カイマクルの鬼   作:セッル@ポケモン熱発生中!

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久しぶりの主人公目線です。


ローズマリー特命連絡員
役目を果たせ


私が日本人に襲撃された事件以降、襲撃者の女性の身元がアメリカ側に渡った事により(詳しくは教えられなかったけど身元受け渡しが完了したらしい)私は教会に帰ることが出来た。

とはいえ、以前のように教会暮らしを主軸とした暮らしには戻れず、平日は教会、休日は両親の元を車で往復する毎日となった。

 

私としては、この時代ではまだ高価で珍しい車で頻繁に移動する姿は、何だか金持ち自慢に見えて拒否したかったけど、日本政府から派遣された護衛の九鬼さんが『御身の安全の為に必要な措置です。車に抵抗があるならば、他の移動手段が見つかるまでは大使館か、ご両親の元に身を寄せていただけなければ、我が国との関係性が悪化しかねません。』

 

と…遠回しに《車以外での移動手段だと護衛しきれない》と言われた。

まぁ、そういう事があったので、()()()()()()()()()がある日本政府の意向を尊重しようと、お父様が言ったので私の車移動は継続することになった。

そして、今日は【家】に戻る日だ。

 

『お待ちしておりました、ローズマリーお嬢様』

 

まさか、鬼となってしまった私が国に守られる立場になるなんて、今でも夢をみているようだ。

 

ガタン

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『そういえば、九鬼さんは何故鬼殺隊が嫌いなのですか?』

 

ちょうど車の中で、2人っきり。この時代には盗聴器の類はまだ開発されていないから、ある程度の秘密保持は可能だ。

 

『鬼殺隊の構造を誰よりもご存知なのは、ローズマリーお嬢様です。ならば、何故政府公認の組織にならなかったのか、ご存知なのでは?』

 

この人…かなり聡い人だ。

元特高とは聞いたけど、私が鬼であることを前提で背中を見せることに躊躇いがない。

それにしても…鬼殺隊が公認組織にならなかった理由…か。

ある程度の憶測はできるけど、当たっているかはわからない。

 

『試験段階で死人を量産するような形態の組織…そして、近代国家を目指すこの国と、あくまでも自分達一族だけで鬼を滅ぼそうとする産屋敷一族…意見が合うとは思えません。』

 

本当の意味で産屋敷一族が他者を頼らなかったのかは分からない。

でも、戦争続きの時代とはいえ、ある程度時勢が安定している大正時代でありながら、隊士が徴兵に行っている描写がないのもおかしな話だ。

 

『ご名答ですお嬢様、近代国家を目指し【列強国】の仲間入りを目指していた我が国に置いて、鬼殺隊士は最高の軍人候補です。なので徴兵を受ける事を何度も求めましたが、歴代の産屋敷当主は「鬼を倒す人材を渡せない」と拒否。最初はよかったのです財政難の新政府に莫大な資産を寄付する事と引き換えに徴兵を拒否していたのですから。

問題はその後、産屋敷の支援なくとも財源が確保できてからが問題でした。』

 

初期の徴兵令は免除項目が多く、結果徴兵に参加していたのは、貧しい農家の次男三男が主だった。

だから産屋敷はまだ問題なかったということか。

 

『財源の確保と、相次ぐ徴兵拒否者による虚偽申請が続き、初期の徴兵令における免除項目が大幅に見直され、今の形となりました。「金を出せば徴兵免除」「長男免除」は無くなり、今までは金で徴兵を逃れていた鬼殺隊士も当然、徴兵を受ける義務が生じました。しかし…今度はどんな手を使ったのやら、上層部のコネを使い、鬼殺隊士と呼ばれる男子の戸籍が抹消されていました。』

 

道理で公式設定で20歳の煉獄杏寿郎が徴兵に行かずに、鬼殺隊士を続けられたわけか。この分なら徴兵前の身体検査も受けていないだろうな。

 

『そして産屋敷は明治の世までは公的に政府支援をしていましたが、政府側の財源が安定すると今度はコネ作りの為に賄賂を使い出すようになりました。相変わらず鬼殺隊士の徴兵義務を受けずに…です。』

 

『権利ばかり利用して、義務を果たさない組織ですか…、嫌って当然ですね。あなたのような公僕ならば。』

 

