ヴァルガンテとシリス   作:xelkener

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呟き声(la nubefi'e)

liaxa valgantephestan shobe flaniety mal fi'anxa eski. selene si krante cilis fal acsele polto. mag, si m'icve niv yrpla las, fanken.

si jusnuk fasta fi'anxa eskirgilece. cun, xelerl nesteon es nefdalle fey zu klie. si tisod ny la lex. si veles eso dolumiten. pa, laback'i xel fai lusarkeso valkarsa'd puder melx jol ankaleferlestan es le konametis lyme. fgir io fi'anxastan tejiest liaxa. si flanon fegeseffe mal fgir io mian zu zalizales jurFe'd puder leXil io.

 

"metista, cope es dolum ja?"

 

valgantephestan movies sime zu nun filx riron. pa, mianastan junarle la lexe'c mal lkurf ny la lex.

 

"mi kantet 100 lu."

"e kinulusti?"

"jexi'ert, lu alefis kin el co lu."

"harmie kienul es xale fqa?"

 

fka katuroj leusj klerut valkarsa'd la lusarkes a ci lkurfil. ci's si'st xelejton xalur raldeen vazarni xenapart mal leXilestan es nyniergen. mianastan belsh si mal fas plasio.

 

"co veles icveo akrapt fal cirla."

"edixu blurja mol niv ja pa."

"edixa la lex mol lkurfil xarzni'arstana'tj."

"blimesti......"

 

valgantephestan lkurf xale la lex. pesta esilece la lex'it, si'd larfibackal io ark xelal ler si senost kantakirsojt. si kon cayfizireffe melx edixa xel ctlirnieno. la lex es xale minarsa'd dexafel.

edixa mianastan reatetolon cilefferges.

 

"liaxu lu alefis fae lu."

"metista, la lex es mer?"

 

dyrilerl io karse xale stelains mal stienies polto'l fidafel indones xale gustu fon vefisait elmal. mianastan larpyles.

 

 

"dalle jelerl, mi es velgana zu kienul fua elmo lu."

"mi zu veles deroko velgana'st i veles eso harmie'it?"

"fal cirla, mi karx celdino co'st lu."

 

valgantephestan notules la lex. kienul karx niv celdino larta'st.

 

"deliu mi celdin mels harmie?"

"miss ve karx cija fua lu alefis dono"

"mi es niv cija."

"pa, ers klorma."

 

valgantephestan m'esunsar lakeule, firlex letixo adiogrehe derokerlust. ez klorma esil m'es penuleuce, mi firlex niv belx cene kranteo acirlon. si neffanstelacilon lkurf edixa.

 

"dalle tisoderl, velgo mi es niv suite fua la lex."

"pa......"

 

velgana p'lurfodek, ekceilon fas lkurfo.

 

 

"mal, cene niv co ve dosnud el dexawarden."

"harmie? edixa mi jisesn?"

"niv, fqa es dexawarden ad majnoswarden cecio unde. edixa lu alefis laozia elx nefmolojten unde fai la fae. la faestan f'is ircalart, undestan tejiest melx wioll jol cene co dosnud."

"ban missen tonir l'es alefis io......"

 

edixa si nubefi'e.

 

---

 

 ヴァルガンテの男はフラニェテュを掴んでから*1、フィアンシャの外に出た。彼はシリスを人のいないところで読みたかった。だからこそ、ユープラ*2すら受け取らずに去ったのだった。

 男はフィアンシャを出た途端に驚いた。目に見える風景が来たときとはさっぱり違っていたのだ。彼はドルム*3に憑かれたのかと思った。しかし、ヴァルカーザ*4の花の香りに振り向いたとき、その思い込みはよりそれらしく思えてきた。そこにあったはずのフィアンシャが消えていたのだ。ふと、顔を上げるとそこにはユーフェの花*5飾りを頭につけた少女がいた。

 

「もしや、お前はドルムか?」

 

 ヴァルガンテの男は素直に訊いた自分が馬鹿馬鹿しく思えた。少女はそれに狼狽えた様子で、次のように答えた。

 

「私は100を表します*6

「示しの理由?*7

「その通りです、アレフィスは貴方に示されました*8

「何故、門*9がこのようなことをするのか」

 

 彼女が話すたびにヴァルカーザの良い香りが辺りに満ちた。よく見ると、汚れのない赤色のシェナパート*10を着ていて、髪の色は銀だった。少女は彼に微笑みかけ、説き始めた。

 

「貴方は本当にアレフィス様から印を受け取ったのですよ」

「ブルーヤ*11は無かったぞ」

「あのシャーツニアーとの会話にありました」

「暴君*12め……」

 

 そうヴァルガンテの男がいった直後、彼の背後遠くから何かが爆ぜる音が聞こえた。彼は半身をひねって、背後を見た。すると、そこには煙が上がっているのが見えた。それはまるでミナースの火*13のようだった。

 少女は苦笑しながら両手を掲げた。

 

「アレフィス様はお怒りのようですね」

「もしかして、あれはメー*14なのか?」

 

 空で流星のような閃光が生じ、光の束が遠いところへと落ちてゆく。それはまるでヴェフィサイト*15の戦場における矢の如く地に降り注いだ。少女は首肯した。

 

「お察しの通り、私はヴェルガナ*16――戦争の門です」

「ヴェルガナに呼び出されて、一体何をされるというんだ?」

「実を言いますと、貴方に手伝って欲しいことがあるのです」

 

 ヴァルガンテの男は訝しんだ。門が人に手助けを乞うものか。

 

「俺は何を手伝えば良いのか」

「というのも、私達はアレフィス様の怒りを収めるためにシヤ*17を欲しているのです」

「俺はシヤじゃないぞ」

「しかし、クローマ*18ではないですか」

 

