前回までのあらすじ
ヒロユキ達がニュージェネメンバーにトレギアのことを説明してる間に
トレギアが滅茶苦茶闇の力振舞いだした。
「離してください! 僕は行かなきゃならないんです!!」
「落ち着けヒロユキ君!! さっきあれほどトレギアを擁護してたじゃないか!!」
「擁護した直後にもっと闇の力引き出す空気読めないあのアホは1発殴るべきなんです!!」
『そうだそうだ! いこうヒロユキ! 父さんとトレギアを助けたらトレギアの顔面にタイガキック決めてやる!』
僕は年季を感じさせるレザージャケットを着込んだ男性──ウルトラマンオーブになれるガイさんというらしい──により抑えつけられていた。
正直言ってガイさんの言葉は正しい、落ち着くべきなんだと思う。ふざけている場合ではないのだと。
闇の力だって、振るう人によってそれは正義にも悪にもなるということぐらいわかっているつもりだ。
でも空気ぐらいは読んでほしかった!! 腹の底から湧き出るこの
落ち着くべきという理性の声と、あのふざけた巨人を仮面吹き飛ぶぐらいにグーでいきたい感情がせめぎ合っている。
この感情はただのツッコミ精神というわけではなく、あの闇が本当に危険なものだと肌で感じ取ったからだ。放置したら彼がまた深い闇に囚われてしまう気がする。
「皆がせっかく理解してくれたのに……」
「理解したというか、ヒロユキ君を不憫に感じて冷静になったというか……」
「というかトレギアの無駄に長い謝罪文必要あった!? 俺の脳にゴミみたいな情報流された気分なんだけど!?」
「まぁ、俺達の知ってるトレギアとは違うってことだけは一発でわかるな」
「そのトレギアが今父さん……ベリアル並に闇に堕ちてる気がするんだけど。ガタノゾーアのあのヤバそうな闇に負けてない闇を感じる」
ほらー!! 皆トレギアの方見てすごく微妙な顔してるじゃないか!!
やっぱり殴ろう!! あの人はそのぐらいしないとわからないと思う!!
タイガもそうだそうだと繰り返してるから正しいことだね!!
『落ち着けヒロユキ、タイガ。気持ちはわかるが、あれは必要だからそうしたんだ』
ガイさんだけではなく、タイタスにも肩を抑えられ、流石に動きを止める。
彼の顔を見れば、やんわりと窘めるような視線を感じた。……ごめんタイタス、ちょっと取り乱し過ぎたよ。
そうだね、彼は必要な事と思ったら、ホマレ先輩病院送りにすること躊躇わない人だった*1。逆に言えば、必要でないならば可能な限り自重したり取り繕った行動を取る人でもある。
でも、あの闇に染まる必要ってなんだろうか。
「どういうことタイタス?」
『ガタノゾーアが作り出したあの巨大な闇の塊は、あらゆる光を吸い込み逃がさない恐るべき闇だ。その闇に対抗するべく、あえて闇を纏ったのだろう』
さすがはタイタス。ウーラーに関しての情報といい、知識も分析力も僕らの中で随一だ。賢者の異名は伊達じゃないね。
そうか、光を吸い込み逃がさないということは、普通の光線技じゃアレを迎え撃つことすらできないのか。僕たちでも、対応できたかわからない。
『黒い穴にしかみえないアレ、そんなにやばいやつなのか……』
『だがあの姿……間違いなく代償はあるだろう。急ぐべき事実に変わりはない。光エネルギーが足りないことがここまで歯がゆいものだとは』
『せっかく身体も治って、3人とも同時変身できるようになったのにな。即トライストリウムの方が良いとは思うけど』
「え?」
フーマ、今さらっと大事な事言ってない?
