ヴァルガンテとシリス   作:xelkener

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懐かしさ(la kosnyl)

valgantestan parl cilis barlie'c zu velg flaniety. lena'd laferril io ny la lex m'es juluftie, si ingglim icve alfi'a. selene si il jeteson krante pelx jol veles tvarlo ete'd valgante'st lyme.

si xelerfka me jel fi'anxaste. liaxa ost axxervo disnostalst. valgantephestan alfon nun ny la lex.

 

"ej, la malcastan mol?"

 

ostastan malfarno mal vietist.

 

"niv, edixa ci tejiest lu. menial, mi es niv ost ja lu."

"har, edioll mi kantet niv la lexe'd malcastan dea. ers fi'anxa'd malca ja!"

"ers...... larjelmer lurn?"

"intarmerdett, moviersti"

 

valgantephestan foffodye liaxa. si tisod eso ost faut snume pa. fein, fevi'a xale aubeseme jexi'ert.

si xelnkan ostastan mal en fi'anxa. snutok m'es ircalart, flaniety letix niv sedoterl pestrie jol esilece linemine. mag, si varfexerfel eso fi'anxastan faut fixaal. larpi delok mels eso acsele fal fqa. mal perne. si fenklorv pen parlol cilis. xakant es "alefise'd cirla". fontaliaxi fenil iolx fhasfa velknen ytarta lulasa'l.

 

"arnema."

 

edixa jol valgantephestan jusnukon distyk metista. si m'ijiesnes, flanisa'd julupiavertz ta. flan larqo ad xalurmerl kafi'a.

 

"co es Xepare?"

"niv, mi es xarzni'ar lap lu."

"kienul io mi nun osta'l pa."

 

si m'jel la verben, yst systus.

 

"arti!"

 

xarzni'arstan vaxirln la cil mal karse ci'd fiurs.

 

"mal, co icve akrapt lu tirne?"

"niv! ers enal."

"arti...... lirs, lu co klie fua velbarle?"

"co xel harmae fal mi, hortxertekhesti?"

"ers valgante xici jarneu!"

 

ci nefflesvergon vietist.

 

"co'd ferlk es?"

"lior niv mi."

"arti, cene niv mi es la lex'i."

"harmie?"

"cun, tvarcarver'tj dekuto at es festena."

 

jol si tisod moliupi'avo harzatonj faut ci. pa, fhasfa en snutoka'l pesta qatevirelesil ci'st. ers tvarcarver. ci hartkarfel ny la lex. fi co karx celdino, jostol mi. mal, ki'eon fanken sial ler.

si xel larfistan mal jel fhasfa'd la kosnyl liaxu

 

---

 

 そのヴァルガンテ*1はシリス*2をフラニェテュ*3で出来たバーリェ*4で包んだ。このレナの月*5、ラフェール*6の時には珍しく*7、彼は道すがらアルフィア*8を手にしたのだ。彼はすぐにでも読みたかったが、他のヴァルガンテに奪われるかもしれないと思った。

 周りを見渡すと、彼はフィアンシャ*9が立っているのを見つけた。丁度、オスト*10が走り去ろうとしていたところだった。ヴァルガンテの男は、それを捕まえて次のように問うた。

 

「おい、御母様*11は居るか」

 

 オストは困惑しつつ、答えた。

 

「いえ、母は消えました。でもないと、僕はオストになれないでしょう?*12

「違う、その母じゃなくて、フィアンシャの母だ」

「すると……大工さんのことでしょうか?」

「もう良い、馬鹿が」

 

 ヴァルガンテの男は辟易した。オストは賢狼*13だと思っていたのだが。きっと、フェヴィア*14の如く自薦したに違いない。

 彼はオストを無視して、フィアンシャへと入っていった。礼拝堂は静かで、リネミネ*15をしたばかりなのかフラニェテュは新品だった。それで、彼はこのフィアンシャがフィシャ派*16のものだと察した*17。ここが無人であることに安心し、腰を下ろした。慎重にシリスを包んでいた布を開いていく。その題名は「アレフィス*18の真実」。ページを捲ろうとしたところ、誰かの声が耳に滑り込んできた。

 

「こんにちは*19

 

 ヴァルガンテの男は驚いて飛び上がりそうになった。振り向くと、フラニザの少女が立っていた。白い肌と服が光っているようだった。

 

「お前がジェパーシャーツニアーか」

「いいえ、わたくしはただのシャーツニアーです」

「門のところで、オストに訊いたんだがな」

 

 彼はバツが悪くなって、言い訳をした。

 

「あら!」

 

 シャーツニアーは合わせた両手の指を絡めながら、目を輝かせた。

 

「それでは、神から印*20を受けたのですね?」

「違う! 門ってのは入り口のことだ!*21

「あらあら……まあ良いです。あなた様はヴェルバーレ*22のために来たのですか?」

「俺が誰に見える、ホートシェート女*23

「ヴァルガンテさんでしょう?」

 

 全く怯えずに彼女は答える。

 

「お名前は?」

「構わないでくれるか」

「あら、無理なお願いですね」

「何だと?」

「礼拝者とお話をするのもフェステナ*24なので」

 

 彼は彼女を無視してやろうと思ったが、次の言葉が出てくる前に礼拝堂に誰かが入ってきた。礼拝者だ。彼女は「もし助けが必要なら、私を呼んでほしい」と伝えると、そそくさと彼の元を去っていった。

 その背中を見ながら、彼は何か懐かしいものを感じていた。

 

