さんばかとゆく! ヘルエスタ放浪記~バトルスピリッツ~   作:多田 竜一

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 ついにバトル!
 この小説を書こうと思った理由が、このバトルを書きたかったからです。

 これは持論ですが、小説でカードゲームを描くのはとんでもなく難しいことで、僕自身何度か挑戦していますが、そのたびにその難しさを実感しています。
 ですが、難しいと同時に、少しずつ出来上がることもまた、とても達成感がありました。
 是非、僕の渾身のバトルスピリッツを、見ていってください!
 
 また、今回はバトスピのことを初めて知る人にもある程度状況が分かるように、基礎的なことや駆け引きの描写が若干くどいほど続いています。
 そこも楽しんでいただけると幸いです。


邂逅~選ばれた少年~

 ───ここは、どこだ。

 不思議な浮遊感の中で、少年は重い瞼をゆっくりと開いた。

 ひたすらに白い空間だった。しかし、白一色ではない。様々な色が白の上にうっすらと浮いている。そんな空間。

 ───おれは、だれだ。

 思い出せない。寝起きのような微睡みの中から抜け出すことが出来ず、それがより少年から自己を奪っていく。

 そんな中で───少年を呼ぶ咆哮がした。

 ───誰だ。

 音が鳴った訳ではない。しかし、少年は確かにその咆哮に呼ばれた(・・・・)

 呼ばれた方に目を向ける。

 そこにあったのは、赤い光だった。

「───お前か」

 その光を見ていると、不思議と意識がハッキリとしてきた。

 様々な色が白に溶けていくこの空間で、その光は、確かに赤く光っている。

 呼ばれるままに、少年はその光に手を伸ばす。

 そして、その光を掴んだ時、少年は全てを思い出した。

 苦い思い出と、勝利への覚悟と、そして大切な人。

 それら全てを胸に秘め、少年は強く決意する。

 その決意に応えるように、赤い光は、その少年を飲み込んだ。

 その少年の名は───。

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

 光が晴れた時、そこには何もなかった。

 さっきまであったはずの水晶も、その中にいたドラゴンも、跡形も無く消えていた。

 残ったのは、淡い光だけ。それが、この地下空間の光源となって、目の前に何もないことを突き付けていた。

「おい、錬金術師」

「うそ……いったいどうなって……」

「あのドラゴンをどこへやった!?」

 ルークが、アンジュの胸ぐらを荒く掴む。

「ちょっと待って! 私にもなにがなんだk」

 言い切るよりも早く、アンジュの腹部に膝蹴りが襲ってきた。

「アガッ───!」

 胸ぐらを離されて、痛みに膝をついて、お腹を抱えてうずくまる。

「もう一度聞く。ドラゴンをどこへやった?」

「だか、ら……私は知ら───」

 今度は、顔を蹴られた。

 完全に地面へ倒れこんで、もはや悲鳴も出なかった。

「これが最後だ。あのドラゴンをどこへやった」

 本当に、アンジュにも分からなかった。

 光に包まれて視界を失い、光が晴れたと思ったら、すでにそこにはドラゴンはいなかった。

 もうダメだ。

 目の前の男は、アンジュが何を言っても信じないだろう。この状況を解決する手段が、何もない。

(ああ、死ぬんだ……)

 アンジュの目から、もう光は失われていた。

「答えないか……なら───」

 

 

 ───アンタが欲しいのはこれだろ。

 

 

