どうせパラレル扱いなんだし細けぇこたぁいいんだよ!なのは重々承知なんですが、細かい時系列が気になってアマプラでシンウルトラマン何度か見返してます。ガボラが10月21日のはずなんでネロンガは多分10月3日で合ってるはず……
2020年10月4日 地球:日本 所在地天候:晴れ
昨日は取り乱してしまい、只々無様な記録のみを残した事を恥じる。ザラブの一流工作員を自負する者が取るべき日誌内容ではなかった。
徒然なるまま、しかしわかりやすく、そして読まれて羞恥を抱かない程度の文面を整えなければ。
さて、報告書の下書きとしても活用しておこう。
先日、私はグレートブリテン及び北部アイルランド連合王国(United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland)なる立憲君主制の議会制民主主義国家、そこに属する都市コヴェントリーにて
あれをただの偶然と見做すには、我らザラブは工作経験が豊富過ぎた。恐らく地球侵略を目論む宇宙人の類だろうと踏み、態々接触の可能性を高める必要性はないと判断したのだ。
既に怪獣を6度も撃退している点から、放っておいても解決するだろうとも考えていた。
しかし、情報を収集しているとどうにも私の見通しが甘いようだった。
日本は怪獣災害で経済的打撃を強く受けており、加えて各国との外交調整で独自戦力の増大も難しい現実に苦しんでいたのだ。
あっさりXio級の組織を用意すると思っていた私は、この惨状に呆れ果てたものである。星1つに無数の国家群が存在する多様性の悪しき一面を久々に痛感した。調査する限り、自衛隊と防災庁禍威獣特設対策室(禍特対という略称があるらしい。語感が同一なのでこの地球における科特隊相当なのだろうが、ゼットンすら消し飛ばす彼等とは資金も技術も不足している)の連携を確立するだけでも相当の苦労があったようだ。これはまずい。
結局、新旧大聖堂の趣や、交通博物館内をじっくり堪能する潜伏観光プランは短縮して日本へ移動した。
流石に潜伏先の地球が侵略で滅んでしまうのはよろしくない。オムニバーシアンとしてもよろしくない。事故で巻き込まれた先でも善行を積まねばならない実情は、世知辛さを覚える。
日本に到着してまもなく、怪獣が出現した。
我々の知るネロンガに酷似している。傍受した通信においてもネロンガと呼称されていた。
山中にて透明化して潜伏観察。あまりに被害が拡大するようであれば、不得手ながら巨大化して戦闘するほかないだろう(切札にベムスターとガンQ所持を許されているが、防衛には向かない)。そう考えていた矢先。
空からウルトラマンが降ってきた。
着地時の衝撃で吹き飛ばされながらも大混乱に陥った。
予兆無く、警告無く、最低限配慮しましたと言わんばかりの傍迷惑な出現は光の国に生きる者とは思えない。何より銀一色なのはどういう事だ!? カラータイマーすらないぞ!? あと全身クッソ痛ぇ!!
木々に身体をしこたま打ちつけ呻きながらも、ここまで思考を回せた私はやはり一流工作員だと自画自賛する事で辛うじて立ちあがることができた。私は別に耐久力が高いわけではないのだ。
当然視界に入ったウルトラマンであろう存在がスペシウムの構えを取りつつある事に恐怖を覚えたのは言うまでもない。即座に退散し、ネロンガ爆散の影響からは脱する事ができた。
結果としてだが、現場に居合わせた事は最良に近かったと言えるだろう。この宇宙のウルトラマンは大気圏外へ向かうように消失したが、パターンからみて現地の誰かに憑依同化したのは間違いないはずだ。
問題は、おそらく彼に察知された事だ。第三者視点で怪獣が暴れる中で静観していた宇宙人というのは容疑者認定するに充分な状況証拠だろう。早期接触を図り、誤解は解かねばならない。
ひとまず潜伏先に神奈川県横須賀市を選択した。首都圏から距離を置きつつ、日米の情報を容易く収集できる。
ところでカレーとハンバーガー以外はないのかこの町は。
2020年10月5~7日 地球:日本 所在地天候:曇り
カレーやハンバーガー以外もあった。
割とパン屋が侮れない。柔らかく優しい甘味を感じるパンは良いパンだと皇帝陛下が仰っていたので間違いない。また、ラーメン屋の数がそこそこあり堪能の機会は多そうだ。まずは行脚して一押しを探さねばなるまい。少し距離もあるが温泉もあるし、散策しがいのある道もいくつか発見した。時間の許す限り、未知を貪るとしよう。
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2020年10月15日 地球:日本 所在地天候:晴れ
ウルトラマンが誰に憑依したか特定した。早速接触を図ろうとしたらなんかこの宇宙のメフィラスと接触した。なんでだ。
それも最近お気に入りのラーメン屋で遭遇した。本当になんでだ。
彼の人間態は、あのらっきょう狂いの暗黒四天王とは違い、いかにも胡散臭そうな雰囲気を醸し出しながらも友好的笑顔を示すという、中々手強い印象を受けた。