何も徴兵は全ての男子が必ず受けるものではない。

何のために事前の身体検査があるのか、そして身体検査の結果が【甲】でも、何年も徴兵されるわけではないのに。

 

『そんなわけで私たちのような者や、有能な者を鬼に殺されるならまだしも、試験段階で殺しにかかる鬼殺隊は軍部からは嫌われているのが実情です。恥ずかしい話ですが、政府の上層部は賄賂や姻戚者が蔓延っていたので、こちら側は手出し出来ませんでした。今回の事件の被害者であるローズマリー様には申し訳ない話ですが、あなたが襲われた事により、産屋敷との縁切りを進める事が出来ました。

政府代表としてお礼を申し上げます。』

 

ここまで嫌われていたとは…だが、確かに鬼殺隊には不要でも軍人として雇いたい人が試験で同時期に死んだら、こういう反応になるな。

 

『いえ…産屋敷一族が嫌いなのは私も同じこと、お礼を言われる筋合いはありません。むしろ…国際条約があるとはいえ、仮にも鬼に背を向ける事に躊躇いがない、あなたのような人が日本にもいる事に希望を持てました。』

 

日本人は特にこの時代なら異端を排除する民族だ。それを否定はしないし、かつての私もそうだったから文句を言える立場ではない。

でも…寂しかったのは確かだ。

どんなに見た目が変わろうとも、心なしか顔の彫りが深くなっていようとも私の本質は【日本人】だ。

桜を見て美しいと思い、スプーンとフォークの食事よりも箸で器を持って食べる方が慣れている。

とはいえ、この時代の外国人の方が私に優しかったし、私の異端を受け入れてくれたのも外国人。今の私は【アメリカ人】であり、日本の国益よりもアメリカの国益を優先する事に躊躇いはない。

でも…もしも、先に【鬼と話し合おう】と行動してくれる日本人がいたら、天秤は【大日本帝国】に傾いていただろうと確信できるほどには愛着がある。

 

『…お恥ずかしい話です。』

 

何かを感じ取ったのか、九鬼さんは小声でそう言った。そして、

 

『この国の不始末はこの国の臣民が責任を取ることです。お嬢様はアメリカ人、アメリカを優先するのは当然の権利であり、そして…義務です。』

 

私が元日本人である事を知っているはずだ。

なのに裏切り者扱いしないとは、何と器の広い人なのか。

 

『着きました、どうぞお手を』

『ありがとうございます、九鬼さんにもどうか神のご加護を』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

▽▽▽

『ただいま戻りました。』

 

自宅に帰って、大使館で食べる夕食よりかは素朴だが美味しい食事を食べ終わり、お母様が片付けに入った後、

 

『教会はどうだ?不自由はしていないか?』

『いいえ、皆さまお優しく私には勿体ない人々です。』

『そうか…』

 

本物の親子のような会話をしている中、

 

『後で執務室へ』

『はい』

 

鬼殺隊に関する情報を話す際は、いつも父の部屋もとい、執務室で話している。貴重な書類も多い事から扉は重くて厚いので声が外部に漏れる心配がないからだ。

 

『さて…ローズマリー、君にこれが届いている。』

 

食事が終わり、お母様が退場してしばらく経った頃合いをみて、お父様と共に執務室に入り、鍵付きの机から取り出したのは、

 

『書類…ですか?』

『大統領府からだ。』

『大統領府?』

 

なぜ一大使の娘相手に大統領が書類を?

手元に置かれ、そして、開かれた書類の中身は、

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

任命

ハリス駐日全権大使の息女である、ローズマリー・ベネットをキサツタイに派遣する。

キサツタイに関するあらゆる情報を大使館に提供せよ

貴殿がオニである事も考慮し、事情を説明し終えた軍人を二名派遣する。軍人が到着次第、日本の護衛と共にキサツタイ本拠地に乗り込め。

 

合衆国大統領

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ついに私の役目が回ってきた。

ここからは原作と乖離する。慎重にいかなければ…

 

『護衛の軍人が到着次第、ヤマト殿とキサツタイに乗り込みます。とはいえ、君の名目は連絡係という名の広告塔、ローズマリー…君は、とにかく目立ちなさい。そうすれば隙が生まれる。』

