なお、初GMの模様。
TV番組『ウルトラマンタイガ』。
記念すべき令和最初の物語であり、あのタロウの息子の物語として描かれたウルトラヒーロー特撮作品だ。
光の勇者ウルトラマンタイガ、力の賢者タイタス、風の覇者フーマ。そして地球人工藤ヒロユキを加えたチーム・トライスクワッド。彼らの絆の物語でもある。
トレギアの襲撃と陰謀により、栄えあるデビュー戦で全滅というえげつない扱いを受けた3人がアストラル粒子体のまま『宇宙人が密かに侵入し暮らしている地球のある宇宙』へたどり着き、12年の時が流れてから物語は始まる。
地球人ヒロユキは幼少期にタイガと一体化していたが、青年となって初めてコンタクトすることとなりタイガに変身。話の後味悪くするマン、トレギアの嫌がらせに対応しながらもタイタス、フーマが合流し物語は進む。
ヒロユキが所属する民間警護組織E.G.I.S.*1には過去に公安の立場で宇宙人と何度も関わってきた経験を持つ女社長佐々木カナ、元宇宙人ギャングだったアマヤルム星人の実働部隊員宗谷ホマレ、実は滅茶苦茶重大な役割を背負った惑星エオマップ製アンドロイド(女性型)のオペレーター旭川ピリカといった頼もしく大切な仲間達もいる。……純地球人ヒロユキ除いたら社長だけでは?
ともかくそんな彼らの絆とトライスクワッドの絆……その全てを紡いだ先に求めるハッピーエンドがあるわけだが、トレギアのせいでその結末までの道中は割と後味悪い展開が目立ち、その辺がファンの間で賛否両論だったこともあるらしい(by前世記憶)。
だが、そのトレギアと俺は別人だ。そしてこの番組は俺からすれば頼もしいシナリオブックだ。存分に活用して、ウーラーを救おう。その為ならば、望んで道化をやってやるさ。俺は俺の宿命を全うする。
宇宙警備隊落第のくせに光の戦士()らしくカッコつけたが、そもそも闇堕ちしてるのは俺だけど俺じゃないのでいいんだこれで。俺は、ウルトラマンだ!!
まぁこれからやるのはタロウの息子たるタイガに試練与える鬼畜の所業なんですが。ごめんタイガ、少なくとも前世記憶にあるような真似は必要最低限しかしないから……だから俺のことトレギアおじさんと呼んでくれないか。俺、タロウの親友だよ? タロウの息子からおじさんと呼ばれたら俺もっと頑張れる。
地球にひっそりと降り立つ。前世故郷は地球……な訳だが思ったより感動なんかはしなかった。まぁアーカイブ読んでも戻らなかった程度には前世は前世だった俺だ。そこまで引っ張られなかったのは良いことだろう。
だが、不思議と懐かしさを覚える。これは、前世によるものか、ウルトラ族だからかはわからない。
美しい星だと思う。侵略宇宙人が週刊単位でやってきたのも頷ける。
さて、今回元凶トレギアが何する気だったかをもっかい確認しておくか。前世記憶で言う17話に該当する。
アーカイブから引き出すように記憶を探っていくと、脳内にあらすじとして浮かび上がる。混ざり過ぎないようにする為だが、シナリオプランになるし便利な技になったと自画自賛している。自画自賛よりはタロウに褒められた方が気持ちいいのだが。
【17話 ガーディアンエンジェル】
【E.G.I.S.にやってきたセモン星人ミード。E.G.I.S.社長佐々木カナの昔馴染み(主に昔逮捕したされた関係)である縁を頼り、悪党宇宙人の組織ヴィランギルドの追撃から身を守ってほしいと依頼してきた。
詐欺や泥棒で4度も逮捕されているどうしようもない小悪党だが、それでもその内の善性を信じて母星に帰るまでの護衛依頼をカナは引き受ける。
だが、ミードはヴィランギルド*2から怪獣誘導装置を盗んでおり、その転売計画を狙っていたのだった。
ヴィランギルド所属ペダン星人は本気を出して追撃、取引先もまた悪党でミード共々カナは危機に晒される。あげく怪獣誘導装置により怪獣デマーガも出現。街を破壊していく。
トレギアは語る。「仲間と民衆どちらを選ぶ?」ヒロユキとタイガの決断は……!?】
まぁ要するにタイガと地球人の絆によって温め続けた計画が破綻した挙句、メンタルに大ダメージ負った後、地球人ヒロユキに嫌がらせするようになったわけだ。
で、周囲の仲間と民衆を同時に危機へ追いやり、「正義の味方」の限界と欺瞞を突きつける……と。
タロウはできたぞって考えてるよなこれ? 俺のタロウなら両方を救えるし救ったもんな?
