ここは鬼殺隊本部にある、お館様の屋敷。
パン!
「それでは授業を始めます。」
(傭兵の質を上げるために、まずは上からの意識改革が必要だ。)
「なんでこんな事を…」
不死川のため息を機に、
「お館様の命令とはいえ…時間が惜しい」
柱稽古前の準備を前に開かれた、強制学習会に不満はないものの、柱稽古の時間をとりたい悲鳴嶼、
「正確にはお国の命令ですけどね。」
公認組織故の縛りをさっそく感じた胡蝶、
「でも勉学なんて久しぶりだわ、女学校に戻ったみたい」
「甘露寺が喜ぶなら…勉学も悪くはない」
元々裕福な家庭に育って、両親兄弟が健在なので勉強にわくわくしている甘露寺、
甘露寺の笑顔を見て、それに満足げな顔をする伊黒、
「僕は楽しみ、学校行っていないから…」
「俺も似たようなものだ。」
「まあ、俺たちに常識がないのは確かだ。ここいらで試験をしたい気持ちも分かる」
家業で学校経験の少ない時透、
幼い時から鬼殺に走っていた故に同じく一般的な青春を送れなかった冨岡、
忍という一般社会から隔離された世界で育ったので、常識がないと自覚している宇髄、
それぞれが反応を見せる中、急遽作られた寺小屋風の学校には、教師役の九鬼大和が立っていた。
「稽古の時間が惜しい気持ちは分かります。
しかし、君達鬼殺隊はもはや
「はあ!!」
「不死川実弥、特に君は要注意人物としています。大使館経由で聞きましたよ、鬼を連れた鬼狩りの裁判について。」
「あれは隊律違反したアイツが悪ぃだろぉ!」
「はて、隊律違反?鬼殺隊を公認組織にする前にそちらの隊律を全文読みましたが、【鬼殺隊に所属する者が鬼を連れて鬼狩りをしてはならない】とはありませんでしたが?」
「当たり前だろぉ!そんな馬鹿の前例がなかったんだからよぉ!」
「隊律はこちらでいう法律と変わらない存在ですよね、ならば隊律違反という表現は間違いです。
そして、何より鬼殺隊のトップが認めた存在であるならば、組織公認の剣士として認められたということ。これが公認組織になった後なら報告義務違反とできますが、前時代組織である鬼殺隊ならトップの許可を得た上で鬼殺隊入りをしている竈門炭治郎に非はありません。
それを隊律違反と責めるなら、まず最初に竈門炭治郎を認めた
「ウグゥ…!」
そう、鬼を連れた剣士の裁判は、本職側から見れば全く裁判の形をしていない。もちろん、裁判所内でないことも理由の一つだが、何より鬼殺隊はあの時点では非公認組織。そして、被告である竈門炭治郎が集団リンチされたという時点で、裁判という名の私刑であるのは明白だった。
「竈門炭治郎君に話を聞きました。不死川実弥、
あなた5歳程度の見た目をした妹君を刀で刺した上に、自分の血を押し付けたとか。」
まだリハビリ段階とはいえ、事前に会った竈門炭治郎の受け答えはしっかりとしている。そして、リハビリ段階だからこそ、時間をたっぷりと、とることができた。
「それは当然だろぉ!お前たちィ上級国民には分からねぇだろうがぁ、鬼は人を喰う存在だぁ。確かめるのは当然のことだぁ。」
その解答に九鬼大和は、
「あなた…お館様を慕っていると報告がありましたが、それはガセだったのですね。わかりました。
対話の価値はありません、それでは授業の方に移りましょう。」
不死川実弥との対話を中断することにした。
「おい!テメェどういう意味だぁ!」
このままでは不死川が政府代表に殴りかかると察した悲鳴嶼は、
ドゴッ
不死川を素手で気絶させ、
「隣にいる軍人さん」
「何の用だ?悲鳴嶼行冥殿」
万が一があった際に、射殺できるように配備されていた日本兵を呼び出し、
「この者に睡眠導入剤を飲ませて、空部屋に放り込んでいただきたい。…授業の邪魔だ。」
「了解した。」
シン
「…政府代表の御方、授業を始めて下さい。」
「ええ、それでは授業を開始します。」
九鬼大和side
不死川実弥…気が短く、産屋敷に忠実で、鬼を殺すためなら自分の肉体も利用する男。
別に教養がなくとも問題はない。これからつけていけばいいだけの話だ。鬼を殺すためなら珍しい血を活用することも戦略を考えれば当然のことだ。
