ヴァルガンテとシリス   作:xelkener

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大きなヴィンカ(vinkajt)

liaxu valganteph des velgana'tj. filx jostolo furXvorkal, ci yuihurk fas deso fasta mer pusnistil. fi mi veles fankeno fal flan poltostan, is mieste. deliu si ve josxe fillelx texterl. si irxon des lotj ircalart pelx edixa kornites valkarsa'd la klerut ci'dy.

 

"amoler puder es niv filena ja?"

"slommirca at lkurf xale la lex lu."

"me, harmie co vietist fal cirla?"

 

belche'd la belshe's da velgan la velgern'c la mol del da faus karx ja. velgana belsh velgan belarxte feast vel xalurmerkh tidirkh jelo lap. wioll belshostan pusnist elx piesteten elmo. pa, ers niv suiten fua fusaf vaxirlno fon valgante.

ci fas yuihurk snirorvo.

 

  "la jurFe'd puderrgen jexerrt'ieu nunersti

  co fuaj mi's ve sniror aler durxe wioll jol.

  pa mi's lkurf delus jol. cija's z'es co altil

  eljeu mi's la durxestan'ieu niv ve sniror!"

 

valgantephestan mak esunsar lakeule.

edixa niss zel deso falx liestu xale akrantisykil viuiumustan. metista, jol cene akranti :d'l'arfes blard, dqa'd tonirnascher:. velgana yuihurk pusnist pestrie jol si ny vynutesilce. nisse'd fontalobusal io vinkajt josnyn liaxu. dyrilerl m'is lodesten, is konli'esteili'a dyrilerl. valgantephestan firlex la lex kanteterl.

 

"lecu en lu."

"harmae fqa io mol?"

"lu alefis mili co lu."

 

ci faipes dlirlo vietist. vinkaxy syten es xale koncegart fon penten namo. loler snutokass mol ark kinies vegardental. panqa faller la lex i ler julupiavertz josnyn arlatarkesonj. ci xalur ladawi'umen dejixe'd flanisa ad cherkarta mal xedysen snusel leus ratteles larxa'c tytavirg'i. ci letix skhorlka'd durk mal ny luxul laj xale fegusteson stistoj la lex edixa. fiursustan'i lales mi'l mal fegestan is fynet.

 

"cope es cija'd annia ja?"

"ar, ja. metista?"

"mal, jeteson fas snirorvo shrlo ja. velganasti, co mol mi'tj."

"dqate malca es xale la lex ka......"

 

valgantephestan pzeniatzes filx niss senosto. alefis es niv le belchergen molo? liaxa si'd Xilfi'a fontals snuvod.

 

"mal, lu alefisesti......"

 

valgantephestan sties xale la lex mal qa'd ytarta vietist. Harmie? cun, kienul ad tonir cecio estalle mol niv. si lkurfesk celenerve'tj.

 

"lu konavlasaflanisekhertzersti"

"sties mi leusj arciesija."

"carli, lu arciesijasti"

 

arciesija vynutalon corshes. deliu si alcames fillelx texterl.

 

"me, cope'd ferlk es harmie?"

"mi'd ferlk las es destaf lu."

"destafasti, co veles tansteo edixa."

 

liaxu destaf tisod ny la lex. veleso tansteso le vynut feus tansteso kutyv es.

 

"mal, mi fas panqate kaxtlurk."

 

destaf lkurf xale la lex melx qa ircalart lot arcies.

