剣姫転生 〜エルフの娘は世界最強の剣士を目指す〜   作:カゲムチャ(虎馬チキン)

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73 VS『水神』

「やぁああああああ!!!」

 

 私は攻める。

 剣神流の速度で押し込み、水神流でカウンターを受け流しながら前に出て、北神流の惑わしと立ち回りで常に有利な位置を取り続けて攻める。

 

「シィィィ!!」

 

 レイダさんが守る。

 ただ一つ、極めに極めた水神流の技にて、私の攻撃全てを受け流し、カウンターを叩き込んでくる。

 

 実力的には未だにレイダさんが上だ。

 私がレイダさんにかすり傷一つ付ける間に、レイダさんは私に本来ならそこそこ深い傷を刻むだろう斬撃を二回は叩き込む。

 だけど直撃は避けてるし、ダメージも龍聖闘気もどきが軽減する。

 そして、その程度のダメージなら、隙を見て無詠唱治癒魔術を使えば即座に治せる。

 結果、微細なダメージがレイダさんだけに蓄積していた。

 

「相変わらず硬いねぇ……! それは反則じゃないのかい!」

「戦いに、卑怯も、汚いも、ない!」

「そりゃそうだ! 言ってみただけさね!」

 

 そんな会話が挟まりつつ、私達の斬り合いは続く。

 この状況、一見私の方が有利に見えるけど、そんなことは全然ない。

 肉体に傷は残らなくても、傷を治すのに魔力をどんどん消耗してるからだ。

 衝撃波移動とか火の球使った目くらましとかも全力でやらないと対抗できないし、そんなことしてれば更に消費魔力は増える。

 

 まあ、私の魔力総量はルーデウスに比べれば雀の涙とはいえ、一般人に比べればかなり多いから、まだまだ余裕はある。

 消耗の度合いとしては、傷が増えてるレイダさんとトントンくらいかな。

 

 でも、私達は別に消耗戦をやってるわけじゃない。

 剣士同士の戦いなんだから、一瞬の隙に相手に致命傷を与えた方の勝ちだ。

 

「奥義『剥奪剣』!」

「うぐっ!?」

 

 治癒魔術発動に少し意識を割き過ぎて、攻め手が緩んでしまった瞬間に、レイダさんに奥義発動の構えを許してしまった。

 水神流の五つの奥義の一つ『剥奪剣』。

 『剥奪剣界』の元になった技の一つだ。

 目の前の相手しか標的にできない代わりに、より精度を増した剥奪剣界の縮小版。

 つまり、動こうとした瞬間に、剥奪剣界より速くて重くて鋭い斬撃が飛んでくる!

 

「水神流『流』!」

 

 私はそれを無理矢理突っ切って間合いを詰めた。

 水神流の技により致命傷となり得る斬撃だけを最低限受け流し、残りの力を前に出ることに使う。

 守勢に回って発動を長引かせれば、その分だけダメージを貰うと考えた方がいい。

 多少深い傷は許容して、強引にでも発動を止める!

 

「『光の太刀』!」

「舐めるんじゃないよ!」

 

 作り直してもらったルーデウス謹製の胸鎧も砕かれ、血塗れになるのと引き換えに間合いを詰めて放った光の太刀を、レイダさんは容易く受け流した。

 そのままカウンターの一撃が私を襲う。

 

「!」

 

 これは避け切れない。

 避け切れないけど、回避行動を取ればその分だけ傷を浅くすることはできる。

 でも、それじゃあ、血塗れになった分だけ私が一方的に不利になるだけだ。

 切り札を使うって手もあるけど……まだ今じゃない。

 ここで使っても、今までの奮闘に見合うだけの成果は出せない。

 

「ふんッ!」

 

 だから私は覚悟を決めて、更に前に出ながらカウンターの斬撃を右肩で受けた。

 間合いの内に入ることで斬撃の威力を殺し、振り切った剣の代わりに左肩から体当たり。

 北神流『当身』!

 そして、もう一発!

 

「『光の太刀』!」

「ぬぅ!?」

 

 体当たりで体勢を崩したレイダさんに向かって、下段から二撃目の光の太刀!