驚いて彼を見れば、ウカツ! と言った様子で手で口を抑えている。もう遅いよ……。
『スゥー……』
『フーマ……』
『お前、ちゃんと機会を決めてヒロユキに話そうとしてた事を……』
呆れるタイタスやタイガを観ながら、僕は割と冷静にフーマの言葉が持つ意味を受け止めていた。多分トレギアに散々怒ってたせい。
3人とも、気を遣わせてたのかな。
タイガ達は元々かつてトレギアに敗れた時の傷があるから、僕に同化して傷を癒す必要があった。僕を通じてでしか変身できなかったのもそれが理由だったはず。
傷が癒えたなら、元の宇宙へ帰還するのは当然だと思う。あのトレギアをタロウの元へ届ける意味でも。
だけど、僕が地球人と宇宙人の懸け橋になろうと、必死になっていた様子をみたら。不安になって、言い出せなかった気持ちもわかる。
「3人とも、終わったら話し合おう。言っておくけど、ガタノゾーアとの決戦に僕を置いていくなんて認めないからね。4人で戦おう!」
『ふ、先手を打たれてしまったな。わかっているさヒロユキ』
『ああ、お前の覚悟は受け取っている。すぐ言い出せなかったのは、悪かった』
「気にしないで。特にフーマ」
『すまん……』
気を取り直して、戦いの方へ視線を向ける。
じわじわと接近していた黒い穴が、とうとうタロウさんとトレギアの近くまで迫っていた。
あれほど遅い技というのも驚くけど、一歩も引かない2人にも驚く。闇に染まったトレギアは大きな鎌のようなものを振り上げていて、タロウさんが静かに彼の隣に立っていた。
まさに激突しようとする直前、ショウさんがいち早く声をあげる。
「ん? 空から何か来るぞ!?」
「!?」
つられて空を見れば、街に降り注ぐ陽光に、一際強い光が混じって降りてきた。
それは、人型に姿を変え、やがてメタリックオレンジの輝きを放つウルトラ戦士に変わっていく。
……誰!?
「やっとこの地球に着きました────! 角のお兄さん早すぎです! 置いていくなんてひどいです! でも分厚い雲に穴をあけてくれたので許してあげます!」
新たなウルトラ戦士が僕たちの前に着地する。
声が高いし、巨人なのにどこか小さく感じる雰囲気といい、ひょっとして女性のウルトラマンなの!?
「「アサヒ!!?」」
「え、あの……?」
「あ、紹介します。ウチの妹です……」
「俺達の妹、湊アサヒです。なんかすんません」
カツミさんとイサミさんが頭を下げながら僕に彼女を紹介してくれた。
色々驚きが重なって、また感情処理が追い付かなくなりそうになる中、彼女──アサヒさん(グリージョ?)は可愛らしいポーズを決める。
「ハッピー! 湊アサヒことウルトラウーマングリージョです! いつまで経っても帰ってこないお兄ちゃんたち迎えに来たんですけど……今はそれどころじゃないようですね!! あたしの力、見せてあげましょう!!」
彼女が掌を僕たちに翳す。巨人の掌だから、思った以上に圧迫感を覚える。
「グリージョチアチャージ!」
暖かな光を放つ光球がいくつも放たれ、僕たちの身体へ溶け込んでいく。
これは……!! 足りてなかった光の力が一気に漲ってきている!!
「すごいな……俺達の力が完全回復している!!」
「僕の傷も完全に治った……!」
「
「ああ、ありがとう!! よしみんな、いこうぜぇ!!」
◇
どこまでもどす黒い闇が、空間を弾くように、えぐるようにゆっくりと迫ってくる。闇とそれ以外の境目があまりにくっきりしすぎていて真黒の穴にしかみえない。
迎え撃つは、どこまでも混沌めいた闇。混沌であるかのように濃淡は激しく、しかし闇そのものとして世界を冒涜するように顕在している。
まさか、この混沌の闇を纏う形態を実戦で使うことになろうとは。
かつて初変身で至った時は思いもしなかった。
ウルトラマントレギアカオスグリムド ダークナイトモード。
無駄に長いが、これでも正式名称である。グリムドをあえて我が身に深く浸食させ、混沌の性質を強化。そして光か闇のどちらかを強く表面化することでモードチェンジすることができる。今は闇を纏っているからダークナイトというわけだ。
……いいんだよ! ヒカリ長官だってハンターナイトツルギとか怨念テンションに身を任せて変な名乗りしてたんだから!!