---

 

 ヴァルガンテの男はヴェルガナと歩いていた。メーが止んだ後、行き先を伝えることもなく彼女はいきなり歩き始めた。この何もない場所に一人で置き去りにされてしまえば、どうしようもなくなってしまう。そういうわけで、彼はヴェルガナについていかざるを得なかった。彼は黙って歩いていたが、ヴェルガナから発するヴァルカーザの良い香りを疑問に思った。

 

「花を置いたのはフィレナでは無かったか*1

「スロンミーサも同じようなことを言っていましたよ*2

「それで、本当のところはどうなんだ」

 

 ベルチェの笑みはヴェルガナが欲するところにあれと願うべきなのか*3。ヴェルガナの微笑みはヴァルガンテの男*4が彼女を使えないと思わせるばかりであった。その微笑みは全地の争いを止めるであろう。しかし、ヴァルガンテの複雑な心には響かなかった。

 ヴェルガナは唐突に歌い始めた。

 

  「ユーフェの花の香り聴き 理由わけは何故かと問う者よ

  我、汝のためいざ詠わん 長きそのゆえ高らかに

  その代わりとして一つだけ 汝に役を課させよう

  汝がシヤを果たすまで 我そのうたを歌うまじ」*5

 

 ヴァルガンテの男はまたため息を漏らした。

 彼らは一編*6が読めるくらいの時間歩き続けた。きっと「流された農民と三柱の神族」*7が読めることだろう。男が一つ愚痴でも言ってやろうかと思ったところで、ヴェルガナはいきなり立ち止まった。彼らの目の前に大きなヴィンカ*8が現れていた。頭上は曇り、雨模様の空となった。ヴァルガンテの男はそれが何を指すのかを理解していた。

 

「入りましょう」

「ここには誰が居るんだ」

「アレフィス様があなたを待っております」

 

 彼女は階段を登りながら答えた。ヴィンカの中は極東水道の行商宿*9のようだった。大広間の先には多くの部屋が見えた。そのうちの一つから仕切り布をよけてヴェルガナより少し大人びた少女*10が出てきた。彼女はラダウィウム色*11のフラニザとチェーカータ*12を着ており、金の縄で腰にテュタヴィ*13を結びつけていた。彼女はスホールク*14の実を手に不機嫌そうな顔をしながらかじりついた。目がこちらに向くと、その表情は明るくなった。

 

「お前がシヤか?」

「ああ、まあ。多分な」

「では、すぐに歌を始めなさいよ。ヴェルガナ、あなたは私と共に居なさい」

「第三の母*15がこうとは……」

 

 ヴァルガンテの男は聞こえないように愚痴を漏らした。アレフィスとはもっと母性的なものではなかっただろうか。彼のジルフィア*16は殆ど壊れかかっていた。

 

「それで、アレフィス様」

 

 そう、ヴァルガンテの男が呼ぶと二つの声が答えた。何故か? 門とアレフィスの間に差異は無いからである*17。彼は苛つきを覚えながら言い直した。

 

「変なフラニザを着たお嬢様よ*18

「私のことはアーシェジヤ*19と呼びなさい」

「左様、アーシェジヤ様」

 

 アーシェジヤは満足げに頷いた。彼は大人しく従うしかなかった。

 

「それで、ヴァルガンテの男よ。お前の名前は何なのか」

「俺の名前は不肖、デスタフと申します」

「デスタフよ、お前は祝福された*20

 

 デスタフは祝福を受けるよりも、クテュヴ*21で乾杯したほうが良いと思っていた*22

 

「それでは最初の物語を始めましょう」

 

 デスタフがそう言うと、二人は静かに聞き入った。

 

*1
スキュリオーティエ叙事詩において、ヴァルカーザの花を英雄ユフィアの頭に置いたのは神族のフィレナである(skyl.4:14 6)。

*2
スロンミーサ(slommirca)は神族の一柱、スキュリオーティエ叙事詩ではユフィアの仲間として人間の姿で副将になる。

*3
紀元前4400年代に書かれた叙事詩「アルダスリューレの行」の第49区切り(49te kranti'a fon leiju fon aldasryrle)の引用である。

*4
原文は「スカーフを巻かれた者」(vel xalurmer tidirkh)の男性形であり、詩語でヴァルガンテを指す。)

