ガタノゾーア「(。へ。#)」
タロウ「タイガ迎えに来たらなんか地球が闇でおおわれてたんだが」
メフィラス「おなかいたい」
ガタノゾーアによる絶望の一撃が放たれた後。
崩壊した街の惨状を前に、ヒカル達は絶句していた。
内原戸による妨害や追撃は、あのどうみても悪党なウルトラマン型ロボットのシャドーや、地球の人々、あとメフィラスの奮闘により阻止され、無事にクレナイガイ、大空大地と合流し、彼等の変身アイテムに力を返還していた。
後は先に変身してしまった故に生じた再変身までの時間を稼ぐだけとなったその矢先に、ガタノゾーアが猛威を振るったのである。力を取り戻して早々にガイやショウが全力を尽くして余波を防いだことで、彼等自身は無事だったが、視界に映る被害は彼等の表情を歪めるには十分すぎた。
E.G.I.S.メンバーとの通信では、不安がらせないためにも強気で返したが、ヒロユキの心中は全く穏やかではなかった。まだ変身が叶わないのだから。
全員で行かねば勝てない相手だとわかっているだけに、誰かが先行変身するわけにもいかず、少しでも早く変身可能なエネルギーが貯まる事に集中しなければならないのに、その蓄積が遅い。
「くそ、あの時変身しなければよかったのか……!?」
「いいや、それだと結局あの古代怪獣達によって街は崩壊していたし、デザストロも街中で出現していたはずだ。お前らの選択は正しかった」
「街があんなになっているのに、変身できないなんて……!」
これは2つの誤算が原因だ。
1つは内原戸による最初の妨害により、皆ある程度消耗してしまった事。闇の使い魔達との戦いは、内原戸の期待していた効果を確かに与えていたのだ。
もう1つは、地球を覆った暗雲にある。あれはただの暗雲ではなく、ガタノゾーアの闇だ。光がもたらす力そのものを完全に遮ってしまっている。ウルトラ戦士にとって、光の力……特に地球において太陽の輝きは肝要だ。不足すれば再変身のインターバルにすら影響する。
そして今、ガタノゾーアの余波を防ぐためだけに、ガイとショウが消耗した力の分も回復せねばならなくなった。無論、ライフで受けるという選択は暴挙かつ無謀であり、光エネルギーの消費をミスとは言えない。だが、これで焦るなという方が難しい。
ちなみにメフィラスは「仮に変身まで時間かかったとしても、ガタノゾーアの性格を考えればギリギリ間に合う程度の時間稼ぎぐらいできるだろう」と考えていたので、彼にとってはあくまでガタノゾーアの早期行動のみが誤算である。
街を破壊し、世界を蹂躙し、狂気の咆哮を轟かせる邪神。ヒロユキ達の焦りが、加速度的に増していった時。
暗雲を貫き散らしながら、ウルトラマンタロウが降臨した。
いまだ変身して突撃できない状況下にあった彼等にとって、タロウの降臨は心強く、希望そのものだった。
「タロウ……来てくれたのか!!」
「流石はタロウだ」
「「ウルトラマンタロウ……!」」
「タロウさん……!」
『父さん……!』
「あれがタイガのお父さん……!」
彼等の口々から出てくるのは強い喜びと安堵。
ニュージェネレーションヒーローズと呼ばれる新世代のウルトラ戦士達は、タロウの力をよく知っている。
ウルトラマンギンガは、スパークドールズとなったタロウと長い付き合いであったし、共に一体化してギンガストリウムにも変身していた*1ウルトラマンビクトリーは、そのギンガの相棒として戦ってきた事で、タロウの事も理解していた。ウルトラマンオーブ、ブル、ロッソはタロウの力が宿ったアイテムを変身に活用している。ウルトラマンジードは強い接点こそないが、ロイヤルメガマスターに変身した際はウルトラ6兄弟の力も存分に活用している。
そしてタイガにとっては唯一無二の父親だ*2。明確な接点がないのはウルトラマンXぐらいだろう。皆が希望を宿して目を輝かせている中、大地だけは少し曖昧な反応だった。
「頼むぞタロウ!!」
「タロウだけに任せるな! 急げよ皆!!」
◇
今、地球上で唯一光が降り注ぐ場と化した、ガタノゾーアが座す海上。
暗雲に生じた穴は、ストリウムの影響を強く受けているようで、修復が阻害されていた。結果的に、タロウは己にとって悪くない戦場を構築することに成功していた。
(……地球の皆は無事か?)