気が短いのも、我慢ができない子どもではないのは初対面の時点で明白だ。
だが…産屋敷に忠誠を誓っているような存在は厄介だ。
と…思っていたが、炭治郎くんの妹の件では、そのお館様が認めた人を否定したから、実際は何一つ信頼していないのかもな。
まあ、まだ確定させるには時間が足りない。
ゆっくりと監視して見極めよう。
この組織は出生や性別で差別されることはない。
あんな破廉恥な服を着た桃色髪の女が、出世できている時点で実力主義が名ばかりのものではないのは明白だ。
ある意味、軍隊よりも実力主義社会を形成できている。
軍隊も実力主義であるのは変わりないが、どうしても士官学校卒業生が優遇されるし、そういう人の家庭は基本的に裕福な商家や、士族、華族産まれで固まってしまう。稀に、有能だが金がないので士官学校に行けない男子を見極め、軍部が支援して士官クラスに昇格する人もいるが、そういう事例は少ない。
誰だって、限られた椅子を競う相手を増やしたがらないからだ。
癪な話だが、鬼殺隊は【人の能力を最大限発揮できるような環境】であるのは認めざるを得ない。
だからこそ、勿体ないと感じる。
もっと勉学にも力を入れていれば、今の軍部よりも優秀な人材を育成できるだろうに。
だからこそ、国の意向に逆らう可能性が高い、優秀な傭兵は排除しなければならない。
ああいう一見、野蛮な男は一度忠誠を誓うと基本的に裏切ることはない。不死川実弥の経歴を見るに、《唯一生き残った弟》という、いざとなれば人質に取れる存在がいるのも、鬼殺隊を離れる可能性を低くしている。
あの男は死ぬまで【鬼殺隊のお館様】に尽くす。
それが本物の忠義なのか、それとも弟がいるからなのかは不明だが。
あまりこちら側の情報を与えることはできない。
だが、仮にも柱と呼ばれる上級幹部。失うには惜しい存在だ。
悲鳴嶼行冥、甘露寺蜜璃、宇髄天元、この3人はかなり真っ当な倫理観と常識を身につけている。
この3人を積極的に教育しよう。
そうすれば、甘露寺蜜璃を恋い慕う伊黒小芭内も釣れる。
そして…この悲鳴嶼行冥…油断ならない人物だ。
「君たちには特に外交特権について理解してもらいます。大まかには6つです。」
カツカツ
黒板に文字が書かれていく。
外交官の身体の不可侵
刑事・民事・行政裁判権の免除
住居の不可侵権
接受国における関税を含む公租・公課及び社会保障負担の免除
被刑事裁判権、証人となる義務等の免除
接受国による保護義務
「これが、有名であり基礎的な特権です。質問はありますか?」
「はい、先生!あっ、間違いました、九鬼さん!」
甘露寺が早速手を上げた。
「先生で構いませんよ、はい甘露寺さん」
「接受国とは何なのでしょうか?」
「良い質問ですね、この接受国とは【外交関係者を受け入れた国】のことを指します。わかりやすく言えば【大日本帝国】の事を指します。黒板に付け足しますね。」
カツカツ
外交官の身体の不可侵
刑事・民事・行政裁判権の免除
住居の不可侵権
被刑事裁判権、証人となる義務等の免除
「はい、他に質問は?」
「はい」
「時透君、質問は?」
「【外交官の身体の不可侵】とあるけど…そもそも外交官の定義は?」
「外交官と一言に言っても、仕事内容は多岐に渡ります。分かりやすい外交官は大使館にいる【大使】と呼ばれる方々です。そして大使館に勤めている外国人は基本的に全て外交官と認識しても問題はないかと。」
もちろん、大使館に勤めているからといって、全ての人が特権を持っているわけではないが、無闇矢鱈に外国人に喧嘩を売られたら困る九鬼大和はその言葉を言わなかった。
「南無…」
「悲鳴嶼さん、どうぞ」
「点字で書かれている特権の一つ、【刑事裁判権の免除、民事裁判権・行政裁判権の免除】とあるが…これは【この国にいる内はどんな犯罪を犯そうとも無罪】ということか?」
「ええ、その通りです。ですが、外交官の仕事の一つは、派遣された国と自国の友好を築くのが仕事です。
確かに我が国で殺人を犯そうが、婦女暴行を犯そうが、被害者は泣き寝入りするしかありませんが、