「これは驚きました。貴方のような外星人が地球の飲食に興味を抱くとは」
私を看破しての第一声がこれだ。ザラブについてよく知っている事を匂わせながら、自分は地球に興味があると牽制をかけてきた。
私は努めて平静を装い、食券機にて濃厚醤油らぁ麺を選択した。こんな事なら隣接したカレー店に足を運べば良かったと後悔した。だがザラブは口の構造上、口腔内へスプーンを突っ込むと開閉部分にガチガチ当たって不快な為、カレーよりは麺類がまだ食べやすいのだ(ただし吸引ではなく、啜るという摂食方法をマスターしたのは最近の事である)。唇が自在で様々な飲食に容易く対応できる地球人には正直羨ましさがある。
「おや、慣れていますね。貴方が地球に訪れたのはつい先日では?」
「生憎と地球文化に触れる機会は多くてね」
「なるほど、そういう事でしたか。申し訳ない、人違いをしてしまったようだ」
「……は?」
メフィラスから得た情報は値千金であった。どうやら同族が地球へ来訪していたらしい。
同時に、この邂逅自体がメフィラスにとっては想定外であった事を理解した。私のよく知るメフィラスと同じ悪質性を持つならば、彼は本来ザラブとは直接的な接触を行わずに事を運ぶ予定だったのだろう。彼の知るザラブが地球の食事文化に興味を持つわけがないと判断していたら光学迷彩で人間に化けた私がノコノコ現れたのだから面を食らったに違いない。
なお、値千金とは書いたが、それはメフィラスも同じだった事を明記しておく。私の迂闊な反応から、彼はザラブ同士が連携しているわけではない事、私に地球侵略の意図が皆無である事を理解したからだ。
私がラーメンを啜り、各種感覚器官がもたらす幸福感に酔いしれる中、彼は端的に要求を告げてきた。
「私の計画は、短期的にこそ被害を生じているが、その真髄は地球文化を害するものではない。君がこの星を好んでいるならば、静観してくれないか」
「なるほど、現在の状況を組み上げたのは君か。良いだろう、私も永住する気はない。私に被害が及ばない限りは基本的に静観を約束しよう。君とウルトラマンには中立の立場を取らせてもらう」
この言葉に嘘はない。
ウルトラマンならばなんとかするだろうという楽観と、ただでさえ不慮の事態で潜伏する羽目になっているのに敵を増やしたくはなかったからだ。オムニバーシアンの理念にも背いていない。首を突っ込み過ぎないように、現地勢力で対処可能な事はなるべく任せるべきという方針がある。別に積極的救助を行っても罰則はないので、この方針は手を出さない理由を作る為と私は解釈している。
「ウルトラマンか……光の星の使者たるアレに対して地球の原生人類が付けた呼称を使用するのは、確かに適切だ。私も見習おう」
「!? ゴホッゴホッ!」
「……どうした、口から麺が垂れているぞ」
恥ずかしながら、ウルトラマンという呼び名がつけられた事が本当につい先日だった事を私は知らなかった(加えて言えば、この宇宙では光の国ではなく光の星とされていることも)。失念していたが、地球人達は最初【巨大人型生物】と呼称していたのである。ザラブの評価を落としかねない不手際だが、自戒と反省のため、ここは正直に記載することとした。
幸いにしてメフィラスに悟られる事はなく(希望的観測だが)、その後は互いにラーメンという素晴らしき一品料理に集中した。
これは余談だが、この店舗のラーメンは〆にカリカリ梅を少し齧り、レンゲを用いてスープを含み味わう事がマイブームである。その方がより美味しいという理由ではなく、訪れた飲食店の独自性を記憶に印象付けて帰路につきたいという認識故の行動だ。最も、ザラブの五感は美味であると主張しているのだが。
完食し2人して満足げな態度を隠さず店を出る。このまま終わってもよかったが、懸念要素が1つだけあった。別れ際、私は人混みに消えゆくメフィラスに向かってこう告げておいた。
「ああ、同胞のやる事を妨害する行為だけは見逃してもらうぞ。間違いなく私に被害が及ぶからな」
メフィラスは言葉を返す事はなかったが、此方へ振り向く姿には笑顔が貼り付いていた。言葉にするならば「どうぞご自由に」といったところか。承諾したものと解釈した私は工作準備に取り掛かる事を決意した。
2020年10月21日 地球:日本 所在地天候:晴れ
ガボラが出現し、核廃棄場へ進軍していたところをウルトラマン(カラーリングは馴染み深い赤と銀になっていたがカラータイマーは相変わらず見当たらない)が撃退した。放射能汚染を可能な限り抑え対処しての行動は流石光の巨人といったところだろう。私はというと、最大限隠蔽した上で怪獣リング化したベムスターの捕食能力を発動。ガボラが地中にて撒き散らした放射能汚染を除去して回っていた。無論、対同族用の網は万全であり、予想通り同族は工作をしていたようだ。
我々工作員が争う場合、情報をより有する側が勝利する。
向こうは私がいる事を知らず、ウルトラマン以外には一切警戒していなかったのだから容易いものだった。
