友情と絶望のミマモロールの二次創作



もしも家族を無くした男が、優しき魔女と出会ったのなら。

一体、どのような物語が始まるのだろう。

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書きたくて書いた。とても楽しかった。

ミマモロールみんなやろうよ。


メルトパール

赤い。

 

 

 

赤い。

 

 

 

赤い。

 

 

 

赤いものが、燃え上がる。

 

 

 

「っ……!」

 

 

 

 声をあげている誰か。それが自分であることすら、知覚できない。

 

 

 

 ただ────わかることが、ある。

 

 

 

「っ───! ル───! ──メ───! 返───し──!」

 

 

 

 俺は、誰かを探しているということ。そして、これが幼少期での過去────夢であるということだ。

 

 

 

 少しずつ、思い出してきた。

 

 

 燃え盛る家。俺は、その中にいる家族を探していたのだ。

 

 

 どうして家が燃えていたのかはわからない。その時の俺に、そんなことにまで思考を巡らせる余裕なんてなかった。

 

 

「ルビィ! エメ! ラピスさん! 俺だ、トルパだ! いるなら返事をしてくれ!」

 

 

 ただただ走り回った。燃え上がる家を走り抜け、家族を探した。

 

 

 そして────燃え盛り崩れた木の下敷きになったラピス(義母)さんを見つけた。見つけてしまった。

 

 

「っ! ラピスさん! 今その木を───」

 

 

「……トル、パ……」

 

 

 弱々しく、頭から血を流しながら俺の名前を呟くラピスさんは、今にも死んでしまいそうだった。

 

 

 すぐにでも助け出そうと俺は動いて、しかし子供の身体では積み上がった木を退かすことなど出来なかった。

 

 

 

「くそっ! このっ、退けろよ!」

 

 

「トルパ……お願いが、あるのです……」

 

 

「今こんなときになんですかっ!? そんなの、助かってから───」

 

 

「私のことは、置いていってください」

 

 

 

 その言葉に、一瞬頭が真っ白になったことを覚えている。そして覚えた怒りも。

 

 

 

「っ、なんで、そんなことを言うんですかっ!? 諦めないでください! まだ、終わってないんだ!」

 

 

「ううん、もう、駄目なのです」

 

 

 ラピスさんのその言葉に、ただ呆然となった。なんで諦めるのか、分からなかったから。

 

 でも、次のラピスさんの言葉で、もうどうしようもないのだと思い知ってしまった。

 

 

「……足の感覚が、ないのです。それに、お腹も熱くて、痛くて……エメちゃんと、ルビィちゃんと逃げようとした時に、刺さってしまった、みたいなのです」

 

 

「そん、な……」

 

 

 

 それは、もうどうしようもなかった。足が潰れ、内蔵にまで達した木片。例え今ラピスさんを助けたとしても、医者に見せる前にラピスさんは死んでしまう。

 

 

 ここは、この家は、人里離れた場所にあったから。医者のいる町に着くまで、ラピスさんは持たない。

 

 

 もう、どうしようもなかった。

 

 

 

「もう私は、助かりません。だから……トルパ、せめて貴方だけでも……」

 

 

「……ルビィは……エメは、どうなったんですか」

 

 

 

 だからせめて、せめて義弟たちだけでもと、居場所を聞こうとして───あぁ、後悔した。

 

 

 

「……ルビィも、エメも……押し潰されました」

 

 

「─────」

 

 

 

 なんて、残酷なんだろう。どうして、そんなことになるのだろう。

 

 なんでなんだと、心の中で思った。どうしてルビィが、エメが、ラピスさんが死ななくてはならないんだ。

 

 どうして俺は……皆の側に、いてやれなかったんだ。

 

 

 

「俺だけ、なんですね。俺一人だけで……それでも生きろと……そう言うんですね」

 

 

「……は、い」

 

 

 

 苦しそうに顔を歪ませ、それでも必死に笑顔を取り繕って口にしたラピスさんの言葉に、悲しみを抑えきれずに涙を溢した。

 

 

 悲しくて、仕方がなかった。

 

 

 

「ラピス、さん」

 

 

「……」

 

 

「俺、ラピスさんに出会えて……本当に、良かった」

 

 

 ラピスさんの手を握る。その手は、周りの状況とは裏腹にとても冷たかった。

 

 

「今まで、ありがとうございました……!」

 

 

 例え返答がこないとわかっていても、言いたかった。俺は今までずっと、貴女に助けられてきたのだということを。

 

 

