トレギアだけど、元の宇宙に帰りたい   作:鵺崎ミル

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次章への繋ぎ、と言う名の現在のオレギアさんについての話。


気に入った星に何度も足を運ぶってあるよねbyトレギア

 ─とある宇宙のとある地球─

 

「焼けたぞグリムド」

「o(*゚▽゚*)o♪」

 

 俺の言葉に、内にいるグリムドから期待と喜びが渦を巻いた感情が伝わってきた。

 焼き上がり、脂の滴る肉からはなんとも香ばしい匂いが漂い、食欲と期待を刺激する。

 店が自慢する秘伝のタレを絡ませて、急かされるまでもなく、既に待ち切れない様子の口へと運ぶ。

 

「うまい!」

「d(^_^o)」

 

 思わず叫ぶほどの美味が、口から全身を刺激していく。期待通りの旨さだ!! 

 一度覚えたこの歓喜の味わいを、何度も摂取するべく肉を焼き、食べる。止まらない。この突き進む衝動はもはや宇宙を走る彗星だ!! 

 

「なんと、肉だけではない。野菜も恐るべし旨味だ! 食感の違いが、食事全体を飽きさせないッ!!」

 

 食べながらにして気づく。焼肉という主題においても、野菜はただの肉のオマケというわけではない。

 焼く事でより美味しくなる野菜、焼かずに肉と共に味わうことで相乗効果を数段まで高める野菜、素晴らしい。しっかり主役を支えている! 

 

「そうか、この米もまた肉の旨味を引き立てているのか! ともすれば濃すぎるタレを上手に緩和しつつ、米そのものの優しい甘味が新たな喜びを口内に生み出しているのだ!」

「(・ω・)ノ旦」

「ああ、この飲み物も良い。舌上や喉を流れてリセットしつつ、胃への負担も抑えてくれるようだ。お茶というものが、種類によってここまで効能も味わいも違うとは」

「(`・ω・´)」

「ああ、もっとだ! もっと食べよう!!」

 

 満たされる心が歯止めをかけるまで、この箸は止まらないと誓おう!! 俺は、ウルトラマンだ!!! 

 

 

【挿絵表示】

 

 

 ◇

 

 

 

 我ながら呆れるほど食べてしまった。ウルトラ念力で消化を早めることにする。だがこの満足感はしっかり残って気持ちが良い。

 素材のレベルを無視すれば、料理の味わいとは複雑な工程と繊細な技術で差が大きいものと考えていた。だが肉を自ら焼き、存分に食らうというシンプルな工程だけでここまで満足できるとは。また学ばせてもらった。タレは流石に複雑なのだろうがな。

 サザエのつぼ焼きも絶品だったが、この満腹感や豊かなバリエーションは楽しめなかったからな。思えばあれも単体ではなく他にも具材か別の料理を用意するべきだったのだろう。そもそもウーラーの落下で中断したし。

 

 ちなみにグリムドだが、相変わらず俺の内から食の娯楽を堪能している。直接味わってみればよいと思うのだが、グリムドからすれば「グリムドと共に味わいたい気持ち」「俺が美味しいものを味わう気持ち」「俺の味覚を通して得られる美味」で3得らしく封印限定解除してまで得られる旨味はないそうだ。味覚能力の違いは盲点だったなぁ。

 

「1人なのに2人という意味では、グリムドと共に在れる今は良いものなのだろうな。俺はあれを大人数で食べたいとは思えないし」

「(・ω・)♪」

「だがやはりタロウと共に味わいたくもある。そうだ、タロウに俺の焼いた肉を食べてもらえるということではないか!?」

 

 そう思うとやっぱり良いな、焼肉!! 

 タロウはウルトラ兄弟を地球で出迎えた際にBBQの方で歓迎したそうだが、俺はさっきみたいな良い焼肉店で誘いたいところだ。

 帰還した際の楽しみがまた1つ増えたことで一層気分が良くなった俺は鼻歌すら交えつつ軽やかに歩く。

 

 ただ、元の世界に繋がる収獲は現時点で0だ。この焼肉も実は落ち込んだ気分を取り戻すために足を運んだのがきっかけだったりする。

 並行世界転移論の資料とか、次元転移のビーコン発掘方法とかが欲しいが手がかりすらなく、前世地球人という要素から『転生掲示板』とか『転生させまくる自称神様』とかも探しているのだがこれも見つからない。

