舞台が舞台なので大一番のくせに短いです。ご了承ください。
今年も幕を閉じる時が迫ってくる師走の晴れ模様。(CV:山田二郎アナ)
怪獣島もぼちぼち仕事納めへ向けた活動をしてほしい所でありますが、そもそも怪獣どもには仕事らしい仕事がない。年末調整と言われても首を傾げる荒くれものばかりであります。
喧嘩と侵略にノルマもクソもあるもんかと、朝から暴れる咆哮があちこちであがる始末です。どうしようもない。
“てめぇ、気にいらねぇ! ”
“こっちの台詞だこいつぅ! ”
派手に取っ組み合っておりますはエレキングとイカルスであります。どちらが発端になったかなど最早頭にすらありません。
喧嘩こそが唯一の娯楽だと言わんばかりの荒くれもの達には切っ掛けがあればいいのでしょう。
キン! (打撃音) キン! (打撃音)
鋭いストレート! 2連発! だがエレキング、持ち堪えます!
お返しだと勢いよくイカルスに掴みかかりました。
ドゴシャア! (転倒音)
投げ飛ばされましたイカルス。転がるところに追撃とばかりにエレキング蹴り上げます。
バキャア! (打撃音)
“やりやがったなこの野郎”
“ざまぁみやがれってんだ”
イカルス立ち上がりますがふらついております。
どうやら投げ飛ばされた時に頭を打ったようです。弱みを見せまいという姿勢ですが、そんなもん知るかとエレキングは容赦がありません。構えもおぼつかないイカルスに突進!
ドゴオッ!! (衝突音)
イカルス、立てません。勝利の雄叫びをあげますエレキング。
怪獣島の鐘を最初に鳴らしたのはエレキングでした。
“毎回毎回飽きないねあいつらは”
崖の上から戦いの一部始終を見ていましたウルトラセブン。闘争に明け暮れる怪獣達に呆れた様子で首を振っております。
だがその足元にはガッツ星人が突っ伏しています。どうやらセブンも既に1戦終えていた模様。最初の鐘を鳴らした本当の一番乗りはセブンだったようです。
「たのもーう!」
“なんだお前は”
突拍子もなく現れましたはなんとセブンと同じM78星雲人。
なんともごてごてした鎧をつけております。セブンも眉をひそめています。
「俺はウルトラマントレギア。別時空の光の国より挑みにきた!」
どうやらセブンの故郷から来た挑戦者であるようです。
“別時空だ? 適当なことほざいてやる事が果し合いとはふてぇ野郎だ”
「え、セブンってこんな荒っぽいやつだったか」
挑みにきたと息巻いた割にはビビっておりますトレギア。
そこへ飛びかかりますセブン、隙を晒す方が悪いと言わんばかりの猛攻であります。
ビシ! (打撃音) ビシ! (打撃音)
ドンギャ!! (打撃音)
「うわあー!」
“なんだ口ほどにもねぇ”
「なにをぉ!!」
ゴッ! (打撃音) ゴッ! (打撃音)
来て早々負けてはいられないと奮起しますトレギア、セブンへ掴みかかってパンチ! もう1発!
セブン、トレギアの腕を振り払い、受けた位置を抑えて少し下がりました。
思ったよりも重たい攻撃だったようです。
“ジュワ! ”
セブン、謎の怪電波を放ちました!
トレギアは避けます! 地面に落ちていた三度笠が燃え上がりました!
「え、え? 三度笠!? 三度笠ナンデ!?」
急に現れたかのように燃えている三度笠へ動揺が隠せないトレギア。
燃えゆく誰かの持ち物へ視線が外せない様子。そこへセブンがちょいちょいと肩を叩きます。
なんだと振り向いたそこへ顔面1発! トレギア倒れ込みます。
ゴシャアッ!! (転倒音)
なんとも卑怯でありますがこれは喧嘩の最中に意識を逸らす方が悪い。
セブンが立て続けに蹴りを入れて転がします。
「クッソ……!!」
自棄になったかトレギア、その場の岩を掴むとセブンへ向けて放り投げます。
セブン、容易く避けます! そして、転がったその岩を、掴みました! それでトレギアへ殴りつけます!
「ちょっ!?」
ガスッ! (打撃音) ガスッ! (打撃音)
「はな、れろぉ!」
ゲシィ! (打撃音)
トレギア、必死にセブンを蹴り上げましたが既に大分グロッキーだ。大丈夫か!