「なっ!」

 ルークが振り替えると、そこには1人の少年が立っていた。

 そこは、さっきまでドラゴンが封印されていた場所。そこに、赤髪に赤い服を来た、そんな少年が立っていたのだ。

 そしてその手には、1枚のバトスピカードが握られている。

「キサマ……それは……!」

 そこに刻まれた名は───太陽神星龍 アポロ・ヴルム。

 描かれている姿は正しく、先ほどまで水晶の中にいた、赤のドラゴンそのものだった。

「おいガキ。キサマいつからそこにいた」

「このドラゴンに呼ばれて来た」

「どうやって来やがった。この地下空間までは一本道。足音も良く響く。キサマがここに来るのに気付けない訳がねぇ」

「俺は別の世界からやってきた」

「……ふざけるなガキが! 寝言は寝て言え!」

 問答無用と、ルークはその少年に襲いかかり、そして一直線にアポロ・ヴルムのカードに手を伸ばす。

 しかしその手は、見えない力(・・・・・)に弾かれた。

「なっ!」

 触れることすら叶わず、ルークは一歩交代する。

 それは、明らかな拒絶。

「どうやらこのカードは、アンタに使われたくないらしいな」

 不適に笑う少年に、ルークの怒りが煽られる。

 殺気に満ちた瞳で睨まれた少年はしかし、その殺意を気にせず後ろのアンジュへと目をやった。

 そして、痛みにうずくまる彼女と目が合う。

「きみ、は……」

 声を出すこともままならない。そんな激痛の中で、彼女の顔は助けを求めていなかった。

 むしろ、少年に逃げて欲しいと、そう訴えているようにすら見える。

 その顔見て、少年は目線をアンジュからルークに戻した。

「俺とバトルしろ」

「はぁ?」

 少年は、ルークの腰に付いたホルダーを指した。

 ちょうどバトル・スピリッツのデッキがひとつ入りそうなホルダーと、彼がアポロ・ヴルムのカードを求めているところから、少年はルークがカードバトラーであると見抜いたのだ。

「俺が勝ったら、彼女とこのカードから手を引け」

「俺が勝ったら?」

「このカードはアンタにやるよ」

「そのカードは俺を拒絶してるんじゃないのか?」

「このドラゴンが求めているのは強いカードバトラーだ。俺より強いことを証明できれば、アンタを拒絶する理由もなくなる」

「フッ───良いだろう!」

 少年の提案を飲み、ルークはホルダーからデッキを取り出し少年に向ける。

 少年もまた自らのデッキを取り出し、そしてアポロ・ヴルムのカードをそのデッキへ挿入する。

「キサマ、異世界から来たと言ったな! 扉の開き方は知ってるか!」

「この世界にもあるんだな───バトルフィールド(・・・・・・・・)が」

「知ってるなら話が早い! 行くぞ!」

 

「「ゲートオープン! 界放!」」

 

 その掛け声とともに、異界の門が開く。

 ───バトルフィールド。

 スピリットが実際に召喚され、ライフの減少に痛みを伴う。正に、スピリットとカードバトラーが共に戦うスタジアム。

 そこで、2人のカードバトラーが向かい合う。

 その身につけられた専用のバトルアーマーには、ライフとなる「コア」が備わっている。

 ライフは5つ。ライフが減り、そのコアが砕ける度に、バトルアーマーは装着者へ痛みを与える。これによりバトル・スピリッツは、ただのボードゲームから争い(・・)へと姿を変える。

 そしてこのバトルフィールドには、観客席というものが存在する。

 そこに、アンジュは座っていた。

「いつつ……」

 お腹を支えながら、バトルの様子を見るべく目を凝らしている。

(黒竜使いのルーク……かなり強いって聞くけど、あの子は大丈夫かな……)

 自分を庇って、ルークにバトルを仕掛けた少年は、

外見では14~16歳のように見える。少なくともアンジュよりも若いのは間違いないだろう。

 そんな子供に現状を託すしかないことに、アンジュには少なからず無力感があった。

 ───と、心配で少年を見ていたアンジュが、気付く。

(あの子まさか……)

 ───合体(ブレイヴ)アタック!

(今朝の夢の……!)

 アンジュの頭の中で、夢の内容がフラッシュバックした。

 間違いない。

 見れば見るほどに、あそこに立っている少年は、今朝、アンジュが見た夢の中で、バトルしていた少年だった。

(もう、わけわからん……!)

 急に知らない男に監禁されるし、殴れるし、ドラゴンの封印を解けとか言われるし、マジでドラゴンがいたし、封印を解いたと思ったら消えるし、夢に見た少年がいきなり現れるし。

 と、アンジュは思考を放棄した。

「先攻は譲るよガキ。かかってこい」

「……俺のターン。スタートステップ」

 そして、バトルは始まった。

 少年の第1ターン。

「ドローステップ」

 少年はデッキから1枚ドローして、それを手札に加える。

 その後、5枚になった手札を見て、少年は考え出す。

 第1ターン。それは相手よりも先にカードを使える唯一のターン。コアステップやアタックステップは無いが、それでもなお、先にカードを使えることのアドバンテージは大きい。

