カイマクルの鬼   作:セッル@ポケモン熱発生中!

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竈門炭治郎と煉獄父のお話。おまけで小話を入れています。


煉獄家の一コマ

さて、主人公がウィリアム・ウィスティリア司祭の手により【ローズマリー・ベネット】として誕生し、それを報告する為にイエズス会関係者の元に挨拶回りをしていた時期に、

やっと傷が塞りつつあった竈門炭治郎は動いていた。

 

「ハアハア!」

ありがとう煉獄さんの鴉、俺を案内してくれている

 

「ウッ…ハァ」

 

やっぱり動くには早過ぎたか、ん?あの子は確か

 

「千…寿郎君?」

 

聞いてはいたけど、本当によく似ている。

 

「煉獄杏寿郎さんの訃報はお聞きでしょうか?杏寿郎さんからお父上と千寿朗さんへの言葉を預かりましたので…お伝えに参りました。」

 

「兄…から?それよりもあなた大丈夫ですか?顔が真っ青ですよ」

 

「えっ?」

俺ってそんなに顔色が悪いのか?

 

 

「やめろ!どーせ下らん事を言い残しているんだろう。大した才能もないのに剣士などなるからだ。だから死ぬんだ!」

 

酒?酔っているのか。

 

「くだらない!愚かな息子だ!杏寿郎は!」

 

何を…言っているんだ?この男は。

 

「人間の能力は産まれた時から決まっている、才能がある者は極一部。後は有象有象、何の価値もない散り役立たず…、う…うん。」

 

まさか、ずっと酒を飲んでいたのか!

 

「杏寿郎もそうだ、大した才能は無かった、死ぬに決まっているだろう、千寿郎!葬式は終わったんだ。いつまでもしみったれた顔をするなぁ!」

 

本当にこの男が、あの煉獄さんの父なのか?見た目は似ている、だけど匂いが違う。酒の匂いで鼻が利きづらいが、この男はまるで…暗闇に迷っているようだ。だけど、

 

「ちょっと…それは余りにも酷い言い方だ!そんな風に言うのはやめてください!」

 

「ん?なんだぁお前は?出て行け、うちの敷居を跨ぐな!」

 

「俺は…!鬼殺隊の!」

 

空気が変わった?

 

「ん!」

 

パリンンン

 

「はあ!お前…!そうか…お前!()()()()()使()()()だな!そうだろう!」

 

「日の呼吸…!」

 

煉獄さんが言っていた《日の呼吸について教えてくれる人》はやっぱり

 

「ご存じでしたか!そうです、それについて聞きたい事が…!」

 

「ふん!!」

「うっ!」

 

早い…!素人の動きじゃないぞ!

 

「父上!やめてください!その人の顔を見てください!具合が悪いんですよ!」

 

「うるさい!黙れぇ!」

 

バシッ

ドン

(千寿郎くん!)

 

「いい加減にしろ!この人でなしぃ!グッ!ハァ…さっきから一体何なんだ!あんたは!命を落とした我が子を侮辱して!殴って!何がしたいんだ!」

 

「お前、俺たちのことを馬鹿にしているだろう!」

 

「どうしてそうなるんだ!何を言っているのか分からない!言いがかりだ!」

 

「お前が日の呼吸の使い手だからだ!

その耳飾りを俺は知っている!書いてあった!

始まりの呼吸、

一番初めに生まれた呼吸、

最強の身技、

そして全ての呼吸は日の呼吸の派生、全ての呼吸が日の呼吸の後追いにすぎない。日の呼吸の猿真似をし、劣化した呼吸だ。火も!水も!風も!全てが!」

 

どういうことだ?うちは代々炭焼きだ。家系図もある、日の呼吸、ヒノカミ神楽、いや、それよりも、そんな事よりも!