そのタロウが、地球上に降り立って真っ先に気にしたのは、やはりタイガを含めたニュージェネ達……ではなく、地球に生きる生命達だ。
星がガタノゾーアの闇に覆われてしまえば、光の下で生きる多くの地上生命達は長く生存できない。皆が絶望に囚われたとしてもおかしくない状況だ。背後の街は半壊しているし、何故だかよくわからないがどうみてもベリアル銀河帝国所属の鉄人兵達が次々海の藻屑へ消えている。いや本当になんでだ。わからないがガタノゾーアと敵対してるならいいかとタロウは流した。
だが、タロウの懸念に反して、人々は闇に包まれても諦めずにいた。元々怪獣慣れしている頼もしい人類である。各国軍隊や国家公務員たちはシャドウミストから避難しつつ、取れる手段で拡散を防止できないかと奮闘。更に無事な物資を迅速に確保輸送させ、安全圏へ送り届けていた。避難先の人々も恐怖に震えるばかりではなく、共に支え合っている。光にも闇にも傾く混沌を宿す地球人達の、輝きをタロウは感じていた。
(ならば、この輝きは私が守る!!)
タロウの熱い闘志が更に燃え上がる。
(だが、タイガ達がこの場に立っていないのは何故だ?)
闘志を滾らせながらも、息子達の安否を続けて気に掛ける。
今この場にいないのは邪神に敗北したのではという可能性がよぎるのは当然でもあった。
だが感知する限り、どうやら半壊した街にニュージェネのメンバー共々留まっているようだ。全員で戦う準備を整えていたか、あるいは一度変身していた為、再変身が可能になる時間がまだなのだと悟る。
(変身に関しては、あの子がきっとなんとかしてくれるだろう)
無事であることさえ分かれば、変身できていない点も今のタロウは心配に値しない。
地球に向かう際、『何時まで経っても帰ってこない兄たちがいる』と憤慨していたウルトラウーマンと合流していたのだ。ガタノゾーアの闇が覆っていたため、先行して突撃してしまったが、彼女が追い付いてきたら皆変身に支障はないだろう。
(だが、私は待つつもりはないぞ? ギンガ、そしてタイガ)
この邪神は、息子が戦うべき相手なのかもしれない。試練なのかもしれない。
だがそんなことは、今ある命を守る使命の前には無価値な話だ。そもそも過去にテンペラー星人が襲撃した際「タロウが頑張るべきだ」などと大分スパルタな対応された事を息子達にする気はない*3。いや、最終的に兄さんたち頑張った自分褒めてくれたし、幹部戦では助けてくれたけど。
「ゆくぞ! テヤァ──ッ!!」
──ウォオオオオォォォォォン……!
タロウが吶喊を仕掛け、ガタノゾーアが迎え撃つ。
無数の触手が海面へ飛び出し、タロウを拘束せんと動くが、どっかの蒼い巨人がやたら懸念していた触手拘束など彼には通用しない。
正面からくる触手は拳で打ち払い、足への引っ掛けは察知して回避、その動きに併せて背後からの触手を蹴りで弾く。懲りずに再度襲ってくる触手の1本を片手で握り掴むと、頭部のウルトラホーンよりブルーレーザーを放ち焼き千切った。
──バァオオオオォォォォォン……
この戦いを眺めていた内原戸は、この現れたウルトラ戦士を嘲弄する。
「はっ、暗雲を突き破ってきた時は驚いたが、あの光線でも大いなる闇は倒せない。加えて威勢よく向かってきた割には防戦か? 大いなる闇の触手を千切ったところで、それは数を減らすことにすら繋がらないぞ!」
それどころか千切った触手は闇に還元され、シャドウミストとなってその肉体を蝕むことになる。愚かな判断だと彼はほくそ笑むが。
タロウの手に握られているのはシャドウミストと化した触手ではなく。光の槍であった。
ばちばちと高密度のエネルギーが迸るそれに、闇の要素など一片もない。
「……は?」
「ウルトラランス!!」
タロウが持つキングブレスレットの力で、光へと転じた元触手は、そのまま元主へと投げ返される。
タロウの膂力で超加速した光の槍はガタノゾーアの外殻へ突き刺さり、大爆発を起こす。
──バァァオオオオォォォン……!?