 さすがのレイダさんでも、体勢が崩れたところに放たれた剣帝級の光の太刀を完璧には受け流し切れずに、脇腹にそこそこの傷が刻まれた。

 代償に私の右肩がバッサリとやられて、二撃目の光の太刀を最後に限界を迎えて動かなくなったけど、剥奪剣で血塗れにされた傷と一緒に上級治癒で無理矢理治す!

 

 ただ、上級魔術は魔力の消費量も相応に多い。

 満タンの状態からでも20回は使えない。

 今ので私の残り魔力は……体感で6割ってところかな。

 レイダさんに与えたダメージに見合ってるかというと微妙なところ。

 でも、一方的に不利ってほどじゃないはずだ。

 

「痛いじゃないかい!」

「お互い様!」

 

 今の攻防でレイダさんは痛みと出血、私は魔力の大量消費という負債をそれぞれ新たに背負って戦いを続行。

 

「北神流『幻惑歩法』!」

 

 私は右に左に前に後ろにと、僅かに体をぶれさせて狙いを散らしつつも、ほぼ直線距離でレイダさんに向かっていく。

 側面や背後を取る戦術は、全くの無駄とは言わないけど、レイダさん相手には効果が薄いからだ。

 レイダさんには剥奪剣界の元になったもう一つの技、前後左右上下、どこからの攻撃に対しても同じ体勢からカウンターを放てる奥義『剣界』がある。

 おまけに接近に時間をかければ、また剥奪剣の構えを許すだけだ。

 

 だからこその直線距離!

 ほぼ最短距離で間合いを詰めて斬る!

 ……というのを何回もやっておいてかーらーのー!

 

「む!?」

 

 私はレイダさんに斬りかかる直前で大きく右に曲がった。

 そこから更に衝撃波を右から自分にぶつけて左に曲がる。

 ジグザグの軌道を描いた二段階のフェイント!

 レイダさんの目算を狂わせて、そこからの『光の太刀』!

 

「この……ッ!?」

 

 これでもまだ裏をかき切れず、光の太刀に対する受け流しが普通に間に合いそうだったレイダさんが目を見開いた。

 何故か?

 私が光の太刀を放つと見せかけて、振り下ろした剣を途中で手放したからだ。

 レイダさんの受け流しは手放された剣に対してのみ決まり、私自身は身を屈めて横から手刀を放つ!

 北神流奥義!

 

「『朧十文字』!」

「がはっ!?」

 

 さっき斬った脇腹の傷にクリーンヒット!!

 やっと完全に裏をかけた!

 かなり無理な体勢から放ったからそんなに威力は出せなかったけど、傷口を抉るには充分すぎる。

 

 レイダさんは脇腹から血をダバダバと撒き散らしながら吹っ飛び……ただではやられないとばかりに、相討ちのカウンタースラッシュで私の右眼を斬り裂いた。

 

「うぐっ!?」

 

 目が!?

 というか、魔眼をやられた!

 魔眼で闘気の流れから動きを先読みしてた私は、これで一手反応が遅くなってしまう。

 上級治癒じゃ欠損は治せないし、本当にやられた!

 

 だけど、レイダさんの傷だって、致命傷じゃないけど決して浅くはない。

 そのダメージにつけ込むように、私は空中で手放した剣をキャッチして、吹っ飛ばしたレイダさんに再接近する。

 

 レイダさんが痛みを堪えながら構えを取った。

 その構えは水神流の基礎にして奥義である技。

 私もよく使う『流』の構え。

 

 前にイゾルテさんに聞いたけど、『水神』という称号を得るためには、流派で一番強い剣士になると共に、水神流の五つの奥義のうち三つ以上を習得しないといけないらしい。

 当代水神レイダ・リィアが覚えている奥義は三つ。

 最も困難と言われる『剥奪剣』と『剣界』。そして基礎にして奥義である『流』。

 

 ただ、『流』は本当に水神流の基本技だ。

 それこそ覚えたての初級ですら使ってくる。

 昔のルーデウスですら使ってきた。

 そんな基本技を『極めた』と言えるレベルにまで磨き上げた時、『流』は初めて真の意味での奥義となるのだ。

 

 つまり、これはレイダさんが最も使い込み、最も慣れ親しんだ技。

 剥奪剣界以上に水神を象徴する技。

 これを破るのは困難を極めるだろう。

 