それに、多少はテンションを高めないと、俺の心が保てなくなる。羞恥ではなく、グリムドによってだ。
「(;´・ω・)」
「大丈夫だグリムド……いける」
今俺の心は負の感情が荒れ狂い、あれ程否定したはずの虚無への誘いが輪唱している。
なんで輪唱してくるのか意味が分からない。普通にうるさいんだが。
(この世に光も闇も)
こんな感じのが何重にもなって響いてくる。気が狂いそうだが、内容ではなくうるさくて気が狂いそうなのはどうなんだと思う。
……自己ツッコミする程度には余裕あるが、強がりな自覚もある。
これに負けたらただの闇堕ちだ。
自分自身がなんであるかを強く意識せねばならない。普段グリムドの影響を完全にカットしているはずの俺でこうなるのだから、他の存在が同じ真似をすれば、あっという間に自我ごと吸収されてそこにはただのグリムドだけが顕現することになるだろう。
「(・ω・)ノ」
「少しでも抑えてくれているのだな、助かるよ」
かつて俺のタロウから忠告された「深淵を覗くときは気を付けろ。深淵もまたお前を覗き返している」という言葉。
元々、そんな言葉を受けても禁忌の研究にのめり込んだ好奇心の奴隷だったのだが、今まさに深淵を見つめるどころか、深淵に手を伸ばして互いに掴み合ったような状態だ。
カラータイマーに封印された状態でもあれほど変質して強大な力を得たのに、半同化形態ともなれば文字通り別格だ。
グリムド本人がいかに俺を気遣っていようが、影響がでてくる。永続的狂気に堕ちた
「(; ・ω・)???」
「なんでもないですはい」
本当に余裕がない。この状況でこんなふざけた真似しないと駄目って時点で完全な失敗形態と言える。
実際、試験変身では10秒も持たず変身解除せねば危険なレベルだった。
だが今は違う。
「正気を保てトレギア、私はここにいるぞ」
「ああタロウ。ありがとう」
肩に手を置かれ、俺の心は喜びで荒れ狂う。うるさい輪唱など消し飛ばす勢いだ!
やはりタロウこそ太陽! お前がいるなら俺は戦える!! 夢も諦めない!! 理想も諦めない!!
俺はウルトラマンだ!!!
ところでさっきふざけた事言ってたと思うけど聞こえてたなら忘れてほしい!!
「(。◇。)バオオオオオオン!!」
「闇に呑まれて消え去ってしまえ!!!」
おっと、いよいよ迫ってきたか。
気づけば間近に迫った巨大な『黒い穴』。そのサイズは俺達を優に超えている。直径100mはありそうだ。
タロウよりも1歩前に出て、鎌を握りしめる。グリムドの力でも闇に属するものが凝縮された死の大鎌。
グリムドにしてはシンプルな漆黒だ。余計な装飾がついていないのは俺好みである。特に読み込み機能とかついてないので販促にはならんだろうがな。
「さぁこいガタノゾーア。お前の闇は、この闇でもって打ち砕く!!」
勝てなければ、俺はおろかタロウも死ぬ。ならば俺が扱える全ての力を出し切るまで!!
鎌を大きく振りかぶる。
古代宇宙語の詠唱でもって、グリムド……最古の邪神達の権能を鎌へと宿す。
≪原初の混沌よ。天地開闢に対する報復の機会を与えよう。万物は混沌へ、光と闇は融和する。原初の混沌ここに在ることをただ示す≫
鎌が重くなる。グリムドそのものが宿っているからだろうか。
これにつられてタイミングが狂えばすべてが終わる。全身に力を籠め、渾身の一撃として俺は叫んだ。
「(`・ω・´)ノ」
「カタストロフィグリムド!!」
大鎌を振るった瞬間、不気味極まる哄笑があらゆる神経を刻むように響き渡る。
どちらの邪神による笑い声か俺にはわからなかった。
だが、結果だけは簡単に視覚が受信できた。
大鎌の一撃は、拮抗すら許すことなく穴を両断し、別次元の彼方へ溶け込むように消し去ったのだ。
静寂の風が吹く。ガタノゾーアも、うるさい小人も、タロウも何も言わない。
沈黙を破ったのは、案の定俺だった。
「ぐっ……!」
「トレギア!!」
結果を手にした実感を得ると同時に変身を解除した。だが全ての力が抜けてしまったかのようにふらつき、膝をつきかける。
すぐにタロウが支えてくれた。本当最高の親友だな!