「……!!?」
内原戸は開いた口が塞がらない。
爆炎が晴れた時、彼の目には、信じられないものが映っていた。
絶対的闇であるガタノゾーアの外殻に欠損が見られている。それは瞬く間に修繕されたが、あらゆる光線が効かないはずの外殻が、外部によって傷つけられたというのは神格を脅かすものだ。それを単独で行った、このウルトラ戦士が信じられない。
「無造作に触手を振るいたいなら続けて構わんぞ。次はその顔を貫く」
「!!?」
邪神相手に軽く挑発すらしてみせるタロウに、内原戸は絶句するが、当のガタノゾーアは喜色を滲ませ吠え猛った。
◇
崩壊した港にて、悪質宇宙人が頭を抱えていた。
人類は「がんばれー!」「まけるなー!」とご丁寧に中継されている戦いの様子を見て、声援をあげているし、ニュージェネ達も士気をあげている。
実際、ウルトラマンタロウは互角に戦っているようにみえる。挑発もカウンターも気にせずに触手を鞭のように振るうガタノゾーアの攻撃をいなしつつ、懐に潜り込み全力全開のアトミックパンチをその顔面に叩き込む姿は実に雄々しい。なんかあのパンチ見ると腹部に幻痛が走るが*4。
シャドウミストを警戒して、即座に距離を取っていることも、まさに歴戦の兵だろう。
だが、メフィラスからすればこの場にタロウがいること自体が最悪なのである。
メフィラスは『
「最悪、ガタノゾーアによって闇堕ちさせられる可能性がありますね……ああもう!!」
恐ろしいことに、これができるかどうかでいえばガタノゾーアはできるのだ。希望を絶望に塗り替える演出としても、選択肢にあげていることは間違いない。石化したあげく洗脳するなど、実にやりそうだ。
「おまけにこの可能性は陛下も気づいている以上、絶対にこっちに来る!! 私が何のためにここまで必死にひよっこウルトラ戦士共を手助けしたと思っているのか!!」
オムニバーシアンという組織は、あくまでトレギアが改造支配した独立世界とグリムドの権能に頼っている。つまり創作でよくある悪の組織と同じで、頭が潰れたら全て瓦解する組織でもある。
そもそもトレギアが死ねばオムニバースは容易く消滅するのだ。
あくまで彼個人によって並行同位体となったオムニバーシアン達もどうなるかわからない。実証実験など不可能であるが、もし並行同位体の存在確立が介入者の存在で成り立っている場合、介入者の死は最悪全員が消滅する可能性もある。仮に存在維持できたとしても統率力を失ったオムニバーシアン達がばらばらになるのは間違いない。大多数が元侵略宇宙人なので、だいたい各世界で暴れ出してその世界の正義に殲滅されていく未来しか見えない。
メフィラスがトレギアを強引に皇帝へ据え、無暗に動かないよう促し続けている本当の理由。それは『オムニバーシアンの存続』である。これこそがメフィラスの行動理念だ。無論、あくまで皇帝に仕えたいという我欲も交えているが。
命を救われた恩義には真面目に応えているし、忠誠も決して嘘ではない。その上で、この有意義な第二の人生を永遠に謳歌したいという我欲も本音の1つだ。裏切る意味などなく、失いたくなどない。
『ウルトラマントレギア』はオムニバーシアンにとって最後の切り札であり、急所なのだ。
保険として皇帝招来は準備していたが、内原戸がトレギアに悪意を抱いている事を吐露したことで、メフィラスはトレギアを呼び寄せる気など完全になくなっていた。決着寸前か終わった後に、場を整える名目で顔でも出させれば良いと結論を出していたのだ。
その全てがタロウの降臨で台無しになった。
紳士の仮面を投げ捨てて罵詈雑言をまき散らしたいところだが、今回内原戸に対して散々醜態晒すよう動いた自分がそうなるのは流石に自尊心が働く。
「メフィラス紳士たるもの、あのような無様は晒せぬ……!」
既に結構喚いた自覚もあるが、落ち着かねばならない。らっきょうを取り出し、乱暴に噛み砕く。
好ましい風味と食感で、荒ぶった心を整え直した。
「ふぅ……」
「落ち着いたか?」
「ええ……お見苦しい所を」
「気にするな気持ちはわかる。ああ、外事X課ではグローザムは生死不明扱いだ。その気になれば生存に切り替えられるぞ」
