竈門炭治郎と視点が交代します。
主人公はちょろっと出るけど、今回は脇役。
カアカア
「ん?何だ?」
今日のカラスはやけに騒がしいな。
《伝令!伝令!お館様よりシジィ!シジィ!》
「おっ!珍しいなぁ何だ?」
これまでも下弦クラスの鬼の場合は、他の隊士を撤退させる指示が出たらしたが、今回はどうも、違いそうだ。
「ありがとよ、虹丸」
さて、中身は、
……………………………………
天元、今いる遊郭での任務だが、今回は君の予想通り上弦の鬼だ。
相手は、上弦の陸【堕姫・妓夫太郎兄弟】普段は妹鬼の堕姫が表に出ているが、有事の際は兄鬼の妓夫太郎が堕姫の身体の中から出てくる。
特にこの鬼の兄弟は二枚目に書く血気術にあるが、かなり厄介だ。
遊郭という遊郭が全て破壊される事を前提に作戦を進めておくれ。
………………………………………………
「うっわ…ヤベェ、【2匹同時に首を落とさないといけない】か。
上弦だから例の3人は蝶屋敷に帰したいが…派手な俺でも2匹同時は不可能だ」
これさえ無ければ、毒耐性のある俺なら毒の鎌をある程度食らっても問題ないが、この鬼兄弟…特に手紙では下弦程度とあるが、妹鬼も血気術でいくらでも食糧を喰らえる…か。つまりは妹鬼と連携している兄鬼も戦闘の合間で、食事していることになる。それにこの兄弟鬼の連携技を喰らえば、吉原は跡形もなく壊滅する。
「譜面を派手に作り直す必要があるな。」
それと例の兄弟は、鬼兄弟とどうやって戦わせようか。
▽▽▽
一方その頃、横浜では、
『Happy Easter!!』*1
イースター本番の日を迎えていた。
『ローズマリー!肉を買ってきて!』
『はい!直ぐに!』
『ローズマリー、傘!傘を忘れているよ!』
『あ!ありがとうございます!』
いくら準備をしていても、来客人数が多ければ不足する物も多い。
いや…本当にイースターを舐めていたわ…。
前世ではカトリックと言えば、学校行事のミサ程度しか、した事がなかったからお堅いイメージが強かったけど、こんなに盛り上がるものなんだな。
そうだ、私に関しては他にも
『随分と珍しい髪色ですな。』
『ねー!お姉さん!何でそんなヘンテコな髪なのー?』
『変な髪ー!』
『こら!』
子どもとその保護者に囲まれてしまった。そういえば、教会には私以外に明確な子どもはいなかったな。
『ねー、変な髪色でしょう、でも私はこの若葉のような髪が気に入っているの。綺麗でしょう?』
子供は否定されるのを嫌う。それに、本来なら存在しない髪色だから否定する理由がない。
『うーん、確かにキレイだね!』
『そうだねー!』
『じゃあお姉さんは、買い物があるからじゃあね!』
『『バイバイー!!』』
子どもは可愛いなぁ、いつの時代でも。
▽▽▽
「いいか、3人共、俺様の情報網で判明したが、今回の鬼は上弦の陸だ。」
「えっ……頑張ります!」
「おう!首が鳴るぜ!」
「バッカ!首じゃない、腕だよ!えっ、上弦!滅茶苦茶強いじゃん!俺たちじゃ無理じゃん!帰らせてぇー!」
「五月蝿いぞ、善逸!」
「うるせぇな!紋逸!」
「いっやー!馬鹿なの!2人とも馬鹿なのー!相手は上弦だよ、絶対勝てないって!」
竈門炭治郎は予想通り、猪もまあ予想通り、だが、この黄色、滅茶苦茶ウルセェな。
だけど、黄色が一番現実を観ている。最初こそは竈門炭治郎が頭脳担当、猪は脳筋、黄色は馬鹿の印象が強かったが、生存本能が強い黄色は、竈門炭治郎と猪のいい意味での重荷になっている。成程な、お館様が任務でこの3人を合わせているわけだ。
「いいか、テメェらはまず、京極屋の花魁【蕨姫】こと、上弦の陸の片割れの食糧保存庫を見つけ次第、囚われている奴ら全員を守りながら戦え。もし見つけられなかったら、片割れの鬼と戦え。」
無茶な命令を下していると自覚はある。だが、お館様がこの3人を希望とみなすのならば、それ相応の成果を俺に見せてくれ。
「えっ…食糧庫?」
「遊郭で花魁をしているなら人目がつきづらい場所にあるはず…」
「おっ!俺の見た蛇みてぇな奴の場所か!」
「俺も出来るだけ早くお前らに合流する予定だが、俺は上弦の片割れの相手で行き着くまでに時間が派手にかかる。お前らは弱い方の上弦、京極屋の蕨姫花魁の相手をしろ。だが、無理はするなよ、命あっての鬼殺だ。不利だと感じたら逃げてもいい。俺が認める。」
「あっ…逃げていいんだ!やったー!」
「こら、善逸!すみません宇髄さん。」
「テメェら子分は俺についてくりゃあいいんだよ」
「お前ら、さっさと店に戻れ、居ないことがバレちまうぞ。」
「あっ、では失礼します!」
「もう怖いよー!」
「ガハハ、腕がなるぜー!」
「やっと帰ったか…、さて…俺も仕事に移るか。」
上弦の陸の片割れの堕姫…表向きが花魁であり、主だって外に出ている鬼…お館様の手紙にあった能力を知れば、いくら下弦程度の実力とはいえ油断できる相手ではない。
まずは、食糧庫と厄介な帯の能力を封じ込めなければ。
ガツ
ガツ
カツン
「ビンゴ…」
見つけた、地下への入り口。
とはいえ、俺の技で派手に壊せる場所ではないな。アイツらに任せるか。
▽▽▽
数日後
「はあ?黄色が行方不明?」
「はい、善逸がいる店は京極屋なので、恐らくは鬼に感づかれたとしか。」
「俺はもう見つけたぜ!地下への入り口をなあ!」
確かイノシシは感が鋭いと炭治郎が言っていたな。俺と同じ音から場所を特定するやつか?