 故に、ここで使うカードは重要となる。

 もしもここで出したスピリットが、相手によって無駄に破壊されてしまうようなら、先攻の優位性を一気に失いかねない。

 だからこそ、ここで使うカードは慎重に決めなければならない。

 ───ならないのだが。

「おい。どうした?」

 いつまで経ってもカードを使おうとしない少年に、ルークがしびれを切らして問いかける。

 バトルフィールドは、スピリットが充分に暴れられるほどに広く、カードバトラーは、その端と端でカードを捌く。

 すなわち、両者の間には相当な距離があるのだが、この空間では、何故かカードバトラーは相手の声を聞き漏らすことはない。

 ルークの問いに、少年は手札から目を話、ルークの方へ顔を上げた。

「いや……なんでもない。初めて見るカード(・・・・・・・・)ばかりだったから、少し効果を確認していただけだ」

「───はぁ?」

「嘘でしょ!? マジで言ってんのあの子……!?」

 ルークとアンジュは、少年の言葉が信じられなかった。

 これは、ただのゲームではない。賭けを背負った戦い(・・)だ。そしてそれを仕掛けたのは少年のほう。

 だというのに、その戦いにあの少年は今、初めて使うデッキ(・・・・・・・・)を握っているというのだ。

「おいガキ。自分のデッキはねぇのか」

「ああ。どうやら前の世界に置いてきたらしい」

「じゃあそのデッキはなんだ」

「アポロ・ヴルムが俺に託したデッキだ」

 抑揚のない少年の返答に、手札を握るルークの手に力ざ入る。

(スピリットに託されたデッキだと……? いやそんなことよりも、このバトルフィールドに使ったことのないデッキで入ってくることが許せねぇ……!)

 バトル・スピリッツでの強さとは、それはすなわち"知恵の証"である。

 バトスピで勝ったものが優れていて、負けたものが劣っている。

 ここは、自らの価値を証明する場でもあるのだ。

 少年の行動は、そんな場所に侮辱しているようなもの。

 アンジュを躊躇いなく殴り蹴ったようなルークにも、カードバトラーとしての誇りがある。そんな誇りを、無造作に汚されたかのような怒りが、ルークの中で沸き上がるのも当然である。

「……バトルを始めるぞ」

 そんなルークに気付いてないのか、はたまた無視か。

 少年は効果を確認し終えると「メインステップ」と宣言し、その手札から1枚のカードをフィールドへ出した。

「『ゴッドシーカー アルファレジオン』をレベル1で召喚」

 フィールドに、バトスピの赤属性を象徴するシンボルが現れる。それが砕けると共に、緑の鱗に紅い装甲を纏ったスピリット『『アルファレジオン』』が召喚される。

 『アルファレジオン』はLv1であり、BPは3000。

「『アルファレジオン』の召喚時効果を発揮。デッキを上から3枚オープン。その中の系統:『界渡』/『化神』を持つ赤のスピリットカード1枚を手札に加える」

 少年のデッキの上から3枚がめくられる。

 めくれたカードは『煌星竜スピキュールドラゴン』/『シャーマニックドロー』/『太陽皇ヘリオスフィア・ドラゴン 』の3枚。

 その中で系統:『界渡』を持つスピリットは『ヘリオスフィア・ドラゴン』のみ。

「『太陽皇ヘリオスフィア・ドラゴン』を手札に加え、残ったカードはデッキの下に戻す。ターンエンドだ」

「ちっ………舐めるなよガキが! スタートステップ!」

 ルークの第2ターン。

 コアステップでリザーブにコアが増え、ドローステップで1枚引き、流れるようにメインステップ。

「『ガスミミズク』、『シキツル』をそれぞれレベル1で召喚!」

 ルーク側のフィールドにバトスピの紫を象徴するシンボルが2つ現れ、割れる。現れたのは、紅い目をした不気味なフクロウ『『ガスミミズク』』と、紫色の折り紙で作られた折鶴の『『シキツル』』だ。

