さんばかとゆく! ヘルエスタ放浪記~バトルスピリッツ~ 作:多田 竜一
赤のスピリットたちによる熱い攻防! 是非楽しんでいってください!
「メインステップ。『アルファレジオン』を再び召喚」
ダンの第8ターン。召喚された『アルファレジオン』は即座に光を放ち効果が発揮される。
捲られたカードは『レイニードル(R)』『煌星竜コメットヴルム』『ゴッドシーカー・アルファレジオン』の3枚。回収できるカードは無かった。
しかも、その召喚時効果でアンジュの【バースト】に電流が走る。
「召喚時発揮で【バースト】発動! マジック『双翼乱舞』の【バースト】効果……と、ついでにコストを払ったメインの効果で、合計4枚引かせてもらうよ!」
デッキから浮かび上がった4枚を、アンジュがガサツに掴む。
一気に補充された手札は5枚。枚数だけで言えばダンの4枚を超えた。第1ターンに奪われたアドバンテージを、盛り返しつつある。しかも、『ジークフリード』の効果でライフは6つにまで回復している。“引かれた手札を使う暇もなくライフを削り切る”というのは無理そうだった。
(それに、前のターンの『コールオブロスト』……アンジュの『ジークフリード』は、まだ死んではいないか)
「『ヘリオスフィアドラゴン』をLv1にダウンし、『レイニードル(R)』を召喚。さらにネクサス『墜ちる煌星』を配置」
力を失い姿勢が悪くなる『ヘリオスフィアドラゴン』と、召喚される『レイニードル』の後ろ、そこにいるダンのさらに背後、大きっく光る赤い恒星が現れる。
その内に建物のような文化的な影を覗かせる光、バトルフィールドを照らす。
「続いてマジック『ジュライドロー』。場に赤のシンボルが4つあるので、3枚ドロー。【バースト】をセットしてアタックステップ」
ステップ開始により『ヘリオスフィアドラゴン』の効果が発揮。トラッシュのコアを全て回収し、そのLvが3へと戻る。
「ターンエンド」
「え? またアタックしないの? 今ブロッカーいないよ?」
「そう言ってライフを削られるのが狙いだろ? アンジュの『ジークフリード』はまだ
「げっ。バレてるし……じゃあしゃーないかぁ」
◇◇◇◇◇
戌亥「へぇ……ダンはん、アンジュはんのデッキをもう読めてるんやね」
リゼ「『ジークフリード』は生きている……アンジュのデッキには、トラッシュから
スピリットを回収するカードが多く入ってるのを、ダンくんはもう気付いてるんだ」
戌亥「『ジークフリード』はまだまだ何度でも蘇りうる。せやから、ライフを5以下にすれば
『ジークフリード』の破壊時効果でせっかく減らしたライフを回復されてまうから
無暗に攻撃できひんのやな」
リゼ「無駄にコアを与えてしまうことにもなるしね。でも、攻撃しないと勝てないし
これじゃいつかダンくんが押し切られるかも?」
戌亥「そうでもないんやない? ダンはんのキーズピリットは『アポロヴルム』やし、
ワンショットキルも充分狙えるやろうし」
リゼ「そっか。じゃあダンくん的には『アポロヴルム』を引いてからが勝負って感じか」
戌亥「まあそれまでに押し切られんとも限らんけどねぇ」
◇◇◇◇◇
「メインステップ! 『ライト・ブレイドラ』『ロクケラトプス』『アイバーン』を召喚!」
アンジュの第9ターン。
召喚された3体の小型スピリットが、順に現れ砕けたシンボルから姿を現す。
「さらに召喚! 『焔竜魔皇マ・グー』! この大地を炎で染めろ!」
赤のシンボルが現れ砕け、地面からマグマがあふれ出す。
地が割れ、捲れ、その中央で瞳が光る。
その大鎌を振るい、『マ・グー』が咆哮でもって自らの存在を示す。
「さあ! 行くよダン! アタックステップ!」
その声と共に、『マ・グー』の体が赤く光る。
「『焔竜魔皇マ・グー』の効果! アタックステップ開始時に、トラッシュのコアを全てこのスピリットに乗せる!」