「イノシシ、穴はかなり小さいが入れるか?」
大人の頭がやっと入る程度で、かなりの深さがある。俺の技でド派手に壊したいが、場所が場所だから出来ない。
「おう!俺は頭さえ入りゃあ全部入るぜ!」
「本当か、ちょうどいい、黄色がいるのは十中八九そこだ。お前は鬼の食糧庫から黄色の救出をして、他の囚われの民間人を守っていけ。俺も直ぐに追いついてやる。それと、炭治郎。」
「はい!」
「イノシシが食糧庫で暴れれば、自ずと帯の本体である、上弦の片割れが鬼殺隊士を襲いかかる。お前はその鬼を足止めしろ。」
「はい!わかりました。」
「返事はいいな、だがお前はまだ
竈門炭治郎の調査では、下弦の伍と一騎討ちをしたが、冨岡が来なければ死んでいた。と聞いた。下弦の相手が身の丈に合わないと自覚していなければ、このまま蝶屋敷に返すしかない。
「はい!俺は煉獄さんの件で、己の弱さを思い知りました。そこから強くなるためにヒノカミ神楽を中心に鍛錬を続けてきました。下弦の伍にはあの時は敵わなかったけど…今なら禰豆子と共に戦えます!」
「そうか。」
負けた事を認めて、強くなるために鍛錬し、鬼の妹と戦えると言い切った。俺の経験上、この手の奴は強くなる資質が高い。今のこいつなら【堕姫】の相手が出来るだろう。
「よし…わかった。なら作戦はこうだ。俺とイノシシは帯の血気術を使う鬼の食糧庫を先に壊す。そして、そこからお前は【蕨姫花魁】の相手をしろ。食糧庫が終わり次第、俺たちはお前のところに合流する。」
「おう!」
「はい!」
「作戦は今夜、イノシシ、お前が食糧庫に先に行き、囚われの民間人を守りながら、黄色と共に帯の一部と戦え!」
「おう!俺様に任せろ祭りの神!」
▽▽▽
数刻後
「禰豆子!禰豆子ダメだ!ごめんな!痛かったな!俺を守ってくれたんだな!」
飢餓による暴走か。人間を襲いかかる一歩手前、やはり鬼と人が協力など土台無理な話だったか。
いや…違う。上弦と渡り合える鬼がたかが一隊士の防御を振り切れない?そんなことはない。つまり、あの鬼…竈門禰豆子は踏ん張っているのか?人の世界に…。
「「お館様の前で大見得きってたくせに、なんだこの体たらくは!? 誰も鬼化を派手にやれなんて言ってねえぞ!グズり出すようなバカガキは、戦いの場にいらねえ。地味に子守唄でも歌ってやれや」
子守唄で鬼化が防げるなんて、俺は思ってもいなかった。だが、竈門禰豆子は確かに子守唄で鬼化が治まった。煉獄…お前がこいつらを認めた理由…今ならわかるよ。確かにこいつらは
なら、今の俺がするべきことは、
「もうお前に用はねえよ、地味に死にな」
目の前の片割れの首を斬り、
「だってお前、上弦じゃねえじゃん」
「はあ!この瞳が見えないのかしら!」
「だったらなんで首斬られてんだよ、弱すぎだろ。脳みそ爆発してんのか?」
妹鬼を煽り倒し、本物の上弦を引きづり出すことだ。
チャンスはそこにしかない。嫁たちには火事騒動を起こさせて、吉原から避難させるように指示したから、問題ないだろうが、破壊の規模を広げさせるわけにはいかない。
「妬ましいなあ、妬ましいなあ。死んでくれねえかなあ、そりゃもう苦しい死に方で
「チッ、流石は上弦…派手に固ぇ首じゃねえか。」
妹鬼の首が切れている今、兄鬼の油断が残っている状態で頸を斬りたかったが、一度目で失敗した。もう同じ手は使えない。
「なんだぁ、お前ぇ、俺たちの事を知っていたのかぁ。ならなぁ、尚更生きて帰すわけにはいかねぇなぁ。取り立てるぜ、俺はなあ。やられた分は必ず取り立てる。死ぬ時グルグル巡らせろ、俺の名は妓夫太郎だからなあ!」
「竈門!お前は俺と一緒にいろ!黄色とイノシシは妹鬼の相手をしろぉ!!」
「おう!祭りの神!」
「了解した」
「はい!」
「いいなぁ、かわいい部下に囲まれてぇ、そんな綺麗な顔をして生まれたんだからさぁ、さぞかし幸せな人生を歩んできたんだろう?