 

「日の呼吸の使い手だからといって、調子にのるなよ、小僧ォ!」

 

「クッゥゥ!のれるわけないだろうがぁ!今俺が自分の弱さにどれだけ打ちのめされてると思っているんだぁ!このー!くそジジイィ!」

 

「危ない!父は!」

 

「煉獄さんの悪口、言うなぁぁ!」

 

「元柱です!」

 

「あっ!」

 

何でだ!もし俺があの時に、ヒノカミ神楽ではなく、日の呼吸を使いこなせていたら煉獄さんは助かったということなのか?何であの時、俺は動けなかったんだ!

 

「うう!うう!」

 

もう殴られているのなんか気にならない。何でだ?何でだ!

 

何でなんだー!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(やっってしまった…。)

人様の家の玄関前で、主人を頭突きしてしまった。

 

「お茶です、どうぞ。」

 

「あ、ありがとう、ご、ごめんね本当に…お父さん頭突いちゃって…大丈夫だった?」

 

母さん譲りの俺の頭は、猪を気絶させるほどだ。いくら元柱とはいえ人間が真正面で受け止めてしまったら、それこそ…!

 

「大丈夫だったと思います。目を覚ましたらお酒を買いに出掛けていったので。」

 

「そっか…」

無事で良かった…。

 

「ありがとうございます」

 

「えっ?」

 

「すっきりしました。兄を悪く言われても…僕は…口答えさえできなかった。兄は…どのような最期だったのでしょうか?」

 

「それは、」

 

(この子はほんとうに)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そうですか…、兄は最期まで立派に…、ありがとうございます。」

 

「いえ…そんな…!力及ばす申し訳ありません。」

 

「気に…なさらないでください…、アニもきっと…そう言いましたよね」

 

(小さいけど……なんて立派な人なんだろうか。)

「強さとは肉体に対してのみ使う言葉ではない!」

 

「父がよく見ていた書物には心当たりがありまして、これではないかと思うのですが。」

 

「あ、ありがとうございます。」

 

「炭治郎さんが知りたいことは書かれているのでしょうか?」

「こ、これは!」

「これは!」

「ズタズタだ。…ほとんど読めない。元々こうだったのかな?」

 

「いえ…そんな筈はないです。歴代炎柱の書は大切に保管されているものですから。恐らく…父が破いたものだと思います。申し訳ありません。」

 

よく読んでいたのに破いた?何か…都合が悪いことを書かれていたのか?

 

「いえ、千寿郎さんのせいではないです。…どうか気になさらず、」

 

「わざわざ足を運んでいただいたのに、日の呼吸について結局何も…」

 

「大丈夫です。自分がやるべき事、分かっていますので、もっと…鍛錬します。」

 

「俺は日の呼吸以前に、舞の手順を知っているヒノカミ神楽ですら、使いこなせていないのです。」

 

「そ、そうなんですか。」

 

ヒノカミ神楽が日の呼吸を元に作られた神楽であるというのは、レディさんの手紙で知っていた。でも俺は…

 

「全集中の状態でヒノカミ神楽を使うと、体が思ったように動かなくなります。俺の問題です。

技に体が追いついていない。

全集中の常中で体力が向上しましたが、それでも足りない。

常中出来れば、日1日と体力が向上してゆくとの事だったけど、一瞬で強くはなれないんです。

あの時、俺がもっと強かったら一瞬で煉獄さんを助けられるくらい強かったら、強くなれる方法があったならば、ずっと考えていました。

だけどそんな都合がいい方法はない。

近道なんてなかった、足掻くしかない、今の自分が出来る精一杯で、前に進む、

どんなに苦しくても、悔しくても、そして俺は杏寿郎さんのような強い柱に…!必ずなります…!」

 

病弱だった父さんができていた神楽すら舞えない。

だから俺は鍛錬を続けなければならない。

 

その話をした後、千寿郎くんは俺に話してくれた。煉獄家の伝統を。

 

「…兄には継子がいませんでした。」

 

