剣姫転生 〜エルフの娘は世界最強の剣士を目指す〜   作:カゲムチャ(虎馬チキン)

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65 アスラ王国へ

 ペルギウスさんがアリエル様を認めた後、彼はこう言った。

 さっさとアスラ王国に戻って場を整え、自分を呼ぶための舞台を用意しろと。

 

 アリエル様はその言葉に従って、準備が整い次第すぐにアスラ王国に向けて出発し、政争を開始することを決めた。

 シャンドルは放置ですか?

 そう聞いてみたら、アリエル様は、

 

「すみません、エミリー。シャンドル様を待ちたいのは山々なのですが、あいにくとペルギウス様のことを差し引いても時間がありません。

 父上、現アスラ国王が重病という情報も入っています。

 乗り遅れてしまえば兄上が地盤を固め切り、後継者の座を確たるものにしてしまうでしょう。

 そうなってしまえば、覆すのは容易ではありません」

 

 それでも、あまりに勝ち目が薄かったら、シャンドル到着を含めた準備を万全に整えるのを優先して、10年単位の時間を使って兄を追い落とすっていうのも選択肢の一つだったらしいけど、

 ペルギウスさんがいて、しかも早くしろってせっつかれてるんだったら、多少の準備を放り出してでも早く動いた方がいいんだって。

 つまり、ペルギウスさんとシャンドルが天秤にかけられて、ペルギウスさんが選ばれたってことだ。

 哀れ、シャンドル。

 

 なお、アリエル様予報では、現時点での勝ち目は、ペルギウスさんの加入と準備が不充分な点を鑑みて、50%くらいとのこと。

 既に連絡を入れてるシャンドルが道中で合流してくれれば70%。 

 ただし、私達の移動時間はペルギウスさんの転移魔法陣を使って短縮する予定だから、シャンドルの現在地によっては間に合わない可能性も高い。 

 ヒトガミが手を回してたら絶望的かも。

 

 と、そんなことは私と同等以上の情報をオルステッドから与えられてて、かつ私より遥かに頭の回るルーデウスだってわかってる。

 そのルーデウスは今、なんかアリエル様に転移魔法陣で赤竜の上顎あたりに出て、そこから歩いていかないかって提案してた。  

 私も一応聞かされたオルステッドとの会議で決まった作戦(難しくて殆ど忘れたけど)にこういうのもあった気がする。

 

 でも、ルーデウスのプレゼン能力が思ったより低かったせいでアリエル様達には却下されてた。

 もうオルステッドから聞いた話、全部ぶちまけちゃえばいいんじゃないかな?

 そんなこと思っちゃうあたりが、私が頭脳労働に向いてない所以か。 

 

「失礼します」

 

 でも、ここでペルギウスさんの12の使い魔の一人、私のお見舞いの時一番先頭で通せんぼしてた『空虚』のシルヴァリルさんが、とんでもない情報を持ってきた。

 

「今しがた、アスラ王国内の転移魔法陣が、全て破壊されていることが判明しました」

「えぇ!?」

 

 まさかの事態である。

 これでルーデウスの案で行くしかなくなった。

 あまりにもタイミングが良すぎて、ルークさんから思いっきり疑われてたよルーデウス。

 

 まあ、でも良かったんじゃないかな?

 これでオルステッドの作戦を実行に移せるでしょ。

 それに移動時間が増えればシャンドルと合流できる可能性も増えるし。

 いや、これもヒトガミの仕業なら無理かな?

 

 

 

 

 

 そんなこんなのすったもんだがありつつ、オルステッドから今回戦うことになるだろうレイダさんやオーベールさんの奥の手を教わって、ズルしてるみたいな微妙な気分になったりもして。

 そうしてるうちに、アスラ王国へ出発する日がやってきた。

 

 できればアスラ王国の前に剣の聖地に行ってガルさんにお礼を言っておきたかったんだけど、剣の聖地までは往復2週間。

 さすがに、そこまで纏まった時間は取れなかった。

 私もオルステッドの龍聖闘気をまじまじと観察する修行とかで忙しかったし。

 申し訳ないけど、ガルさんへのお礼は全部終わってからだね。

 

 というわけで、アリエル様は小さめの馬車に乗り、私達を引き連れてシャリーアを出発した。

 お忍びのはずなのに、シャリーア中から人が集まってるんじゃないかってくらいの盛大なお見送りを受けて。 

 お忍びとは?