そんなことをして国同士の友好にヒビを入れたら、
外交官自身が国元で裁かれる可能性が高いです。
軽犯罪は犯すかもしれませんが、重犯罪を犯すことはまずあり得ませんね。狙ってやっているのならともかく。」
「解説、ありがとうございます。」
「次は?」
「はい」
「伊黒さん、どうぞ」
「最後の特権である【接受国による保護義務】とあるが、これは家族も含まれるのか?」
「もちろん含まれています。君たちも見たでしょう、米兵と日本兵に囲まれて大使館に入るローズマリー
特にあの方は【米国全権大使の娘】としての保護義務、米国大統領が任命状を渡した【特命連絡員】としての役人という身分、二重の肩書きがあり、どちらも保護義務が適応させる立場です。
当然、ここに記されている外交特権が適応されている立場です。」
「あのー、質問をしてもよろしいですか?」
「胡蝶さんですか、どうぞ」
「なぜ、保護義務が適応されている立場であるのに、役職などにつけたのでしょうか?」
「あっ、そうね!」
「確かに見たところ10代前半…役人にするには若すぎる」
「そうだな、(聡明な)胡蝶ならともかく」
「冨岡さん、私が老けてみえると?」
「僕もいるし、おかしな話ではないでしょ?」
「南無…」
胡蝶の矛盾点をついた質問に対し、甘露寺、宇髄、冨岡、時透、悲鳴嶼が反応をする中、
「そうです、本来なら10代の役人登用などありえません。ましてや正確な情報を求められる連絡員など、前代未聞の人事です。しかし何事にも例外があります。この度のローズマリー・ベネット令嬢の人事登用の理由は《人道的に必要な支援》の一環として認められたからです。」
「人道的に必要な支援?」
「すでに守られる立場でありながら?」
「わざわざ二重にする必要があるのか?」
「君たちがそういう感覚であるから《人道支援》として認められてしまったのです。産屋敷が起こした事件は彼女が【大使の娘】の時に起こった事件でした。
ローズマリー様は現在の両親とお国元には「自分が鬼である」と明言した上で、養子となっています。
だからこそ、あの事件では産屋敷当主であり鬼殺隊当主の関与が確定とされてしまいました。
そんな国際条約をガン無視する私営組織に、貴重な【鬼の少女】を
堂々と
だから…【特命連絡員】などという名ばかりとはいえ、外交官の一員に迎えたのですよ。」
「《誰かの子ども》から《一国の役人》か…。」
「重要度が段違いだ。」
「仕事の名目で、何処にでも行ける…」
「はっきりと言います。アメリカ…米国は我が国と戦争をする大義名分を欲しています。」
「「「「「「「「戦争!?」」」」」」」」
「なぜその様な事を?」
「えっ…!戦争をしたいの?何で?」
「南無…あぁ、人とは愚かな」
「鬼…か…」
「鬼の存在が暴露されたから…か。」
「…せんそう…」
「なるほどなぁ…だからあんな挑発的な…」
「正解ですよ…宇髄天元さん。そうです。
ローズマリーお嬢様もとい、ローズマリー・ベネット特命連絡員は、
ただでさえ、鬼であることから大体の鬼殺隊士からは憎しみの感情を向けられる。
彼女はそれを利用しているのです。
彼女の経歴だけを見れば【迫害から逃れてやっと幸せを掴んだ少女】です。そんな人が
しかも、
更に表向きの滞在名目が【日米合同軍事演習時の連絡員】であるならば、それこそ宣戦布告と捉えられ、【軍事演習】から即【戦争】に切り替えられても、国際情勢や内容を考えれば、米国が批判される理由はありません。」
「南無…九鬼殿が柱稽古よりも優先した理由は分かりました。」
「どの時代でも、国が派遣した正式な使者に
「ましてや…友好国ならば、大惨事です…ね。」
(やはり、この3人の理解は早い、だが残りは…)
「「「「「?」」」」」
(ここまで大分噛み砕いて話したぞ。まだ6歳の娘でさえ、「何か大変な事になる」程度には理解を示したのに、いくらまだ10代とはいえ娘以下の知識しかないのか?切り捨てるべき…か?だが、戦力がなぁ…胡蝶しのぶは薬学方面だから最悪、米国部隊とローズマリー嬢に会わせなければ問題はないが…後の4人は…)