一方セブン、悠々と立ち上がっております。岩を放り捨て構えました。
“トドメだ!! ”
なんとか立ち上がろうと膝をつきながら体を起こそうとするトレギアへ容赦なく追い討ちをかけますセブン!
相手の膝を踏み台に1歩、そのまま膝蹴りをトレギアのこめかみへ叩きつけました。
ガゴォン!! (打撃音)
これぞウルトラシャイニングウィザード!!
トレギア、立てません。挑戦者を撃退し、怪獣島の王者はセブンがベルトを巻きました!
◇
─トレギアの魔法空間─
全ての戦いを終えた俺は、傷を癒しながらも静かに凹んでいた。
あれだけ修行や戦いによる経験を重ねてきたし、グリムドの力と俺の力を併せてアナストロフィの完成度を高めたというのに、セブンに文字通り瞬殺されたからだ。
「さすがは生涯現役。これは相手が悪かったゴロ」
「(;・∀・)」
「相手が悪いとか以前に強すぎるし怖すぎるだろ!! トラウマなるわあんなん!!」
実体化したゴロサンダーが慰めてくるし、グリムドも労わってくれているが俺の心は全く晴れない。タイラント相手でも折れなかった、積み上げた自信というものが砕かれるほどの完敗だ。
何故か一撃一撃がグリムドアーマーの防御貫通してきたおかげで数発貰っただけでグロッキーになったし、変な怪電波発してくるし、なんか三度笠燃えてるし、トドメの一撃めっちゃ痛かったし!!
あんな容赦ない奴が特訓指導したらそりゃ加減知らずにもなるわ!!
「宇宙人達ってよくあのセブン相手に挑もうとしたもんだな……ゴロサンダーお前挑んでみるか?」
「もう挑んだ後だぞ。宇宙陰陽の構えとかいう体勢とられて警戒してたらそのまま正面からぶちのめされたゴロ」
「えぇ……」
「ゴロロ……お前回収する為に実体化してグリムドに任せてから挑んだんだ。いや、強いなセブンは」
どこか満足気なゴロサンダーだが、俺はドン引きしている。
つまりあのセブン、ガッツ星人、俺、ゴロサンダーと連戦していずれも全勝したのか……格の違い思い知りますわ。
「で、再戦するか?」
「いや、いい……」
無性にタロウに慰めてもらいたい気分だ。
〆の一番を思いっきり間違えたと後悔している。
「(・ω・)ノ」
「……そうだな、気持ちのいい勝利を求めて始めた修行でもなかったな」
だが、どこまでも労わってくれるグリムドの優しさに、少し己を見つめ直すことができた。
修行の成果という実感を求めて挑んだのは事実だが、勝ちを求めて挑んだわけではない。
一切通用しなかったが、あれが1つの頂なのだと認識しつつ、1歩1歩進めていけばいいだけだ。
そう思えば、完敗も悪くはない経験だ。また同じ暴虐に晒されても、折れはしないと誓える。だってあのセブンより恐ろしい相手なんているわけがない。うん、前言撤回だ、〆の一番は間違ってなかった!
「だが流石に気分直しはしたいな。地球で何か食べるとしようか」
「(*・▽・)」
「ゴロッ♪」
地球で何か美味しいものを食べたら、また異世界転移だな。ただ、また一度タイガの世界へ顔を出すことも考えるか。
そろそろ向こうの時間で言えば半年が経つはずだ。グリムドに代わる凶悪怪獣が出現して劇場版展開などになっていたら流石に手助けせねばなるまい。
「ところでトレギア、食事に行くのは良いがその人形はなんだゴロ?」
「タロウフィギュアだが?」
「……いや、その。そんな何当たり前のことをとかいう顔されてもだな。食事に人形がいるのか?」
「タロウと一緒にご飯を食べる。タロウと料理を一緒に撮影する。タロウと一緒に食べる料理をまた1つ決める。お得しかないだろう」
「あ、はい」
「(; ・`ω・´)」
何故そんな顔するんだゴロサンダー? グリムドもよくわからない感情を送ってくるし。不思議だよな、タロウ。
そうだなトレギア! (脳内音声)
世界を渡っても微妙な雰囲気を崩さなかったゴロサンダー達だったが、K県で美味しいハヤシライスが味わえる店へと行くと舌鼓を打って大喜びしていた。
ただ、スタッフにも「え、タロウ? セブンじゃなくて?」と変なこと言われたが何故だろうか……。
セブンファンなのだろうが、俺は当分セブンはいいです、はい。
5番勝負戦績結果
4勝1敗
ウマ娘で言う、アオハル杯で5番目で黒星ついたアレ。
オレギアさんは気づいていないが、舞台作品補正かかってたのでグリムドの能力のほとんどが(予算の都合で)封殺されていた。そらパンチダメージ素通りする。
・舞台作品補正
メタ的には、クロスオーバー作品などで頻繁にみられる調整要素。物語の舞台となっている場所に適した性能や能力規模、また『主役補正』などそういった部分が影響される。二次創作では扱う作者の解釈と作風次第だが、近年の公式作品(特にソシャゲ系統など)では概ねちゃんとしたバランス調整がなされている。昔でも公式クロスでは面白い調整がされたりしている。ウルトラマンと共闘する為に仮面ライダーが巨大化したりな!!
