カイマクルの鬼   作:セッル@ポケモン熱発生中!

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前作では分かりづらかったので、ここで説明します
主人公は自分が無限列車で炭治郎に干渉したことの記憶はありません。
主人公と女学生は魂が分かれたような存在です。
なので性格や容姿には違いが出ています。

「」→日本語
『』→英語表記です。

煉獄家訪問まで書ききれなかった!


教会の孤児
神父さんは悲鳴嶼行冥に近い宇髄天元タイプ


「ん…ん?」

 

光が見えない土の中の匂い、そうか、無事に日が落ちる前に帰ってこれたのか。つまり無限列車編は終わったということか。全く自分のこの体質はどうにかならないものだろうか?考え込むと直ぐに眠気が襲い、下手したら数日も寝込む体質。

 

「とりあえず、日でも浴びるか。」

 

スルスル

 

鬼になってからの身体能力の向上には目を見張る。

こう言ってはなんだが、私は所謂【お嬢様育ち】だ。そうでもなきゃ、女学校になんか通っていない。当然木登りなどの一般に男の遊びなんてしたことは今世も前世もない。なのに今では当たり前のようにロッククライミングの真似事が出来てしまっている。

 

「鬼になって得られた少ない利点の1つかな。」

 

外は晴天、風も穏やかな夏の兆しがきている季節。これからは昼がどんどん長くなり、鬼にとっては不向き、私にとっては有利な時間が増える。これからが楽しみだ。

 

「しばらく日光浴をして、手紙を出すか」

 

寝た後は日付を確認しないといけない。神父さんとの交流がまだあった時期、私が寝た後に教会に行ったら日付が4日も経っていて、神父さんを泣かせてしまった事があった。あれからはなるべく寝ないようにしているけど、やっぱり考え込むと寝てしまう。日付も確認できる機械がないこの時代は、日付確認のために街に降りざるを得ない。

 

「本当は見た目からなるべくは降りたくはないけど…仕方ないか。」

 

手紙を片手にいつもの郵便局まで修道服で行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「この手紙をお願い『その必要はありませんよ』

 

『ウィリアム神父ナゼここに!』

 

表向きは異人だし、見た目が見た目だ。探そうと思えば直ぐに情報が集まるだろう、だから神父さんが私がここに来るのを知っていてもおかしくはない。だけど、なぜココにやってきた?

 

『迎えが遅くなりました。でもやっと準備が整ったのですよ、さあレディ、あるべき場所に帰りましょう。』

 

あるべき場所に帰る?

 

『あるべき場所?一体どう言う意味『いいから着いてきて』

 

そういった神父さんは私の手をとって、外へ出た。

そこにはまだこの時代では珍しいタクシーが止まっていた。

 

『お嬢さん、乗ってください』

 

と言い、私をタクシーにエスコートし、その後一緒に乗り込んだ神父さんは日本語で、

 

「アカサカの米国大使館まで」

 

大使館!?だけど、神父さんは私に不利益なことをする人ではない。

 

「はい。」

 

プルル  

 

『お嬢さん、これからの貴方はローズマリー・ベネット。教会付きの孤児であり、シスター見習いです。』

 

『えっ…。』

 

なぜ急に?これまで拒否してきた名付けをしたんだ?この人は無理強いする性格ではない。

 

『神父さん、一体どういうことですか?急に名付けするわ、大使館に行くわと、あまりにも貴方らしくありません。』

 

この人は冷静で客観的な判断ができる人だ。私が環境の変化に弱くなっていることは交流期間で理解してくれていた。だから新しいことを始めたり、物を増やす際は事前に私に知らせてくれていた。

なのに、今回の行動はおかしい。

 

『事前報告をしなかったことは謝りますが、それはそれです。今日を逃せば次はいつ来るのかわからないのです。とりあえず大使館に着くまでに目元の緑はファンデーションで消しますよ。』

 

『次はいつ来るか分からない?』

 

大使館、新しい名前、もしかして…!

