『例の部屋』から始まるTS偽いあちゃんとゆかりさんの話 作:Sfon
ゆかりさんが目の前で動いているのを眺めるのは、なかなか感慨深いものがある。足の付け根くらいまでしか隠せていないチューブトップはちょっとしゃがむだけで中が見えてしまいそうだ。太もも半ばまで覆った紫のニーソックスとチューブトップの間には白い肌が眩しく覗き、たいへんえっちで素晴らしい。
彼女を視線で追いながら部屋の中をぐるりと見渡すと、この部屋はまるでホテルの一室のようだった。ベッド、小さな冷蔵庫、テレビ、クローゼット、ドレッサーがあり、全てが白で統一されている。部屋にあるドア二つはそれぞれ、バスルームに続く洗面所とトイレだった。
まるで脱出ゲームのようだなんて考えて、この部屋が見覚えあるのに気づく。しばらく前に流行った、『例の部屋』というやつではないのか。真っ白な部屋の中に好きなキャラクターのペアを入れて、イチャイチャさせるための舞台設定だ。
そんなことを考えながらゆかりさんを眺め続けると、彼女はドレッサーの上に置いてあった手紙を手に取った。
仮にこの部屋が『例の部屋』だとしたら、ゆかりさんが今手に持っている手紙の内容も想像できる。どの程度かはともかくとして、私とイチャイチャしろというお題が書いてあるはずだ。
そしてその予想は見事当たったようで、手紙を読むゆかりさんの顔は更に更に赤くなっていく。もはや首元まで染まっているくらいだ。
「なんて書いてあったの?」
ゆかりさんは何も答えないまま、手紙を放り投げた。よほど驚いたらしく、深呼吸までしている。そして私をちらちらとうかがい見ては、どこかに視線をさまよわせた。
「多分、私にとっては最高な内容かな」
「……もしかして、私をここに閉じ込めた犯人ってあなただったりします?」
「いや? 違うけど、この状況はお約束でしょ」
確かにそう思われても仕方のないセリフだった気はするが、実際のところ私にとって最高なお膳立てだ。気が進まない様子だが、ゆかりさんからそういうことをしてくれると言っているようなものなのだから。
「うーん、可愛い女の子が相手なだけマシでしょうか。男の人相手とか、正直言って絶対無理なので」
「え、なに、どこまでしろって書いてあるの?」
「ふざけたことに、最後までしろって書いてありますね」
「そっかぁ、じゃあ、しょうがないね」
ゆかりさんが二の足を踏んでいるのを横目に、ドレッサーの前へ向かって鏡をのぞきこんでみる。これから行為が始まる前に、一度自分の姿を見てみたかったのだ。
鏡の中の自分は、碧い瞳にプラチナブロンドの髪。サイドから伸びた二房は緩く三つ編みにされて両胸に下ろされている。考えるまでもない、いあちゃんの容姿そのままだ。
髪は光の当たり方によって、ピンクがかって見えたり、青っぽかったりと多彩な表情を見せる。私の知る限りこんな髪の色をしている人間はいないし、コスプレしたとしても不可能だろう。まさしく、キャラクターがそのままやってきたみたいだ。
顔のつくりは中学生と高校生の間くらいで、まだ幼さも少し残っている。鏡の中の彼女はぼんやりとした表情を浮かべていて、今の私と同じだ。頭に霞がかかって、思考がまとまらない。夢の中特有の、あの感じだ。
服は袖が付いたキャミソール風のインナーに半袖のオフショルダーが組み合わさった黒いトップス、ピンクのミニスカート、右足にはニーソックス、左足にはハイソックス。よく見る、一番オーソドックスなイアちゃんの服装だ。
肩が全部露出していているのにそれ以外はきっちり服で隠されていたり、ちょっと前かがみになると緩めのオフショルダーの襟元からキャミソールの胸元が見えたりと、えっちと可愛いの境目を攻めていてなんとも素晴らしい。
首に巻かれた黒いチョーカーは不思議と体に馴染んでいて、苦しさはない。むしろ首の細さを強調していて、繊細な印象すら持たせていた。
鏡越しにいあちゃんかわいいを嗜んでいると、すぐ隣にゆかりさんがやってきた。表情は硬いが、何か覚悟を決めた雰囲気が伝わってくる。
「とりあえず、お風呂に入ってきてください。しっかり隅々まできれいにしてきてくださいよ?」
「なんか、私が受けだって決まっちゃってない?」
「嫌ですか? 私は流石に初対面の人に裸を見せたくないですけど、あなたは割と抵抗ないのかなって」
「まぁ、ゆかりさんが嫌なら私が引き受けるよ。ゆかりさんの体も見てみたかったけどなぁ」
なんだか、夢にしてはゆかりさんが私の思考と独立して動いている気がするが、まあ、そんなものなのかもしれない。ベストなのはお互いに触りあうことだけど、ここで変に抵抗して夢から覚めてしまったら最悪だ。流れに身を任せるのがいいだろう。
さて、これからスるなら風呂に入ってほしい、というのはよくわかる。しかし、それは私にゆかりさんを誘う口実を作りもした。
『さっさと入ってこい』と目線で訴えかけてくるゆかりさんの真正面に立って、顔を覗きこむ。少しだけ私の目線が低くて、ちょっと上目遣いになった。彼女が一歩後ずさる。
「ゆかりさんが洗わなくていいの? 私、適当に洗っちゃうかもしれないよ?」
「女の子なんですから、さすがにそんなこと……いや、分かりました」
ゆかりさんはクローゼットからバスローブを取り出して、洗面所に向かった。後ろをついていくと、ホテルのような洗面所の奥にはガラス張りのバスルームが見える。
「ほら、さっさと服を脱いでください」