いいなぁ、いいなぁ!だから死んでくれないかなぁ!」
お館様の情報から知っている。こいつらは
「才能? 俺に才能なんてもんがあるように見えるか? 俺程度でそう見えるなら、てめえの人生幸せだな」
俺は違う、煉獄のように胸を張って生きれる身分ではないし、時透のように才能に溢れた奴ではない。だが、俺は生きねばならない。殺した兄弟の分も、
「外を見ろよ!何百年も遊郭に閉じこもっているせいで、俺程度で幸せに見えているんだよ!上弦のくせに地味な兄弟だな!お前たちの血気術は忍びの俺様の情報網で既に分かっているんだよ!イノシシ、黄色、そして竈門炭治郎!頸をとりに行くぞー!」
▽▽▽
side炭治郎
宇髄さんは、忍びの情報網と言ってこれから対峙する鬼兄弟の血気術の詳細を話してくれた。だから俺たちは妹鬼の中から鬼が出てきたのにも冷静になれたし、宇髄さんのお嫁さん達が予め吉原から人を出していたから、戦闘に集中できた。妹鬼の時はまだ避難が終わり切る前だったから、民間人が大勢亡くなってしまった。だからもう、
「みっともねえが、俺は嫌いじゃあねえ。俺は惨めでみっともなくて、汚いものが好きだからな…そうだ!お前も妹と同じ鬼にならないか?他人の妹には興味ねぇが、身内となりゃあ別だ。お前とお前の妹、両方守ることができる!」
「ちょっとお兄ちゃん!そいつらなんてどうでもいいじゃない!」
「俺は君たちとは違う…!」
この兄弟は、違う道を進んだ俺と禰豆子だったんだ。あの時、たまたま会ったのが冨岡さんだったから、俺たちは鬼殺隊に。でも……違ったら?もし、会ったのが鬼だったら、鬼舞辻だったら?果たして俺は『禰豆子を守りたい』という思いで、鬼にならないと誰が言える?俺は否定できるのか?あったかもしれない俺たちの未来の結末を。
「譜面が完成した! 勝ちに行くぞ!」
「チッ、あの野郎ォ、まだ生きていたのかよぉ」
「読めてんだよ! てめえの汚ねえ歌はよ!」
ゴオオオ
あの音は善逸と伊之助!そうだ、まだ終わってはいない!戦わなければ、3人が作った活路を!
(腕の力だけじゃダメだ、全身の力で斬るんだ。頭のてっぺんからつま先まで使え。体中の痛みは全て忘れろ、食らいつけ。渾身の一撃じゃあ足りないその100倍の力を、ひねり出せ!!)
「うあああああーーああああー!」
ザシュッ
キリ
キリ
キリッ
「「「ああああああー!」」」
キーンーブシューパシャー
パシャン
「あは!あは!あはっ!」
(まずい!毒だ!ど、毒を、なんとか…呼吸で、す、少しでも毒が回るのをお、遅らせ…なんだ?何か言っている?く、頸、切れていなかったですか?)
▽▽▽
「逃げろー!」
まずい、ここからだと距離が保てない。庇ったところであまり意味がない。くそ!どうすれば、あれは、
「まさか!血気術を無効化する血気術なのか?」
兄鬼の最後の足掻きを血で相殺している。鬼なのにか、鬼が鬼の血気術を無効化する?力によるゴリ押しではない。まずい、俺の方が毒で頭が……。
「天元さまぁー!死なないでください!」
「うるさい、天元様は病人なのよ!」
「うええーん、ひどいですよー!」
嘘だろ……何も言い残せずに死ぬのか、俺? 毒で舌も回らなくなってきたんだが……どうしてくれんだ、言い残せる余裕あったのに……マジかよ
ボッ
「ちょ、ちょっと!火葬にはまだ早いですよ!」
「許しません!見た目が可愛くても許しませんからねー!」
「いや…これは違う」
毒が、毒がどんどん消えていく。まさか、竈門禰豆子の血気術か。
人間にも効果があるとは。
あれ?竈門兄弟はどこにいった?