 

広告塔、目立つ…日本政府は私を守る義務がある。そして、鬼殺隊に所属する者は鬼に恨みがある者が多い。

あわよくば…という事か。

 

『分かりました、()()()ば良いのですね?』

 

『ええ、存分に振る舞いなさい。ローズマリーはキサツタイでは何をやってもいいと許可が下りています。』

 

なら…初対面は印象を強くしないとな。

 

『なら…大使館の車を使わせてください。万が一襲われても車に攻撃をすることは禁じられていましたでしょう?』

 

国際条約が私の知っている内容と同じであれば、

 

『もとより、大使館の車に乗せるつもりでしたから問題ありませんよ、他には?』

 

確か…場違いな服も印象を悪くするよな。

 

『軽いホームパーティで着るような服をください。』

 

最終決戦で気が立っている中で、敵地にいるにも関わらず、1人だけ観光気分でちゃらちゃらした鬼がいれば、気が短い隊士なら襲いかかるだろう。

 

『なるほど…なるべく動きやすく、綺麗な服を用意します。』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

▽▽▽

そして時間が経ち、

 

『日系二世のリアム・オニヅカです。』

『イーサン・クラークです。ローズマリー様の主治医を担当します。』

 

リアムさんは彫りが深いが、血統が日本だとわかる顔だった。

でもこの顔なら日本人の中に混ざっても、服装さえ変えれば目立たない。()()はこちらか。

イーサンは金髪碧眼の見るからに外国人であり、お父様がいうには私の鬼としての能力に関する情報は、この人の元に送られていたそうだ。

 

『お国で説明はされていますが、改めて…【オニ】であり今は全権大使の娘であるローズマリー・ベネットです。よろしくお願いします。』

 

『「はっ!!』』

 

そして軽い自己紹介と事前に説明されていた鬼殺隊情報における質問を答えながら、公用車で九鬼さん率いる日本政府の車の後ろを追いかけている内に、鬼殺隊本部の近くに止まった。

 

トントン

 

『何ですか?』

 

『これより私たちは先に鬼殺隊の本拠地に乗り込みます。この場所は事前に政府公用車が停まることを知らせているので、私たちは徒歩で向かいます。そちらの公用車にあるベルが鳴ったら、あなた方は車で乗り込んで下さい。ないとは思いますが、公用車を止めようとする者は最悪、轢き殺しても構いません。』

 

『ウィーン条約を破るような人間を政府は雇っているのか?』

 

『これからはそうなりますが、今日までは【貴族の私兵】ですからね、国際条約を知らない無法者もいる可能性があります。私たち日本政府はローズマリー令嬢を守るために全力を尽くしますが、今日は間に合わない可能性が高いです。』

 

『…了解した、戦場の感覚で乗り込もう…』

 

『では、合図が鳴るまではこちらでごゆるりと。』

 

 

日本政府も大変だな。

『はぁ、これから戦場なのに何が「ごゆるりと」だ。』

イーサンさんは溜息をつき、

『本当にそうですね、ローズマリー様、トランプでもしましょうか?』

リアムさんはポケットからトランプを取り出した。

『ええ、しましょう、少なくとも1時間はかかるはずです。』

 

九鬼さんがいなくなった後、イーサンさんとリアムさんによる軽い愚痴と、私についての雑談と、トランプ遊びに熱が入り出した時、

 

》》リリリリーー!!《《

 

『ようやく…か。』

『長かったですねー』

 

目つきが変わり、文字通り戦場の目をした2人は、

 

『『乗り込みます』』

 

ギャルルルル

 

そこかしらに止まっていたカラスが鳴き出し、それに連なり隠たちが動き出したが、どんなに鍛えても所詮は人間の足と全てにおいて最高品質を使って作られた大使館の公用車、速さは負けなかった。

そして…

 

『ローズマリー様、お手を』

 

イーサンさんは日傘を片手にゆっくりと扉を開け、

 

『私の斜め後ろに控えて下さい』

 

声色がピリッとしたリアムさんの後ろに控えた。

準備は整った。

私の一世一代の表舞台における最初のセリフ、

 