曰く、

代々炎柱は煉獄家の人間が実力で継承していたこと

本来なら千寿郎くんが杏寿郎さんの継ぐ子となって、鬼殺隊で実績を積まねばならなかったこと。

でも、千寿郎くんは色変わりの刀の色が変わらなかったこと。

 

 

「ゥ…けんしになるのは、あきらめます。それ以外の形で人の役にたてることをします。炎柱の継承は絶たれ、長い歴史に傷はつきますが、兄はきっと、許してくれる。」

 

「正しいと思う道を進んでください。千寿郎さんを悪く言う人がいたら、俺が頭突きします!」

 

「それは、やめた方がいいです。」

 

「あっ…はい…。」

 

「歴代炎柱の書は、私が修復します。他の書も調べてみます。父にも聞いてみて何か分かったら、烏を飛ばします。お話ができてよかった。気をつけてお帰りください。」

 

「いえ、こちらこそ、ありがとうございました。」

 

「そうだ、炭治郎さん、これを…受け取ってください。」

 

千寿郎くんが懐から出したのは、

 

「兄の日輪刀の鍔です。」

 

「い、頂けません、こんな大切な物、俺は!」

 

何も守れなかったのに…

 

「持っていて欲しいのです。きっと、あなたを守ってくれます。」

 

「ありがとう…」

 

刀が出来次第、鍔を換えないと。刀…、そういえば鋼塚さんは、

 

プシュープシュー

「刀ァを無くすとはどういうことだー!ばんじぃ!万死に値するゥゥ!!」

 

「ごめんなさーいぃ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方その頃、煉獄父は、

 

だからあれ程言ったのに、馬鹿息子が。炎柱は俺の代で終わりだと。

所詮炎の呼吸は日の呼吸の下位変換、

 

「『体を大切にしてほしい』兄上が父上に残した言葉はそれだけです。」

 

「ウッ、きょうじゅろうゥ…」

どうせなら恨んで欲しかった、軽蔑してほしかった、どうしようもない父だと、呑んだクレの馬鹿親父だと罵倒された方が楽だった。

いや…俺の息子がそんな事を言うなんて万に一つもないと俺が一番良く知っていたのに…。

 

「お久しぶりです。」

 

この声はあいつか…、

 

「何のようだ、お前の予言を放置した俺の様を見に来たのか」

 

この女は元々杏寿郎に憑いていた。いや、服装だけを見れば娘と言った方が正しいが相手は亡霊、実際の年齢は分からない。

俺が視えていると知った後は、俺に憑き始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

遡る事数ヶ月前、

「行って参ります、父上!」

 

いつものように挨拶をした杏寿郎を無視し、酒を飲もうとした時、

 

「聞こえますか、やっぱり聴こえてないか…、あなた無限列車で上弦の参に殺されますよ。」

 

「はっ?」

 

この屋敷にいるのは杏寿郎と千寿郎、そして俺。何だ、この聴き取りづらい女の声は。

 

「杏寿郎、少し待て!」

「はい!何でしょうか父上!」

 

杏寿郎の後ろには見覚えのない女がいた。しかも、この女…影がない。亡霊か?だが…それにしては内容が具体的過ぎる。

 

「お前、最近身体が悪いのか?」

杏寿郎には視えていない上に、亡霊は『上弦の参に殺される』と宣言している。

 

「身体…ですか?いえ、柱となってからは調子が良いくらいですが?父上、何かあったのですか?顔色が真っ青ですよ。」

 

「よかった〜!視えてるんだ、初めましてキョウコと申します。」

 

幻覚か…、酒は控えるべきか。

 

「いや…なんでもない…。引き止めて悪かったな、さっさと行け。」

「はい!行って参ります!」

 

 

 

 

 

「はあ…」

「視えてるのでしょう、私は幻覚ではありません。どうか私の話を聴いてくれませんか?」

 

鬼の血気術…にしては害がない。

 

「とりあえず話しますが、このままでは貴方のご子息は無限列車の任務で途中参戦した上弦の参、猗窩座に殺されます。上弦の参は女は殺せません。無限列車の任務では派遣する柱を女性の蟲柱や恋柱に変更してください。」