「『ヘリオスフィアドラゴン』と同レベルのコア回収か……!」
「コアが増えた結果、『マ・グー』はLv3にアップ! 【バースト】をセットしてまアタックステップ!」
ほのかに光る赤いオーラから力を受けて、『マ・グー』がその力を発散するように腕を振るう。そのまま地面を蹴り、その無骨な翼で羽ばたきダンへと迫る。
「『マ・グー』はLv2以上の時、系統:『古竜』を持つ自分のスピリットに、BP+3000と赤のシンボル一つを追加する!」
飛翔する『マ・グー』の目の前で赤のシンボルが出現し、それを『マ・グー』が掴み握りつぶす。BPは13000まで上がり、ダンの操る場のスピリット全てのBPを超えた。
「『レイニードル(R)』でブロック!」
前進する『マ・グー』に『レイニードル』が立ちはだかるが、その大鎌で顔から真っ二つに引き裂かれる。
「チャンスを待ってアタックしないのは勝手だけど、そんな悠長なことしてたら私の攻撃に耐えられないんじゃない? ターンエンド!」
「っ……スタートステップ」
ダンの、第10ターン。
◇◇◇◇◇
―――少年よ。
―――私の元へ来い。
―――私はここで待っている。
―――急がなければならない。
―――私は……。
◇◇◇◇◇
「―――っ!」
ドローステップ、引いたそのカードを見て、ダンは何かを感じ取っていた。
ドクン、と、鼓動を感じて、思わず固まってしまう。
(『アポロヴルム』……お前はいったい……)
ダンは、引いた『アポロヴルム』のカードを手中に収め。
「メインステップ。『ヘリオスフィアドラゴン』Lv2にダウンし、『アルファレジオン』をLv2にアップ。続いて、『太陽神弓サンバースト』を召喚」
レベルが変動する2体のドラゴンの目の前に―――星が落ちてくる。
バトルフィールドのはるか上空、この場を照らす太陽から、それは落ちてきた。
地に突き刺さるそれは、取っ手を金色のリングが囲んでおり、そのリングから十字状に金色の刃が伸びている。
「『サンバースト』を『ヘリオスフィアドラゴン』に
突き刺さった『サンバースト』を、『ヘリオスフィアドラゴン』が乱暴に引き抜く。そのままある程度上へ上昇し、その弓を構えた。
「アタックステップ。『ヘリオスフィアドラゴン』の効果によりコアを回収し、
紅いオーラが『ヘリオスフィアドラゴン』を包み、その力が『サンバースト』に集まって炎の矢を形成する。『ヘリオスフィアドラゴン』がそれを掴み、次の瞬間には放たれた。
「『ヘリオスフィアドラゴン』のアタック時効果。このスピリットよりBPが低い相手スピリット1体を破壊する」
「BP10000の『マ・グー』を指定」
放たれた弓は、『マ・グー』へと向かいそれを『マ・グー』が切り伏せる。そして、反撃とばかりに上空にいる『ヘリオスフィアドラゴン』目掛けて羽ばたき距離を詰める。
迎え撃つ『ヘリオスフィアドラゴン』は『サンバースト』を構えて弓を乱射する。しかし、その悉くを紙一重で躱し、『マ・グー』がその鎌を振り上げた。
しかし。
構えていた『サンバースト』を横一線。寸でのところで『ヘリオスフィアドラゴン』が『マ・グー』を切り裂いた。
「続いてフラッシュタイミング。マジック『ライジングフレイム』を使用。不足コストは『アルファレジオン』をLv1にダウンして確保する」
力を失い背筋が曲がる『アルファレジオン』の後ろで、ダンの構えた『ライジングフレイム』のカードから炎が2つ放たれる。
「合計BP8000分、相手スピリットを好きな数破壊する。BP3000の『ロクケラトプス』及びBP5000の『アイバーン』を指定」
その炎が、アンジュの2体のスピリットを破壊し、その炎をかき分けて『ヘリオスフィアドラゴン』がアンジュの目の前に現れる。
「ライフで受ける!」
振り下ろされた『サンバースト』が、赤いバリアを斬りつける
バリアに攻撃を弾かれた『ヘリオスフィアドラゴン』は、その反動を利用してアンジュから距離を取るように下がり、歪な体勢のまま『サンバースト』を構えた。