「陸ね……一番下だ、上弦の。陸とはいえ上弦を倒した訳だ、実にめでたいことだな。陸だがな……褒めてやってもいい」
「伊黒か、俺は派手に引退するぜ。こんな手じゃ柱はおろか、隊士も無理だ。」
嫁達との約束を守らないとな。
「お前程度でもいないよりはマシだ、死ぬまで戦え」
伊黒は若手が育っていないからという理由で俺の引退に反対のようだが、
「いいや、若手は育ってるぜ、確実に。お前の大嫌いな若手がな」
近い未来、アイツらは柱になるだろう。俺の仕事はもう終わりだ、なら次にすることは、
「ああ、凱旋しよう、派手にな!」
▽▽▽
本当に上弦の陸を倒し切れたのか、確かめたかった。
あったかもしれない俺たちの未来の結末を見なければならないと思った。
「お兄ちゃんなんて!私のお兄ちゃんじゃないわよ!だって顔が似ていないもの!」
「はあ!俺だってなあ!俺だってお前がいなければ今回だって勝てたんだ!」
兄弟喧嘩、そういえば俺と禰豆子が喧嘩した最後はいつだったっけ?
「お前なんか俺の妹じゃ……」
「ダメだよ、それだけはダメだ。」
その言葉を言ったら全てが終わってしまう。俺は咄嗟に兄鬼の口を塞いだ。
「嘘だよ……本当はそんなこと思ってないよ。全部嘘だよ……仲良くしよう、この世でたった2人の兄妹なんだから…」
「君達のしたことは誰も許してくれない。殺してきたたくさんの人に恨まれ、憎まれて罵倒される。味方してくれる人なんていない」
「だからせめて2人だけは、お互いを罵りあったらダメだ」
なぜだろう…まるで自分のことのように聞こえるのは。
「あんたに言われなくても分かっているわよ!」
「「だって、私/俺たちは2人で最強なんだから/なぁ!」」
「梅!梅ェーー!」
さようなら、妓夫太郎、梅。
▽▽▽
「善逸!伊之助!よかった!良かった!」
「うわああーん!怖かったよぉ!炭治郎ぉ!」
「俺様、強くなっただろ?」
「みんな生きてて良かったぁ」
遊郭編終了です。戦闘シーンは苦手なので作成に時間がかかりました。
宇髄天元
片腕は失くしましたが、片眼は無事に死守できました。
事前にお館様の文から、【上弦の陸兄弟の血気術と弱点】が届いたので作戦計画で、かまぼこ隊に上弦情報を共有した。
作戦の大幅修正を余儀なくされたが、譜面を土壇場で仕上げる必要性がなかったので、原作よりは民間人の被害者を減らすことに成功。
ただし堕姫戦では、民間人の避難が間に合わなかったので被害者は出た。
血気術の内容と兄弟の過去がおおよそ合致したので、(兄鬼との会話で過去は当たっていると思うけど、聞き出せなかったので詳しくはわからない)
お館様と慎寿郎さんに突撃するまでのカウントダウン開始。
竈門炭治郎
【忍びの情報網】で【上弦の血気術】を知っていたので、対応は早かった。しかし、やっぱり苦戦。
民間人の被害者で頭がプッチンして、死にかけた。
妹がいなければ死んでいた。妓夫太郎が言った『頼みの妹』発言は間違っていない。
妓夫太郎と梅の過去話は知らされていなかったが、会話内容と妹が大切な兄という共通点から、『違う道を歩んだ自分達』の姿だと理解した。
殺された人たちの事もあるので、同情はしない。でも、鬼兄弟の姿を見て、自分達がいかに幸運だったのかを再確認した。
伊之助と善逸
煉獄さんの死から、今回の件でようやく本当の意味で立ち直った。
良かったね、今回は守ることができたよ。
竈門禰豆子
この子がいなければ、全員生存ルートは解放されなかった。
1番の功労者
忍びの嫁(3人)
堕姫の帯から解放された後、あちこちの店で、放火して避難を誘導していた。本来ならもっと出たはずであろう被害者を減らすことに成功。
主人公【ローゼマリー・ベネット】
イースターで大忙し。緑の髪は生まれつきだと記憶が置き換わっている。最近は、鬼特有の牙が草食動物の歯になってきている。
今回は2つ投稿するから、来週は投稿できないかも。