 絶対にあるはずだし、繋がれば一気に進展が見込めそうなんだが……。あと他に前世の記憶持ちっぽい知的生命体とも出会えていない。

 グリムドの能力で創造した魔法空間にて帰還へ繋げる為の各分野研究・開発も行っているが、これも資料不足で全く進んでいない。

 

 ちなみにこの宇宙、光の国はないが、銀河連邦の力が強い世界線だった。わざわざ要らぬトラブルに首を突っ込みたくないので、主要惑星にて情報収集を終えて即地球へ移動した次第である。

 

 ディファレーター光線だけでなく、グリムドの恩恵でも活動している俺からすれば、ディファレーター光線重視の環境選びをしなくて済むので地球は最良の拠点なのだ。

 

「それにしても、これまで渡った世界線の全てで手掛かり成果無しとはな」

「(;ω;)」

「なに、無駄ではなかったから良いじゃないか。色々新鮮な経験もした」

「(*・▽・)」

 

 これまでの道程をふと振り返る。

 自称究極生命体から必死に逃げ切った先の世界が、なんというか、『世界』の広さを思い知るものだった。

 

 

 なんかウルトラマン達が忍者やってた。

 

 

 異世界転移なめてたよ俺は。絶句しつつまさかと思って前世記憶漁ったらこの世界も創作物として世に広まってたからな。この世界のタロウに話しかけようか悩んで裏通りでドキドキしていたら、脳みそをメロンパンと詰め替えたようなマンに見つかり追いかけ回された。虞璃夢戸手裏剣(グリムドシュリケン)全部弾き落とされた、なんだあいつ。

 普通に犯罪まがいというか卑しい思考回路も有していたのであれが同じウルトラ族とは思いたくなかったが現実は非情だ。良く言えば地球人のような精神性を手に入れているとも言えるが。

 

 続いて転移すれば、M78星雲にある怪獣惑星ソーキンが爆発するとかいう大事件が起きた世界線だった。爆発の際に宇宙へ四散したソーキン出身怪獣達の駆除を目的に、ウルトラ戦士3人が怪獣を追いかけ地球へ降り立っていた。通常戦闘形態が70mという光の国出身ウルトラ戦士とは思えぬ体格の良さに驚いたものだ。俺は知らないけど、元の宇宙でも彼等は光の国にいるんだろうか。

 嬉しいことに、ここでは誤解なく共にアメリカを乱す怪獣達を一緒に討滅することになった。トレギアが馬鹿やってない世界線って素敵(この世界にはそもそも俺がいない様だったが)。体内に原初の混沌を封印している事を、宇宙平和の為の使命と勝手に納得されたが、正直思いつかなかった発想なので、言い訳を要した際は使おうと思ってる。間違ってはいないからな(解放されたグリムドが抑える気無くしたら世界がヤバい)。

 ただ、正直俺いらなかったな。3人強いんだ。合体光線すごかった。

 事件も一段落して、笑顔で別れて転移する際には「元の世界へ帰れると良いな!」と応援してくれたのが嬉しい。

 

 

 次に転移した先の宇宙では地球支配しようとしてたバット星人に遭遇した。普通に現行犯だったのもあり、そいつ消しとばして宇宙船を鹵獲、ついでのように中に保管されていたゼットンを捕まえたりもした。

 かつて帰還後に光の国のアーカイブで確認したハイパーゼットン事件なのはほぼ間違いなく、この世界線におけるウルトラマンサーガを潰してしまった気もするが、他の事件が原因でサーガに至るだろう。大きな出来事ほど、運命の修正力は強く働きがちだからな。悲しいかな、宇宙はハイパーゼットンの代替になりうるヤバい連中で満ちている。

 

 ちなみにゼットンは怪獣リング化してある。怪獣カプセルにしてもよかったが、利便性が全然違うからな……。

 あ、ゴロサンダーリングは回復するまで預かってます。使えないものタイガへ返しても申し訳ないし。

 

 