*1
827年頃から現れた社会的集団。貴族がパトロンとなり、詩人を養っていたこの頃、詩人を育てる詩学院(クローマ)の競争が過激化していた。この競争の中で暴力的に利益を得ようとした詩人のことをヴァルガンテ(valgante)と呼び、これに由来するマフィア集団は現代のユエスレオネ連邦に至るまで存続している。

*2
クレオス・ド・メアパトロネスト(kleos'd meapatronest)と呼ばれる大陸西方の集団による独特な書のこと。奴隷の血に蛇の毒など溶血作用のある物質と膠を混ぜたもので書かれている。

*3
彼らが信仰するリパラオネ教の礼拝所であるフィアンシャ(fi'anxa)の祈りの場に置かれる巨大な布のこと。リパラオネ教フィシャ派では、この布から聖職者であるシャーツニアー(xarzni'ar)の衣服であるフラニザ(flanisa)を作ったりする。

*4
本を包む布。中世において本は革装丁をされているのが普通であり、これらは革鞣しにどんぐりの殻や傘、枝などを煮詰めた液体を使っていた。このタンニン臭が手や衣服に移らないようにするために、読む際に本を包むのにこれを使ったとされる。

*5
レナ(lena)とは、リパラオネ教の神族(神の化身のようなもの)の一つで、本来学問を司る。しかし、修正リパラオネ歴においては1月頃を指す名称として用いられている。これは教典

*6
フォルネクス(pholneks)という植物の種のこと。12月から1月の間に空を飛びながら媒介するため、冬の風物詩となっている。

*7
この時期は冬ごもりと複数の新年祭の準備のために商人は11月末頃までに商品を売っぱらってしまう傾向があった。現代リパライン語では年末年始のことを"nefcileril"というが、原義は「商人の居ない時期」である。

*8
辻売り本のこと。商人が渡り歩いて売る本であり、内容は貴族が命じて詩人などに書かせるものとは異なり、非常に俗で民衆的なものが多かった。

*9
リパラオネ教の礼拝堂のこと。昔から様々な社会的機能を持っていたが、フィアンシャの襲撃に対しては聖職者が命を懸けてでも抵抗するように教典が命じていたため、幾らヴァルガンテとあってもおいそれと手を出せる空間ではなかった。

*10
フィアンシャが養育していた孤児のうち、自由にフィアンシャの外に出るのを許された者のこと。素行がよく、忠実な者が選ばれ、フィアンシャのお使いとして使いっぱしりとして働いていた。

*11
リパラオネ教の聖職者であるシャーツニアーのうち、フィアンシャを統括する最高位のシャーツニアーのこと。初めてあるフィアンシャに訪れたときは、そこのジェパーシャーツニアーに挨拶しなければならないというしきたりがある。正式にはジェパーシャーツニアー(Xeparxarzni'ar)と呼ばれるが、口語的には"la/lu malca"「御母様」と呼ばれる。

*12
"la malca"という口語表現を文面のまま受け取った誤解である。上述の通り、オストは孤児であるため母が居るはずがない。

*13
狼(snume)はリパライン語では「賢さ」などを象徴する。

*14
リパライン語による民族英雄叙事詩「スキュリオーティエ叙事詩」に登場する人物の一人。英雄たるユフィア・ド・スキュリオーティエの弟であり、家族が次々と死ぬなか継承権を放棄したユフィアに代わって当主を継承した。しかし、フェヴィアは自分の策を過信し、敵に抹殺されてしまう。このため、フェヴィアという単語は中世あたりから「奢り」を象徴するようになった。

*15
フラニェテュをシャーツニアーの制服であるフラニザにすること。

*16
リパラオネ教最大の教派である。他には、ヴィデュン派やトユター派などが存在する。

*17
リネミネはフィシャ派しか行わないためである。

*18
リパラオネ教の信仰対象たる唯一神、母神とも呼ばれている。

*19
原語は"arnema"、これはシャーツニアーがフィアンシャに入ってきた人間に向けていう挨拶である。一般的にこの挨拶からフィアンシャと礼拝者のプロセスが始まっていく文化的な境界のようなイメージがある。

*20
原語は"akrapt"、アレフィスがその人を自らの教えを伝えゆく中で重要であると見做して、幸福があるよう見つめられることを示す。「祝福」と訳される場合もある。

*21
"kienul"はリパラオネ教の神族(神の化身のようなもの)を指す婉曲表現としても使われる。神族はリパライン語上では物や機能・仕組みのように扱われる場合が多いため、後置詞を伴って"kienul io"と書くことで「神族に(指示されて)~」と読むこともできる。このため、シャーツニアーは誤解している。

*22
教典に定められたシャーツニアーの聖職の一つ。フィアンシャに訪れた礼拝者に食事を与えることであり、シャーツニアーはアレフィスの元で祈りを捧げた食物を訪れた教徒(など)に与える。古来から貧困で喘ぐ人々への社会保障的な役割を持っていた。

*23
ホートシェートは木の一種。スキュリオーティエ叙事詩において、英雄たるユフィア・ド・スキュリオーティエにその副将達がこの木の下で忠誠を誓ったため、ホートシェートは「正直」を象徴する。つまり、「正直に答えろ」の口が悪い言い換えと言える。

*24
教典「アンポールネム」に定められたシャーツニアーに課された聖職のこと。アンポールネムの読書、説教、ヴェルバーレ、フィアンシャと信仰の防衛、善行の五つが定められている。特に防衛に関しては「最後に書かれたもの」(petex kranteerl)と呼ばれ、シャーツニアーが命を懸けて果たすべき義務とされる。

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