具体的にはアナストロフィの強化。グリムドとの絆という本質から本当の強化形態へ。
トレギア、修行を決意する
元の世界に帰る旅を始めて、主観による時間感覚では早くも数年がたった。
主観でしか語れないのは、あらゆる世界の時間基準で捉えることがほぼ無意味になっているからだ。世界を渡るということは、時空にも囚われない事を意味する。
例えば地球。ある宇宙では西暦2000年前後だが、ある宇宙では1950年程度……はたまたある宇宙ではまったく違う歴を用いていたり、まるで違う世界観を構築していたり、【その宇宙における時間軸と歴史】にしか沿っていない。
事実、元の世界における地球は俺がタロウと再会した時点で西暦6000年程だったはずだ。
既に地球人は数多の宇宙人と同じく宇宙開拓を進めて母星の外へ飛び出し繁栄している。
同一世界における別宇宙でこの有様だ。これに並行世界転移まで加えるのだから世界単位での時間進行すら当てにできなくなるわけだ。
ちなみに主観だと数年経過しているとは言ったが、あのタイガの世界に移動すればあのウーラー襲来から1ヵ月も経っていなかったりする。一度こっそり次元移動の調節目当てで戻った時に確認しているズレだ。思ったよりも大きいズレで驚いたものだ。
この時間のズレに関しては地球人の知識に照らし合わせれば、特殊相対性理論で最低限は語れると思うが、『宇宙包括宇宙』『世界間の溝』や『時空の適正移動』『42』といった、最低でも別宇宙への転移を可能とする科学力でなくば理解できない概念も使用するので、そういうものだと思ってもらうしかない。
もっともグリムドの力による転移は、その気になれば適正移動を無視して過去や未来にも転移できる次元転移でも最上級の能力なので時間差による絶望は生じないのだがな。
元の世界に帰ったらタロウが20万歳になってたとか嫌だし有難い話である。俺が体感20万歳になっているかもしれんが。
重ねて余談だが、俺は滞在した世界では今いる時間軸より過去には転移しない戒めを定めている。
過去に転移した時点で新たな並行世界が生じる世界分岐パターンならまだマシで『宇宙意志』とかが君臨してアカシックレコード*1を書き換えただのなんだの言い出したら最悪だからだ。困ったことに、運命絶対論とも言うべきアカシックレコードが存在する宇宙もあるからな……タイガの世界では未確認だが運命修正力があるのは確認済みなので、俺があの世界に戻る時間軸は、タイガと別れた後より過去は絶対に飛んではいけないのだ。
◇
「なんだあれは……地球が完全に砕けているじゃないか」
「(;´・ω・)」
今回訪れた世界はいつものように手がかりすらない外れだったが、飛び込んだ宇宙はなんと地球が滅んでいる世界線だった。
そういう宇宙もあるということこそ理解していたつもりだったが、グリムド共々落胆を隠せない。
「滅んだ理由など確かめたところで元凶居たら八つ当たりする気しか起きんな、やめておくか……切り替えよう」
「(・ω・)?」
地球が繁栄している宇宙へ移動してもよかったが、俺はある目的の為にこの宇宙を飛び回ることにした。深淵を目指すように銀河の内を突き進み、やがて生命のいない荒廃した岩石惑星に降り立った。適切な位置に恒星があり、適切な強度があり、適切な悪環境。理想的だ。
「よし、ここならばいいだろう」
目的とは、トレギア アナストロフィの更なる習熟と特訓だ。
元々ギーストロンに大苦戦したり、ニセベリアルには普通に殺されかけていたり、あの
あげく、ある世界ではなんかクッソ強い怪獣に殺されかかったからな。あの時は助けてくれてありがとう人類!!
俺の太陽と同じ立ち位置を目指すなんてまた闇堕ちしかねない真似はしないが、やはり最善は尽くさねばならない。
これまでも旅の合間に怪獣リングなどの戦力を拡充したり、アイテム開発したり、アナストロフィの習熟訓練は行っていたが、肝心要の戦闘経験はどうしてもおざなりだ。
そこで、グリムドの力を解放しても問題ないこの死に絶えた星で鍛錬に励もうというわけだ。
「鍛錬が一段落したら、怪獣相手に実戦を積まねばなるまい」
「(`・ω・´)」
「付き合ってくれるか、グリムド! ではいくぞ!!」
拘束ベルトパージ!