 

家には千寿郎がいるから話せない。

それにしてもこの女、なぜ上弦の内部情報に詳しいんだ?見た目は人間だ。それに服装はまさしく現代、少なくともここ100年は上弦の討伐報告がない以上、上弦の人間時代を知る者がいるとすれば、同じく100年以上前の人物でなければ道理が合わない。

 

「私は正直にいえば、鬼の事も人間の事もどうでもいいです。あの子の安全が保証された以上、鬼殺隊と関わることの方が身を危険にしますから。しかし…あんな子どもが命を落とすのを黙って見ているほど、人の心を捨てた覚えはありません。」

 

子ども?俺よりも立派なアイツが?

 

「亡霊が何を言っている?それに杏寿郎は二十歳、立派な成人だ、それを子どもだと?お前の目は腐っているのか?」

 

「目が腐っているのはアナタの方ですよ、杏寿郎さんは所謂、外国の言葉で言うところ【アダルトチルドレン】です。」

 

「アダルトチルドレン?」

異国の言葉を知りそれを使う娘、やはり服装からみて女学生か。

 

「アダルトチルドレン…。主に家庭環境が原因で…大人のような性格に成らざるを得なかった子どもの事を指します。慎寿郎さんに質問します。あなたの息子さんが父であるあなたに弱音をはいた事を思い出して下さい。」

 

杏寿郎が俺に弱音をはく?飲んだくれの俺にか?

 

「そんな事一度もなかったが?」 

 

「やっぱり…ですか。ですがこれであなたの息子が異常な精神状態だと証明できました。」

 

杏寿郎か【異常】だと?どこがだ、途中で脱落した俺と違いアイツは柱としての責務を全うしている。それの何処が異常なのだ?

 

「お前…アイツに憑いていたのだからアイツがどれほど立派な心持ちか知っているだろう、なぜそれを異常者扱いする?」

 

「あなたこそ、何も分かっていない…。子どもとは親に甘えて、我儘を言って、叱られて、それによって善悪とやっていい事と悪い事を学び、愛情をもって『心』を創るものです。ですが、あなたの話を聞くにまともに息子さんと過ごした日々の絶対数が少ない。別に親が育てなくても周りが育てれば《立派な大人》に育ちます。しかし彼はそもそも特殊な環境下にいる。奉仕するのを当然と思い、自分の身を守る為に尽力する心がないに等しい。彼の心は空っぽだ。虚だ。このままでは…」

 

「他人風情がずいぶんとまぁ流暢に『他人の息子の心』について話すな」

 

俺は駄目だったが、アイツは違う。アイツは全力を尽くせる、それこそ上弦の月相手でも。

そんな俺の心でも読んだかのように、

 

「ええ、上弦相手でも文字通りの死闘を繰り広げ、華やかに死にますね。周りの命を守る為に。」

 

想像しやすい光景だ。アイツなら確かにそうするだろう。だが、

 

「俺に話して何を企んでいる?亡霊」

 

「企むなんて人聞きが悪いですね。ただ、一度は親子で本音を話す機会をつくりたい…ですかね?私は親に自分の心を隠したままこのような姿になってしまったので。生きているあなた方は後悔して欲しくないのです。」

 

「アイツは俺がいなくても立派にやっていく…何も話すことはない。」

 

ブワッ

ガタガタ

 

「ナゼ言わない…!