 

『単刀直入にいいますが、今日、貴方は【ローズマリー・ベネット】としてアメリカ人として国籍を得てもらいます。君の身元保証は【イエズス会】です。

名付けを拒否する君には悪いけど、今回ばかりは私の我儘を貫きますよ、今の君は無国籍、産屋敷一族に拉致されたら私は手出しできません。しかし外国籍を持つ人だったら話は別です。日本警察も大使館も動かざるを得ません、ましてやその人が【宣教師の関係者】だとすれば…ね。』

 

『まさか…!本気で私に国籍を!』

 

鬼となって見た目が変わり、前世の記憶を取り戻した私は、昔の私とは別人だ。何より自分の本当の名前を思い出せない私は、確かに無国籍だと思うし、それを神父さんに【テセウスの船】*1の例を出して話したことはあった。

 

『君が私に救われたと手紙に書いたように、私も君がいたからこそ布教が進まず、本物のデーモンがいる国に残る決意ができたのです。

そして…私に《特定の誰かを守りたい》という心を持たせたのは貴方です。お願いです、守らせてください…』

 

『ウィリアム・ウィスティリアさん…』 

 

お願いの部分から声のトーンが下がり、まるで泣きそうな顔になった。

いいや、現実逃避してはダメだ。()()()、ではなく本気で泣くだろうこの人は。

 

『そこまで心配されては…布教に支障がでますよ…、はい、私も覚悟を決めました。』

 

私に関わらなければ、彼は、ここまでの決意と行動に移ることはなかった。私という存在は確かに()()()()の存在なんだ。

ならば……私も前に進まなければ、

 

『私、()()()()()()()()()()()は司祭ウィリアム・ウィスティリアの補助として大日本帝国での布教に全力を尽くします。』

 

ローズマリー・ベネットと言った時、何かがカチンと音をたてたように聞こえた。

そう思っていた時に、

 

「着きましたよ、神父さんとお嬢さん」

 

「ありがとう」

「アリガトー『さあ行きましょう、ローズマリーさん』

 

『ええ、神父さん』

 

そこには車でのモヤモヤな心は消えていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アメリカ大使館

今とほぼ変わらないアメリカ国旗が風に揺られる中に入った。

 

(ここが他国の大使館の中!)

前世では縁もゆかりもない場所、まさか大正時代で入ることになるとは思わなかった。ここで働いているのは白人、日本だと浮いてしまう私の肌や目の色は誰も見向きしなかった。改めて自分の容姿が日本人ではなくなったことの証明を見てしまった。

 

(いや、良い、これで)

これから名実ともにアメリカ人になるんだ。むしろ好都合だ。

 

『手続きをしたいのだが?イエズス会のウィリアム・ウィスティリアと言えば分かるはずだが。』

 

『ああ、その子が無国籍の子ですか。』

 

そう言って大使館職員の1人が私に顔を近づけた。

なんだろう?好奇心?

 

『ふーん?確かにその見た目では日本では浮きますね。確か髪の色は…と』

 

ウィンプル*2に手を出してきた時、

 

パシッ

 

『子ども相手とはいえ淑女の許可なく髪を触ろうとは失礼では?その子が見習いとはいえ、シスターだと理解しているのか?』

 

怒声が混じった言葉…。私が産屋敷一族について話した時の声だった。

 

『オウ…これは失礼しました。では改めまして小さなお嬢さん、髪を見せていただけませんか?』

 

なるほどね、私が言葉が分からないと思ったのか。どの道これからはこの髪を見せる機会があるかも知れないし、問題ないか。

 

『ええ、いいですよ』

 

クルクル

パサッ

 

髪を切る事がなかったから随分伸びたな。

 

『これは…確かに本物のエメラルドグリーン…!

神父さん、あなたが過保護になるのも分かります』

 

エメラルドグリーンで過保護になる?