 それからは20程世界転移を繰り返したが、大きな成果は無しだ。

 ウルトラマンが忍者やってた世界のように単独で『世界』となっているものもあれば、馴染み深い『多次元宇宙な世界』もあって、全く飽きさせない旅だが進展0は堪える。

 多次元宇宙では1つの世界におけるM78スペースの有無を確認し、俺の宇宙ではないと落胆し、世界転移技術の情報を求めてさらに複数の宇宙へ転移するといった流れを繰り返している。そのせいか最近は光の国はおろか、ウルトラ戦士の痕跡すら見えない世界や宇宙が続いている。

 思ったよりズレてきている自覚はあるので、一度あのタイガ達のいる世界に戻るべきかもな。ただ、またあの変な自称究極生命体に絡まれたくないので、しばらく粘っていきたい。

 

「この地球の不穏因子もないし、明日には次の世界へ転移しようか」

「ヽ( ̄▽ ̄)ノ」

 

 ちなみに地球は地球で色んな事件が起きている。ウルトラ戦士のいない地球は、宇宙人が侵略していたり、怪獣が暴れていたり、なんかロボット組み上げて戦争していたり、色々カオスだった。真面目におかしくないか地球。降り立った地球の全てで何かしら大きな事件が起きてるぞ。

 流石に宇宙人侵略案件と怪獣が暴れる案件はいくつか関わったが、ロボットの方は過度な干渉とみて距離を置いた。ウルトラマンとしてのスタンスを守る意味が大きかったが、きっといつかは美しい未来を手にすると人類を信じているからだ。

 

 介入案件では、宇宙人の方はいずれも割とどうにでもなったのだが(地球人に背中から撃たれたりはした。これはしょうがない)、怪獣の方は1体だけ死にかける羽目になった。あれは2度と戦いたくない。打ち倒され、カラータイマーごと砕かれそうになる寸前、地球人側が頑張ってくれてどうにか撃退できた。地球人の底力と忍耐力、輝きをあれ程痛感した事はない。助けるどころか守られた感謝は忘れない。

 

「明日はどんな世界に着くことやら……理想は元の世界、次点は地球があってご飯の美味しい世界だな」

「(`・ω・´)」

 

 裏路地を通り、歩きながら魔法空間へ移動する。

 グリムドの力で存在している、干渉などまずされない安住の宿だ。サイケデリックな色をした混沌が距離感というものを曖昧にしているのでたまに感覚を掴み損ねると二次元に囚われたような錯覚を生じるのが難点。

 

 なので、開き直って空間内に家(地球人サイズ用)を建てた。

 

 タロウが遊びに来た時を想定しながら地球人の家を模した造形に仕上げていくのは楽しかったな。場合によってはこの家を外での偽装拠点として出現させる事も想定している。まだ試行実験はしていないが、廃墟区画を乗っ取って出現させつつ認識阻害を展開すれば良いはずだ。

 ちなみに魔法空間は色んなアイテム溜め込んでる倉庫も兼ねており、最近増えたバット星人の次元転移機能付き宇宙船がぷかぷか浮かんでいる。闇堕ち俺が暗躍の為に貯め込んだ物資もまだまだ大量にある。グリムド曰く、望む限り拡張できるらしい。少し引いた。

 

 霧崎の姿は維持したまま、家へ上がる。靴を脱いだら反対に回すのが地球人だ。続いてバスルームなどを模した区画にて、地球人の慣習を癖にするべく、入浴だの口腔ケアだの顔面ケアだのといった整容行為を意識的に執り行っていく。

 地球人用の家にしてあるのは、このように異星人だとバレないようにする訓練も兼ねている。

 本質はウルトラマンの肉体なので本当に地球人のフリとして身につける以上の意味はない。絶対安全の空間だからこそ練習感覚でできるというもの。

 ふとした部分で地球人に異物だとバレかねないのは温泉で学んでいる。外でそういったミスをしないためにも必要な事だ。正直手間だが。

 

 一段落してからやっとトレギアアイを取り出す。

 地球人ムーヴの練習が済んだ以上、もう霧崎の姿を取ることもない為、さっさと元に戻る。

 変身と同時にへばりつく仮面を砕くように外せば、顔だけアーリーな今のスタイルだ。ついでに右腕はタイガスパークを付けている。これを介して怪獣リングの技を使う方がリングも負担にならないし、アナストロフィへ変身する際には現状必須だ。いずれはデフォで元の姿にありたいというのもあるが、グリムドと共にあるためにもしっかり使いこなしたい。

 

