『』←英語
「」←日本語
私は前世の記憶を持つ、日本人だった人でした。
今の記憶は、ウィリアム神父に会うまでは苦労の連続だったな。
なんと言っても、この【緑の髪】と【グリーンアイ】前世だったら、隔世遺伝やDNA鑑定で親子証明が出来るけど、この大正の世、そんな知識や便利な機械はない。
両親共に平均的な日本人の容姿なのに、産まれた私は白人の肌に緑の髪に緑の瞳、顔も知らないとはいえ母親には同情してしまうよ。
真っ先に不貞を疑われたのだろうね、私は名付けもされずに捨てられた。記憶にはないけど、この世界は赤ん坊の伊之助はイノシシに育てられて生きれたし、善逸もなんやかんやで鬼殺隊に入れるまで生きれたんだ。私も記憶にないだけで、そんな感じだったのだろう。
まあ、過去の事なんて、ウィリアム神父との出会い以前の話はどうでもいい事だ。だが、この世界には鬼がいる。
私もウィリアム神父が言うには、『鬼に似た何か』だそうだ。
確かに光合成が出来る髪に、土や植物類を食べれる私は純粋な人間ではない。だけど、人を見て食欲がそそられる事はないから、鬼ではない。
本当に何なんだろう、私の身体は?
こんな特異な身体をもつ私だが、鬼滅の刃には私のようなキャラはいなかった。つまり、完全なイレギュラーという事だ。そもそも、ここは物語の世界と似ているだけで、完全な鬼滅の刃の世界ではない。
そうでもなきゃ、神父さんやシスターさんなどと言った外国人が【鬼の存在を認知】している訳がない。
そうそう、ウィリアム神父が言うには、私との出会いは浅草の近くにある教会だったそうだ。
その時はウィリアム神父1人が在籍していて、そこに迷い込んだ私が、鬼の存在や鬼舞辻無惨の話、上弦の血気術などの話をしたんだって。
今でも前世の記憶はあるけど、どちらかというと今は【ローズマリー・ベネット】の記憶の方が比率が高い。鬼滅の刃の内容もうっすらとなってしまった。まあ、いいか。今の【私】には鬼殺隊は関係ない話だ。
あっ、これは、
『この木は…サクラ…かしら?』
吉原の大規模破壊から二ヶ月ほど経ち、避難民も各自、店や自宅に帰る人が増えたのもあり、教会のボランティア活動も収まった。
さて、日光浴もこのくらいでいいか、次は畑を見にいこう。
▽▽▽
『ローズマリーさんの育てる野菜や花は、実りが早いわ。あなたは緑の手の持ち主なのですね。』
緑の手…グリーンハンドか。
確かにそれに近いのかも知れない。
私は自分が光合成で栄養を吸収できるから、自分の好む環境にしようとする。そして結果的に、それが植物にとっても最適な環境になってしまう。
それを緑の手と呼ぶならば、確かに私は緑の手の持ち主なのだろう。
『そうだ、あなたの作った大根を料理にして、信者さんに提供したら好評だったの、私たちも手伝うから、他の畑も見てくれないかしら?』
『勿論です。シスター』
『じゃあ、教会から少し遠いけど、ここと、この畑を見てきてくれないかしら?往復してもこの季節なら暗くならないわ。』
『はい、行って参ります。』
カラン
▽▽▽
畑には既にシスターさんが待機していた。
『お久しぶりです、シスターさん』
『最近は会う機会が少なくなったわね、元気だった?ローズマリー』
このシスターさんは、教会の移動命令があったのもあり、疎遠になりつつあった。でも、まさか野菜の育成不良問題で再開するとは。
『はい、この所は体調も安定しております。』
『それは良かった。さて、あなたの【緑の手】の噂は聞いたわ。とりあえず、ここ一体の畑を見て、何か思うかしら?』
手を大きく広げたシスターさんを見ながら畑を観察する。
日当たり良し、水捌けも問題ないし、土は…今なら大丈夫そう…。
ペロッ
うん、これかな?美味しいけど、何か味が薄いな。
『シスター、この土は肥料や堆肥を混ぜたりしたのはいつですか?』
『えっ、うーん…そういえば、最近は農家の人を雇ったりしていなかったわね。随分と混ぜていないと思うわ。』
『育ちが悪い原因はそれですね、とりあえず堆肥を私が言う分、土に混ぜてください。』
『分かったわ、重いものは任せなさい。』
『ありがとうございます。』
本当は鬼のような体質の私なら1人でも出来るけどそれだと人と暮らす意味がない。
ここはシスターの好意に甘えましょう。
『ローズマリー、お疲れ様!はい水、よく飲んでちょうだい。』
『えっ…1番動いていたのに、水汲みまでするのですか?私は座っていたので私に頼めばいいものを。』
表向き私は『病弱』だが、それは主に肉類を摂取できない身体だからだ。それ以外ならむしろ、並みの人間よりも体力がある。
『一応、声をかけようとも思ったけどね、何故かしら?木に身体を預けるあなたの姿が絵画みたいで動かしたくなかったのよ。まるで…そこのサクラに同化しているようだわ。』
何か遠くを見るような瞳で、私を見ていた。
サクラのように…か。強ち間違ってもいない。私は【鬼】ではないけど、【人】でもない。どちらにもなれない中途半端な存在。
そして…何より、
《帰っておいで、欠けた子よ。》
《こっちにおいで、人の子よ》
サクラの声が聞こえるようになった。一つだけ言うとサクラだけではない。植物の…特に木、長い時を生きた植物の声が聞こえるようになった。
とても人に話せる内容ではないけど、私はこれで救われている。
だって私に話しかける植物たちは皆、こう言う《人の子》と。
私はまだ《人の子》なのだと、一度も《鬼》と呼ばれなかった。