 ヴァルガンテの男はため息をついて、逃れられない役目が与えられているのだと悟った。まともなクローマだったのは遠い昔のことで、今になっては頌歌も書けるか分からない。彼は思い立って言った。

 

「やはり、俺にはその役は務まらない」

「しかし……」

 

 ヴェルガナは言いよどんだ。しかし、すぐに喋り始めた。

 

「それでは、貴方はデシャワーデン*19に帰れませんよ」

「何? 俺は死んだということか?*20

「いえ、ここはデシャワーデンとマイノスワーデン*21の間の世界なのです。アレフィス様は怒りによってこの不安定な世界を作ってしまったのです。もしその怒りを鎮めることが出来れば、この世界は消え、貴方は元の世界に帰ることが出来るでしょう」

「我々の神、恵みのアレフィスにおいて……*22

 

 彼は呟いた。

*1
「祈りを捧げた」ということ。リパラオネ教では特に祈りのジェスチャーなどは決まっていないが、礼拝堂であるフィアンシャ以外で祈るときはフラニェテュを掴むような仕草をする。

*2
リナエスト人などが食すフラットブレッドの一種。ヴェルバーレで渡される食事の代名詞であるため、ここではヴェルバーレを受けなかったことを意味する。

*3
リパラオネ教における悪魔のこと。人の怨念の集合体が意思を持って実体化したもので、神と人の敵である。リパラオネ教的歴史感(silfi'a)では、アレフィスの軍勢による最終戦争で滅ぼされるとされる。

*4
木の一種。紫からピンクの可憐な花を咲かせる。スキュリオーティエ叙事詩においてユフィアを神族がヴァルカーザの木下で祝福したことから、その花は「ユーフェの花」(jurFe'd purder)とも呼ばれる。

*5
ヴァルカーザの花のこと。

*6
年齢ではなく、ヴィトゥアと呼ばれる数秘術の一種で単語が表されている。アレス式ヴィトゥアにおいて100は門(kienul、15+22+20+12+18+13)などを表す。門はリパライン語では神族を象徴するため、ここでは暗に自分が神族であると言っていることになる。

*7
原文の"e kinul"は"kienul"と同じくアレス式ヴィトゥアでは100になる。ヴァルガンテはヴィトゥアを属する詩学院(klorme)ごとの符牒として使っていたため、よく使う言葉に対応する数を覚えていた。このため男が即座に言葉に変換できるのは何もおかしいことではない。

*8
本来の意図とは異なるため「違う」と否定するところだが、この時代ではヴィトゥアが同じであれば抽象的には同じ言葉であるとされたため否定していない。それと同時に「アレフィスが示した」という言葉によって、ヴァルガンテも文脈からヴィトゥアが同じ100である"kienul"「門」に思い至るのである。

*9
神族のこと。

*10
本来、スキュリオーティエ叙事詩が描く時代の正装を指すが、ここではスカート部分の長いアンフィレン・アパートという別の衣服を指す。中世ファイクレオネにおける若い女性の正装である。和風のロングワンピースと言うとイメージしやすいだろうか。

*11
神や神族の声のこと、或いはそれらが人や世界に影響を及ぼそうとする前兆のこと。

*12
原語は"blim"、これはスキュリオーティエ叙事詩の時代にあったカウィチェレイ藩国の君主号「ブリモウ」を本来指す。このブリモウは代々暴君として知られたために暴君の代名詞となっている。

*13
リパラオネ教の教典「アンポールネム」の一節に書かれた説話の一つ。ミナースと呼ばれる島はアレフィスの教えに反したため、その軍艦が爆ぜ、しかも島も燃えて海の下に沈んでしまう。

*14
リパラオネ教の教典「ファシャグノタール」に収録されている「戦記Ⅰ」の中に書かれた兵器のこと。ヴェルガナが神の怒りを兵器として、正しく信仰し祈った人に与えるとされている。

*15
スキュリオーティエ叙事詩の時代に貴族に仕え、国の武力として封建的な関係を結んだ集団のこと。武士や騎士に例えられることが多いが、リパラオネ系民族であるヴェフィス人から選ばれることが普通であり、独特の文化や習俗を持ち合わせた民族的社会集団であった。

*16
戦争の神族。争い好きで、他の神族同士の喧嘩や人間の戦争に加担したりする。神族の中でも古くから信仰されており、海も司るとされている。名前は古典リパライン語の「駆逐、殲滅」に由来する"velgan"から。

*17
スキュリオーティエ叙事詩の時代を含む古代ラネーメ王朝の時代において、旅路で面白い話や歌を歌ってくれる付き人のことを指す。主に藩国の貴族などに雇われた。

*18
詩学院(klorme)の教師のこと。パトロンとして貴族の支援を得ている詩人であり、有力な政治力と高い執筆能力を持った人物であることが多い。

*19
リパラオネ教の世界観の中で人間などが住む世界のことを指す。

*20
リパラオネ教の世界観では、人は死ぬと魂がそれまで暮らしていたデシャワーデンから行いによって神の世界であるマイノスワーデンと二つの世界の外であるクイト(kujit)に振り分けられる。このため、ヴァルガンテの男は自分が死んだものと考えたのである。

*21
リパラオネ教の世界観の中で神や神族が居る世界のことを指す。良い信仰者は死後にここで清められ、幸せになるという。

*22
バンミス(banmis)と呼ばれるリパラオネ教の聖句の一つ。スキュリオーティエ叙事詩の各部のはじめに必ず付される文であり、ヴァルガンテらしい呟きとも言える。

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