とち狂ってるからこそ、計画の根底にどこまでもタロウがいるんだなぁ。
早々やる気無くすムーヴだが、やるしかないか。でも、俺本人は別に闇堕ちしてるつもりないんでなるべく死者だしたくないなぁ。シナリオ通りに台詞もしゃべった方がいいんだろうか。余計つらい。
気を取り直して、えーっと……人間態にならないとな。変身解除、デュワッ!!
「……なんだ、前世の人間態じゃあないのか」
これは前世記憶にもあった霧崎という姿だろう。闇堕ちトレギアのとっていた姿だ。
どういう姿かちゃんと確認していないが、これなら前世の姿が良かったなぁ。霧崎の姿は、より同一人物であると突きつけられて気分は良くない。だがこっちの方がイケメンなのは間違いないだろう。
「では状況探知だ。コソ泥が懲りずに窃盗転売を行っていたのだったかな。セモン星人ミード、と……」
「( ・`ω・´)ノ」
「おお、もう特定してしまったぞ? 知性体である限り、グリムドの探知からは逃げられないということか」
邪神の力は実に便利だ。ウルトラ一族の超能力よりも場の把握が極めて容易い。
顔と名前はわかっているのだから、特定も容易だった。
まだ出所したばかりのようで、窃盗はしていないらしい。盗難時にはE.G.I.S.の元まで無事に誘導する必要がある。
「まだ時間はあるようだ。なら、やることは決まっている」
「(・ω・)?」
「地球のご飯だ! ゾフィー隊長を放っておくレベルの美味、前世や闇堕ち俺だけずるいぞ!! 俺も味わわなくてなんとする!!」
「Σ( °ω° )!?」
◇
めっちゃ美味かったわ。
目についたチェーン店でハンバーグ食べただけで涙がこぼれ落ちたほどだった。ドリンクコーナーに向かってたお客さんに見られてドン引きされるぐらいに泣きながら食べた。
これが本当の食事か……。今度、タロウと食べたいな。2人で、地球の夜景を眺めながら……。
そうこうしてるうちに、あのコソ泥が一度捕まりそうになってたから助けておいた。
いやー不気味だっただろうね。めっちゃ怖がられたよ。一瞬で追手3人を無力化したんだから当然か。
こいつを餌に、ヒロユキの同僚たちを危機に陥れ、更に怪獣を暴れさせ2択を迫るわけだが、ここまでは忠実に再現しようと思う。
怯える彼に優しくねっとりと、「君の知り合い、佐々木カナさんを覚えているかな? 彼女を頼ると良い。今、彼女はE.G.I.S.という組織を立ち上げていてね……」と情報提供。こちらへの警戒心こそ隠さなかったが、彼は全速力でそこへ向かっていった。
「小物だな……」
わざわざ星間外交が未成立な地球に不法侵入しておきながら、地球の宇宙人受け入れが厳しいことを言い訳に悪事に手を染めるような男だ。佐々木カナが、彼の釈放後職業斡旋したりと再犯防止に努めていたがその全てを無為にしている、彼がどうなろうが同情の余地はないのだが……。
今回〆の、「ヒロユキ君追い詰める為の2択強要後カナちゃん狙撃(ここまで計画名)」で、佐々木カナ庇ってセモン星人死ぬんだよなぁ。前世の俺は後味の悪さを与えつつも1つの贖罪描写であると納得したようだが、そんなもん作品として見てるからにすぎない。本人は救えない悪党だろうが、こいつの死で善人佐々木カナが悲しむのはいただけない。後味悪い真似俺にできるか。俺のタロウが聞いたら俺がそんなことした点で悲しむだろうが。太陽は水をかけようが闇で覆う真似しようが不変だが、わざわざする事もないんだ。
