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初手結界による封印は強い(真実)
パラレルアースにて、ウーラーが感謝の輝きを散らしながら眠りについた後のこと。
若さの見える赤い巨人と穏やかな目になった蒼い巨人が何やら話をしている。
テレパシーを利用した会話であり、此方から聞き取ることはできないが、明るい雰囲気だ。
やがて蒼い巨人は笑顔を見せて手を振ると、開いた次元の扉の向こうへと消えていった。
「(・ω・)ノシ」
混沌のゲートが消え、赤い巨人も姿を消す。
大空には、反吐が出るほど鮮やかな、出来損ないの感謝の気持ちが煌めいている。
────なんだこれ。
彼の心に去来したのは、百のため息でも消費しきれない程の落胆であった。
地球のエーテルまで刺激して何を呼び寄せたのかと期待したらただの生命の成り損ない。挙句その怪獣の心を救うだなんだと醜い茶番を延々見せられて、勝手に満足してこの宇宙から消えてしまったのだから。
あの蒼い巨人には昔から期待していた。捻くれて捩じ切れて千切れた心であの遙かなる魔皇を宿して実に楽しいことをしてくれていたからだ。
絆を嘲笑い、力あるものを惑わし、愚か者を破滅へ誘う。
だからこのつまらない星で今度はどんな演目を奏でてくれるのだろうと胸をときめかせていた。どんな絶望を人々に与え、どんな破滅を見せてくれるのだろうと口角がつる勢いで楽しみだった。
だというのに本当に裏切られた気分だった。破滅へ突き進んで、内に潜む遙かなる魔皇を解き放てば絶対面白かったのに。
彼は心の底からこの結末を惜しみ、怒り、嘆いたが、いつまでたっても腹の虫は収まらなかった。
ここまでつまらない話になるとは思わなかった。苦情は羊皮紙を3m分使っても足りないほどだ。
────
そんな考えが彼の頭へするりと入り込む。彼の憤怒に歪んでいた顔に笑みが生じた。
そうだ、そうだよ、そうなんだよ。じゃあ■■■がやればいいんだ。
消えたあいつに手本を見せてやろう。だいたい虚無だなんだと否定と拒絶の話は飽き飽きだ。やはりシンプルなのが1番良い。
闇を。
希望すら落差のスパイスに変える絶望を。
地球を美味しく彩るのはブラックソースが最高なのだと知らしめてやろう。
いいぞ、気分が上向いてきた。
さてさて、舞台にあがらなくてはつまらない。■■■には名前を、貌を用意しよう。
どんな貌がいいだろうか。どんな貌が使えただろうか。
シュグオラン? ダメだな使い飽きた。
ナイ神父? 目立ちすぎるしキャラ変が面倒だ。
◾️◾️◾️◾️? 悪くはないが、地球人では発音できない。名乗りがいもない。
彼はこの瞬間に定まった。
人の好さそうな表情とも、慇懃無礼とも取れるような不思議な笑顔を浮かべた浅黒い男として。
────さぁ、まずは使えるものをすべて使って招来せねばならない。シンプルに。明快に。
◇
トレギアが去って数ヶ月後。
タイガ達のいる地球、パラレルアースより若干離れた宙域。
かつて並行世界より肉体を取り寄せた結果変質したトレギアが怒りのままに力を奮い、無の空間と成り果てた場所だ。
物質は何一つないはずのそこにも残されたものはある。
散々放出された邪神の力だ。
ただ在るだけだったその力は、本来であれば長い時を重ねて霧散するはずだった。だが、『儀式』によって力には方向性が与えられ、やがてある存在を顕現させる。
生じたる存在は静かに地球へと肉体を向け、動き出した。
ウルトラマンギンガを始めとするニュージェネレーションヒーローズが異変に気がつき、世界の壁を突き破ってまで駆けつけた際には、既に『天災』が吹き荒れながら地球へ急接近する最中であった。
ある存在を起点に生じた次元の歪みをそのまま渦へ転じた大規模な異次元嵐。暴風のように感じる圧力は宇宙の悲鳴だ。これを放置すれば地球など塵と化すのは言うまでもなく、宇宙には間違いなく『穴』が空く。なんとしても止めるべき大災害だ。ギンガ達はどうにかしてこの脅威を鎮圧せねばと悪戦苦闘していた。
「これはまずいぞ! 放置すれば新たなグリーザが誕生するだけでは済まない! ここを起点にビッグリップが発生しうるぞ!!」
ウルトラマンX(エックス)が警鐘を鳴らす。
次元が断裂していき原子すら崩壊、全ての素粒子が永劫結び付かなくなると言われる終わりの1つ。宇宙という存在そのものを構築する概念の崩壊『ビッグリップ』。既にグリーザで済めばマシという事象に全員が危機感を強めた。
