カイマクルの鬼   作:セッル@ポケモン熱発生中!

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ローズマリーの知らない、
知らされる事がない世界。


大人の世界

アメリカ大使館

『Blue Rose?』

『はい、ローズマリー様が、1番信頼している司祭、ウィリアム神父と面会した日に、自室で小さな声で呟いた言葉です。』

 

日本との合同軍事演習の表向きの理由をまとめて、帝国議会と矛盾が生じないように予定を合わせた日

ローズマリー特命連絡員の通訳の1人、リアム・オニヅカが、かつてローズマリーが大使の娘になる前に掘り、大使館が秘密裏に繋げた地下通路を使い、初めて大使館に侵入した。(許可は下りています)

なぜ、正規法で入らないかって?理由は、

 

『ローズマリーの侵入経路を、塞がずに秘密裏に繋げたのは正解だったな…』

『教会の井戸から、大使館に侵入できるなど、日本人が知る由はありません。密会には最適なルートですね。』

 

日本側に悟られないようにする為だ。

 

『それはさておき…間違いないのだな?』

『はい、確かにローズマリー様は【青い薔薇】と呟きました。それはそうと、なぜ()()()()私を御息女に付けたのですか?仮にも娘、日本への帰属意識もなく、聞けば答えてくれるはずでは?』

 

リアム氏は、護衛兼通訳という名目があり、常にローズマリーと行動を共にしている。故に彼女が日本を庇う理由がない事を1番知っている。

 

『ああ、大体の事は真摯に答えてくれるし、基本的に従順だ。』

『では、何故?従順で穏やかな人ですし、その姿が嘘ではないと、誰が見ても分かります。』

 

日本への帰属意識もない、ターゲットは従順で演技は短時間しか出来ない。それを身をもって知っているリアム氏からすれば、密会はまだしも、密会の主な理由が【ローズマリーの情報】だというのは不可解だった。

 

『ローズマリーは従順だ。だが…何一つ隠し事がない…という訳ではない。』

 

大使の発言はいつになく、重い言葉だった。

だが、リアム氏はそれに、

 

『確かに元は他人、何一つ秘密がない方が異常です。しかし、それを踏まえてみても、彼女が最重要しているのは、()()()()()()です。彼女に監視を付けるよりも、キサツタイシと呼ばれる日本人にターゲットを変更すべきでは?』

 

表情一つ変えずに返答した。

そもそもリアム・オニヅカの所属上、潜入捜査も珍しくない部署だ。早ければ2歳で嘘をつく人間、という生き物の本質を知っている。

嘘をつかない人の方が、よっぽど異常であるという認識だ。

だからこそ、大した嘘をつかない子どもの情報に、執着する大使の心情が理解できない。

 

『君はローズマリーを甘く見ているな。私が監視を命じる理由はそういう所だ。』

 

一般論で考えれば、いくら人ではないとはいえ、大した実力もない子どもに諜報員をつけて、四六時中監視させる大使の方が効率が悪い。

ターゲットを現地の戦闘員に変更したがるリアム氏の意見は正論だ。

だが、大使は【娘】としての顔を知っているからこそ、()()()に気づいた。

 

『ローズマリーは人ではない。そして…不老不死者だ。イーサン軍医の定期診断結果では、日光浴時間が短くなって、健康に陰りが見えているとあるが…、言い方を変えれば、【日光がある内は戦い続けられる】と言うことだ。

戦争は何も前線で完結する物ではない。後方支援があればこそ、戦争継続ができる。

どんな危険地帯でも、物資を配給できる存在の重さは、君のような者ならば理解しているはずだ。

それなのに…君はローズマリーを()()()()()()()()()()()()()と言う。その印象を、特例大使館に派遣された諜報員が皆思っている。……()()()()を見せた時、君たちの抱いた【恐怖】【生物としての本能】は何処にいったのですか?』

 

ローズマリーに関わる人には、ある共通点がある。

今でこそ、【ただの子供】として友好的に接しているアメリカの面々も、当初は【日本生まれの未知なモンスター】として接していた。

が…、本人は時間があれば太陽を浴びに外でのびのびと過ごし、【特命連絡員】としての仕事は、鬼の活動が活発になる夜中にやっていた。

自然と、アメリカから派遣された諜報員が見るローズマリーは、

【日光浴で1日の大半を使い切り、医師の指示に従い、護衛にも敬意を表す礼儀正しい子ども】になった。

厄介なのは、本人は1つも意図してやっていない事だ。

仕事を夜中にするのは、書類を整理するのは静かな方が効率がいいから。

護衛に敬意を表すのは、普通に大人で尊敬に値する人たちだから。

諜報員は嘘を見抜くのは得意だ。

だが、言い方を変えれば、嘘でも誤魔化しでもない本心を、嘘だと認められない。だって、嘘を見抜く教育をされているから。

ローズマリーの言葉を否定する事は、自分の勘を否定する事と道理だから、誰も彼もが、ローズマリーを無害な生き物だと認識した。

 

『あの子は、自分を弱く、無害に見せる事が上手い。現に君のような諜報員すらも騙せている。あの子は水と太陽があれば、永遠に生きられるのだ。

弱い訳がないだろう。

それを踏まえての質問だ。諜報に最も重要な要素は何だと思う?』

 

特例大使館で、仮初とはいえ、平和な日常を謳歌しているローズマリーに、一月近く付き合っていたせいで、リアム氏は忘れていた。

 

『……いかに…自分を弱く見せるか…です…。』

(大使の言う通りだ…!私はいつの間に、こんな基本を忘れるほど腑抜けたのか…!)