「馬鹿な!? 馬鹿な馬鹿な馬鹿な!!? 大いなる闇の、あれほどの闇が!!?」
静寂が消え去って早々になにやらわめいている奴がいるが、この結果は当然だ。この技はそういう技なのだから。
グリムド達ですらもはや永劫手に入ることがない、宇宙創世以前の世界。
ただ在る事が肝要な彼等にとっては未練がある世界でもないそうだが、その世界が健在であった頃を思い出すことぐらいはできる。
そうすることで僅かに生じた『始まりに対する不快感あるいは復讐心』を指向性にして、世界を冒涜する邪神の権能を乗せたのがこの一撃だ。
ガタノゾーアが繰り出した闇が『あらゆる文明と光』に対する絶対的優位性があるとしても。
邪神の権能が繰り出したこの一撃は『宇宙創世より先にあるもの』に対する絶対的優位性がある。
そして
これがどういうことかというと、万物は創世以前の一と化す。つまり始まりも終わりもなかった混沌へと戻されてしまうのだ。
しかし、その混沌は、もはやこの宇宙創世後の世界では存在が保てない……いや、許されない(グリムド達は『在る』けど)。
雑な表現をしてしまえばバグであり、世界の理あるいは宇宙総体意思とも言うべき概念は認識次第正しく対象を因果処理して抹消。混沌を降ってわいた余剰エネルギーとして『世界にとって都合のいいもの』へと再変換してしまう。完全なシステム処理であり慈悲すらないが、世界からすれば「なんにでも変質できる混沌だ! 有効活用しよう! え? これ元の状態あんの? わざわざ余計にエネルギー使って元の状態に戻す必要あるんですか? 効率的に使わせてもらうね!」である。
以上、『邪神の権能』と『
こんな技使えばそりゃあ自滅レベルでエネルギー失うわな。
正直、ここまで酷く消耗するぐらいなら別の技使えばいいと思います。はい、反省してます。
だが、
「凄まじい技だった。ありがとうトレギア、おかげで助かった」
「ゼェー……ゼェー……ガタノゾーアに当てるのが一番良かったんだがな」
「やめておけ。あの技の性質はよくわからないが……お前の技量だと避けられるか妨害されて酷い結果に繋がるぞ」
「全くよくわかってるじゃないか教官どの……!!」
技の性質上、当てるべき対象を間違える事が許されないからな。
「(。▽。)バオオオオオオン!」
「ハァッ!!」
ガタノゾーアの触手が伸びるが、タロウが容易く弾く。
必殺の一撃を無効化された事は少なからず衝撃だったはずだが、その表情は喜悦が浮かんでいる。これはこれで問題ない結果のつもりなのだろう。俺が闇堕ちしたら爆笑ものだったのだろうが、そうならずとも俺が事実上戦闘不能に陥りお荷物となったからだ。
奴にとっては狙い通りであり、俺にとっても狙い通りだ。
「トレギア! 後は私に任せろ! 今度は私が……!!」
「いや、十分だタロウ。
「なに?」
「(。O。)?」
さて……メフィラス、どうだ?
『万全です。陛下とタロウがガタノゾーアの注意を引いてくれたおかげで、ウルトラウーマングリージョが無事地表に降り立ちました。勝利まであと1歩です』
そうか! わざわざ派手な大技を使った甲斐があったな!!