「こんなもの、要因があるに決まってる!! 今ならそれを潰せばいけるんじゃないか!?」
「カツ兄、正解。中心部に何かいるよ!!」
「なに!?」
ウルトラマンロッソ、ブルの指摘通り、勢いを増していく異次元嵐の中心部とも言うべき箇所には、これらの惨状を意に介さぬ何かが鎮座していた。
中心部程時空が歪み、その正しい姿はウルトラ戦士の眼力でもっても見通せない。
概念すら歪めうる異次元嵐は測定すら許されない。だがこれの元凶であることは、予想も容易かった。
「じゃあ、あの嵐を突っ切って、倒せば!!」
「ああ、俺達の最大パワーでもって中心部を崩壊させれば……」
「!! 待ってくれギンガさん、ビクトリーさん! あれは、あいつは……!!」
「!? ちょっと待ってくれ!! あいつは消滅したはずでは!!?」
ウルトラマンギンガ、ビクトリーの動きをウルトラマンオーブが、エックスが制止する。
ただならぬ様子に、最強形態へ変じようとしてた他のニュージェネレーションヒーローズ達は動きを止めざるを得なかった。
「どうしたんですか……?」
「皆、最大火力を封印技として撃ち込むんだ!!」
「ああ、奴をこの規模の異次元嵐ごと解決するには、ウルトラマンとしての力を失う覚悟で封じて初めて勝ちの目が生じる!!」
「「「「「!!?」」」」」
初手で捨て身の封印技の使用を要請する2人に全員が驚愕する。
オーブは数千年以上ウルトラマンとして活躍するベテランであり、エックスも謎こそ多いがその活躍と与えられている使命からエリートであると窺い知れる。そんな2人がここまで動揺しながらも方針を同時に定めたのだから、恐らくそれが最善なのだろう。だが、この面子が揃っていながらそうするしかないとは、相手は一体何なのかという疑問がある。
「お前らの判断を疑いやしないが、知ってるなら説明だけでもしてくれ!! あれはなんなんだ!?」
元凶と思わしき存在に指を突きつけながら問いただすビクトリーに対し、2人は声をそろえて正体を告げる。
「「超空大凶獣デザストロ……!!」」
超空大凶獣デザストロ。
元々エックスが地球人・
しかしケンタウロス星で惜しくも取り逃がした際、転移して地球へ向かっていった為、急遽地球へ出戻りして大地と再会、Xio*1メンバーと共に迎え撃った。その際、別の時空穴に大地とエックスが巻き込まれた為、思わぬ足止めと激闘を行うことになったのだがそれは割愛。
結果として、オーブやゼロも加勢した(デザストロの狙いがオーブの宇宙だった)ので、最終的には討滅している。
「デザストロって、オーブ、エックス、Xio、そしてゼロが倒したというあの?」
「ああ、グリーザにも劣らぬ最大の強敵だった! あの時は異次元嵐を止めることができ、一個の怪獣としてようやく討滅せしめたほどだ」
「今回は同じ手段は取れないと?」
「Xioのサポートあって初めて取れた手段というのもあったが、例え万全でもあの時とは桁が違う規模で同じ手段は無理だ! 元凶であるデザストロを異次元嵐ごと結界に封じて奴自身の力で奴に痛手を与える!!」
エックスの言葉に、初手封印技の判断が呑み込めなかったメンバーもようやく理解に至った。異次元嵐と切り離すように封印するのではなく、異次元嵐ごとの封印措置。なるほど変身能力を失う覚悟がいるわけだ。
結界に封じられたデザストロはこの宇宙崩壊の危険すらある規模の異次元嵐を反射され続けることになる。唯一無風であろう真の中心にいた時とは違い、間違いなくダメージを負う。デザストロはそのまま体を崩壊させれば解決するし、先に異次元嵐を収束させ、発生を止めてから結界破りに動いても出てきた時には確実に弱っている。
「よしわかった、幸い地球にはタイガ達がいる。奴に以前預けた力を返してもらえば、変身能力も回復できる」
「アフターケアも万全なら、憂いはないな! やろう!!」
「ああ、だが覚えておいてくれ。デザストロは確かにとんでもない存在だが、宇宙崩壊を可能にする程の規模の異次元嵐は出せないはずだ」
「つまり、ただ蘇っただけじゃない。何かあると?」
「そうだ。コレの背後関係を洗うのは封印してからだが!! みんな、やるぞ!!」
「ああ!!」
その日、宇宙を滅ぼしうる異次元嵐は7つの光と引き換えに姿を消した。
倒すための封印であり、いずれ復活することは決まった未来だが、だからこそその時に備えて戦士達は動くことになる。
◇
地球からでも観測できるほど歪んだ宙が正常化した様子を見上げ、事の顛末を悟った浅黒い男、内原戸は不愉快そうに舌打ちする。