息をついたところでザラブが背後に現れる。
もっと前からいたのだろうが、タイミングを計ってくれていたのだろう、己の醜態を流してくれたことに感謝しつつ、ザラブの言葉でグローザム戦死演出も予定と違ったことを思い出した。
元来の予定では、時間稼ぎを継続しながらガタノゾーアの注意を集め、地球人達を庇うかカッコいい台詞を残す形でグローザムの戦死を演出して、地球人の戦意高揚へ繋げるつもりだったのだ。義憤を希望に繋げようとする悪質っぷりであった。
「それで、どうする?」
「……ザラブ、貴方の負傷は?」
「応急処置は済ませた。お前の判断に従う」
「……ガタノゾーアが動きを繰り上げてきた以上、元来の作戦は放棄します。今頃同胞達が制止している事でしょうが、間違いなく陛下が来ます。つまり我々が今やるべきは、タロウを守ることです」
あのウルトラ兄弟を、暗黒四天王であった自分が守る。忌々しいメビウスを鍛えたという、師匠ポジのウルトラ戦士を守る。
その事実を認識した瞬間、耐え難い屈辱にも似た、胃の腑を焼くような気持ち悪い感触がメフィラスを襲った。寒気すら覚える。
いっそ裏切ってタロウ磔にしてメビウスをおびき出してガタノゾーアごと殺害できないかと迷走すらしかけるほどだ。忠誠心で抑え込んだが。
ザラブも似たような感覚を覚えたのか、オーバーに自らの身体を掻き抱いて震えるそぶりをみせている。
「全く冗談ではないな。ウルトラ兄弟を守る? 我々が?」
「同感ですよ。しかし、やるしかないでしょう。あともう1つ」
メフィラスは、ザラブの前で掌を広げた。掌の上には怪獣リングが3つ。ビルガモ、レギオノイド、ドラゴドスだ。その内、レギオノイドのリングが黒ずみ、腐食していた。もう使いものにならない事がわかる。
「シャドウミストで殺されないように。良くて汚染、悪くて完全に死にます」
「……わかった」
「タロウと言えど、ガタノゾーア相手ではじきに追い込まれるはず。タイミングを見計らい、救援に入りますよ……本当に気は進みませんが!!」
◇
「タァーッ!!」
──バァァオオオオォォォォン……
無数の触手がタロウ1人を狙って海面より飛び立つが、タロウはその全てを両の拳で打ち払う。
隙あらばまた焼き千切ってウルトラランスへと武器化する素振りすらみせるが、流石にガタノゾーアもそれを二度許す気はないらしい。
「ウオッ!?」
掴もうとした触手がシャドウミストに変じる。薙ぎ払う様に振るわれた触手だったにもかかわらず、シャドウミストに変じた途端、その場に留まり漂った。慣性の法則など全く適用していない。否、地球が認識するあらゆる法則にシャドウミストは従わない。質量なき、意思ある闇として己が持つ性質と特性にのみ従っている。
空間に固着したかのように留まるシャドウミストは、タロウにとって邪魔な障害物として機能する。ガタノゾーアにとっては意に介する必要すらない。シャドウミストで己が傷つく事等ないのだから。触手の乱舞は一切の変動無く振舞われる。
「グッ!?」
強制的に動きを鈍らされては、いくらタロウでも回避はできない。鞭のようにしなった触手が1本、タロウの肩を打ち据え、膝をつかせる。
邪神の前で一度怯めば、それはただの玩具にすぎない。瞬く間に触手の渦がタロウの全身を飲み込んだ。
「おお! 流石は大いなる闇!! ははっ、なんだ! 最初にこそ驚かされたが、そこまでだったようだな!!」
触手の暴風雨とも呼ぶべき激しい殴打音が周囲に響き渡る。犠牲者の姿は内原戸の視界にも映らないが、赤い戦士が血みどろになって息絶えていく確信が彼にはあった。
──バァオオオオォォォォォン……
ガタノゾーアの不快げな鳴き声を聞くまでは。
「!!?」
「タロウスパウト!!」
触手の嵐から、猛回転するタロウが飛び出した。
回転することで、触手による猛攻撃の全てを弾ききっていたのだ。脱出後も回転を続けるタロウからそのまま虹色の竜巻が発生する。虹色の竜巻は猛威を振るっていた触手たちを巻き込んでいき、次々と引き千切る。さらにシャドウミストも浄化したかのように霧散消失させた。
「これで振り出しだな」
──……!!