鬼ではないと朧げな記憶からも思う、一度も人の血で食欲が沸くこともなかったし、何より私は肉類がそもそも受け付けない。
でも……この縦長の瞳(昼間は丸い)太陽光で焼けた私の素肌。
特徴か合致する存在は一つしかないんだよな。
帰りに……、確かめよう。
▽▽▽
『ただいま戻りました。薔薇の棘を抜くので部屋にいますね。』
『あら、お疲れ様、食事の際は呼ぶわね。』
庭には、野菜類の他にも、香辛料や教会に飾り付ける花も植えている。それを育てて飾り付ける為に加工するのも、出来ることが少ない私の仕事だ。
そして、これをする際は、花の近場にある小屋に入る。その際は基本的に1人だけだ。だから、
ザシュ
『やっぱり、少し痛いなぁ』
ジワジワ…
『治るのが……早い。』
いくら小さくて、棘は棘。出血量は少なく直ぐに血は止まるとは言え、こんなに早く傷が塞がるなんて、こんな回復力は
『大体10秒…か。』
独特な瞳、食事を摂ってはいるが、根本的には必要としない身体、日光を浴びていながら、素肌を晒すのを本能的に嫌悪する自分の心。やはり、私の予想通り、
『はは…、やっぱり鬼なんだ。』
と、なると可笑しいのはやはり私に国籍を与えるきっかけをくれた神父さん。この回復力から考えて、いくら記憶が朧げになっているとはいえ、そこそこの時間を共に過ごした神父さんが、私の回復力を見る機会が一切ない、なんて事は起こり得ない。つまり彼は、私が【鬼】である事を承知の上で私に国籍を与える為に奔走した事になる。優しい人である事は間違いない、だけど…
『あまりにもデメリットが大きすぎる…』
竈門兄弟のような身内でもなければ、ノック…
『私を…【1人の人間】だと認められるほどの行動をした…のか?』
あー、思い出せない!
少なくとも覚えている範囲では、私は人を見て食欲を増進させた事はないと認識している。これが当たっていたとするならば、優しい彼ならば
『いや、やっぱりないわ…』
彼は、いい意味でも悪い意味でも【博愛主義者】だ。差別はしないし、この時代は一般的な児童労働を咎める姿勢をするが、代わりに【誰かを特別に贔屓することもない】そんな人が、いくら
『埒があかない、やっぱりここは鎌をかけないといけないな。』
▽▽▽
『おかえりなさい、ローズマリーどうしたんだい?』
薔薇の棘取りを終えて食堂に顔を出したら、ちょうど先に食事を終えた神父さんは、いつものように聞いてきた。
『ウィリアム神父、一つだけお聞きしたいことが』
『いいよ、何だい?』
私と1番交流が長く、私をアメリカ人として日本人からの迫害からの保護を率先としてしてくれたのは彼だと言っていた。
私もこの人の人柄が大好きだ。
だからこそ、《欠けた子》の意味を知ってしまった今、聞きたい。
『私は…本当は鬼ではないのでしょうか?』
『あなたは少し特殊な人の子ですよ、でなければ、ここに居ることなど出来ないでしょう?』
この言葉が優しい嘘を含んでいると、分かってしまった。
だって…、それが真実ならばサクラは私のことを《欠けた子》などと言わないでしょう。
ねえ、ウィリアム・ヤコブ・ウィスティリア司祭。例え嘘で塗り固めた結果だとしても、今の暖かい教会暮らしで、私はあなた達を守りたいと思えたのですよ。だから、私も、
『守るためには手段を選びません。』
産屋敷?鬼殺隊?主人公?そんなモノ知るか!ここは現実世界だ。ならば、この私の特性は…
『利用価値がある。』
歴史は多少変わるけど、パラレルワールドだと仮定すれば、問題はないはずだ。
ローズマリー・ベネット(主人公)
【顔も知らない親に捨てられた】と記憶が変化しているのに、【両親は平均的な黒髪】だと知っている。
他にも、経歴を【嘘】だと断言していたり、
スパイを古い言葉だと認識していたり、
児童労働を
ただし、独り言も英語になっていたりするなど、言語に関しては母国語の変更が進んでいたりとしている。
この度、自分は【鬼】であり、神父さんは理由は分からないけど、遠い異国で味方を騙してまで、自分を守ってくれた。と認識した。
そして、今の暮らしが【優しい嘘で塗り固められた結果の産物】だと知ったので、「教会関係者を守りたい。」と決意しました。
ウィリアム・ヤコブ・ウィスティリア司祭
主人公の友人であり、名付け親
主人公にアメリカ国籍を与え、優しい嘘で塗り固めた箱庭に閉じ込めていた。
しかし、当の彼女は新しい血鬼術の発動により箱庭の存在を確認。
自らの手で大切な人たちを守る為に手段を選ばない決意を固めてしまいました。
今はソレに気づいていませんが、気づいたら必死で止めます。
そもそもアメリカ人として生活させたのは、ひとえに【彼女を守る為】です。鬼の存在を知って、かつての宣教師の日記を読んでいるうちに、日本人に不信感を抱くようになってきました。
大正コソコソ噂話
主人公の新しい血鬼術の名は、【Admit me】(私を認めて)です。
植物の声が聴こえるようになった原因は、教会で野菜や香辛料を育てる事により、ただでさえ植物寄りの鬼だったのに、さらに近くなってしまいました。
主人公は神父さんを【博愛主義者】と思っていますが、実際は他国の人間である日本人のことなんて、鬼殺隊関連のゴタゴタを知った時点でほとんど関心はありません。(信者は除く)主人公も教会関係者、用はアメリカを筆頭とした欧米西側諸国の人を守りたいと願い、決意を固めたので、実は似たり寄ったりな人格だったりします。