愛している!死んでほしくない!だから鬼殺隊は辞めてくれ!と縋ればいいではないか!言って後悔するのと言わずに後悔するのは違う!」

 

「お前こそ何だ!勝手によその息子に取り憑いて挙句に『上弦の参に殺される』と不吉なことをほざく!出て行け!」

 

と怒鳴ったら、

 

「分かりました。」  

 

拍子抜けするほどあっさりと亡霊は去っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そうして、亡霊は出てこなくなった。杏寿郎の葬式が終わり、忌々しい日の呼吸の使い手のガキが来る日までは。

 

「結局…お前の予言は当たった。」

 

亡霊の嫌がらせだと一蹴し、杏寿郎と話すことなく本人はあっさりと黄泉の国に旅立った。

 

「杏寿郎亡き今、俺に用もないだろう。日の呼吸について話すことはないぞ」

 

日の呼吸の使い手が現れた日にまた亡霊はきた。今度はあのガキが死ぬのか。

 

「いえ、日の呼吸はどうでもいいです。用はありますよ、あなたにね。」

 

「また予言か。」

 

「予言なんて大袈裟な。私はただ知っている情報を教えただけのこと、そんな事よりも、これから貴方はどうするのですか?」

 

「俺か?」

日の呼吸をそんな事と一蹴する。本当に鬼殺隊も鬼もどうでもいいと思っているのだな。

 

「とりあえず…酒をやめることにする。」

日の呼吸の小僧に軽蔑されたら、それこそ末代までの恥。

 

「そうですか。…ならば、私の話し相手になってくれませんか?鬼殺隊はどうでもいいですが、私を視れる人は今のところ貴方だけなので。」

 

「話し相手?」

 

酒をぬく際に、酒欲しさに暴れる事があると聞いた事がある。千寿郎に手が出る事態は避けなければならない。相手は女とはいえ亡霊、俺が傷つける心配はない。それに上弦の…真偽が分からぬとはいえ、情報を持っている。

 

「構わん、千寿郎がいない時なら話し相手になってやる」

 

「ありがとうございます。」

 

 

 

その後、千寿郎が尋常小学校に行っている昼間の時間に亡霊がやってくるようになった。

 

「あ!酒瓶全て破棄したのですね、思いっ切りがよくて気持ち良いです。」

 

ある日は酒瓶が無くなったことを楽しげに話し、

 

「上弦の情報を…ですか?まあ構いませんが、とりあえず鬼となった原因が人間側にあるのが、上弦の壱、弐、参、陸ですかね。弐に関しては微妙ですが、それでも真っ当な愛情を受けていたら鬼となっても今のように歪まなかった可能性が高かったですし。」

 

またある日は、俺が『何か面白い話はないのか?』と聞いたら上弦の過去話をし始め、

 

「何故、上弦の人間時代を知っているのか?ですか。まあ私って、見ての通り【亡霊】でしょう、だから時の流れから外れているのですよ。数100年前でもまるで昨日の如く知ることが出来る。亡霊だからこそできる事ですよ。」

 

それに疑問を突きつけたら回答はコレだった。相手は幽霊、この世の理で通じる相手ではないと知った。

 

「500年前からあなた方は変わりませんね、それに苗字が《煉獄》やはりカトリックとの関係があるのですか?」

 

ある時は先祖の話をし始め、

 

「カトリックとはいわゆる耶蘇教の宗派の一つです。そして《煉獄》の概念はカトリックの宗教用語の一つです。

生前小さい罪を犯した者、地獄に堕ちるほどではないが、かと言って天国…極楽に行けるほどの善人ではなかった人が、罪を浄化して天国に行けるようにする為に、己の身を炎で燃やし尽くす所。」

 

異国の宗教話をし始めた。鬼殺一択で鬼殺関連の知識と一般常識しかなかった俺には、中々興味深く、【炎柱ノ書】には載っていなかった、あったかもしれない先祖が鬼殺隊に加わった可能性の話は年甲斐もなく楽しかった。

思えば、こんなに誰かに話しかけられたのは妻が生きていた頃以来かもしれない。

 

「鬼殺には、あまりにも……優しすぎる苗字ですね。」

 

この言葉はかなり印象に残った。

そして、俺が酒断ちに成功した日、幽霊は言った。

 

「どうか…竈門炭治郎と鬼の妹、そして何より、千寿郎くんを導いてください。亡霊となった私にはできないことなので…。」

 