転移こそ焦りとテンションに任せて衝動的だったことは全く否定のしようがないやらかしだったが、カオスグリムドへの変身はしっかり意図あってのものだ。
タロウを守る為が第一、運命をひっくり返す目的が第二。そしてガタノゾーアの意識を俺達により集中させる目的が第三だ。
戦略という意味では第三が本命に値する。
地球全体の動きを把握し、的確な妨害や行動に移ることができるガタノゾーア。タロウの接近にすら気付いて行動に修正を入れる感知性能と判断力の高さは侮れるものではない。
そんな邪神が、『ウルトラマンレイガに必要なもう1人のウルトラ戦士』ウルトラウーマングリージョの接近に気付かないはずがない。とうに気付いていたはずだ。
レイガの事は知らないだろうが、光の戦士がさらに増える事を嫌がる危険性は十分にあった。
だが、ウルトラウーマングリージョは単純な火力で言えばタロウよりずっと弱かった事。
そして、グリムドと共に在る俺が登場したことで関心はグリージョではなくこっちに傾いた。
あの大技……グリムドの力を更に使う事を強いることで、俺が闇堕ちするか期待したんだろう?
闇に呑まれれば良し、闇を弾いても消耗することは間違いないから良し。両得の考えで技を放った。
確かに結果として俺はこのざまだが、お前は見逃してはいけない存在を見逃した。
「(。△。#)!! バオオオオオオン!!!」
ガタノゾーアも気づいたのだろう、怒り狂ったように吠え猛った。
もう遅い!! カードは揃った!!
「時間は稼ぎきったぞ、よく我慢したなニュージェネレーションヒーローズ!!」
希望の光が蘇り、俺とタロウより前に雄々しく降り立つ。
「「またせたなタロウ!!」」
Ultraman Ginga Victory
「邪神を抑え込んでくれてありがとうございました!」
Ultraman Exceed X Beta Spark Armor
「タロウさん! トレギアさん! 熱いやつ、見させてもらいました!」
Ultraman Orb Orb Trinity
「ここからは、僕たちが!!」
Ultraman Geed Ultimate Final
「「「止めてみせる!!!」」」
Ultraman Gruebe
「我ら、ニュージェネレーションヒーローズ!!!」
Ultraman Taiga Tri-Strium
おお、いきなり最強形態でそろい踏みか!!
着水と同時に激しい水柱があがり、陽光と水飛沫によって生じた虹を背負うその姿が美しい。
合体して6人だが、その実11人の偉大な戦士達だ……頼もしい限りだな。
『全く、冷や冷やしましたよ。胃痛分の手当はいただきますので』
感動しているところに水を差すな。
努めて検討させていただきます、とでも返しておこう。
「タイガ……」
タロウが感慨深げに息子の名を呟く。
今、頼もしき戦士達に混ざって、こちらに背を向けているタイガが、彼等となんら遜色ないことを強く実感しているのだろう。
なにより、今のタイガはトライストリウムの姿なのだから。
あれは、『絆』に対する理解が未熟だった頃とは違う、『真の絆』を手にした証拠そのものだ。
「父さん、トレギア。後は俺達に任せてくれ」
「……頼もしくなったなタイガ。だが、私はカラータイマーも鳴っていないのに、後進任せにする父親ではない」
最強戦士達の中にタロウがそっと混ざる。
そして1人彼等の背後でふらついている俺。
ねぇ、これ俺だけ空気読めてないみたいになってないか!? ちょっと!!?