そんなわけで、威力を極限にまで抑えた銃で殺意だけばら撒いて狙撃しようと思う。死にさえしなければ宇宙人収容所へ再収監されるが、また会うこともできるだろう。俺は科学者だからな、非致死性武器に改造するなどお手の物だ。
そんなこんなで俺による救出劇から一夜明け、ミードは無事にE.G.I.S.へ依頼することになった。
滅茶苦茶酷いダダ捏ねて、社長を護衛依頼に選ばせるのには呆れたが。
腐れ縁なのも本当なのだろう、迷惑をかけながらも彼女が気にしている過去を口に出しつつ「地球人を少しは信じてみたい」「宇宙人である俺たちにとって天使なんだよ」などと喜びそうな言い回ししている。伊達に詐欺の経歴持ってないなあいつ。悪党だわ。
しかし、ショッピングモールを取引現場に選ぶのは合理的なのか非合理的なのか悩むなぁ。さっきミードが食べてたシュークリーム俺も食べようかなぁ。
『カナちゃん危ない!!』
「!」
『3時と6時、9時の方向から来るよ!』
「ミ~ツケタァ~♪」
そんな風に気をそらしていたら、襲撃イベントが発生した。
E.G.I.S.本社の方から全体索敵していたピリカの警告がなかったら、初撃で終わっていたレベルだ。
それでも危ないって一言だけで、よく的確に射線回避したものである。
「ヒロユキ、ホマレ!」
カナの指示で2人が襲撃宇宙人たちへ即時対応を取る。ホマレは2階から飛び降りて介入してるがこいつ宇宙人であること隠す気ないんか?
カナの方はすぐに安全圏へ護衛対象を誘導しつつ目的地にも向かう。プロだなぁ。
道中襲ってきたペダン星人にはスタンガンとトンファー合わせたような武器であっさり昏倒させている。
ミードがはしゃいでいるが、俺も結構見てて楽しい。ち、違うんだタロウ! 闇堕ち精神が勝手に!!
俺が太陽に向かって懺悔している間に、カナとミードは予定ポイントに到着していた。
やがて現れたのは迎えのセモン星人……ではなく、クカラッチ星人。
「カナちゃんごめんな! 俺ちゃん嘘ついてたわ!」
「どういうこと……!?」
ク、クズ~~~~~!!!
母星に帰ると嘘ついて盗品転売ですよ。善性を信じて命がけで守った相手にこれはない。
ウキウキで「怪獣誘導装置を盗んで、転売する計画。金目当てでやった」とネタ晴らしして、呆れ果てさせている。多分何度もこういう裏切りと逮捕の経験があるのだろう。心なしか「今回もだったか」といった顔をしている。だが、取引成立寸前にペダン星人が復帰し追いついた。このままでは撃ち殺されるとミードは怪獣誘導装置を投げ捨てながらカナへ駆け寄る。
ク、クズ~~~~~!!!
「投げるバカがあるか!」
「よこせ、これは俺のだ!!」
激昂する宇宙人たちの争いに、このままでは死者が出ると慌ててカナとホマレが介入。
転がった怪獣誘導装置を回収してほくそ笑むはミード。
ク、クズ~~~~~!!!
「(・ω・;)ノシ」
「っと、ヒロユキ君が危ない!」
ポップコーン片手に観戦してたら、ヒロユキ君の方は宇宙人に押されていた。
気付くの遅れてごめんよ!!