「『太陽神弓サンバースト』の
このバトル中に、『ライジングフレイム』の効果によってアンジュのスピリットを破壊したことにより、その条件を満たしている。
構えた『サンバースト』の中心に炎の矢が形成され、歪な体勢なまま『ヘリオスフィアドラゴン』がその矢を放つ。その矢がまだ消えていないアンジュのバリアに当たり、さらにライフを砕いた。
「いっつ……一撃で3点とか、さらっとえぐいことするじゃんね!」
「続いて『アルファレジオン』でアタック」
言葉を受けて、『アルファレジオン』が地面を蹴る。
だが、行き先はアンジュではなく―――空。
「フラッシュタイミング。『堕ちる恒星』の効果により『アスガルディア』の【煌臨】条件を系統:『星竜』に変更する」
そう言って、ダンは盤面に手元として置いてあった『アスガルディア』のカードを掴む。
「さらに『アスガルディア』は、手元からの【煌臨】が可能だ。『アルファレジオン』に【煌臨】せよ! そして勝利の剣を振るえ! 『煌星第一使徒アスガルディア』!」
そのカードから炎の竜巻が沸き起こり、瞬く間に空へと上がる。
そうして、上空で滞空していた『アルファレジオン』に、炎の竜巻がまとわりつき、炎の球体を作り上げる。
その球体が徐々に小さくなっていき、そして、明らかにそこにいるはずの『アルファレジオン』より小さくなった時、その炎が急激な膨張を起こし、爆発する。
吹き飛ばされた炎の向こう、そこにいたのは、人型の竜。
白いメカメカしい装甲に身を包み、右手に赤い両刃剣を携え、『煌星第一使徒アスガルディア』はフィールドに【煌臨】した。
「アタック中のスピリットに【煌臨】したことにより、このアタックは『アスガルディア』が引きつぐ。そして『アスガルディア』はダブルシンボルだ」
両刃剣を両手で持ち、『アスガルディア』がその翼で空気を蹴る。
一直線に向かい、次の瞬間にはアンジュの前に現れた。
「ライフで受ける!」
その刃を振り下ろし、アンジュのライフがまた2つ砕かれる。
痛みに盤面にへたり込んでしまうアンジュだったが、その口は―――笑っていた。
「っ―――! 【ライフ減少】で【バースト】発動!」
紫色の電流が盤面を走り、伏せた【バースト】が翻る。
「マジック『ラウンドテーブルナイツ(R)』の【バースト】効果により、トラッシュからコスト6以下のスピリット1体をノーコストで復活させる!」
アンジュのトラッシュ。そこにいるコスト6以下のスピリットで、この場で呼び出すスピリットなど、1っ体しか存在しない。
トラッシュから浮かび上がるそれを掴み、掲げた。
「甦れ! 私の永遠の相棒! 『龍皇ジークフリード・リバイバル』! Lv3で召喚!」
紫のオーラを放つ、漆黒の穴が空中に空く。光さえも届かない深淵の穴から、這い出るように腕が現れる。その赤い腕が穴の淵を掴み、力を込めたその瞬間に、その姿が穴から露わになった。
「さらに! コストを払ってフラッシュ効果! 相手スピリットのコア1つをリザーブへ送る! 『アスガルディア』を指定!」
まだアンジュの近くから離れられないでいた『アスガルディア』が、徐々に、少しづつ穴へと吸い込まれていく。腕をクロスさせ、必死に耐える『アスガルディア』だったが、コア1つのみのスピリットがこの効果に耐えられるわけもなく、抵抗虚しく穴へと囚われ、そして穴は閉じた。
「……ターンエンド」
アンジュのライフは残り1つ。しかし、その闘志も、キースピリットも、いまだ健在。
追い込まれているのはむしろ、ブロッカーのいないダンの方だった。
ダンの状況
・『ヘリオスフィアドラゴン』Lv3+『サンバースト』が疲労状態
・手札は3枚
・ライフは4つ
アンジュの状況
・『ライト・ブレイドラ』Lv1が1体
・『ジークフリード』Lv3が1体
・手札は1枚
・ライフは1つ