「そうだトレギア。お前無茶しすぎてるから後で殴らせろ」
「!!?」
「父さんの親友を殴るんじゃない……と思ったが並行世界の親友だから今は目をつむろう」
「タロウ!!?」
「いまいましい……忌々しい!! 終末なのだぞ!! だというのに邪魔ばかり増える上に勢揃いだ!? だがな、貴様らは所詮は脆弱な光にすぎない!! 先の偉大な闇はあらゆる光を否定することをもう忘れたか!! あれが1発で終わるものとでも思っているのか!! 大いなる闇よ!!! 今一度、あの偉大なる闇をぶつけてやりましょう!!!」
──…………
「……大いなる闇?」
──≪もういいじゃまだ≫
「!!?」
次回、最終決戦。
・ヒロユキ君、すんなりタイガ達との別れが近いことを受け止める。
劇場版ではひと悶着あった。というかこれから決戦だという時に、「ヒロユキ傷つけたくないから、ここで別れよう」とか言われたらそりゃ怒る。
しかし本作では1年が経過しており、ヒロユキは、劇場版よりも物分かりが多少良くなっている。ただ、劇中でも無意識に察していた節がある。
要はいつでも分離してお別れできる状態だったのにヒロユキが心配で、だらだらと別れを引き延ばしていたわけだが、それがなかったらパラレルアースは滅んでいたのだから笑えない。
本作中では主人公はあくまでオレギアなので正直全カットしても良かった部分ですが、全く触れないのも難しかったので、ちょっとギャグっぽく流しました。
・ウルトラウーマングリージョ
湊兄弟の妹、湊アサヒが変身するウルトラ戦士。タイガ劇場版でも割と唐突に空から降りてきた。
兄2人が半年間帰ってこなかったので迎えに来たら、絶賛ラストバトル中だったので、さっそくロッソとブルと共にウルトラマングルーブに変身。
結構目立ってたけど、実質変身アイテムみたいな役回り(当時戦闘面では火力面でまだまだ未熟な立ち位置だったのでしょうがない)だったのがちょっと残念だったので本作では光エネルギーデリバリーという役割を増やした。ちょっとの出番でもより意味があるものか否かで大分変ってくると思っています。
・カタストロフィグリムド
音の響きでトラギーキカタストロフィ(悲劇的大災害)とするかで悩みましたが、実際に使われたりする言葉よりは単純に「グリムド大災害」でいいかなと。
すごく雑に言えば原初の邪神達による「あー、今更戻ることもできないし、戻ろうとも思ってないけど昔はよかったよねー。思い出してたらなんかビックバンムカつくわ」って情動を起点に邪神達の世界を汚す権能を鎌の一撃に込めた。邪神の八つ当たりを受けた対象は、属性を創世以前の混沌(グリムドがいた世界の一部)へと還されてしまい、現世に存在することが許されなくなる。結果、世界因果により再解体再構築され万物へと不可逆の変質が行われる。この世界修正がとても強力なので、グリムド達が『宇宙創世以前の世界を取り戻す』という選択ややる気を余計失くしている。
グリムド達はビッグバン後も『在ることができた』が、それ以外は全て焼き尽くされ万物へ変質したという世界神話故にこういうことになっています。
世界法則すら利用した一撃必殺技ですが、滅茶苦茶消耗激しいので1発限りです。おまけに外して地面にブチ当てたとかやらかしたら洒落にならない(適応範囲がわからない。最悪星ごと消滅する)ので、必中が絶対条件となります。ガタノゾーア本人に向かって使えなかった理由でもある。
ちなみにグリムド達本神は使えない。何故ならこの権能と理不尽は、『邪神達の情動を一纏めにして、かつ無意味とわかっている報復に繋げる』工程が必要だから。つまり自我らしい自我がない邪神達に代わって明確に強い意思と、結果を求める知的生命体が必要不可欠。そんな存在は現在オレギアしかいない。
コンセプトは『型月作品みたいな理不尽概念宝具っぽい技』『グリムドによる大災害』の2点。ルビ振った技とかにしてないのは、この作品がウルトラマンだからです。型月作品が舞台だったらなんか難しい漢字とギリシャ語並べてた。
そしていつもより投稿が遅れた最大の原因です(次点、お仕事とサンブレイク)。中二ネタを限界まで追究しようとして詰まりました。
技名はすんなり決まったんですが、効果内容で散々迷走しました。初期プロットで「なんか中二全開の大技出す」としか書いてなかった昔の私を殴りたい。
・ウルトラマンギンガビクトリー
・ウルトラマンエクシードXベータスパークアーマー
・ウルトラマンオーブオーブトリニティ
・ウルトラマンジードウルティメイトファイナル
・ウルトラマングルーブ
全員まともに解説するとあとがきがひどいことになるので、割愛。とりあえず知らない方はニュージェネ達の最強形態と思っていただければいいです。グルーブ除けばどいつも名前が長い。
オーブに至ってはオーブトリニティが正式名なせいでフルネーム表示だとオーブがダブる。
・ガタノゾーア、優先対象を間違えたことを悟る。
ジョーカーフラグと否が応でも理解した。切札温存して遊ぶ余裕は無くなったと判断。
此方もあらゆる手を解禁するべきと判断してたところに「対処された技をまた使え」とか騒がれた。