カイマクルの鬼   作:セッル@ポケモン熱発生中!

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彼が鬼の王になるまでの過程は伏線があったと思うのです。
炭治郎は鬼兄弟までは鬼を哀れむ描写があったのに、それ以降の彼は鬼を哀れむ描写はなかったです。(出てくる鬼がクソ野郎ばかりだったのもあるけど)
鬼殺隊士になること=鬼に近づくこと…だったのかな?と。


炭治郎の苦悩

俺は横浜から帝都にある蝶屋敷に帰ってきた。

だが、

 

「炭治郎、お前からめちゃくちゃな音がするんだけど、休暇中に何があったんだ?」

 

「あ、ああ、知り合いに言われたことが気になって…。」

 

ウィスティリアさんは言った。「変わった」と。だが、俺は自分が変わったとは思えなかった。

 

「何を言われたんだ?」

 

「えっと…俺の事を昔とは変わったと。」

 

「まあ、鬼殺隊に所属していれば変わるもんだろ。その知り合いが鬼殺隊を知らないなら尚更だ。」

 

「どう言う事なんだ?」

 

「お前の横浜にいる知り合い?そいつ民間人なんだろ。なら昔が鬼殺隊に所属する前や、鬼殺隊に入ったばかりの頃からの付き合いなら「変わった」と思われのも、言われるのも当然の事だ、俺たちがやっている事は、どんなに麗句を重ねてもただの自己満足なのだから。」

 

「えっ……?」

 

善逸は女の子関連の話になるとポンコツになるから忘れていた。

そもそも善逸は望んで鬼殺隊に入ったわけではない

家族がいない善逸は、俺とは違い明確な仇がいない

 

「自己満足?」

 

「いいか炭治郎、俺はお前や他の鬼殺隊士と違って、爺ちゃんや兄貴が鬼殺隊に所属していなければ、どんなに給金が良くても、鬼殺隊に所属しようとは思わない。もちろん軍人も嫌だけど。

俺たちが動く事で助かる命も確かにあるけど、同時に鬼殺隊によって大切な人の命を奪われる人もいるんだ。お前だってそうだろ?禰豆子ちゃんは理由はどうであれ鬼であるのには変わらない。言い方は悪いけど、本来なら鬼殺されないのがおかしい。

でも、お前は許さないだろ。なら俺たちが殺してきた鬼の親族も同じ思いだよ。」

 

「そ…それは。」

確かにそうだ。俺はたまたま運が良かった。あの場に来たのが冨岡さんであって、その人は俺たちを認めてくれて、育ての鱗滝さんも禰豆子を殺しにかからず、鬼を連れて来た俺を真摯に育ててくれた。それだけじゃない、冨岡さんが現水柱であり、鱗滝さんも元水柱。2人の立場が高かったから、柱集会議まで開かれた。これが普通の隊士だったら、ここまで見逃してもらえなかったはずだ。数多いる隊士の中から柱が来る確率、かつその柱が禰豆子を見逃す確率、自分の恩師を紹介する確率、他人の為に命を張って守ってくれる確率、ほぼ家業で学校に行った日数は少ないけど分かる。とんでもなく低い確率であることが。

 

 

「君は変わりましたね」

 

あの時のウィスティリアさんの顔は、匂いは、どうだった?たまたま運良く禰豆子を受け入れてもらって、そのくせに禰豆子とほぼ変わらない【鬼を鬼殺する俺の姿】に何を思ったのだろうか。

 

「なあ善逸、知り合いの家に忍び込む事に関して、どう思う?」

 

「なんだ急に?あー、それは事情が有れば…かなぁ?その知り合いが危機的状況に陥っていたり、鬼を知らずに匿っていたならいいんじゃないか?」

 

「だよな。……えっ…?」

さっき言った自分の言葉に血の気が引いた。

今俺はなんと言った?「だよな」だ。それはローズマリーさんを()と認識していたことだ。普通の鬼殺隊士ならともかく、俺は禰豆子を連れているんだぞ。人を不幸にする鬼ではないのに、俺は…!