「ああ、了解した。子どもが命をはっているのだ。大人の俺が立ち止まっている訳にはいかない。」

 

それと、

 

「こちらこそ、俺の話し相手になってくれて…ありがとう…」

 

そう言うと、幽霊は、

 

「キョウコ…香りに子と書いて、【香子】と言います。こちらこそありがとう…意味がわからない私の話し相手になってくれて…。それでは、さようなら。」

 

「ああ、さようなら…」

 

そして、幽霊こと、香子はこの日以降、この屋敷にやってくることはなかった。




竈門炭治郎
原作と変わった事といえば、ヒノカミ神楽について聞くところが日の呼吸について聞く事になったくらい。ほぼ流れは原作と同じ。
煉獄父に頭突きしたのは後悔していないが、玄関先で喧嘩したのは後悔している。
千寿郎くんが強い人間で、途中から[くん]から[さん]呼びになっているのを本人は気づいていない。
炎柱ノ書が復元されるまではヒノカミ神楽の特訓に力を尽くす!


煉獄千寿郎
兄の意志を受け継いだ人の為に、少し怖い父相手にも日の呼吸について聞き始めた。実は尋常学校が早めに終わった時に、父が誰かと楽しげに話しているのを聞いてしまっている。(もちろん視えていない)
父の心が壊れたのかと思ったが、《誰か》と話している時間が増えるほど酒をやめたり、穏やかになったりといい事尽くめなので話している相手は《座敷わらし》だと思っている。


煉獄慎寿郎
原作と変わらず炭治郎に頭突きされた人
実は無限列車前に息子に取り憑いている亡霊を受け持ったりと、割と父らしいことはしていた。
だが、亡霊の言葉を信じることはなく任務に向かう息子に本音を言う機会はなかった。最終的には亡霊の予言が当たったこと、日の呼吸の使い手が現れた事で、心が荒れた結果、炭治郎の頭突きを食らわされた。
息子の死後に現れた亡霊とは、当初は利害関係ありきの《話し相手》だったが、心が落ち着くと同時に亡霊を1人の人間として扱い始めた。
最後は、ほぼ《歳の離れた友達》と化していた。


亡霊こと香子さん
主人公が前世を思い出す前の人格であり、現代知識が加わった本物の魂。
肉体は生きているので、【亡霊】【幽霊】というよりは寧ろ【生き霊】
主人公は前世とはいえ後から生まれた人格なので、《自分の娘》扱い。
肉体の所有権が主人公に移っているが、それに怒りや恨みはない。
むしろ、厄介な立場を押し付けてしまったと罪悪感がある。
だから主人公の安全が確保された事には、神父さん以上に喜んでいた。
なるべく主人公には平和に生きてほしいと思い、柱の温存の為に煉獄杏寿郎に憑いていた。
結局視えていなかったので、視えていた父上の方に移動した。
結果は変わらなかったが、竈門炭治郎のフォローに回れたので結果オーライかな?と思っている。


主人公ことローズマリー・ベネット
【生き霊】があっちこっちで暴れているのを知らずに、横浜や浅草などのイエズス会関係者に挨拶回りをし、教会内部に1人部屋を与えられました。


神父さん
主人公の友人で主人公が鬼であることを知っているカトリック宣教師
主人公の挨拶回りに同行しています。シスター候補とはいえ10歳の子どもなので、男性同行の挨拶回りを咎められることはありません。
主人公がいかに病弱で植物と太陽が好きなのかを話していました。



























大正コソコソ噂話
主人公が流れとはいえ今の名前を受け入れたのは、今世の名前の名付け理由が原因です。名前である【香子】の香りは、主人公が産まれた日が薔薇の花の香りが心地よかったから。と言う理由で母親が名付けをしました。
当然、神父さんはそんな裏事情など知りませんが、【ローズマリー】が主人公に似合うと神父さんが思ったのは、ひとえに愛の力としか言いようがありませんねぇ。
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