と、心の中で模索していた九鬼大和に、
「九鬼殿」
「何でしょうか悲鳴嶼さん?」
「無言の4人は、世間知らず故、九鬼殿の話す危険性を理解していない模様…、他の仕事もある政府代表を…これ以上我ら鬼殺隊如きに拘束させては、
公務に支障がでましょう。
理解できていない4人と、この授業に参加していない不死川実弥には、私から理解できるまで説明します。」
(やはり…この人…。だがありがたい提案だ。)
「そうですか、では次に来る時は筆記試験を行います。それに合格できなければ、後方支援に回します。では、これで授業を終了します。」
九鬼大和side
とりあえず、【傭兵】として使えそうな上級幹部が3人いたのを確認できたことだけで、この授業の収穫はあったな。
「九鬼警視、あの者を生かすのですか?」
強制授業の際に、要注意人物である不死川に銃口を向けた軍人に聞かれた。
「これからの彼の行動次第です。戦力減少は好ましくない…」
「同意します。」
私の意図を察したのか、先ほどの質問時よりも引き締まった顔をした。
「それで次はどちらへ?」
「蝶屋敷に。竈門炭治郎と話します。」
「はっ!」
「アオイ殿、竈門炭治郎君はどちらにいますか?」
「九鬼さん、確か…竈門君は…えっと…」
「あー、九鬼さんですね!炭治郎さんなら今日は、大使館に呼ばれてそちらにいますよ。呼び戻しますか?」
「君はすみさん…でしたか?」
「はい!すみです!」
「そうですか…大使館なら問題はないでしょう。急な案件ではないので呼び戻す必要はありません。
ありがとう、すみさん。」
「いえ…褒められるほどではありません。」
「では、アオイ殿、私たちはここで失礼します」
娘ほどの歳の子が、こんなところで働くとは、だがここでなければ花街に売られたかもしれないと思うと…、複雑だ。
「お待ちください、九鬼殿。」
「悲鳴嶼さんですか、どうしてこんなところに?」
何の用だ?
「あまり…不死川を挑発しないでいただきたい。」
やはり、分かっていたのだな。
「それは、彼次第です。
「ええ…次に会う日をお待ちしております。」
「帰るぞ…」
「はっ!」
九鬼大和
鬼殺隊の隊士や産屋敷当主を基本的には嫌っているが、認めるべき所は認めている。
出生や学歴に関係なく出世できる仕組みは好ましく思っている。
それはそれとして、国に害を与える人物は容赦なく間引く姿勢である。
国の方針上、米国との関係悪化を恐れて鬼殺隊を【政府公認の傭兵部隊】にしたが、政府としての本音は「こんな面倒臭い組織を公認組織にしたくない」ので、【鬼を滅すること】を至上とする鬼殺隊に比べて、鬼については「米国の次に優先する必要がある」と【鬼<<米国との友好】である。
米国から向けられる疑惑(鬼の軍人)を払拭して、無事に軍事演習を終わらせるのを至上としている。
だから鬼の頭領を狩るのを支援するが、米国の思惑を阻止するのが優先。
悲鳴嶼行冥
冤罪で死刑になったので、法律方面はあらかた知っている。(トラウマ)
だからこそ、直ぐに特権の力を理解した。
盲目だからこそ、言葉の力が常人よりも豊かになっているので、九鬼殿が不死川を優しい言葉で、挑発しているのを理解した。
不死川の殺気が立ったので速攻で取り押さえた。
宇髄天元
元忍なので情勢には明るいし、実は外交特権を知っていた。
だが特権持ちの主人公への対応を見て、
「下手な貴人よりも貴族対応」と思った。
甘露寺蜜璃
一応良家の娘であるので、一定の教養と教育を受けて育った分、理解は早かったが、女と言うこともあり、政治面での教養はない。
だから理解はしているが、実感や危機感は薄い。
伊黒小芭内
例の鬼がそこらの貴族よりも優先される立場であるのは、理解できたが、1匹殺したら戦争になる理由が分からない。
冨岡義勇
【鬼=害悪】の思考で数十年生きていた分、
心が理解を拒否している。
禰豆子のように実際に対面して話せば、理解を示してくれる可能性が一番高い。
胡蝶しのぶ
竈門禰豆子は【仲間】だから理解できる。
珠世は【共犯者】だから我慢できる。
でも、あの鬼は何故あそこまで無条件に守られるの?