 その言葉を言い終えると、俺はすぐさま元来た道を引き返し走り出した。

 

 

 燃え盛る炎を、倒れてくる家具を、障害を避けながら、走った。

 

 走って走って走って────いつのまにか、俺は森の中にいた。

 

 

「……」

 

 

 後ろを振り返れば、そこから見えたのは燃え盛る家。俺達のいた、家。それが炎に包まれ、崩壊していく。

 

 その様子を、ずっと見続けた。炎が燃え尽き、鎮火するまで。

 

 

「っ、ぁ、ぁ……ぅ、ぐ、ぅ……ぅぁ……!」

 

 

 涙を流して、見続けた。この、どうしようもない悲しみに身を濡らしながら。

 

 

 

 あれから、どれだけ経っただろうか。

 

 

 俺は、家が燃え尽きた頃を見て、何か残されたものはないかと探し始めた。

 

 遺品でも、写真でも、本でも……なんでもいい。何か、思い出として持っておけるものはないかと探した。そして見つけた。

 

 

 誰のものかもわからない、小さな骨の欠片を。

 

 

 それ以外は何も見つからなかった。だから、俺はその骨の欠片を持ってその場を離れた。

 

 悲しくて、仕方がなかった。もうラピスさんに、エメに、ルビィに会えないのだと思い知らされて。

 

 それでも、俺は前に進むしかない。

 

 進むしか、なかった。

 

 

 そして、出会った。

 

 

「やぁ」

 

 

 気軽に声を掛けてきた、緑髪の女───いや、男。

 

 この男を見て、知らないはずなのに、知っている。そんな既視感に襲われ、頭痛が走る。

 

 しかし奴は俺のことなど知ったことではないとばかりに話始めた。

 

 

「久しぶりだね、我が息子よ」

 

 

 ────そして、そんな衝撃的なことを口にした。

 

 

 

 

 

 

 

《now loading》

 

 

 

 

 

 

 

「……最悪の夢見たな、ちくしょうが」

 

 

 頭をガシガシとしながら苛立ちを紛らわせ、ベッドから起き上がる。

 

 

「……おはようプレイヤ。俺の寝顔でも見て楽しかったか?」

 

 

「…………」

 

 

 ベッドの上からフワフワと浮きながら、こちらをじっと見つめるカメラ。

 

 こいつの名前はプレイヤ。とある事情から一緒にいる女の友達、らしい。喋らないし、滅多に意思を伝えても来ないのでどう扱っていいのか困っている。

 

 しかし、こいつには意思がある。そして、通常の言語には変換できないが意味はわかるテレパス的な能力も持ってるので話せないわけではない。

 

 ……それでも滅多に意思を伝えようとしないのだが。

 

 

「メルトールは?」

 

 

「…………」

 

 

 メルトール。それがプレイヤを友達と自称する女の名前だ。なんでも元医者であるらしく、医療関係のことにとても詳しかった。

 

 職業的に俺とメルトールは正反対なので、今でも共に旅をしていることに自分のことながら意外感を覚える。

 

 しかし、諸々の都合から離れることはしない。それが俺とメルトールの関係である……と思う。これは俺個人の主観なので、あまりあてにならないのだ。

 

 

「……いやなんか言えよ。わからんのだが?」

 

 

「…………」

 

 

 プレイヤは、じっとこちらを見つめてくるだけ。まるでそっちを見ろと言わんばかりであった。

 

 なんとなく、嫌な予感がしつつもチラリと下に目を向ける。

 

 まず目に写ったのは、俺の下半身があるにしては妙に盛り上がった布団。次に感じたのは、何処か柔らかく暖かい感触。

 

 その時点で察せられた。

 

 

「あーはいはい。理解しましたよ、たく」

 

 

 ばさりと毛布を捲る。

 

 そこから見えたのは、灰色の長髪と同じく灰色のパジャマを着て眠る女───メルトールの姿があった。

 

 それはもうスヤスヤと良い顔で心地良さそうに眠るものだから、少しイラッとした。動かそうにも、腰をがっしり捕まれて離してくれない。

 

 

「叩き起こしてしまいたい」

 

 

「…………」

 

 

「駄目? 駄目かぁ……でも叩く」

 

 

 こちとら昨日から疲れてるというのに、相も変わらず潜り込んでくるとは言語道断。

 

 バシンと手首をスナップさせて叩いた頭は、よく響いた。

 

 そしてパチリと灰色の目をシボシボと開いたメルトールは、抱きついたまま感想を呟く。

 