「I'm Rosemary Bennett, who has been appointed as a liaison officer to report to the embassy about the demon slayer.」*1

 

私はついに表舞台に立った。

 

 

「なっ…!」

「鬼が何故…!」

「いや、日傘を横取りすれば…!」

 

日傘をさしているとはいえ、鬼が陽の光を恐れないのだ、長年戦っている者ほど信じられない光景になる。

 

「お待ちしておりました、ローズマリーお嬢様」

 

九鬼さんが外に出てきて私に近づいた。

事前にセリフ合わせはしていた。

さあ、茶番劇を始めようか。

 

バッ

 

私の前に近づく九鬼さん相手に、芝居がかった所作で体を動かした。

 

「アメリカ大使館より派遣されました、通訳を担当します、米軍所属のリアム・オニヅカです。貴殿の身分と役職を教えて下さい。」

 

「これは失礼しました。私は外務省に所属しております九鬼大和と申します。」

 

「ああ、あなたが日本側が用意した通訳ですか。

少しお待ちを」

 

『この人が日本側が派遣した護衛で間違いはないでしょうか?ローズマリーお嬢様』

 

『ええ、この人です。』

 

この台詞も予め決めていた。英語の会話なら問題ないかと思ったが、鬼殺隊士の中に英語ができる人がいる可能性を考え、多少のアドリブは入れても、演技を続けることになった。こう問いかけているが、実際の所イーサンさんとリアムさんも九鬼さんの顔は知っている。

 

「日本政府代表であり、外務省職員の九鬼大和と申します。年末の合同軍事演習の件でこのような所に呼び出してしまう事となりました。

()()()()()()()()()()()()お詫び致します。」

 

「政府代表…?」

「外国人がなぜ鬼殺隊本拠地に?」

「いや、それよりも合同軍事演習?」

「鬼が…お嬢様?」

 

よし計画通り、通訳を介して英語に翻訳してもらい本物の外国人である事を視界から理解してもらおうという作戦は、効果があったようだ。

そして、九鬼さんが政府代表であることを特に誇張して話したことで、隠たちの反応が鈍りだした。

 

今の流れで畳み掛けようか。

 

「このような()()()()()()()()など本来なら()()()()()()()()に相応しい場所ではありませんが、お嬢様にも関連がある組織なので、致し方なくこのような場所で滞在をお願いすることになりました。護衛はお任せ下さい、()()()()()ローズマリーお嬢様をお守りいたします。」

 

ザワッ

 

『と、日本外務省職員が申しております。』

 

周りの動揺など知らぬふりをし、あくまでも【日本政府の役人】と【招かれた客人】の会話であると見せしめる。

役人との会話で聡明な人なら、今の鬼殺隊の現状が分かったのだろう。隠の少数が、まだ刀に手をかけている隠や剣士を止めに入っていた。

 

「おい、この鬼は敵ではない。刀から手を離せ」

「あっ?」

「刀から手を離してください」

「一体…何がおきているのだ?」

「傭兵部隊…客人?」

 

『大使館との連絡係も兼ねての滞在です。そちらの為すことを邪魔する意図はございません。護衛は最小限で結構です。』

 

「と、ローズマリー様はそのように申しておりますが…我々がここに来る道中、車を妨害されました。顔を隠した()()()()()()です。」

 

ギシリッと睨みつけられた隠はビクッと震えていた。

正直に言うと他国の公用車に石を投げつけるなんて、されるとは思わなかった。精々追いかけて「止まれ!」というのが関の山と大使館で話していた分、あまりの無知さと愚かさにイーサンさんもリアムさんも分かりやすく軽蔑した目で見ていた。

 

 

「国際条約も守れないような組織に、()()()()()()を無防備に滞在させるなど、大使館として許可できません。滞在するならば私たちのような者を交代で入れ替えさせます。その許可が降りない限り、ローズマリー令嬢の鬼殺隊滞在は安全面の問題で出来ません。大使館に引き帰らせます。」

 

「我が国が信用できないのは【産屋敷による迫害】を放置していたので当然のことです。しかし、()であれ、我ら政府は【他国の客人】の安全を確保しない理由にはなりません。