外国人要人の娘だからって、そんな理由だけで?
時透無一郎
双子の兄を殺された身の上なので、大事な炭治郎の妹はまだしも、守られて当然の顔をした鬼は受け付けられない。
不死川実弥
今回は不参加なので特に感想はない。
目覚めた後、悲鳴嶼による政府代表を敵に回したら鬼殺隊がどれ程の負債を抱えるかを、滔々と説明された。
大正コソコソ噂話
九鬼大和(政府代表)から見た柱の評価
悲鳴嶼行冥
油断ならない男
盲目だからこそ、真実を見抜いている。
産屋敷当主を【恩人】として慕っているようだが、元を辿ればあの一族のせいで死にかけたのに、あんな一族に一生仕えるなんて勿体ない。
不服ならよかったのに。
甘露寺蜜璃
強いのは身辺調査で知ってるが、隊服は用は軍服だ。【安全性を確保するための服】なのに急所は、がら空き。機動力を高めるためとはいえ、安全性を捨てるなら往来では脚は出さないほうがいいのでは?
宇髄天元
元忍とは実に面白い存在。
鼠と意思疎通ができる能力は、隠密さを求められる特高にぴったり!
産屋敷当主を尊敬していなければ、ウチに欲しいなぁ。
胡蝶しのぶ
自分の体そのものを毒にする発想力には感服している。
鬼を殺す毒の開発、医者としての顔を持つので、
無視できる存在ではない。
ローズマリー様に向ける殺意が尋常ではない。
医者で鬼を殺す毒を作っていなければ処分していたのに。
時透無一郎
顔判断能力に欠けているのだろう。
《狼》と言われた。
二重人格なのかな?主語がたびたび変化する。
幼い人格と、警戒心が強い人格が出てくるが、幼い人格はまだしも、警戒心が強い人格はローズマリー様を受け付けられないようだな。
会わせないようにしよう。
冨岡義勇
言葉が足りない子供
時透無一郎の方が、まだ大人な人格が育っている。
経歴を見るに、最終選別から精神の歳がとれていないようだな。
ローズマリー様には無関心だし、このままにしても良いだろう。
伊黒小芭内
鬼と相互利用し合っていた家系の息子か。
あの家と実態は異なるが、同じく【人に守られる鬼】の存在を認めることはないだろう。
彼は産屋敷ではなく、煉獄家を慕っているようだ。
甘露寺蜜璃を恋い慕う彼なら、ローズマリー様に危害を加えようとはしないだろう。
不死川実弥
この程度の挑発に本気で乗るとは…呆れる。
【貧乏子沢山家庭の長男】と調査書に載っていたから、もう少し我慢できると思っていたのに…。
あの授業で軽く挑発した結果が、本気の殺意ならば…米国の思惑に簡単に嵌ってしまう…。処分できないならば、絶対に会わせないように見張らないと。
いっそ向こうの大使館に《不死川実弥が視界に入ったら射殺しても良し》とでも通達するか?戦力減少も惜しいが、国家間問題にされる方が問題だ。
それとも、弟をこちら側に引き込むか?
産屋敷当主への絶対忠誠が気味悪い。
あの一族…本当に洗脳できないのか?
もう一度、調べ直すか。