 

『そういう訳です。所で場所は?』

 

『こちらです。』

 

私には分からない会話が一段落したら、すぐに移動になった。

移動中、神父さんは説明してくれた。

どうにも昔(といっても17世紀)エメラルドグリーンが人工的に作られて女性たちの間では一時期、全ての服や装飾品、壁の色がエメラルドグリーンになったんだと。

でも実際はエメラルドグリーンは有毒性が強く、死者が多発したそうだ。今では危険性のないエメラルドグリーンが使われているが、

古い世代やファッションデザイナーの間では【エメラルドグリーン=ヒ素】というイメージが根強く残っているとのこと。

あの人は元々ファッションデザイナーを志望していたから、この話を知っていたと解説してくれた。

 

『失礼します、大使。イエズス会より司祭とシスター見習いです。』

 

 

 

 

 

 

 

そこからの記憶はかなり曖昧だった。でもすごく緊張したのと、大使館職員さんが飴やらチョコレートやらを渡してくれたこと、ずっと神父さんが手を握っていてくれたのだけは覚えていた。

そして、

 

『書類にサインを』

 

『はい…!』

 

【Rosemary Bennett】

 

『はい、確かにここに貴方をアメリカ人として迎え入れます。自由の国アメリカへようこそ、ローズマリー・ベネットさん!』

 

『はい!』

この日から私は、本物の【異人さん】になった。

*1
パラドックスの1つ

*2
髪を隠すベールのこと




主人公【ローズマリー・ベネット】
ついに名前がつけられました!
この度、ニセ異人から本物の異人になりました。
見習いシスター候補なので居住区が横浜に移動となりました。
とはいえ、元々の山の家は手放しません。どうにか道を繋げられないか思案中です。


ウィリアム・ウィスティリア神父
司祭という職業柄、何かと無条件に親切にされるという特権をフル活用した。
実は産屋敷一族の実態を知った日から主人公の存在を隠し通すのは不可能と判断、ならば逆に手が出せない立場を与えればいいと国籍所得に本部を利用しました。
本部を利用する際はカトリック教会が
『この子欲しい!』と思わせるような筋書きが大切なので、主人公のことは、
【見た目が違う故の迫害により無国籍】
【教会用語や聖書をとても意欲的に学んでいる】
【迫害されながらも素直で真面目】
【少し病弱だが、持っている知識を総動員して自分(司祭)を助けてくれる】
など
【逆光に打ちひしがれても人を信じ、奉仕する心を持ち続けているか弱い少女】だと本部宛に送り、年齢を10歳と偽った。

本人的には年齢以外は嘘を書いていないと思っている。
病弱=日に弱い
迫害=鬼だから人間に殺される…等々

病弱設定にしたのは、教会の仕事に拘束させない為です。
『体調が悪いから別室で寝ている』と言えば、 
一番日当たりが良い部屋で日光浴をしていても不自然に思われにくいからです。
そして、シスター候補にしたのも、仮に日本を離れる際は『シスター』の肩書きは何かと便利だからです。カトリックが盛んな所だとシスターの服装だと何かと優遇してもらえます。
(最近はそれらの優遇措置を受けない為に本場のシスターは私服で行動します)


大使館職員
神父さんに怒られた方
主人公の髪に興味があり、本人の許可なくウィンプルを取ろうとした無礼者。
とはいえ悪気はなかったので、言葉が分かると知った後は普通に許可をとりました。
(この歳までよく見世物小屋に売られることなく、生きていたな)と内心思っていたし、あの髪色だと司祭が過保護になるのも仕方ないなと納得したそうです。
飴をあげた人です。


米国大使
実は国籍の件では書類だけで済むので大使は監視役をしなくてもよかったのですが、【娘と同じ歳の子が迫害を受けていた】という事実と、やっと明確な後ろ盾を得られるという朗報を聞いて『直接祝福したい!』と思い、わざわざ呼び出しました。
見た事がない髪色には驚きましたが、自分達に緊張して、司祭の手を握りしめる姿は年相応に見えて可愛かったそうです。
チョコレートをあげた人です。

















大正コソコソ噂話
実は主人公が名前を思い出せない事を知った神父さんが、一番最初に主人公につけようとしていた名前は、【マドンナリリー】略して【リリー】でした。しかし主人公は、『仮にも鬼につける名前ではないし、私は美しくない!』と断固として拒否した過去があります。

マドンナリリー
別名  聖母マリアの百合
花言葉 天界の美 純潔 汚れない心 
そして、バチカン市国の国花

主人公がタクシーだと思った自動車は実は大使さんの自家用車です。
主人公が萎縮しないように、運転手は英語ができない日本人を配置してくれました。
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