよ、ルディ。良い男ってのはな、女に想われてなんぼってもんだ」
「父さん……」
と、そこで師匠がエントリー。
ルーデウスは救いを求めるように、偉大な父を仰ぎ見た。
「父さんもモテた。それはもう色んな女に想われた。やばい女に迫られたことも何回かある。
オルステッドとやら相手には足手まといかもしれないが、この手のアドバイスなら、いくらでもしてやれるぞ!」
「…………でも、リーリャさんを妊娠させて母さんにバレた時は、完全に役立たずだったじゃないですか」
「ぐふっ……!?」
ああ、師匠が会心の一撃を食らってのけぞった!
ダメージ時のリアクションが息子そっくり!
「今回の相手は……エリスは、下手したらあの時の母さん以上にブチ切れてる可能性があるんですが……」
「……………………い、一緒に悩むくらいはしてやれるぞ!」
「……………………頼りにしてます」
お通夜みたいな顔して、浮気親子は話し合いを始めた。
それでも、日記の未来に怯えてる時よりは、ルーデウスの顔に生気があるような気がする。
師匠がいてくれて良かったって、言っていいんだと思う。
「エリスさん、対策も、いいけど、オルステッド、対策も、するよ。
師匠、ルーデウス、準備して」
「お、そうだな!」
「わ、わかった……!」
師匠が逃げ道を見つけたみたいな明るい顔で。
逆にルーデウスは覚悟を決めたような悲壮な顔で、私の言葉に頷いた。
この準備期間における私の仕事は、ルーデウスに近接戦闘と剣士との連携を教えること。
やり方は実戦形式。
ルーデウスは師匠や父と組んで、上手く味方をアシストしつつ、オルステッド役の私を袋叩きにする練習を積むのだ。
「予見眼、かっぴらいて、全力で、学んで」
「……ああ、わかってる」
「──うん。良い顔」
時間が無いから相当厳しめに、それこそイジメかってくらいの強度で鍛えてるんだけど。
ルーデウスは毎回痛い思いをして、それが嫌みたいで、悲壮な顔こそするものの。
眼には強い覚悟を宿して、必死に強くなろうとしてる。
「「ルディ……」」
見れば、姉やロキシーさんも、夫に心配そうな視線を送りながら、それでも任された自分の役割を全うしてる。
二人からも、ルーデウスと同質のものを感じる。
エリスさんや、転移迷宮での師匠、もっと遡れば紛争地帯での父や母からも感じた、強い想い。
愛する者のために、死に物狂いになる強さ。
気持ちの強さとしては、最上級。
でも、扱いの難しいエネルギー。
一歩間違えば、焦りや空回りで簡単に自滅する、ピーキーな動力源。
私自身、紛争地帯でそれに呑まれたことがあるから、ちょっとはわかったようなことが言える。
「──さて」
戦闘は私の得意分野。私の領域。
というか、これしかできないこと。
普段ポンコツで迷惑かけてる分、今くらいは最高に頼れる『家族』でありたい。
……ルーデウスの日記に出てきた私みたいにはなりたくない。
強いくせに、肝心な時にいなかったり、微妙に力が足りなかったりするせいで、大切な人達を守れないような奴には。
……いや、そんなこと言い出したら、どこにも行けないような気もするんだけど。
戦いには相手がいる以上、向こうの積み重ねがこっちを上回ったら、負けて死ぬのは当たり前って理解もしてるんだけど。
その上でだ。
うん。よし。自覚できてる。
自覚できてるなら、制御できる。
私の胸にも宿った扱いの難しいエネルギーを、今のところ制御できてる。
戦闘に関わる分野なら、私は有能だ。
自信も自覚も、両方ちゃんと持って、最強の敵に挑もう。
必ず、大切な人達を守り抜こう。
私は『妖精剣姫』エミリー。
やる時はやる女だ。
◆◆◆
一方、その頃。
剣の聖地にて。
「そういえば、あなたの彼氏の噂、ちょっと聞いたわ」
「! どんなの!?」
「伝説の迷宮を踏破したとか、不死身の魔王を滅ぼしたとか、七大列強と良い勝負したとか……あと、胸の小さい娘が好きだとか」
「…………胸の、小さい、娘」
エリスの脳裏に、一人の昔馴染みの顔が浮かんだ。
少し前に、いきなり剣の聖地を飛び出していったド貧乳。
ルーデウスと貧乳で検索をかけると、彼女の検索結果の一番上にヒットする存在。
「エ、エリス……?」
「ッッッッッ!!!!!」
「う、うわぁ……」
後に『剣帝』となったニナ・ファリオンは語る。
この時のエリスは、狂剣王に慣れ親しんだ自分でもドン引きするほど恐ろしい顔をしていたと。
ちなみに、この時。
遠く離れた魔法都市にて、とあるド貧乳女剣士に謎の悪寒が走ったそうな。
「エリスさーん! ルーデウスって人からの手紙が!」
「!? ルーデウス!」
かくして、未来は変わり始めた。
・エリス
この直後、手紙の内容で脳を焼かれるので、エミリーへの冤罪は頭から飛びました。
命拾いしたな、妖精剣姫……!
・ルーデウス
頼れる父や義妹がいるから、原作よりはメンタルがマシかもしれない。
でも、パウロの死を乗り越えてないから、その分の耐久性ダウンでトントンかもしれない。
なんにしても、悲劇はあるより無い方が良いはず。
悲劇で喜ぶのはヒトガミのような輩と、ドラマチックな展開を求める私のような邪悪な読者だけなのだから。
というわけで、剣姫転生番外編、一旦終了!
ネタ切れが……! ネタ切れが酷い……!
一応、オリジナルの方も頑張って大賞とか出してるから、そっちで使う容量を確保しとかなきゃならないんだ……!
そうじゃなくても、番外編50話以上やってたら思いつかなくなってくるんだ……!
誰かネタを……! ネタを恵んでくれぇ……!(切実)
追記
活動報告にネタ募集用スペースを作っておきました。
残念ながら、ネタ切れはネタじゃないんです(泣)