◇
─ショッピングモール駐車場─
「ここは大丈夫です!」と息巻いてホマレ先輩を社長の元へ送ったのはいいものの、相手は思った以上に強敵だった。民衆を人質に取られないよう、こうして駐車場まで誘導はできたが、人気がない所は向こうも望んでいたことだったようだ。鈍器と銃器が一体化したような奇妙な武器で一層激しく攻撃してきた。
なんとか無力化までもっていこうと電磁警棒でいっきに押していくも、力の差もあって跳ね除けられてしまう。
「ふん!」
「くっ!」
力強い一撃で、電磁警棒も弾き飛ばされてしまった。
衝撃で膝もついてしまう。まずい、絶体絶命だ。
「手こずらせやがって!」
銃口を向け、此方を撃ち抜こうとする宇宙人。
だが、僕の視線は彼ではなく、その背後に向いていた。
空間から染み出すように蒼い闇が現れ、そこから腕が伸びたのだ。
宇宙人の方はまったく気づいていない。だからそこから飛んできた蒼い雷撃になにも抵抗できなかった。
「ギャアアアアアア!!!!」
「おっと、危ない危ない……」
焼き尽くされたかのように黒こげになって倒れ伏す宇宙人。だが、殺してはいないようで呻き声が漏れている。
至極邪魔であるかのように、蒼い闇から現れた彼はそれを蹴り飛ばし、此方に目を向けた。
白と黒のツートンカラーなブラウスを着込んだ青年。かつて自分に霧崎と名乗った人だ。
「こんなところで死なれたら、面白くないじゃないか。工藤ヒロユキ君」
「き、霧崎さん……!?」
『ヒロユキ、こいつから離れろ!!』
タイガから警告が入る。言われなくてもわかる。彼から強い感情を感じる。見開いた目から、流れ込むように刺してくるこれは、きっと敵意だ。
「今日は君に……ちょっとしたゲームを用意した」
霧崎が指を弾く。僕はこの時知らなかったことだが、ミードが持ち込んだ怪獣誘導装置が作動したんだ。
大気ごと震えるように地鳴りが響く。やがて遠くから地面を割って出現したのは。
「グルゥアアアアアアアアアアアアアア!!!!」
「怪獣……!」
街中に出現した怪獣は、ゆっくりとこちらに向かってきている。
街の人々はもちろん、ショッピングモールの皆もパニック状態で逃げ惑っている。
すぐに止めないと!!
「いいのかぁ? 大事な仲間が危険なんだろぉ?」
「!!」
思わず足を止める。そうだ、社長たちは今ヴィランギルドに襲われているんだ!
「お前が行かなかったら、死んじゃうかもなぁ♪」
霧崎を強く睨む。だが、意味のない行為だった。時折腕を摩るだけで、この人は全く動じていない。
そうしている間にも怪獣は迫ってくるし、激昂したヴィランギルドたちは社長たちの命を狙っている。
「大勢の人間か……大事な仲間か……」
『なにしているヒロユキ!! 躊躇している場合か!! 怪獣を止めるぞ!!』
「ああ……。みんな、無事でいてくれ!!」
タイガの後押しがなければ、立ち止まり、悩み続けて、致命的な遅れになっていたかもしれない。
僕は、霧崎のねっとりとした視線を背中に受けながら、怪獣を止める為走り出した。
みんなのことは心配だ。でも信じている!
◇
─ショッピングモール屋上─
やべぇ、あれがタイガ。タロウの息子か……!