円谷ワールド的には『各宇宙や世界の法則が違うために生じる活動や能力制限、または解放』という解釈になる。ウルトラファイトの世界観に殴りこんだらどんなに盛った設定だろうがそれは機能しない。勝つのはいかに喧嘩殺法に優れているか、ラフファイトが上手いか、(予算使わずに済む)必殺技が多いか、小道具(武装)の扱いが上手かにかかっている。岩や斧、木刀などが代表的だが一番強い武器はライフル。マシンガンみたいに扱えるともっと強い。セブンもライフルで狙われた時は流石に逃げ出している。
・ウルトラファイト
製作費実質0からスタートしたという伝説の5分番組。
山田二郎アナウンサーの名実況(ロクな台本もなくほぼアドリブだったらしい)が今日も怪獣島の喧嘩を彩る。
ウルトラマン、ウルトラセブンの本編戦闘分が無くなったらそのまま荒地で怪獣達やセブンの激闘劇が主流になった。
話ごとに地味に設定とか変わったりしているが、とりあえず怪獣達が元気よく暴れて戦っているのが観れればいいという開き直りに皆が乗った。
・ウルトラセブン(ウルトラファイト)
正義のヒーロー。最初は律儀に勝利のポーズ決めたら飛んで帰っていたが、そのうち面倒くさくなって住居を怪獣島へ移した。草原で昼寝したりしてる。
アギラを可愛がっており、アギラが悪いのにアギラ側に立って相手をボコったこともあったり、不意打ち含めたラフファイトも時には辞さない容赦のなさといい、正義の味方というよりガラの悪いヤ……ちょっとした不良の先輩みたいなムーヴが光る。というか怪獣同士が争って疲弊した隙を突いてぶち殺した話が2回ぐらいある。喧嘩諫めようとしたら殴られたのでブチ切れてその場の全員ぶちのめした話なんてのもある。正義のヒーローとは?
エレキングの睡眠の邪魔をした時は殴られ逆エビ食らいながらも謝り続けたりと自分の非に関しては素直に認めているあたり、その辺の矜持までは捨てていない。
・謎の怪電波
光線じゃなくて怪電波。初出は『ウルトラファイト 怨念! 小島の春』。腕をL字を組んで発射するわけだが、公式チャンネル曰く『L字を組んだからといってワイドショットとは限らない』。
キーラと三度笠を取り合いになったセブンが、三度笠をキーラなんぞに奪われて悔しい思いをするぐらいなら! と思ったかまでは不明だが、業を煮やしてこの怪電波を放出して三度笠を焼き払ってしまった。キーラが茫然としているシーンが印象的。正義のヒーローとは?
「これは俺のもんだ!」「おまえはどいてろ!」といつも以上に乱暴なセブンの台詞も飛び出す迷回。
・オレギアさん、凹む
大敗北したせいでまた情緒不安定発症してますが、総仕上げにセブン(しかもファイト世界)なんか対象にする方が悪い。知らぬこととはいえ、修行の成果が何一つ活かすことができない世界線で戦ったのだから是非もなし。でもこれで腐らないし変に光とか闇とか拗らせないのがトレギアの成長した証でもある。
頂を見つめても、コンプレックスに苦しまない。そういう部分を簡単でもいいから示したかった回です。
五番勝負は終わりましたが、番外編を挟もうかと思っています。師走で忙しくて次章が予定より書きあがっていないのもありますが。だから次章自体の投稿は来年かなぁ……。
次回
「(・ω・)」←〆の一番がこれでは納得いかない邪神。