*5
スキュリオーティエ叙事詩に頻出する韻律であるラネーメーゲン韻律(lanermergen agcelle)を使った四行詩である。脚韻をABABで踏んでおり、形式も非常に典型的なものになっている。日本語訳では七五調で訳してみたので、任意のメロディで歌ってみると良いかもしれない。なお、筆者は「歩兵の本領」のメロディで歌いながら訳した。

*6
原語はviuiumustan。スキュリオーティエ叙事詩の区切り単位の一つであり、章の下に属する。ユフィア章のように短い編もあれば、フィシャ章レチ記前編のように長い編も存在する。

*7
スキュリオーティエ叙事詩ユフィア章の第四編である。敗走したユフィア達が流浪しつつ落ち着く話であり、ヴァルガンテの男の状況と重なる。

*8
リパラオネ人が立てた高床式住居の類を指す。

*9
スキュリオーティエ叙事詩の時代、アレス王朝において極東水道と呼ばれる極東地域の沿岸の街道が皇帝によって整備された。しかしながら、依然長く険しい道であった。このため、関所で税を取りたい藩国主達は行商達を呼び込むために豪勢な行商宿を整備した。そこから、客を受け入れる豪華な建物のことを「極東水道の行商宿」と呼ぶようになったのである。

*10
ヴェルガナは "mian" と呼ばれていたのに対して、ここの少女は "julupiavertz"と呼ばれている。前者は7歳から15歳ほどを指し、後者は16歳から18歳ほどを指す。

*11
ラダウィウム(ladawi'um)はローシャヘラ分類法で葉萼部ラダウィウム縁ラダウィウム家(rivosnarxypur'd marl-Ladawi'um'd kaxilijas-Ladawi'um'd dystist-Ladawi'um)に属する植物の総称。オリーブグリーン様の実を低音で煮てロウ(ラダヴォイム、ladavoim)を生産することができる。ロウを取った後の果実はニスティッラダウ(nistilladau)という甘味として食べる。ラダウィウム色はこの果実の色である。

*12
腰巻きのこと。元々はラネーメ民族のバート人が着用していたが、文化的な影響圏に属していたリパラオネ民族であるタウニラウィッリー人を通してリパラオネ人の服飾に入っていった。ここでは衣服の上から腰巻きを巻いているが、本来バート人はこういう着方はしない。

*13
どんぐりを割る道具のこと。どんぐりはリパラオネ圏では良く食される。

*14
葉萼部ユーフェ花縁ヴァルカーザ家の一年草。いちご様の果実がなるヴァルカーザの遠い親戚。

*15
第一の母は産みの母、第二の母はフィアンシャのジェパーシャーツニアー、第三の母は唯一神アレフィスである。創造主であるとともに母神であるとされているため、こういう別称が存在する。

*16
リパラオネ教的歴史観のこと。

*17
「門」が表す神族は、リパラオネ教における天使のようなものと説明されがちであるが、神族とアレフィスは同一のものである。神族は現世にアレフィスが覗く際の窓のようなものであり、唯一神の姿の一形態であり、アレフィスを一挙に捉えきれない人間の認知であるとみなされている。だが、本質的には同じであるためこのように居合わせた際はアレフィスへの呼びかけに二人共答えることになるのである。

*18
"konavlasaflanisekhertzersti" で一単語だが、会話でこんな長大語が出てくることは少ないため滑稽になってしまっている。

*19
"arcies-ija" つまり、「傾聴する者」の意。名前語尾が付いているので呼び名であることが分かる。

*20
リパラオネ教の文脈において「祝福」は、神に信仰の任務を与えられ、それを遂行するための助力を与えられることである。

*21
マツリマメ(lirnixkedznorr)の種子を焙煎して、煮出したコーヒー様飲料。興奮作用があり、酒が禁止されていたリパラオネ教社会では数少ない興奮剤の一つだった。

*22
"tanstes" には二つの意味があり、自動詞では「祝福する」だが他動詞では「~という飲料で乾杯する」という意味になる。ここでは同じ動詞で、それらを使い分けることで言葉遊びを作っている。

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