怪獣デマーガを相手に果敢に立ち向かい、奴の闇雲な火炎、火球攻撃を身を挺して防いでいる。
ああ、タロウ……! 君は、良い息子を持った……!! 煽った自己嫌悪でメンタルダメージ受けてたが、おかげで少し持ち直したよ。つい凝視してヒロユキ君のインナースペースでアストラル化してるタイガに興奮したり、煽りムーヴで蕁麻疹やばくてずっと腕摩ってたけどバレなかっただろうか。演技するって大変なんだな……。
「(`・ω・)ノシ」
それはそうと、ショッピングモールを守るためとはいえ、割と適当に火球を弾いているのはいただけない。
1発弾きそこなってるし。なので、遠方へ飛んだ危険弾はバレないように邪神パゥワで相殺している。
便利だよね。俺は私情のみで歪んだ評価をするのは好きじゃないんだ。グリムドの恩恵で褒めるべきところは褒めるべきで認めるべきところは認めるべきだろう。
「(・ω・)♪」
おっとっと。
タイガに夢中になって、E.G.I.S.のメンバーへ注意をそらすのもよくないな。万が一があってはならない。煽った以上、仲間の命は守らねば。
現場の方にも目を向ける。ふむ、苦戦しているようだ。まぁ怪獣誘導装置を盗んだあげく、転売未遂してトドメに起動してる(犯人俺)わけだ。ヴィランギルドもキレるだろう。転売側も巻き込まれてお冠のようだ。
どうしようもなくなった時は、さっきと同じように背後から邪神パワー(※非致死性)を叩き込むとしよう。殺さずに済むなら無暗に殺す必要もない。地球の対宇宙人組織だって今回のは情報が欲しいだろうからな。怪獣誘導装置なんて劇物である。
「ごめんよぅカナちゃん! こんなことになっちまって……俺、星に帰るのにどうしても金が必要だったんだ!」
「あんたは、悪党だけど悪人じゃない! ズルくて、ウソつきだけど、でも本当のあんたは、悪いヤツじゃない……!」
「!?」
「あんたは、私が守る!!」
「カナちゃあん!!」
聖人かな? 裏切られ続けて「それでも!」と言い続けるのは並大抵のものではない。アーカイブを通してでは見れない、人間の強い心を見せてもらって俺は強く感動している。ミードは永劫反省しろ。
いや、流石に心を動かされたらしい。危うくといった場面で、クカラッチ星人へ吶喊して鎮圧の良い切っ掛けを作り出していた。これには俺もにっこりである。介入しなくてよかった。
タイガの方は、トライストリウムに変身してデマーガを圧倒しているようだ。てかフルボッコにしてる。
それオーバーキルちゃうんか? トライストリウムにならなくても勝てたと思うんだ。
「事態解決……。じゃ、あまり気は進まないが」
タロウの息子が大活躍したというのにため息をつきそうになる。耐えろ、頑張れ俺。
◇
あれからすぐに外事X課*3が駆け付け、無力化した宇宙人たちを取り押さえた。
ヴィランギルド所属ペダン星人、転売屋クカラッチ星人たちは当然逮捕。
そしてミードも逮捕される。詐欺行為はE.G.I.S.側が訴え取り下げれば済むかもしれないが、怪獣兵器の転売はシャレになっていないからしょうがない。それでも大人しく手錠に収まった事から、刑事側の態度は柔らかい方である。
「カナちゃん、色々あんがとな」
「今度こそ、やり直すのよ」
吹っ切れた様子のミードに、何度裏切られても更生を祈り笑顔をみせるカナ。心温まる光景だ。
この場面に狙撃で台無しにしなきゃいかんの俺???
え、クズでは? 闇堕ちトレギアと同じ業をここまで背負う必要なくない??
「いや、これ非殺傷だから……ミードをカッコつけさす意味で、やるか」
銃を構える。撃てば派手なビームが飛ぶが、直撃しても痺れる程度だ。ただ、脳天に当たると万が一の失神とか失明とか怖いんで、狙いは佐々木カナのお腹あたり。
殺意を放つ。
「カナちゃん、危ない!!」
ミード、よく気づいてくれた! 今だ!!
バシュン!!
「あ」
バシュバシュバシュバシュ──ン!!
「いっ!?」
「うわぁ!?」
「きゃあっ!??」
……。
…………。
………………ちゃうねん。
初弾外して焦って乱射しただけなんや!!
そのせいで本来怪我しなくて済んだはずの人々が撃たれる形になってしまった。
俺が外すという可能性を全く考えてなかったけど、そういや俺光線技ならともかく別に射撃上手くもなかったわ。なんで闇堕ちトレギアは射撃スキル高いんだよマジふざけんなよ。
「( ° ω ° ; )」
「そうか、闇堕ち後の暗躍期間の長さと邪神による補正か。失念してたな、同化しても経験全てを取り込んでるわけではないということか」
つまりグリムドの餌以上の価値がないわけだ。使えねぇな闇堕ち俺!?
お前の記憶から溢れる狂気に苦しめられてんのに、お前の技能経験は活かせないとかふざけんなよ!!