 それに対して、私は走りながら剣を大上段に構えた。

 レイダさんの『流』に対して、私が選んだ技は北神流最高の奥義の下位に位置する技『烈断』。

 巨大な斬撃を放つ技。

 ただし、それは烈断を斬撃飛ばしで使用した場合の話だ。

 直接刃で斬りつけた時の烈断は、防御不能の超火力の剣と化す。

 

 つまり、私が選んだのは力押しだ。

 レイダさんが柔よく剛を制すのなら、私は剛よく柔を断つ。

 本当なら北神流最高の奥義である『破断』でいきたかったんだけど、未だに溜め無しで破断を放てない未熟な我が身だから、仕方なく妥協した。

 

 本来なら、こんな選択は水神流のいい鴨だ。

 力技で水神を倒せるなら最初からやってる。

 だからこそ、今までは私もフェイントと光の太刀をメインウェポンに据えてきた。

 

 でも、その傷付いた体で、吹っ飛ばされて崩れ切った体勢で、果たして本当に受け流せる?

 生まれついての馬鹿力を、大物殺しの北神カールマン二世の必殺技で昇華させた、私の渾身の一撃を。

 

 受け流せるものなら受け流してみろ。

 そんな私の意思を感じ取ったのか、レイダさんがまるでガルさんのように「面白い」と言わんばかりの壮絶な笑みを浮かべた。

 

「北神流奥義『烈断』!!」

「水神流奥義『流』!!」

 

 力の象徴と、受け流しの極致がぶつかった。

 互いの剣がぶつかった瞬間は、時間にしてコンマ数秒もない。

 だけど、私達にはその時間が永遠に思えるほど長く、時が止まったかのように詳細に互いの技を感じ取ることができた。

 

 私の剣にレイダさんの剣が押し込まれる。

 完全には受け流せてない。

 でも、その軌道は徐々に歪められていく。

 完全に押し切れてもいない。

 

 受け流される前に押し込めるか、押し込まれる前に受け流すか。

 そんな互いの奥義の攻防は……予想外の形で決着した。

 

 私の剣が砕け散ることによって。

 

「「!?」」

 

 その現象に、私とレイダさんはお互いに驚愕した。

 剣が砕けた。

 それは別に不思議なことじゃない。

 私の剣は、師匠から10歳の誕生日プレゼントとして貰った剣だ。

 魔剣でもなければ業物でもない。

 悪くはないけど良くもない、どこにでもある普通の剣。

 

 そんな剣に随分と無茶をさせてきた。

 いくら龍聖闘気もどきを纏わせて強度を上げてたとはいえ、紛争地帯での戦争に使い、アリエル様を狙う暗殺者との戦いで使い、中央大陸を旅する道中で何度も使い、ベガリット大陸の強い魔物を倒すためにも何度も使い。

 世界最強の王竜剣との稽古で使い、迷宮攻略で使い、剣神との試合で使い、龍神の理を超越した刃とすら接触し。

 むしろ、ここまでやってまだ手入れの時に寿命が見えなかったのは龍聖闘気もどきヤバいとしか言いようがないけど、それも今回の水神との戦いで急速に寿命を削って限界を迎えたのだろう。

 

 レイダさんが勝利を確信したような顔になった。

 オルステッドと戦った時のシャンドルみたいに、力の集中点である剣を失ったことで私の奥義は霧散し、レイダさんは『流』の真骨頂であるカウンターを何の憂いもなく振るえる。

 残心を強く心がけてる達人剣士ですら勝利を確信してしまうほどの致命の隙。

 

 レイダさんの剣が、ギロチンの刃のように私の首に振り下ろされた。

 鮮血が舞った。

 

「エミリーーーーー!!」

 

 姉の声が聞こえる。

 悲鳴だ。

 今のを見ちゃったらしい。

 悪いことした。

 

「ごめんね、シル……」

 

 本当にごめんね。

 

 ━━紛らわしいことして。

 

「なっ!?」

 

 レイダさんが驚愕の声を上げる。

 何故か?