こんなにあけすけな私に対しても多少の気恥ずかしさはあるようで、ゆかりさんはバスローブを羽織って壁に向かって立っていた。多少落ち着いたようで、顔の赤みは幾分引いている。
「ゆかりさんは脱がないの?」
「一枚上に羽織れば濡れても大丈夫でしょう」
「そうじゃなくて、私の裸だけ見られるのはずるくない?」
「じゃあその服のまま中に手を突っ込んで洗ってあげましょうか」
「いや、それはちょっと」
ちょっとゆかりさんをからかってから、トップスの裾に手を掛けた。女性ものの服の脱ぎ方なんて知らないが、手探りで服を弄っているとなんだかんだで脱ぐことができた。床にはたった今脱いだ女の子の服が無造作に積まれている。
素っ裸になって洗面所の鏡に自分の体を映してみると、白い肌のまぶしいイアちゃんの裸体が無修正で目に飛び込んでくる。ふっくらと膨らんだ胸の先端は淡いピンク色で、AVで見た女性の体なんて比べ物にならないほどに美しい。まるで人形のようだ。
「脱ぎ終わったなら、さっさと風呂場に入ってください」
「はーい」
ガラスで囲われたバスルームには大きな鏡が目の前の壁一面に貼られており、イアちゃんの体が頭のてっぺんからつま先まで全部丸見えだ。首から下は全部つるつるスベスベな肌で、股間には何もない。手で撫でると、自分が女の子なんだと実感できて幸せな気持ちが広がってくる。これから、女の子として女の子とイチャイチャできるんだ、と。
鏡の前に立って自分の体を眺めていると、後ろからゆかりさんの手が伸びてきて、あっという間に長い髪すべてをビニールのシャワーキャップで包みこんだ。
「髪は洗わなくていいの?」
「そんなに長い髪、洗ったら乾かすだけで時間を食っちゃいますからね。とりあえず体だけ洗いますから、そのままの姿勢でいてください」
シャワーの温度を調節して、足元から順にお湯をかけてくれる。肌を流れるお湯の感覚がいつもよりも何倍も心地いいのは夢だからだろうか、産毛も生えていない肌のなめらかさを反映してくれているのだろうか。
足元から太もも、お尻、背中とシャワーをかけてもらったところで、再度ゆかりさんから声がかかる。
「じゃあ、次はこっちを向いてください」
「えー、ゆかりさんのえっち」
「はいはい、ほら、早く」
からかっても全く相手にしてくれなくて、まるでペットの犬でも洗っているみたいだなんてちょっと不満に思ったけれど、振り返ってみるといい意味で裏切られた。ゆかりさんが私の体をじっと見つめているのだ。
ゆかりさんの視線が私の顔から胸、おなか、股間と動き、そっとそらされたのが分かる。そしてその表情は初心な少女そのものだ。なんでもない風を装っているが、ほんのり顔を赤く染めていた。
「そんなにじっと見つめちゃって、やっぱりゆかりさんはえっちだなぁ。……冷たっ⁉」
照れ隠しにシャワーを冷水にするのはやめてください。
シャワーで体を温めてもらった後は、ボディーソープを泡立てたスポンジで全身を優しく洗ってもらう。すべすべな肌の上をスポンジがなめらかになぞっていって、胸や腰、お尻など、今の自分の体の輪郭を叩きこまれるような感覚だ。他人に体を洗ってもらうのがこんなに気持ちいいだなんて知らなかった。
体の大半をスポンジで撫で終わったころ、ゆかりさんがちょっと硬い声色でリクエストをおくった。私の体勢に不満があるらしい。
「ちょっと足を開いてもらえますか」
ちょうどふくらはぎを洗った後だから、ゆかりさんは私の背後にいる。鏡越しに見ても、ちょうど私の陰に隠れてゆかりさんがどこを見ているかはわからない。でも、高さから何となくは想像がついた。
「え、そんなところまで洗うの?」
「当然です。ほら、さっさと開いてください」
「ゆかりさん、実はえっちなことに興味あったりする?」
「いいから、ほら」
できるだけ事務的な口調を心掛けているのだろうけれど、ゆかりさんの声色は確かに上ずっている。やっぱり、ゆかりさんは女の子同士に興味があったりするんだろうか。そうだと嬉しいな。
お風呂から上がり、体を大きなバスタオルでふいてシャワーキャップを外すと、そのままベッドに連れていかれた。下着すら着ないで、全裸のまま。室温はちょうどよくて、服を着ていないのに寒さを感じない。
女の子らしく、ぺたんとベッドの上に座る。スベスベとした肌がシーツに擦れるのが気持ちいい。頭を揺らすと背中を長い髪がくすぐって気持ちがいい。
「何やってるんですか、ちゃんとおとなしく待っていてください」
「はーい」
お風呂から上がった気持ちよさと、まさに夢見心地な心地よさで、頭はふわふわしている。バスローブを脱ぎ、いつもの姿になったゆかりさんをぼーっと眺めていると、彼女は先ほど放り投げた紙を拾い上げ、私の目の前につきつけた。
「これからするのは、ここに書いてあったからですから、勘違いしないでくださいね」
そこに書いてあったのは、この部屋からの脱出条件だった。
「セックスしないと出られない部屋ねぇ……。まあ、知ってたけど。流行ったし」
「オタクは何でも思いつきますね」
「ゆかりさんは書いてあったからって素直に受け取っちゃうんだ。私的には嬉しいけど」
「こういうこと、初めてじゃないので。じゃあ始めますからね」
「はーい」
まぁ、気持ちいい経験ができるなら何でもいいや。
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