 

「あっ……」

自分の手が、真っ赤になって

 

「お、俺は」

視界が、ぶれる。

 

「……!た……!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

▽▽▽

あれは…、俺?

「お前…最低だな。」

 

あの姿、あれは鬼殺隊士になる前の姿。

 

「俺と禰豆子は運が良かっただけだ。理由は分からないけど、禰豆子は人を襲わない、だから鬼殺隊は不服ながらも俺たちを認めた。」

 

「あっ…」

確かにそうだ。普通の鬼は人を襲う、それは変わらない。

 

「ローズマリー・ベネットが俺たちに不利益を被る事はない。それどころか鬼に関して重要な情報をあれだけ提供されていながら、お前ときたら…」

 

ウィスティリアさんと同じ表情だ。この夢を認めよう。確かに俺は無意識にだが、ローズマリーさんを()として認識していた。

 

「挙句に、お前を気遣って異国の他人相手に[安全の確保]を提示してくれたウィスティリアさんからの恩を仇で返すような事を言った。大切な人を失う痛みを知っているお前がだ。」

 

「そ、それは…!」

ウィスティリアさんがどれ程ローズマリーさんを大切にしているのかは、目の前で見ていたから知っている。あの2人にある強い親愛の匂いが何よりの証拠だった。

 

「私がなぜ、レディの話に反応しなかった…かですか?」

そういえば初めてあの2人と会った時に聞いたことは、

 

「レディは生きる事を諦めているからですよ、あの子は…未来に希望を持っていない。何より…あの子は…()()()()()()()()()()()。」

 

そう…悲しい匂いを纏って言っていた。俺は、

 

「それでいいのですか?」

 

と、聞いたら、

 

「私とあの子には、君たちのような繋がりはない。あくまでも()()です。それに私はこの道を選んだ時点で、妻は当然の事ながら、養子を迎えることもできません。だから……()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

と、答えていた。すっかり忘れていた。

人に戻れないなら、鬼舞辻無惨を倒したらローズマリーさんは死ぬ。ウィスティリアさんは…大切な人の寿命を縮める俺を、どう見ていたのだろうか。

そう思い返したところを昔の俺は、

 

「もう1人の俺…、お前は無自覚でもいや、無自覚だからこそ余計にタチの悪いことを言った。恩人の1人を人質として扱い、家族を奪われる悲しみを知りながら、ウィスティリアさんから大切な人を奪おうとした。」

「そうだよ、にいちゃん!」

「お兄ちゃん、目を覚まして!今のお兄ちゃんが1番鬼だよ!」

「炭治郎…、ウィスティリアさんに謝りなさい。例え許されなくても。」

 

ああ…、下弦の鬼の血気術が生温く感じる日がくるなんて。昔の俺と花子、禰豆子に母さん。俺は一体いつから、間違っていたんだ?ウィスティリアさんに「変わった」と言われる訳だ。最初に貫こうと決意していた自分の心を忘れるなんて。

 

「ウィスティリアさんに……謝らなければ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

▽▽▽

一方その頃、蝶屋敷では、

 

「炭治郎ーゥゥ!起きてェー!」

「うるさいですよ、善逸さん」

「おい、またこいつコンスイジョウタイというやつになったのか?」

「不謹慎ですよ、伊之助さん!」

 

「はぁ、しのぶさんは柱集会議だからいないので、問診だけをします。善逸さん、炭治郎さんが倒れるまでの経緯を教えてください。」

 

「えっと、炭治郎は元気だったんだよ、俺と素振りの訓練をしていた時の休憩時間に、炭治郎は横浜の知り合いに言われた事を話して、その後…手を震わせて…バタンって。ねぇ!ほんとに炭治郎は大丈夫なの!?」

 

「横浜の知り合いに言われた事を話した後、手を震わせて倒れた…」

 

(見た限りでは致命的な怪我も完治とは言わないものの治ってはいる。なら、もしかしたら、)

 

「その話した内容を教えてください。」

 