 それは水神ともあろうお方の剣が、私の首を両断できなかったからだ。

 

 筋肉を斬り裂き、動脈に刃が達して血がビュービューと出てるけど、切断はされてない。

 私の首は、神級剣士の完璧な斬撃の直撃を防いでいた。

 すぐに治癒魔術を使えば命も繋がる。

 

 そんなダメージしか入らなかった理由は「ここだ!」と思った私が切り札を使ったからだ。

 剣が砕けた瞬間、私は体を守る龍聖闘気もどきの精度を上げた。

 更にそれを不治瑕なんてとんでもないことまでできる北神流の闘気コントロールによって首筋に集中させて、レイダさんの剣をガードしたのだ。

 

 今の私の龍聖闘気もどきは、本家本元(オルステッド)のお手本をもう一度、しかも今度は味方としてマジマジと観察させてもらったおかげで、かなり上達してる。

 だけど、この戦いでは剣の聖地にいた頃よりちょっと上くらいの精度で使ってた。

 ここぞという時に本来の精度に上げて、レイダさんを驚愕させて隙を作るために。

 目先の有利を捨ててでも、知られてないっていうアドバンテージを最大限に活かすために。

 

 その作戦は成功した。

 剣が折れたのは想定外だったけど、私ですら想定外だったからこそ、より強く誘えたレイダさんの動揺。

 傷付けられて追い詰められ、奥義の打ち合いに全神経を集中し、剣が折れて驚愕し、勝利を確信して油断し、予想外の手応えに動揺し。

 今、レイダさんの精神は揺さぶられに揺さぶられまくってる。

 そして、北神流にはそういう時に真価を発揮する技がある!

 

 私は残った剣の持ち手を手放し、レイダさんの目の前で、目と鼻の先で、両掌を強く打ちつけた。

 

「!!??」

 

 パンッという乾いた音が鳴る。

 普通に聞く分にはちょっと驚く程度で、だけど精神が乱れてるところに最も脆いタイミングでぶつけられると、とんでもない爆音に聞こえると我が身をもって経験してる音が。

 それによって、レイダさんの目の焦点がぶれ、意識が遠退いていくのがわかった。

 

 北神流『柏手』!

 

 初めてシャンドルに会った時にやられた、音に魔力を乗せて相手の意識を揺さぶる技。

 使う機会があんまり無くて、レイダさんにも見せたことなかった技。

 この隠し球を確実に通すために、防御力減少なんて危ない橋を渡ってまで、龍聖闘気もどきの出力を下げたのだ。

 これが私の秘策! 真の切り札!

 格上を倒すための奥の手!

 

 本当はさっきの奥義のぶつかり合いで押し切れるのが理想だったんだけど、相手は当代最強の剣士の一人。

 舐めてかかれるわけがない。

 100%押し切れるなんて思うのは傲慢だ。

 最強剣士とぶつかり合うなら、保険の一つくらい残しておくに決まってる!

 

「くっ……!」

 

 だけど、さすがは水神というべきか。 

 私が一発で気絶させられた技を受けても、まだ意識を保ち、すぐに体勢を立て直そうとしてた。

 でも遅い!

 これだけ隙があれば充分!

 

「北神流『簒奪』!」

 

 武器を失った時に相手の武器を奪って代用する北神流の技を使って、力の抜けたレイダさんの手から、私の首にめり込んでる剣を簒奪した。

 発動が簡単で早い初級治癒魔術で首の応急処置をしつつ、そのまま構えて光の太刀!

 さらばだ、レイダさん!

 

「ぬぅっ!?」

 

 しかし、レイダさんはギリギリでこれを受け流した。

 素手で水神流の技を使ったのだ。

 でも、さすがに龍聖闘気もどきを纏えないレイダさんが素手で、しかも柏手の影響が残った状態で剣帝級の光の太刀を完璧に受け流すことはできず、命拾いの代償に剣士の命である両腕を失った。

 

 そのまま尻もちをつくレイダさん。

 勝ったとは思わない。

 そう思わせておいて油断させて逆転したのは、他ならぬ私だ。

 強敵に敬意を表して、きちんとトドメを刺しにいく。

 

 レイダさんの首筋を狙って光の太刀を放った。

 両腕を失っては受け流すこともできず、尻もちをついた体勢では避けることもできない。

 それでも一切油断せずに、レイダさんの首が両断されるその瞬間まで、私は気を引き締めて……

 

 

「お、お婆ちゃん!!!」

 

 

 その瞬間、イゾルテさんのそんな声が聞こえてきて。

 ピタリと、レイダさんの首筋に少しだけめり込んだ剣を、私は止めてしまった。

 

「……甘いねぇ。情に絆されてトドメを刺せなかったのかい?」

「違う」

 