「『シキツル』の召喚時効果、デッキからカードを1枚ドローする」

 ルークはドローしたカードを手札に加えると、それとは違うカード1枚を握った。

「そして【バースト】をセット。───アタックステップ!」

 そのカードをそのまま裏向きでフィールドへ置く。

 2体のスピリットはLv1で共にBPは1000。少年の場の『アルファレジオン』のBP3000に劣っている。

 しかし。

「『ガスミミズク』! まずはお前からだ!」

 そんなことはお構い無しに、ルークはスピリットに攻撃を命じた。

 ルークが場に置かれた『ガスミミズク』のカードを横向きにすると、それを受けてバトルフィールドの『ガスミミズク』が羽ばたき、少年に向かって突進を始める。

 フィールドに召喚されたスピリットは、それを横向きに倒して(疲労(・・)させることで)、相手プレイヤーのライフを攻撃できる。

 攻撃を受けたプレイヤーは、自分のスピリットを疲労させることで、代わりにそのスピリットで攻撃をブロックすることが出来る。

 スピリットでブロックしたならば、スピリット同士は「バトル」を行い、BPが低いスピリットは破壊される。

 つまり、少年は『ガスミミズク』のアタックを、『アルファレジオン』でブロックできる。

 そうすれば、少年はライフを守れることに加え、BP3000の『アルファレジオン』がBP1000の『ガスミミズク』を破壊してくれる。

 ───だが。

「ライフで受ける!」

 即決。

 『ガスミミズク』は『アルファレジオン』の横を素通りし、真っ直ぐ少年に突っ込んで行く。

 『ガスミミズク』の攻撃が届く直前、少年の前に紫色のバリアが現れ、それが『ガスミミズク』の突進を受けた。『ガスミミズク』の攻撃の衝撃は、バリアを経由して、少年のバトルアーマーのコアを1つ───すなわち、ライフを1つ破壊した。

 少年の残りライフ───4。

「ほう……」

 自分のもとへ帰ってきてその羽を休めている『ガスミミズク』を横目に、ルークは少年のプレイに感心していた。

 そしてそれは、観客席のアンジュも同じだった。

(『ガスミミズク』には破壊時効果がある。【バースト】もあることを考えると、今の『ガスミミズク』のアタックは無闇にブロックするよりも、ライフで受けるのが最善手ではある。だけど……)

 外野から、最善手を考察するのは簡単だ。

 しかし、バトルフィールドに立ったカードバトラーにとって、それはとてつもなく難しい。

 現実にはいないモンスターが急に現れ、自分を襲いかかってきて、ライフが減れば痛みを伴う。

 バトルフィールドが作ってくれるバリアが守ってくれることを知っていたとしても、スピリットが直接襲いかかってくる様はカードバトラーの恐怖心を煽り、冷静な判断力を奪うには充分だ。

 しかし、少年はまったく動揺しなかった。

 スピリットに襲われることに動じず、最善手を一瞬で見極め、判断した。

「キサマ、バトル慣れはしているようだな?」

「ふ……どうかな?」

 不適に笑う少年を見て、ルークは確信した。

 少年は、相当な場数を踏んでいる。

 それを理解し、怒りが溢れ返っていたルークの心が急激に冷静さを取り戻していく。

 デッキは初めて触るものかもしれない。しかし、少年の腕は確かであり、ともすれば、『アルファレジオン』やオープンされたカードを見る限りデッキ自体の完成度も低くない。

 つまり、油断すれば、ルークが負ける可能性も充分にありえる。

「ターンエンドだ。見せてみろ……キサマの実力を……!」

「良いだろう。スタートステップ……!」

 少年の第3ターン。

 コア、ドロー、リフレッシュとステップを重ね、そして。

「メインステップ。『ホワイトホール・ドラゴン』をLv1で召喚」

 赤のシンボルが現れ砕ける。そこに現れたのは蒼き翼に白く染まった身体が美しい4足立ちのドラゴン。

 そして、少年がさらにカードを握る

「このスピリットは、系統:『星竜』を持つスピリットが召喚された時、コスト4のスピリットとして召喚できる」

 ホワイトホール・ドラゴンは系統:『星竜』を持っている。すなわち、その条件を満たしている。

「『太陽皇ヘリオスフィア・ドラゴン』───Lv1で召喚。不足コストは、『ホワイトホール・ドラゴン』確保。よって消滅する」

 スピリットを召喚する時、召喚コストとは別に、その上に最低1個をコアを乗せなければならないが、『太陽皇ヘリオスフィア・ドラゴン』を召喚するのに、上に乗せるコアが1つ足りていない。