 

「……痛い」

 

 

「起きろ。そして離せ」

 

 

「……もう少しだけ」

 

 

「……」

 

 

 寝ぼけているのか一向に離そうとせず、むしろぎゅっと力を入れてくる。いつものこととはいえ、異性にくっつかれるのはなぁ。

 

 真剣に物理で引き剥がすことを検討に入れ始めたとき、メルトールはシボシボとさせていた目をはっきりとさせてこちらを見つめてきた。

 

 

「……おはよう、ございます」

 

 

「おはよう。そして腕を離そうか」

 

 

「……今日は暑いですから。トパルはひんやりしてて気持ちいいんです」

 

 

「意味がわからん。いやというかむしろ暑くなるんだが」

 

 

 もう構っていられないと抱きついてくる腕を引き剥がそうとするが、しかし位置関係的に力が入らず中々引き剥がせない。

 

 無理に引き剥がそうとすれば最悪怪我をさせてしまうのでしたくないのだが……どうしよう。

 

 

「……満足しました」

 

 

「そうか」

 

 

 メルトールが腕の力を緩めたところで素早く布団から出ると、すぐさま服を着替えて身支度を整える。

 

 流石に異性のいるところで着替えたくなどなかったが、かといって着替えないでいるのは嫌なのでメルトールに見られない内に手早く終わらせた。

 

 ……メルトールが何度も布団に潜り込んでくるから、慣れたくはなかったが早着替えには慣れてしまった。

 

 

「……先に下に降りてる」

 

 

「はい」

 

 

 そそくさと扉を開けて階段を降りていく。一応毎回、部屋を分けて宿を取っているのだが……なぜかメルトールはいつも布団に潜り込んでくる。

 

 というか態々そんなことのためにスキルパーツを使うんじゃない。【潜伏】とか、流石に睡眠中じゃ気づけないぞ。

 

 階段を降りると宿屋の女主人が見えた。せっかくなのであいさつしてから出ようと声を掛けた。

 

 

「今日でここを出る。世話になった」

 

 

「あら、お連れさんは?」

 

 

「今は準備中だ。だから少し待つ」

 

 

「あらあら、もしかして昨夜はお楽しみだったかしら?」

 

 

「……話題は選んでくれ」

 

 

 ……この女主人、少し会話する度にセクハラ紛いのことをしてくるのでちょっと困る。しかし宿屋の経営は上手くいってるようなので、ちゃんと間合いは見計らってるのだろう。

 

 でなければ、町一番の宿屋なんて言われない。事前に聞いた口コミもここがいいというものばかりだったし。

 

 そこまで考えていると、コツコツと階段の方から降りてくる音が聞こえて振り返ると、パジャマから外着に着替えたメルトールがいた。

 

 

「お待たせしました」

 

 

「待ってはいない。それで、次は何処にいく」

 

 

「……そうですね」

 

 

 少し悩む素振りを見せると、メルトールは次に行く場所を答えた。

 

 

「アリメンタに行きましょう」

 

 

「そうか。なら、次はそこだな」

 

 

 そこに何があるのか、どんな場所なのか、そして、何をしにそこに行くのか。俺はそういったことを聞かない。というより、聞く必要がないと考えている。

 

 何故ならメルトールは、悪意をもって誰かを陥れる奴ではないことを俺は知っているからだ。ただ世界を見たい、それだけのためにあいつは旅をしている。

 

 そこに疑問の余地はない。あいつは、あいつのやりたいことをやってるだけだろうから。

 

 

「あら、アリメンタに行くの? それはやめておいた方がいいかもしれないわ」

 

 

「それは、なぜ?」

 

 

「だってあそこ、もう随分前に廃れた場所だから。有名だった聖火もなくなってるでしょうし、そのせいで人がいなくなってるのよ」

 

 

 アリメンタという町は、どうやら廃れてしまっているらしい。人が消え、聖火と呼ばれるものもないのではあまり行く意味はないだろう。

 

 しかし、それを決めるのは俺ではない。

 

 

「……だそうだが、どうする?」

 

 

「……行きましょう」

 

 

 メルトールはそれでも決意は固いらしく、行くだけ行ってみると口にした。メルトールがそう決めたのであれば、俺もそれでいい。どうせ俺は何もやることないしな。

 

 

「それでは、世話になった」

 

 

「あら、また寄ることがあったら泊まっていってくださいね」

 

 

「あぁ、その時はぜひ」

 

 