カラータイマーより出現するはグリムドアクセサリー!!
キャッチしてロード!!
Come on!!
ギュンギュンギュンギュン!
ギュピーン!
「邪神の根源、原初の混沌!! ウルトラマン トレギア──!!」
Ultraman Tregear Anastrophe
はい、先日立ち寄った地球で放映されていたウルトラマンを意識しました。
ああいう気持ちいいシャウトと共に変身するのは妙に惹かれるものがある。多分タロウのせいだ。
いつかあの、エタニティコアが地球にある宇宙にも顔を出すことがあるかもしれないな。
グリムドアーマーを身に纏い、構えを取る。
宇宙磁気嵐よりも苛烈なグリムドの力は、今は大人しい。
グリムドが俺の負担を気にして極限まで抑えてくれているからだ。まずはその枷を少しずつ外していっても問題ないようにすることと、俺自身の格闘センスを磨きあげねば。
さぁ、特訓だ!!
◇
「……今更だが、この星の上で時空歪ませたフィールド展開すればもっと影響なく濃縮した特訓できたかもしれない」
「(; ・ω・)」
「3年経ってから言うなだと? 返す言葉もないな」
俺は今、修行場となった星を後にして次なる世界へ渡る準備をしている。
修行は成長の実感があったのもあり、かなり集中した結果、あっという間に体感時間で3年ほど経過していた。
宇宙警備隊特訓にあるマニュアルを利用した自己鍛錬の他、グリムドが呼び寄せた宇宙怪獣たちと時折戦い、撃退または討滅を繰り返すことで実戦経験はほどよく積まれていったのが大きい。
慣れた頃合からグリムドの力を引き出してみたら、やり過ぎて星の表面が派手にえぐれたり、腕がねじ切れそうになったり、グリムドの力が精神に染み込んできて闇堕ちしそうになったりと苦戦したが、今では修行前と比べて格段にグリムドとの共闘を為せている。そこらに漂う名前もわからない宇宙怪獣ぐらいなら周辺被害なく勝てるようになってきた。
グリムドに吸い寄せられる宇宙怪獣は星に憑りついて暴れる魔獣に近い連中ばかりだったので、宇宙の平和に貢献している……はずなのだが。どうやら死に絶えた星だからと特に隠蔽することなく修行していたのが問題だったようで、ある日この宇宙の宇宙警備隊っぽい者たちが訪れてきた。
『銀河を荒らす邪悪な怪獣達を呼び寄せては殺して食らう邪神がいるという噂があって来たのですが』
『えっ』
『その邪な力……貴方が噂の邪神なのでしょうが、目的はなんなのでしょうか』
『いやあの……修行といいますか……』
『修行? すいません、今の時点で会話ができる知的生命体であるのはわかっていますが、身分証になるものはお持ちでしょうか』
『えー……この宇宙で適用できるかはわかりませんが……光の国において個人情報媒体になる類です。ご確認を』
『あ、すごい。純光エネルギーの結晶だ。なんでこんな素晴らしい技術があるのにそんな危険な力を宿しているんですか』
『いろいろありまして。この修行も、この力で世界が危なくならないように共に在る為にやっているんです』
『そうだったんですか……まぁ信じましょう。あなたの怪獣退治は銀河の平和に貢献していましたから。ただ、もう少し周辺星系に気を配ってください。アザトースが目覚めようとしているなどとかなり怖がられていましたよ』
『すみません、以後気を付けます』
というやりとりがあり、流石に居づらくなったので離れることにしたのである。
また1つ、タロウに聞かせられない思い出が増えてしまった……。うっかり口を滑らさないように気を付けよう。
「それはさておき、そろそろワンランク上の敵を相手にするべきだろうな」
辻斬りヒーローになるつもりはないが、俺はあらゆる世界を転移している身だ。修行を兼ねた世界巡りを行い、その世界の悪を討つという鍛錬をしても罰は当たらないだろう。
無限に等しい世界、無限に等しい並行世界なのだから……とはいえその世界の運命に干渉しうる事実について気にしていないと言えば嘘になるが。ただ、この辺気にしすぎると何もできなくなるし、そもそもタイガの物語に介入すると決めた時散々脳内討論している。結論は「俺が介入した世界は、俺が訪れることもまた運命」という詭弁の有効活用だ。
元の世界へ帰るという最終目標の為にも、強くならねばならない以上は光も闇もある混沌の道を歩むことを躊躇ってはならない!