どの道、合同軍事演習でこの施設を使うので、これからは()()()()()()()()は法律に則り処罰してゆきます。

令嬢の安全確保のために米兵の滞在を国会が認めました。

また、ローズマリー令嬢の自由は保障されています。

鬼殺隊で嫌な目にあったら即座に対応致しますので…」

 

途中で言葉を区切り、私の手を取り、

 

「Can you give me another chance? Miss Rosemary, please.」*2

 

日本語の訛りが一切ないアメリカ英語

演技だと分かっていても所作に目がゆく。

当然の事だが、答えは、

 

「Of course」

 

「それではローズマリー令嬢が滞在する場所を案内致します。どうぞこちらへ」

 

移動の中で刺さる柱を中心とした殺意の瞳、好奇心、僅かばかりの不思議な生き物を観察するかのような視線を尻目に、イーサン&リアムさんと共に、歩いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

▽▽▽

『政府予算で建てた別邸です』

 

と、案内されたのは見た目は和風、中身は大使館と変わらないような施設だった。

 

『見た目を合わせるために表向きは木造建築ですが、実際は鉄筋コンクリート構造です。本当はもっと広い土地を使いたかったのですが、鬼殺隊本拠地との距離を考えて、手狭になってしまいました。』

 

『合同軍事演習で来日する軍人の施設と兼任となると、狭すぎるのでは?』

 

確かに私や場合によっては大使であるお父様が一時的に滞在する場所と考えれば広いが、イーサンさんの言う通りこれから来日する軍人の施設も兼任するとなると手狭すぎる。

 

『ご安心を、このような場所だけに押し込めるつもりはありません。軍人の施設は表向きは陸軍の施設ですが、そちらの国の基準に合わせて建設済みです。【今回の合同軍事演習で使う米兵の滞在場所】として表向きの理由は公表していますので、堂々と滞在できます。こちらはあくまでも休憩室と緊急避難場所です。』

 

『なるほど…では、ここと【軍人用の施設】内が()()()()となるのですね』

 

えっ?治外法権?

 

『はい、この別邸は鬼が滅びるまでは特例で【大使館】という形になります。また、陸軍の土地に建てられた米兵滞在施設も合同軍事演習が終わるまではアメリカの法律が適応されます。』

 

『では、この別邸に攻撃をした者は?』

 

『貴殿の祖国の法が適応されます。こちらが説明してもなお、攻め込むならば、情状酌量の余地はありません。』

 

国公認で『好きに裁いていいよ、目障りなら殺しても問題ないよ』と言うも同然な発言だ。九鬼さんがそれを理解していないわけではない。

本気で()()()()()()()()()()のか。

それほどまでに、この国は追い詰められているのか?

気になるけど、これは()()()()ではない。

 

 

 

『あっ…そうでした、ローズマリー様、あなたが面会を求めている鬼をこちらにお連れしましょうか?』

 

面会…もうできるのか?

 

『ええ、お願いします。』

『お待ちくださいローズマリーお嬢様、安全の確保も出来ない中で会うのは危険です』

『大使に聞きましたが、仮にも人の味を知った獣です。主治医としても反対します。』

 

リアムさんとイーサンさんは真っ先に反対した。

ある程度予想内の意見だ。

今回の訪問の際も、【外交官ナンバーのついた公用車に石を投げつける】【他国の客人相手に武器を片手に取り囲む】というウィーン条約に喧嘩を売っているのか?と問いかけたくなるような無法者の集まりだと認識されてしまった。

私のようなある程度、相手側のバックボーンを知っているとかの事前情報がなければ、当然の反応だ。だが、彼女に会わなければ始まらない。

 

この2人の反応から【鬼殺隊の全体評価】が理解できたのか、九鬼さんは、

 

『そのままお連れしましょうか?それとも…縛り付けて連行しましょうか?お二人の言う通り相手は今でこそ人を喰べないとはいえ、仮にも【人喰い鬼】です。縛り付けようとも問題は生じません。』

 

このまま会うと言えば、私を徹底的に排除した上でこの場に連行するのは目に見えていた。だから、

 

『藤の毒で弱らせてから連行してください。死なないように加減はしてくださいよ』

 

『はい、もちろんそのつもりです。お前、』

『はっ!』

 

後ろに控えていた日本軍人に、

 