「大いなる闇よ!! 何をしているのですか!! そいつさえ潰してしまえば、人々は絶望するのです!!」
傷1つないタロウが海面に降り立ち、ガタノゾーアがぎちぎちと鋏を擦り合わせる。
その近くで内原戸が好き放題言っていたが、2者共に彼の存在は意図的に無視していた。
タロウからすると、一瞥しただけで邪神を呼び寄せた元凶だとわかった以上、見逃すつもりはない。ただ『ガタノゾーア相手に隙を見せたくない』からハンドビームによる駆除すらしないだけである。後手上等、何か余計な事をしてきた際に対応すればいいと考えていた。
ガタノゾーアからすると、始末するタイミングを逸したただの賑やかしであった。リアクションが面白いからあえて眼前の『敵』を放置してまで片づける意味を持たないだけである。道化である限りは、存在を許容するのも支配者の嗜み。でもちょっとうるさい。そんなことを考えていた。
「ハァ!!」
──バァァァオオオオオオォォォン……!!
◇
タロウとガタノゾーアの激突が続く中、メフィラスとザラブは今も港で観戦していた。
作戦を決めた後、特に何をするでもなく、ただ眺めている。
沈黙だけが流れており、いい加減限界だったのかザラブの口が開いた。
「なぁメフィラス」
「なんですかザラブ」
「あれ加勢する意味あるのか?」
「……」
ザラブの問いに、メフィラスは答えない。
助勢する方針に嘘はなく、今更ウルトラ兄弟を援護する不快感が勝ったわけでもない。
単純に戦闘が壮絶である為、そのチャンスが見えてこないだけだ。想定では、いくら一見互角に見えてもすぐに劣勢になるだろうからそこで救援し、少しでも生存に貢献するというものだった。
「タロウカッター!!」
──バァァァオオオオオオォォォン……!!
本当に単独で邪神と戦闘を成り立たせているなど完全に想定外である。ウルトラ兄弟怖い。
いくらウルトラ兄弟が成長を続けているとしてもあの強さはメフィラスの頭脳をもってしても理解できない領域に届きつつあった。あのガタノゾーアは、あのウルトラマンティガを弄ぶほど強大な邪神であり、しかもデザストロを依代にしたことでより強大なはずだ。
ガタノゾーアが遊んでいるとしても、わざわざ互角程度まで抑えて遊ぶよりは絶望を煽るように弄ぶ方向を取るはずだから、あれは本当に戦っていると見ていい。そこへ自分たちが下手に割り込めば、確実に無駄な死体ができあがるだけで終わるだろうし、タロウの隙となってしまっては目も当てられない。
「レギオノイド達もあれ意味あるのか?」
「……」
メフィラスは答えない。
既に出現ポイントを完全に予測されており、タロウが対峙してからは置きシャドウミストのみで対応されている。
ガタノゾーアも、タロウが相手ではレギオノイドは1手の隙になりうると考える程度には邪魔と認識したとも言えるので止める気はなかった。わずかでも思考処理を割けているならば良い。ものすごい勢いで残機が目減りしているが。
「……ワープ救援は不可能ですね」
「レギオノイドの処理から見ても、時空間の歪みに自動対処しているな。転移で割り込んだ瞬間にシャドウミストに捕まって死ぬだろう。で、どうする?」
「……」
メフィラスは答えない。
ただ、静かに腹部をおさえて摩っている。
「メフィラス」
「……」
何をするでもいいから、指示が欲しいザラブは諦めずに声をかける。
メフィラスはようやくザラブへ顔を向ける。心なしか、その表情は青ざめていた。
「申し訳ありません、ザラブ」
「!?」
「時間切れです。……早すぎる」
メフィラスが答えなかった理由はたった1つだ。
時間切れという言葉の意味を悟り、ザラブも腹部をおさえて蹲った。
「絶望していいか?」
「気持ちはわかりますが、ダメです」
◇
光と闇が激突を繰り返す中、どちら側でもない力が突如発生した。
異変を感じ取ったタロウは戦闘を中断し距離を取る。ガタノゾーアも、隙を突くことなく、尋常ではない異常を感知し困惑していた。
「!?」
「!?」
──……!!?