 女主人の言葉に返答すると、すぐにメルトールは扉を出ていき俺もそれに付いていく。プレイヤも、メルトールの後ろを浮遊してついていった。

 

 ここにいる三人の旅に特に目的はなく、メルトールの意思次第で行き先が変わる。ついていってる二人も寡黙であったりそもそも言葉を喋らなかったりと意思表示をしないので、基本的に決めるのはメルトールであった。

 

 俺としてはそれでいいと思っているし、不満はない。むしろ満足していた。

 

 

「(……あぁ、そういえば)」

 

 

 ふと、懐かしいことを思い出した。俺がメルトールと出会ったのは、確か家族を失ってから二年後のことだったか。

 

 かつては自暴自棄になっていて、それはもう手のつけられない暴れん坊だった。誰も寄せ付けないし、近付けば全員に噛みつく。酷く獰猛な狂犬だった。

 

 

「(メルトールと出会ってから、だいぶ良くなったな)」

 

 

 誰もを受け入れるわけではない。しかし、会話をするようになった。むやみやたらにケンカを売るようなことはしなくなった。自暴自棄にならなくなった。

 

 数え始めたらきりがない。それだけ、俺はメルトールに恩を抱いているのだ。

 

 

「(だから俺は、メルトールの同伴者なんてやってるわけだ)」

 

 

 懐かしさに身を浸らせていると、メルトールがこちらを振り向き口を開いた。

 

 

「アリメンタは遠いから、話しながら行きましょうか」

 

 

「……何を話すんだ?」

 

 

「死後、聖火を出すとされる火の聖獣サラマンダーについて」

 

 

「へぇ、それは気になる」

 

 

 アリメンタにいるとされる火の聖獣、サラマンダー。その話題を広げ、会話を続けながら当面の目標であるアリメンタへ向けて旅をすることになった。

 

 

 魔女が話し、人間が相槌を打ち、カメラが後ろから二人が話している光景を見守る。

 

 

 溶解の魔女、メルトール。

 

 見守るカメラ、プレイヤ。

 

 そして魔女の守護者、トルパ・ジュエーラ。

 

 

 そんな三人の物語が、始まった。

 

 

 

 

 

《めるとぱーる!》

 

 

 

 

 

「ところで、トルパ。歌は得意ですか?」

 

「苦手だが」

 

「……そうですか」

 

「……どうした」

 

「芸術の国アートマックに行った時、スタジオで豪快な歌を歌った人がいたんです。観客の心を魅了して、独り占めにしていた。マスクを被っていて素顔は分からなかったけど……とても心に響く歌を聞かせてくれました。トルパは、その時いませんでしたけど」

 

「………………それは、良かったな」

 

「……それだけです。それだけ」

 

 

 

「……私には、言ってくれてもいいのに

 

 

 

 




『魔女の守護者』トルパ・ジュエーラ

【感覚系男子】【鈍感ボーイ】【家族想い】【堅い】【魔女の守護者】【マスク・ド・アイドル】【元傭兵】【■■■■■■】
【ジュエーラ家長男。家族と共に森の奥でひっそりと暮らしていたが原因不明の火災により大切なもの全てを失い、そのせいで火がトラウマとなる。その後は各地を転々として誰これ構わずケンカを売る傭兵をやっていたが、ある時溶解の魔女メルトールと出会い改心し、それ以来無自覚ながら好意を抱きメルトールの旅に付き従っている。なおメルトールが相手だと口調が固くなる】


『溶解の魔女』メルトール

【元・医者】【溶解の魔女】【睡眠好き】
【元・医者。魔女になる前は医者をやっていたようだが、なぜ魔女になったのか、そしてなぜ医者をやめたのかは不明。ある時ケンカをしているトルパと出会い、幾度かの衝突がありつつも友達になり、以降共に旅をするようになる。少なからずトルパに好意を抱いているようで、スキルパーツを使ってまで布団に潜り込むのはそのため。
単純に本人が睡眠好きなだけかもしれないが】


『カメラ』プレイヤ

【見守るカメラ】【???】【初めての友達】
【カメラ。メルトールの初めての友達。色々と謎の多い存在だが、悪い奴ではない。普段はただ見守っているカメラでしかないが、会話が出来ないわけではないためトルパなどはメルトールがいない間の話し相手にしている】


『創&%□ヶⅢ≫“女』■■■■■

【トルパの夢に現れた緑髪の女のような男。トルパのことを息子と呼んでいたが……?
なお、トルパは夢に現れたこの男のことを嫌っている】



続くかどうかは、わからない。

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