 少年は、その不足したコアを召喚したばかりの『ホワイトホール・ドラゴン』のコア使うことで確保する。コアを全て取り除かれた『ホワイトホール・ドラゴン』は、光となってフィールドから消えた。

 現れた赤のシンボルが砕けた時、そこに召喚されたのは、太陽のような金色の炎。それを中心に、腕が、足が、そして翼が姿を見せる。

 一見すればロボットに見違えるようなメカメカしい武装をした『ヘリオスフィア・ドラゴン』が、咆哮と共にこの地へ降り立った。

「アタックステップ。『ヘリオスフィア・ドラゴン』の効果発揮。アタックステップ開始時、トラッシュにあるソウルコア以外のコアを好きな数このスピリットに乗せる」

 この効果で、少年はトラッシュのコアを全て『ヘリオスフィア・ドラゴン』へ乗せた。

 Lv1で召喚された『ヘリオスフィア・ドラゴン』は、コアが増え、そのレベルを2へと上げる。そのBPは8000。

「そしてアタックだ。『ヘリオスフィア・ドラゴン』」

 少年がそのカードを横に倒し、『ヘリオスフィア・ドラゴン』がその翼で飛翔する。

「『ヘリオスフィア・ドラゴン』のアタック時効果。『シキツル』を破壊する」

 ルークへと向かう突進の最中、目の前にいた『シキツル』をその腕で払い、そのままフィールドの外へと吹き飛ばした。

「ちっ……ブロッカーは許さないってか」

 太陽皇『ヘリオスフィア・ドラゴン』、Lv2以上の時のアタック時効果。『ヘリオスフィア・ドラゴン』よりもBPが低い相手スピリット1体を破壊できる。

 『ヘリオスフィア・ドラゴン』のBPは8000。従って、BP1000の『シキツル』が破壊された。

 これにより、ルークの場には疲労状態の『ガスミミズク』のみ。ブロックは不可能。

 すなわち。

「ライフで受ける!」

 ルークの前に赤いバリアが展開され、それに向かって『ヘリオスフィア・ドラゴン』が殴りかかる。

「っ───!」

 その衝撃が、痛みを伴ってルークのライフを破壊する。

「『アルファレジオン』。お前もアタック」

「……来い。ライフで受ける!」

 『アルファレジオン』がその口から火を吹き、バリアを伝ってルークのライフを砕く。

 ルークのライフは、残り3つ。

「クク……フルアタックたぁ威勢が良いなぁ」

 バトルスーツの砕かれたライフのあった部分、そこ手で抑え、ルークはニヤリと笑っていた。

「……随分と嬉しそうだな」

「そりゃそうさ……砕かれたライフはリザーブに送られ、次のスピリット召喚の糧となる! コアの砕かれる音は、敗北の兆しであると同時に、俺のキースピリットがこの地に向かう足音なのさ!」

 ルークは笑う。

 それは、勝利を愛し、敗北を憎み、強くなることに全てを賭けたもの特有の狂気。

 こういう男が欲しいものは、安心安全の勝利ではない。

 最後の最後までどちらが勝つか分からない。それ故に、ひとつのミスが敗北を生む、極限の勝負。

 熾烈な読み合い、それを制した時の勝利こそ、この狂気を満たせる快感になる。

 負けたくない。

 だからこそ、敗北が近づくほどに───ライフが減るごとに、勝利への思考が冴えていく。

 ルークはそういう男だった。

 そしてそれは、彼もまた───。

「……ターンエンドだ」




キャラクター紹介
黒竜使いのルーク
 オリキャラ。世界中の遺跡を無断で荒らす"遺跡荒らし"として名を馳せている。しかし、荒らされた遺跡は数多くとも、何か盗まれたりした遺跡はほとんどない。どうやら金銭が目的の荒らしではないらしい。
 普段はフード付きの黒いマントを羽織り、顔を隠して生活している。
 その"黒竜使い"の異名は、彼の操るキースピリットから来ている。
 デッキは、徹底した紫使い。
 殴り合いを好むため速攻寄りのビートダウンを良く使うが、紫らしいコントロールデッキも扱える。総じてバトルの実力は幅広く高い。
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