 

 まあ、そんなことはどうでもいい。

 アリエル様の味方は政治戦力のペルギウスさんと、そっち方面を請け負ってた侍従の人達6人+ルークさん。

 武力的な意味での戦力は、私、姉、ルーデウス、エリスさん、ギレーヌ、師匠、護衛の人達4人。 

 あと、合流できるか怪しいシャンドル。

 ついでに、オルステッド。

 

 なんで最高戦力がついでなのかというと、オルステッドは魔力回復が遅い上に、私達との戦いでかなり消耗しちゃったから、できるだけ戦いたくないそうです。

 というか、私達の仕事内容には、オルステッドの代わりに戦って、ヒトガミ戦までのオルステッドの消耗を抑えることも含まれてる。

 オルステッドには基本頼れないと見た方がいい。 

 

 え? アレク?

 あいつにはまだ協力の話すら取り付けてないから勘定には含めない。

 ヒトガミがポンコツ晒して、何かの拍子に味方にできたら超ラッキーくらいに思っておく。

 

 味方はそんな感じとして、敵サイドの首魁は当然ヒトガミ。 

 とはいえ、野郎は陰に隠れてコソコソと動くGみたいなものなので、実行犯は別にいる。

 

 今回倒さないといけない相手は、アリエル様の対抗馬である第一王子グラーヴェル・ザフィン・アスラ。

 そのグラーヴェルに味方する悪名高い大貴族、今回一番の難敵と目されてるダリウス・シルバ・ガニウス上級大臣。

 更に、武力方面の戦力で見ると、『水神』レイダ・リィアと、『北帝』オーベール・コルベット。

 その他にも雇われてる可能性あり。

 

 中々にキツい戦力だ。

 特に何やってくるかわからないオーベールさんに道中で奇襲されるのが一番怖い。

 オルステッドに私の知らないオーベールさんの手の内もいくらか聞いたけど、あまりに多すぎて覚え切れなかったし。

 

 加えて、ヒトガミによって助言という名の入れ知恵をされてる人達が推定で三人。

 オルステッドの予想では、ダリウス上級大臣はほぼ確定。

 アスラ王国中の転移魔法陣がぶっ壊れたのはやっぱりヒトガミの仕業で、そんなことができるのはダリウスくらいしかいないだろうとのこと。

 

 もう一人はレイダさんかオーベールさんの可能性大。

 最後の一人はこっちの監視役として、まさかのルークさんらしい。 

 オルステッドによると、ヒトガミが同時に操れる相手、通称『ヒトガミの使徒』は三人まで。

 この三人にどう対処するかによって勝敗が決まる。

 

 まあ、私にできるのは剣を振ることだけだ。

 それだけ考えて頑張ろう。

 レイダさんやオーベールさんみたいな知り合いを斬りたくはないけど、時と場合によっては敵味方に分かれるのも剣士の常。

 いざ戦いが始まれば、オルステッドの時みたく躊躇はしない。

 

 覚悟は決めておこう。

 二人を斬る覚悟も、二人に斬られる覚悟もね。




アリエル様親衛隊戦闘力

測定不能 オルステッド
神級 シャンドル(合流できるか不明)、アレク(加入するかすら不明)
神級下位 エミリー
王級最上位 エリス、ギレーヌ
王級下位 パウロ、ルーデウス(単独かつ剣士の間合いで戦った場合)
聖級上位 シルフィ(妊娠、出産、子育てによるブランクで停滞)
上級 護衛4名
中級上位 ルーク
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