『珠世をこの場に連行しろ』

『承知しました!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お待たせしました、ローズマリー様、こちらが珠世と呼ばれる人喰い鬼です。」

 

まるで罪人のように手錠をかけられ、藤の毒で弱らせているから顔色は悪い、だけど、この縦長で紫の瞳を持つ者は1人。

 

「通訳は不要です。リアムさんはその場で待機を」

「はい、お嬢様」

 

正直、鬼ならば数の暴力だけでは勝てないと頭では理解しているけど、実際に会うと別だった。

1人では心細い。

 

「はじめまして、【太陽を克服した鬼】であるローズマリー・ベネットです。医師の珠世で間違いはないでしょうか?」

 

「ええ…私が…珠世です。」

*1
大使館に鬼殺隊について報告する連絡係に任命されました、ローズマリー・ベネットです。

*2
もう一度チャンスを与えてくださらないでしょうか?ローズマリーお嬢様




ローズマリー・ベネット
産屋敷が起こした襲撃事件後は、教会と自宅の往復をしながら生活をしていた。違いといえば、これまでは徒歩で移動していたのを車の移動に変更されたくらい。
新しい護衛である九鬼さんとは、車内でよく話していた。
内容は大体鬼殺隊。というか、それ以外だと共通する話題がなかったともいえる。
九鬼さんからの話で、鬼殺隊が軍部にめちゃくちゃ嫌われていると知った。
鬼殺隊訪問の際も、予め教育の差が激しいことを考慮して【目で見て分かりやすい上下関係を見せつけよう作戦】を考案した人。
九鬼さんは当然の事ながら、リアム氏とイーサン氏も茶番劇に巻き込まれた。
とはいえ、それなりの効果はあった。
発案者ローズマリー
脚本 九鬼大和
演出 リアム&イーサン

さすがに、外交官ナンバーのついた車に石を投げつける人がいるとは予想出来なかった。

ハリス・ベネット
米国大使館 全権大使
主人公の義父
今回は鬼殺隊に訪問しなかった。
娘からの連絡を待っている。
本国と大日本帝国から送られる合同軍事演習における情報操作を一役かっている。

イーサン・クラーク
主人公の護衛
アメリカから一足早く送られた軍人の1人
金髪碧羅の見るからに外国人
実は上層部以外で唯一、国元にいる時から【日米合同軍事演習】の真の目的を知らされた上で、軍医としての経験から【ローズマリー・ベネットの主治医】に抜擢された人物。
アメリカにいる内からローズマリーの健康状態や特性を知らされていた。

【キサツタイ】に所属する組織員の余りの無法ぷりにドン引きしたし、軽蔑している。

リアム・オニヅカ
主人公の護衛その2
日系二世であり、日本への派遣は【とある組織の内部調査】という名目で送られた。
アメリカ大使館についてから、大統領に送った映像を再生させられ、真の目的を話された。

【キサツタイ】が国際条約ガン無視の組織員で占められていたから、鬼殺隊士全てを警戒している。

九鬼大和
日本側が派遣した外務省職員であり通訳。
そして、特高の警視。
本来、特高は自らが特高と名乗ったりしないが、鬼殺隊にプレッシャーをかけるために本庁から許可が出た。
ローズマリー令嬢の護衛を担当する人ではあるが、実際はこの度【政府公認となった鬼殺隊】に世界の常識を教える教師役であり、アメリカとの橋渡し役である。

鬼殺隊のことは【戦争の火種をばら撒く狂人集団】と思っている。
まともな人間は鬼殺隊に毒される前に早急に保護したい。










大正コソコソ噂話
徴兵拒否者による不正が相次ぐ軍部では、人材確保のために健康な男子は予め、出生から家族構成まで調べ上げて戸籍を辿らせていたよ。
特に剣道や柔術に長けた男子は注目を集めやすいから大会で写真を撮って報告していたよ。
そんな健康な軍人候補が徴兵前の身体検査前に、同時期に死んでいるから軍部は調べさせようとしたけど、何故か辿れなかったよ。
産屋敷による外交問題を受けて、これまでの不思議な出来事の真相が判明。戦闘で死ぬならまだしも、試験段階で大切な候補生を死なせていた産屋敷に一番怒っていたよ。
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