「(/・ω・)/」
「ああ、グリムドなら今の俺に適した強豪怪獣と引き合わせることはたやすいだろう。次の世界はそれを優先した転移で頼めるか?」
「d( ̄  ̄)」
改めて決意を固めていると、グリムドから提案を振ってきた。強きものを引き寄せるように縁を紡ぐことは簡単なのだという。そこで、グリムドが丁度いい相手を選定し、該当世界ないし宇宙へ飛んで辻ファイトをするというものだ。
まさか俺の意図を汲んで案を用意するとは。原初の混沌相手に思うことではないが、成長したな……。知的生命体に対しての交流の最適化がここまで進んでいるとは。
「よし、じゃあやるぞグリムド! 俺たちの戦いはこれからだ!!」
「(`・ω・´)」
そうと決まれば話は早い。トレラ・スラーを介して、新たな世界の道へ飛び込む!
グリムドの誘導に従う様に身を任せつつ、トレギア アナストロフィへと姿を変える。
変身中に攻撃されると俺は普通に死ぬからな。耐久力や頑強さに関してはレッド族がおかしいんだと声を大にして言いたい。
「さて、どんな奴が相手なのやら……!」
グリムドアーマーを身に纏い、油断なく先を見据えて混沌の扉をくぐり抜ける。
飛び出した先は宇宙だ。至近距離に惑星はない。
ある意味ラッキーだ。目の前には既にグリムドが選んだと思わしき怪獣がいる。
「ツイフォ──ン……?」
唐突に出現した異物を前に、僅かな困惑を見せている異形の怪獣。
漆黒に輝く岩石質の肉体に、切っ先が鍵爪のように曲がりつつも全体が鋭い刃と化している両腕。薄膜ながら、鋭利さを感じる翼。鋭い1本角の下には全てを破壊しつくさんとする意志のみを宿す赤い凶悪な目。
アーカイブにあった彗星怪獣ドラコに似ているが、ただの怪獣とは違った異質な脅威を感じる。というか目視した時点から前世知識が全力で警報を鳴らしている。
『こいつはやばい』
……なぁグリムド。
お前本当に適切な怪獣を用意したのか? これ、俺が勝てる相手なのか?
「ツイフォーン!!!」
「やるしかないか!!」
初手真空波と思わしき無数の刃を飛ばしてきた怪獣を前に、俺は勢いよく吶喊をしかけた。
修行編開始。
ウルトラトレギアファイト5番勝負。
初戦 彗星戦神ツイフォン
オレギア「今の俺に適した怪獣って言ったよね!?」
グリムド「(・ω・)?」←ワンランク上の敵は用意したぞ?という顔
・宇宙や世界によって時間はバラバラ
ウルトラマンベリアル復活時期からして大怪獣バトル以後の時系列なのもあり、光の国がある宇宙での地球描写がもう描かれなくなって久しいのだが、それを問題なくするシステム。なんかだいたい2000~2021年ぐらいの地球があちこちの宇宙にある(ただし歴史がそれぞれ違っていたり、科学力に差があったりしている)。
オレギアさんが体感時間でしか語らなくなってる理由。タイガのいる世界へ移動した時、体感時間に合わせて時間経過しているということもない。移動時に適切な時間軸に出現することになる。その気になればアブソリューティアン達のように過去に出現とかもできるわけだが、トチ狂う原因やどんな災厄に繋がるかもわからない為、同一世界線では滞在してる時間軸より前に移動することは控えている。
ただ、あらゆる次元や時間が滅茶苦茶になった大事件が最低でも2度発生してるので、円谷ワールドでは時間や時空というのは割とかき乱されやすい存在だったりする。
ゼロはドラマCDのギャグ要素含めると割と自由に時間操作しているが、本当よく体力消耗以外のデメリットなく成し遂げているものである(やらかし案件はせいぜい範囲巻き戻しでベリアルが蘇ったぐらい)。