「それは…うん、分かった。炭治郎は横浜から帰ってきたんだけど、その日から音がかなりおかしかったんだ。普段の炭治郎の音は、トントントンといった感じの落ち着いた音だったのに、横浜から帰ってきたらドドドドドという感じで、豪雨のような音と雷雨のような音が混じっていたんだ。内容は…知り合いに「変わった」って言われた事で、あっ!それと、「知り合いの家に忍び込むことに関してどう思う?」って聞かれて、俺は「状況次第じゃない?」って答えたら、あいつは肯定した後、手を震わせて倒れて…!ヒックたんじろうは大丈夫なの?」

 

(間違いない、私が刀を置いた理由と同じだ。)

 

「落ち着いてください、体は問題ないです。心が追いついていないだけですよ。じきに目を覚まします。今の炭治郎さんに必要なのは睡眠です。君たちは出て行ってください。」(また、刀を握れるかは別として)

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふう…」(どうしたものか)

「アオイ、炭治郎君がどうしたのですか?」

「あっ!しのぶさん、実は、」

 

 

 

「心の問題…ですか…、ならこちらは治す事は出来ませんね。私たちはあくまでも、体の不調を治すことが専門ですからねぇ。」

 

「ところでしのぶさん、随分とお疲れですね?何があったのですか?」

 

「少し…ね、しばらくは忙しくなりそうです。」

「そうですか。」

 

「レ……ロ…ごめん…なさい…、ウィス………ア…さん…ごめん……なさい」

 

「随分とうなされていますねぇ。」

「上弦と戦って、生き残った過去の隊士は、己の実力不足で亡くした命に耐えられずに、鬼殺隊を去ったという話もあります。正直な話…何もない方がおかしいのですよ。」

「そうなのですか?」

 

善逸さんと伊之助さんは普通に過ごしていたから、大丈夫と思ったけど、そうか…、そうだよね。

 

「さて…、私たちも仕事に戻りますか。」

「はい」

 

そして、しのぶとアオイは部屋を後にした。

この状況に置いて、唯一の幸運と言えば、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「レディローズマリーさん…ごめんなさい…ウィスティリアさん…ごめんなさい」

 

この言葉が聞かれなかったことだろう。

 




竈門炭治郎
善逸の自論により、昔の自分から鬼殺する事に不利になる感情から目を逸らしていた事を指摘された。神父さんに「変わった」と言われて、冷淡に扱われた事により昔の自分を振り返ることになったが、神父さんの存在がなければ、悩む事はなかったけど、同時に「1番大切な信念」を最終戦まで忘れたまま進む事になる。
そういう意味では、母親と兄弟に説教されたのは、良い分岐点だったのかも知れない。「信念」も「鬼殺」も「願い」も一緒くたに貫く。
でも、今は…許されなくても謝りたい。


我妻善逸
今回の元凶兼MVP兼苦労人
炭治郎のような明確な仇がなく、また伊之助のように志願者でもないので、感性は1番まとも。
炭治郎の質問に答えた結果、炭治郎はうなされる事になった。
しかし、彼がいなければ炭治郎は神父さんの言葉の意味を理解できずに、和解は夢のまた夢になっていたので、good job!
音の変化から、実は薄々勘づいていた。でも目を逸らしていた、心の病は治せないから。

アオイさん
蝶屋敷に置いてはしのぶさんに次ぐ、
事実上のNo.2
医者ではないから、薬を処方する事は出来ない代わり、その他の業務はほぼ全て出来ると言う、一種の天才。だから、問診の時点で直ぐに心の病だと思った。自分も経験しているからこそ、ここで乗り越えられたら絶対に折れない「鬼殺の刃」になると静かに応援している。

胡蝶しのぶ
アオイからの問診結果で、鬼殺隊士が鬼殺隊を離れる原因No.2(1番は殉職)であると知ったので、
一通り話した後は、研究室に篭った。
今は新しい情報のまとめに時間を注がなければならないので、急病人ではないなら、アオイに任せることにした。











大正コソコソ噂話
炭治郎のうわ言が聞かれなかったのは、ひとえに【主人公補正】だよ。
主人公は最近、身代わりの人形が出なくなったよ。何でかな?
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