タロウとガタノゾーアの間。その空間が突如捩じ切れるように歪み果てる。
歪んだ空間が模っていくものは、見るものに巨大な扉を思わせた。
規模こそ膨大だが時空間転移に違いはない。レギオノイド達を破滅させてきたように、シャドウミストが扉へ纏わりつくが、それは無意味に終わる。
<<(◎)>>
シャドウミストが一瞬で掻き消え、悍ましき邪神の咆哮が、世界の壁を突き破った。
混沌の力が歪んだ扉を強引にこじ開ける。
タロウは身を強張らせた。
内原戸は空白を覚えた。
ガタノゾーアは疑問符で埋め尽くされた。
ヒカル達は新たな脅威に再び焦燥感に支配された。
市井の人々は突如乱れた中継映像に困惑した。
外事X課は混乱のあまりシャドーの操作を忘れていた。
ヒロユキ、タイガ、フーマ、タイタスはなんとなく扉から出てくる存在の正体がわかって苦笑を浮かべた。
メフィラス、ザラブは静かに胃薬を服薬した。
ついに扉が開かれ、邪念と執念に塗れた巨人が君臨する。
「タロオオオオオオオオ!!!」
「(`・ω・´)」
「え、トレギア!!?」
扉から姿を現したのは、先程までの冒涜的気配が微塵も感じられないなんかボロボロのトレギアだった。
主人公やっと来たよ!!(無理矢理来たせいで既にHP減少状態。ウルトラの父かな?)
・【悲報】ニュージェネ達、まだ変身できない。
一応内原戸の嫌がらせは最低限成功していた模様。
揃ってすぐ変身できてたら、苦労はしない。特にジードはこの変身リキャストタイムで何度も辛酸を味わう羽目になっている(破壊されていく街に何もできなかったり、仲間を守ることすらできなかったり)。
・タロウ、ガタノゾーアにダメージ与える。
ウルトラマンタロウは、ボクサーみたいな連撃と、重い一撃を組み合わせたハイブリッドな格闘戦が得意という印象がありますが、こいつの本領は意味不明なレベルの万能対応力にあります。
ウルトラブレスレット以上の万能性を誇るキングブレスレットと自身の能力を組み合わせた戦術がとにかく多彩。特に物質変換能力に優れているようで、相手の武装を勝手に変換して自分の武器として使用するなんて普通にやる。なんなら東京タワーもクリスマスツリーに作り替えたりする。酔っ払いにはバケツで水をぶっかけるし、冷凍光線も使うし、自分が凍らされたら解凍するし、野菜喰いまくる怪獣は塩漬けにした(本当にやったんです信じてください!)。火力は6兄弟でも上位であり、ウルトラダイナマイトはグリムドすらも吹き飛ばす。
ガタノゾーアが警戒するのも当然である。
・タロウスパウト
タロウ23話『やさしい怪獣お父さん!』にて使用した回転技。タロウが回転して生じた虹色の竜巻が、対象を巻き込み粉砕処理する。回転すれば何とかなる!
その威力たるや、格闘戦でタロウ相手に終始優勢であり(!?)、ストリウム光線すら未知の光線で相殺した(!!?)怪獣ロードラが何もできず木っ端みじんになりミニカーの山と化したほど(本当なんです信じてくだry)。演出も派手で、威力も申し分ないのに使用回がカオスすぎたせいかあまり話題にならない。
ちなみにこのロードラ、車(金属類)は溶かしまくるが人は無事という何がしたいのかよく分からない怪獣で、そのくせやたら強かった。でも一番強かったのは、「怪獣も話せばわかるわ!」などと世迷言を吐いてロードラの顔にしがみつく羽目になった妻を助けるべく『竹林の竹に乗って、反動で数十m飛び上がり、怪獣の鼻に着地』して妻を助けた旦那さん(本当なんです信じてry)。タロウこと東光太郎も旦那さんに感心し「よし、俺も行くぞ!」と竹槍担いで飛び上がった(本当なんです信ry)。この竹槍でロードラの右目を大出血させたが、キレたロードラに夫婦諸共吹き飛ばされるも、タロウに変身して夫婦も救い事なきを得ている。最初から変身して助けろ?私もそう思います。
・ウルトラ兄弟はあんま助けたくないメフィラスとザラブ。
残念ながら当然。彼等に敗れた同族への仲間意識が高いわけではないが、プライドはある。
・『扉』による出現
通常方法での世界間転移をオムニバーシアン達による決死の抵抗で封鎖された為、グリムドに纏わる力を使って強引に移動した。所謂神話に語られる『門』である。オレギアは別に資格も何も所持していないが、グリムドは宇宙創世以前より存在する邪神故に『全部持っている』ので移動するまではグリムドが全てを担っていた。結果SANチェックものの出現となったが、幸いにして、全員SAN直葬は起きなかった。