・オレギアどのくらい強くなったのか。
アナストロフィでもグリムド完全体の力を最大で50%までなら引き出しても問題ないようになった。その為、最大火力自体は原作トレギアを上回っている。修行万歳。
ただそれ以上だと制御が効かず、肉体や精神への反動ならマシなレベルで、グリムドの放つ力により周囲の生命が発狂または死亡する恐れが生じる。また、越えたのは火力ぐらいなもので総合戦闘力としてはまだまだ原作トレギアに及ばない。
原作トレギア、自分より強い相手には基本隙あらば逃げている印象はある。だが、逃げ切れず結局戦ったグルーブ戦では、自身のスペック完全に上回ってるグルーブやジードウルティメイトファイナル相手に技巧を駆使して互角に立ち回るほど(しかもジード相手には煽りながら戦う余裕すら見せた)だったので、やはり蓄積した経験値の差は大きい。ウルフェスで陛下と戦ったこともあったりする。自分が観た時は結構劣勢の印象だったがDVDの方だとそこそこ戦えてた。
・地球滅ぶ
そういう世界線もある。しょうがない。宇宙の業者が工事の邪魔だからと破壊したのかもしれないし、怪獣が暴れたのかもしれないし、財団に明日などなかったエンドだったのかもしれないし、人類がうっかり自滅したのかもしれない。
・この宇宙における宇宙警備隊ポジ
感情がダイレクトに伝わるテレパシーで会話していたのもあり、オレギアへ悪い誤解などはしなかったが、グリムドの力がやばすぎてドン引きしていた。穏便に済んだのは、お互いに争う気がなかったからにすぎない。血の気の多い奴が対応しなくてよかったと心から安堵している。
・彗星戦神ツイフォン
『ウルトラ超闘士激伝 OVA』に登場する、怪彗星ツイフォンの正体。
『ウルトラマン』で地球に接近した彗星ツイフォンがそのまま元ネタ、再接近は3026年7月2日午前8時5分に地球に衝突すると言われており丁度その時期として扱われている。
この世界線のウルトラ戦士や怪獣、宇宙人は鎧を纏った『闘士』として活躍しており、わかりやすく言えばドラゴンボールよろしくなバトル世界なのだが、このツイフォンはそういう世界へ乗り込んできた『劇場版ボス』に該当する。そう、クッソ強い。呆れるほど強い。初代ドラコとはなんだったんだと言うレベルである。
強ボスにありがちな『光線エネルギーなどを吸収して自己強化』という能力を有し、それで闘士達の攻撃を吸収、成長したあげく蹂躙する無双を成し遂げた。通常形態はまだドラコに似ていたが、第二形態であるスーパーツイフォンはもうブロリーみたいなのを怪獣化しましたといった印象の人型マッチョマンとなっている。殴られまくっているのに無表情ノーガードで受けてのダブルスレッジハンマーはやばい。
彗星としての外殻(巨大惑星級)は超闘士タロウに消し飛ばされたため、地球を新たな彗星ツイフォンにする動きこそみせたが、彼には明確な目的などはなく、ただ彗星として通る先のもの全てを破壊するだけという認識で活動している。
一度は超闘士ウルトラマンすら死へ追いやったが、ウルトラマンが地球の皆や仲間達の応援、激励、願いによるデルタスター超闘士ウルトラマン(物理攻撃完全無効特性付らしい。無効!?)へ覚醒、彼の手で敗北消滅する。
もしこの個体そのままかつスーパーツイフォンになったならば、真面目にオレギアさんはグリムド完全解放以外で勝ちの目がないが、グリムドはちゃんと考えている。
本作のこいつ、実はOVAから数万年前の個体。彗星外殻すら纏っておらず、生きた流れ星の伝説が宇宙に轟く前の幼年体。星を砕いて得たエネルギーもまだまだ少ない。