 ……うん、トレギアアイに代わるアイテム作成難航してます。手間を省きたいが、せっかくだから拡張性欲しいなとタイガスパークを元にあれこれ捻っているが中々しっくり来ない。タロウが変身に用いていたウルトラバッジにしようとしたけど、その拡張性の問題で泣く泣く断念した経緯がある。

 一度グリムドのセンスに任せてデザイン整えてみたら、一つ目がギョロついてて肉塊がへばりついた銃器みたいなものになったので速攻ボツにした。グリムドは泣いていた。

 

「さて、と」

 

 やっと本命。

 寝室へ向かえば光の国で慣れ親しんだスリープ用のカプセルベッドだ。

 そこにタロウプリントカバーをつけた敷布団、タロウプリント枕、タロウ刺繍タオルケット、タロウのぬいぐるみ、タロウのフィギュアを丁寧に配置していく。そしてタロウなりきりセットパジャマ(ウルトラホーンフード付き)を着込み、タロウ抱き枕を抱えれば就寝準備は完了だ。

 

 うきうきと横になり、カプセルを閉じて休眠体勢を取る。

 

「タロウ、おやすみ」

「(; ・`д・´)」

 

 明日こそタロウに会えますように。

 そんなことを願いながら俺は今日の旅を終えていった。




満喫しまくってるオレギアさんとグリムドという繋ぎ回。
ついでに『オレギアさんが転移できる世界の幅と、その上で円谷ワールド関係以外でメイン回やるようなクロスオーバーはしない』という説明回でもあります。
理論上できちゃうので、ネタとして挟みましたが、こんな具合でさらっと流しました。
だからそっちの作品名は明言しないし断言もしません。明言しちゃうとネタ1回の為にクロスオーバータグ付ける必要ありそうですし。ヘビクラ隊長も頑張って明言さけてたし!

12/6追記
黒兎可様よりまた支援絵をいただきました!!ありがとうございます!!
本文中にも掲載させていただきました!!

【挿絵表示】


【挿絵表示】



・ウルトラマンが忍者な世界
ウルトラ忍法帖という作品。ボンボンに連載されていたギャグ漫画であり、シモネタにも偏ったり色々ハジけていた作品。だが、シリアスに偏ると王道展開と忍びとしての悲哀を見事に描いたりする。

・70m級ウルトラマン3人
ウルトラマンUSAというアニメ作品。実写で初登場した時は他ウルトラマン達と大して変わらないサイズだったので、滅茶苦茶でかいソーキンモンスターに併せて巨大化したのだと思われる。

・オレギアさん、戦力拡充する。
タルタルソースみたいな真似してるが、本人は元の宇宙に帰る手段を増やしたいだけ。バット星人の次元転移可能な宇宙船を改造して魔法空間とは別の拠点に利用。オマケで6V個体のゼットンも付いてきた。
魔法空間、地球人の家(イメージは拘りのマイホーム)、宇宙船と地味に充実している。

・オレギアさんが解決した宇宙人侵略案件
基本別に介入しなくても人類(USA)が勝てた系のタイプ(よくある映画)だが、1件だけバッドエンドを阻止している。

・オレギアさんが介入した怪獣案件
どこのどんな怪獣とは明言しないし、仔細も語らないが、王の異名が相応しいめちゃくちゃ強い怪獣が1体おり、そいつに殺されかかる。人類が助けなかったら死んでた。ボディ耐久値はウルトラ戦士の中でもクソザコという自覚が足りない。本人は「エリマキついてるやつはそんな強くなかったはずなのに」と言い訳している。
コレに関しては『舞台作品補正(舞台となる世界観に合わせての戦闘力や格の辻褄合わせ)』が働いてたら絶対勝てるわけないし、適用されてなくても普通に負けるレベルだと思います。

・ロボットで戦争してる世界
「ロボットじゃない、これはry」と答える該当世界は多そうですが、オレギアさん視点専門名称とか定義とか調べないままに距離を置いたからしょうがない。ウルトラマンは他種族の戦争には基本介入しない。異星からの侵略行為は介入する。

・タロウグッズ
ウルトラマンが創作になってた世界で買い込んだものが複数、残りは全部自作。
こうでもしないとタロウ分が不足して狂いそうになる本人なりの自衛行為。
この有様を見る時に沸きあがる感情を、グリムドは「ドン引き」だとは理解していない。
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