ウルトラマンが変身する瞬間をがっつり盗撮した後、ウルトラマンの戦闘を目視して頭を抱えている様子まで把握している。気持ちはよくわかる。あんなチート種族どうやって倒せばいいのかわからないよな。
さて、光学迷彩全開のザラブ星人がウルトラマンを盗撮する様子の動画はどう扱ったものだろうか。複数の超小型ドローンで各アングルを確保している癖に、自身もカメラを構えて人間態を追いかけて、変身直後に慌ててアングル変える様は中々滑稽だが、人間の科学力でこのザラブを可視化できるだろうか。可視化処理可能なレベルまで此方が手を打った上でザラブによる電子改竄防止措置を取る。妨害行為としては充分だろう。
ちなみにウルトラマンの変身映像だが、流出阻止する気は全くない。中立を守る為という建前はあるが、本音はモチベーションの問題だ。なんでウルトラマンにそこまでしてやらねばならないのか。反吐が出る。
2020年10月23日 地球:日本 所在地天候:晴れ
ウルトラマンと接触した。
機会を窺っていたが、そもそも隙はおろか油断すると足跡からして途絶える恐るべき隠密行動力があり、今日の今日まで接触機会すらなかったのである。このザラブ相手にここまで隠密行動が取れるとは恐るべき男だ。そんな彼も常に足取り不明というわけではなく、今回は施設内図書館にて書物を只管読み漁っていたところへ声をかけた。
以下は会話ログである。
「隣を失礼する。私はザラブというものだ」
「……」
「まずは怪獣2匹を討伐してくれた事に感謝を。ネロンガを対処する前に君が空から降ってきた事で受けた傷は浅いものだから気にしないでほしい」
「……」
嫌味を交えても視線が本から逸れる事はなく、無言を貫くウルトラマン。時折紙が擦れる音が返事と言わんばかりの沈黙だ。この気まずい空気を余さず文章で伝えるには私では能力が不足している。
「ウルトラマン……そう呼称させてもらうが、今回は警告に来た」
「……」
「……私の同族が、地球に来訪している。私と違って業務目的だ。間違いなく君と敵対する事だろう。気をつけるといい」
「……此方を盗撮していたのは君ではないと言うことか」
やっと喋ったと思えば、これには驚かされた。気づいていて見逃した意味がわからない。
怪訝な雰囲気を隠さなかった故か、ウルトラマンはようやく本から目線を上げてこちらを見た。
なんとも非人間的視線である。これで地球人へ擬態しているつもりなのだろうか。
「君の変身する様子を撮影していたのは私ではない。……何故見逃した?」
「対処する手間を惜しんだ事は此方の落ち度だ。だが今後の予測は極めて容易なものとなった。取るべき備えを実行に移すだけだ」
多少の不利益は飲み込んで、敵対者の行動選択を絞らせる。言うは易く行うは難しの典型例と言えるだろう。被る不利益は同化した人間の社会的地位が喪失する線すらあるはずだが、予測しているということは、フォローも考えているとみえる。つまり私の出番はないということだ。この結論に至った私は安堵のため息すら零していた。
「そうか、ならば良い。被害が及ばない限り、私は基本的には静観させてもらう」
「わかった。君が現生人類に害をなさない限り、此方も手出しはしない」
内心ガッツポーズを決めた。これで安穏と潜伏できるというものだ。
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¢月☆日(地球時間2020年11月5日) 地球:日本 所在地天候:晴れ
同族をぶちのめしてしまった。どうしてこうなった。
Q.ザラブはどれくらい横須賀満喫したの?
A.観光ポイントはだいたい巡って、観音崎まで足を伸ばしていたりする。完全にオレギアから悪影響受けてる。
・ザラブにとっての日付と地球にとっての日付
動揺時の記入ではたまにザラブ主観の日付が顔を出す設定。地球時間に統一する形式は個人的にはザラブらしくないと思っていますが、【読みにくいしわかりにくい】ので滞在中のマナーとか適当な理屈つけて地球時間に合わせてもらいました。サロメシステムによる自動調整とかそういう理由付けの方がよかったかもしれない。
・シンメフィラスとの邂逅
彼の潜伏期間、絶対数年単位。絶対日本全土を渡り歩いて観光しまくってる。
ザラブは偶然だったと判断しているが、実際は必然。不確定要素と見做して監視、行動パターン把握後にわざわざ偶然を装い邂逅している。行動パターン分析でこのザラブに地球侵略の意思が皆無だった事も予測の範疇。ザラブに見せた反応はあくまで確証を得たものに過ぎない。唯一の想定外は、ザラブが思ったよりウルトラマン寄りだった事。計画を微調整する。
・シンウルトラマンとの邂逅
お互い警戒心を隠していない。ただ、ウルトラマンは人を理解しようと試みる性格、価値観、洞察力を有している。なのでこのザラブが敵対意識を持たない事までは理解した。この宇宙における宇宙人達は個々で完結しており、ザラブやメフィラスは固有名(あるいは地球に対しての母星代表として惑星名を名乗っている)とも思われるが、日誌ザラブは特に気にせず自分もザラブと名乗っている。