「おいおい、苦労して招来したのにそれはないだろ? 全く、根回しの苦労をわかっちゃいない」
大方、異次元嵐の規模が大きすぎて対処できる者たちが集まり過ぎたのだろうと、ため息をこぼす。
「全く理解の足りない連中はこれだから困る。確かに規模は大きいものだったが、集まりすぎたエネルギーをちょっと放出させているだけだったというのに。地球につく前には止める手筈だったものを」
彼が用意した怪獣復活の呪文、怪獣招来の呪文、そしてそれらを成立する為に必要な代償。数ヶ月もかけたというのにすべてが無駄に終わってしまった。何故か大量に残留していた原初の混沌たるエネルギーと、かつて苦労して手に入れた『タブレット』を触媒に、儀式を成立。あとは消えたところで困らないであろう不法滞在宇宙人達の血肉で適切な代役への準備を完了できたのに、これでは先延ばしになってしまう。
「だがまぁ、封印されている方が浸食しやすくていいかもしれない。物事は前向きにとらえるべきだ。すべてが絶望に至るまでの序曲と思えば寄り道しがいもあるだろう」
祭りの準備を急ぐ必要が無くなったと考えなおした彼は、更なる贄の選定と回収を楽しむこととする。
途中でバレて封殺されてはかなわないから慎重に。なにせ、あのデザストロを封印できるような連中が近くにいるのだから。
「Ia! Ia! ■■■■■■・■■■■■■~♪」
鼻歌を刻むように、冒涜的な何かを呟きながら、内原戸は闇に紛れて消えていった。
・内原戸哲夫
ウルトラマンティガのアナザーストーリーという位置付けである短編小説『深淵を歩くもの』に登場した浅黒い男。
こいつのせいである海洋生物学者が犠牲になった。
名前と言い行動と言いどうみてもニャル様です本当にry だが、忘れてはならないのが彼は闇の支配者の眷属とは書かれていないのである。
原作でも本作でも、彼が本物のニャル様かどうかは『どっちでもいい』。だからこそ、ガタノゾーアが大暴れして地球滅亡する瞬間をただウキウキと眺めてたいだけの異常者という可能性も残している。
ぶっちゃけ「はいはいニャル様ニャル様」となるキャラの正体が別人の方が最近は盛り上がる傾向のようなry
・ニャルラトホテプ
そのあまりにも利便性の高い設定と自己矛盾の塊を許容する神性故に、クトゥルフ神話も飛び出してあちこちで無駄に顔を出すせいで最近では創作界隈で知らない方が珍しいやつ。
ちなみに化身が化身を倒したり、脳筋化身や天才化身など性能も『貌』によって幅広いので【どんな描かれ方や結末でもありえる姿】という創作において圧倒的な使い勝手の良さを誇り、一時期クトゥルフ神話TRPGではこいつ黒幕にしとけばいい卓が頻発した。
ただし、本作における『彼』が化身の1人かについては、上記に記しているように現時点不明。こいつだと思うならそれでいいんじゃない?程度の曖昧さが一番だと思います。「最初はそうかと思ったが、やっぱちげーわ」と思い直せるぐらいに考えてください。どっかの文明自滅ゲームやってる退屈持てあました宇宙人みたいな迷惑野郎が正体でも話成り立ちますからね。
・超空大凶獣デザストロ
劇場版のオチにでてくる正体不明ながら、ゼロが単独討伐を選ばなかった程度にはヤバい怪獣。
ウルトラマンオーブエピソード8に該当する部分でオーブ、ゼロ、Xio、Xと共に戦った。なお、オーブエピソード9は『ウルトラファイトオーブ』である。つまり出番ないままいつの間にか倒されている不憫な謎の強豪怪獣。
わかっていることは『次元転移する怪獣であること』『なんか地球狙ってること』『驚くべき正体があること』である。
本作ではオレギアさんが1話でばら撒いたグリムドエネルギーを触媒に蘇り、君臨した存在。ベリアル陛下ですら細胞だの因子だので宇宙に置き土産してるのに、グリムドの力を怒りのままに放出した後なんて厄ネタあるに決まってる。
・変身能力失う7人
タイガ劇場版でもこうなってる。グリムドを封印する為に全力出して変身能力を失った。封印破られるまでの半年間何してたんだろうか。
真面目にウルトラ戦士達は一部除いて封印スキルが大雑把すぎる疑惑がある。自分の変身能力失って封印措置取る連中多すぎる。多分光パワーでごり押しして、封印という概念に変身能力要素を錠として機能させていると思われる。最近は自分の力込めたカードパワーとかでマガオロチなどちゃんと封印させてるのだから封印措置にはもっとその辺技術研究した方が良い。