「俺ちゃん、カッコよかったっしょ……(失神」
「ミードオオオオオ!!」
「あそこだな、許さねぇ!!」
「いっつ……」
『あの乱射でよく皆死ななかったな』
『本命は初撃だったのだろうな……危なかった』
大騒ぎだし、ホマレがぶち切れ顔でこっち来てるんでそそくさと退避する。殺す気なかったことバレると厄介だから普通のビームガン置いていこう。
……あれだな、今夜菓子折り持って謝罪しよう。じゃないと俺の心が死ぬ。助けてタロウ。
◇
─夜・E.G.I.S.本部─
「あれは恐らく、社長を狙ったものだと思う」
『ああ、ミードが庇ってくれなければ、恐らく……』
「ミードのおかげであの初撃が外れたんだ。他の弾は逃走用の牽制だよね。あれが当たっていたら……社長は死んでいたのかも」
結局、あの乱射の犯人はわからなかった。だが、現場に捨て置かれていた銃は人一人殺すには十分なものだったことがわかっている。
怒りと戸惑いと、社長が無事だったことの安堵で心が今でも落ち着かない。
「ミードくんのことは残念だった(逮捕的な意味で)ねぇ……工藤ヒロユキくん♪」
「霧崎ッ!?」
いつのまに!? いや、どこから!?
霧崎は社長の椅子でリラックスしている。なんなんだこいつは!?
「今日は君の事をじっくり観察させてもらった」
観察、何が目的で……。
「君は迷ったね」
!!
「目の前の仲間と大勢の人間……どちらを守るべきか」
思わず目を逸らす。あの時、タイガの後押しがなければ、僕は……。
「悩むよな、うんわかるわ。それでもあの場で最善を尽くしたと思うよ。決断も早い方だったさ」
……。
…………?
「ンン゛ッ!! だが、君は大事な仲間を危険にさらす選択を取った……ウルトラマンタイガなのに」
「ッ! なぜそれを!!」
「私は君に興味がわいてきた……だから、君にも私の事をもっとよく知ってもらいたいんだ」
霧崎の身体が歪む。蒼い闇に覆われる。そして闇から抜け出したその姿は。
みんなをずっと苦しめてきた蒼い巨人。忘れるわけがない。僕たちの敵、トレギア……!!
「私の名はウルトラマントレギア!」
「まさか……!」
『お前がトレギアだったのか!!』
「フハハハハハ! これからも、私を楽しませてほしいなぁ……君と、君の大切な仲間……絆の物語をね」
E.G.I.S.のパソコン画面が歪む。すべての画面からトレギアが覗き込んでいる。
そんな不気味な演出をもたらした僕らの敵はいつのまにか、画面の向こうへ溶け込んでいた。
「では、本日はこの辺で。あ、これあのショッピングモールで買ったんだけどマジ美味かったんでどうぞ」
「あ、はい」
無意識に両手で菓子折り箱を受け取ると、E.G.I.S.は元の姿を取り戻していた。
トレギアの姿はどこにもない。でも菓子折りだけはなんかちゃんとある。無駄に包装もちゃんと贈答用だった。
だがこれは明らかな挑発だ。怒りで手が震えながらも絞り出すようにあいつの宣戦布告へ言い返した。
「僕は、僕たちは、絶対に負けない……!!」
『菓子折り持ってても締まらんな』
『わけわかんねぇ!? トレギアああいう奴だったか!?』
悔しいことに、もらった菓子折りは美味しかった。
食べた後に『トレギアから貰ったものだぞ罠とか考えろよ』とフーマに叱られた。
Q.タイガの試練だなんだと言ってますが、ヒロユキへの煽りや狙撃まで原作再現する必要あったんですか。
A.ない。単に前世知識のシナリオ通りに動けば、ウーラーまでの道筋は保証されているという理屈以上のメリットはない。運命論や世界の修正が絶対だとしても、そもそもあそこで狙撃しなくても流れには問題はないし、原作でトレギアが煽った「君の選択は仲間を危険にさらした」は実はいくらでも反論できる。そもそもタイガに変身しなかったら火球直撃して全滅していた。つまり、この煽りをしたかった為に、事態解決直後にE.G.I.S社長を狙撃したにすぎない。よってここまでやる意味などなく、ただ宣戦布告だけすればよかった。一歩進んで考えなかった、このトレギアが間抜けなだけである。