 完全に死ぬ寸前だったのに、ふてぶてしい顔で私に不満そうな目を向けてくるレイダさんにそう返す。

 別に言い訳じゃなくて本心だ。

 だって、

 

「さすがに、疲れた。ここから、イゾルテさんと、連戦は、キツい」

 

 私はレイダさんへのトドメを中断して、上級治癒で治せる傷を完全に治す。

 だけど、失った魔眼も血も体力も魔力も戻らない。

 特に血だ。さすがに血を流しすぎた。

 そのせいで酷く寒い。

 頭がクラクラするし、目も霞む。

 

 そんな私に対して、イゾルテさんは腰が抜けた感じでへたり込んでたけど、その体に大した傷はない。

 一方、イゾルテさんの相手をしてた姉の方は傷だらけだ。

 

 もし私がレイダさんを殺してたら、イゾルテさんは無理矢理姉を振り切って、仇討ちのモチベーションマックスの状態で、疲弊した私の前に立ち塞がってただろう。

 そうなったら死んでたかもしれない。

 咄嗟にそこまで考えが及んだわけじゃないけど、レイダさんを殺したらヤバいと私の生存本能が叫んだのだ。

 

「それに、結局、これで、私達の、勝ち」

「……そうみたいだね」

 

 イゾルテさんはへたり込んで、姉に魔術で剣を弾き飛ばされた上で杖を突きつけられてる。

 これ以上戦うつもりもなさそう。

 元々よくわかんないまま戦ってたから、そこまでのモチベーションがなかったんだと思う。

 

 オーベールさんはなんか壁にめり込んでて、その隙にギレーヌがダリウスに剣を振りかぶってた。

 もう一人(二人?)の護衛のナックルガードは、師匠達を相手するのに精一杯で、ダリウスを助ける余裕がない。

 

 そして、私達が見てる前で、ダリウスがギレーヌに斬られて逝った。

 なんか命乞いしてたけど、聞く耳持たずだった。

 むしろ、直前でギレーヌの怒りゲージが更に振り切れたように見える。

 

「レイダさん達の、雇い主って、誰?」

「ダリウスさね」

「じゃあ、もう、戦う、理由、ない」

 

 仇討ちまで契約に含まれてるなら話は別だけど。

 

「……あたしはあいつに恩があったんだけどねぇ。まあ、腕を斬り飛ばされちゃ仇討ちもできやしないか」

 

 そう言って、レイダさんは疲れたように体から力を抜いた。

 降参と取ってよさそう。

 私は初級治癒をレイダさんにかけて、とりあえず出血だけ止めた。

 人間、頑張れば足だけでも戦えるから、念のために治療は最低限だ。

 

 これにて完全勝利。

 ダリウスは失脚した上にお亡くなりになり、グラードンは真っ白に燃え尽きてる。

 アリエル様も普通に無事で、見た感じこっち側の死者もゼロ。

 あ、いや、ペルギウスさんの精霊が二人くらいお亡くなりになってたか。

 

 でも、その代わりに敵戦力は全員無力化された。

 レイダさんは両腕斬り飛ばされて戦意喪失。

 オーベールさんとナックルガードも、やっぱり雇い主が死んだからか投降した。

 イゾルテさんは元々戦う理由すら無かったんだから語るまでもない。

 

 戦闘終了だ。

 オルステッドも戦わずに済んだし、初任務は大成功と言っていいと思う。

 これ以上の問題なんて、もう何も……

 

「アリエル様! おめでとうございます! このピレモン、この日をどれだけ待ちわびたことか!」

 

 あ、ピレモンさんのこと忘れてた。




ウィ・ター「最後まで出番が無かった……」


おまけ

龍聖闘気学習中の一幕

エミリー「ジー」
オルステッド「…………」(ロリに至近距離から見つめられて気まずい)
エミリー「ジー」
オルステッド「…………」(ロリに数時間ずっと無言で見つめられてとても気まずい)
エミリー「これを、こう」(龍聖闘気もどき進化中)
オルステッド「!?」
エミリー「それで、こう」(龍聖闘気もどき進化中)
オルステッド「!!?」
エミリー「できた」(龍聖闘気もどきアップデート完了)
オルステッド(もう、こいつ一人でいいのでは……)
エミリー「明日も、よろしく」
オルステッド(白目)
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