 

『そうです。ローズマリーは【従順で穏やかな性格】…間違ってはいない。だけど…それだけの性格ではないのも確か。』

 

『あの空間は、妙に優しく…穏やかでした…。仮にも敵地になりかねない領土で。』

(そう…あの空間からローズマリー様は、基本離れない。たまの来客もあるが、相手は日本軍の士官や、【オニ】に友好的なタンジローと呼ばれる少年。その少年とは少しの駆け引きはあったが…所詮、子供通しのもの、国元にいる時のような、命をかけた取引でもない。)

 

『刺激がなければ、腑抜けるのも仕方ありません。如何に経験豊富な諜報員と言えども、人間。

私はローズマリーの義父という立場と、養子縁組は契約だと割り切れているからこそ、ローズマリーを【娘】ではなく、【不老不死者】として見れるのです。気にやむ時間があるなら、もっと時間をかけて、ローズマリーの発言、Blue Roseの意味を調べなさい。』

 

『はっ!しかし、青い薔薇など見つかるとは思えませんが?』

 

『見つける必要はありません。司祭にあった後ならば、比喩表現です。ですが…、こちらも()()()()()()()に巻き餌をばら撒きましょう。』

 

ニヤリと笑った顔に、リアム氏は

 

(大掛かりな餌になりそうだ。)

 

と、身震いしていた。

 

『そういえば…本国から新しいブラックライトの試作品が届きました。ローズマリーに試させなさい。あの子なら健康になる可能性があります。』

 

机から取り出したのは、警棒のような大きさの機械だった。

 

『以前、ローズマリーに渡した試作機は【重い】【持続時間が少ない】【電池の充電率が悪い】と酷評だったからな。以前よりは大型化してしまったが、電池の開発にも進展があり、電池の小型化、充電率の増加がある。その分継続時間や、光量も高い。また、使用時の感想を報告するように通達を。』

 

『確かに承りました。』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

▽▽▽

『ローズマリー様、本国から郵便で届きました、新しいブラックライトの試作機です。お試しを』

 

『ええ、それにしても届くのも早いですね。』

ブン

『以前の物より重いけど、剣士になれる人たちなら持っても問題なさそうです。電池の継続時間を測りたいので、私の部屋は全てブラックライトに変更を』

『はい、ローズマリーお嬢様』

(そういえば、夜目がきく生き物だったな…。敵に回ったら厄介だ)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

同じ頃、日本政府では、

「総理!米国大使館からです!」

「何だ?」

(このような時間帯で電報だと?)

 

「読み上げます、《合同軍事演習の始まりの合図は、【不可能】の花言葉を持つ【青い薔薇】を手渡した時とする。届け人は現在、米国大使館に拘留されている【襲撃事件の犯人】》です。」

 

「青い薔薇を届けるとは、随分と雅な宣戦布告だな」

(だが…)

 

「届け人に対する悪意が…」

「届け人をもう一度利用して、戦争をするつもりでは?」

「これが本場の皮肉という物なのか」

 

総理以外の面々は、届け人をわざわざ【犯罪者】にする事で、『全く許していないけど?』という本音がダダ漏れな事への不満が、ぽつぽつと出ていた。

だが、仮にも議員、わかっているのだ。

自分達の臣民がやらかした不祥事の重さを。

だから、誰も抗議の言葉を出さなかった。

 

「仕方あるまい…抗議をだせば、常識知らずと馬鹿にされるのは我が国。その届け人は確保次第、特高に移送せよ。

そして、都市の機能を維持する為に用意した、発電所の移送は完了したのか、郵政大臣*1?」

 

「もちろんです。大型の発電所の設置はできませんでしたが、災害対策も兼ねて、小型化した発電所を各都市の外れに設置しました。

また、化石燃料だけでなく、自然大国の我が国の長所を生かした実験発電所も設置しました。今回の実験でうまく発電可能であると証明されれば、全国展開も視野に入れています。」

 

「うむ…我が国の資源のほとんどは輸入品だ。今回は演習でも、万が一があれば、真っ先に止められる。自国で発電できるならば、そちらに移行も考慮せねばな。」

 

「外務省です。では、こちらの者から大使への返答を返します。」

「よろしく頼むぞ」

(それにしても…、なぜ青い薔薇?)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、その頃、

「竈門禰豆子はまだ見つからぬのか!」

 

ここは無限城、無惨と上弦の壱、弐、参、新上弦の鳴女、獪岳は力を付ける為に欠席だが、生き残った上弦が集結していた。

 

「申し訳…ありませぬ…無惨様」

「いやー!俺の信者にも探させていますが、見つかりませぬ無惨様!」

「…申し訳ありません、無惨様。」

 

「鳴女は、鬼殺隊本拠地を探らせているから、まだ良い。だが、お前たちは何をしている?特に猗窩座!青い彼岸花の捜索命令をだして何百年になった!竈門禰豆子が見つからぬのなら、青い彼岸花の捜索くらい進展があっても良さそうだが!猗窩座!猗窩座!」

 

ピシッ

「ゴホッ…もうしわけ…ゴホッ」

「恐れながら無惨様、ここで猗窩座ほどの実力者を消すのは、不手かと…」

 

「お前もだ黒死牟!上弦の壱の称号に相応しい働きを、この数年しておらぬ!信者を使い、資金提供をしている童磨の方が功績が高いぞ!」

 

「やったー!嬉しいです!無惨様」

「面目次第もありませぬ…」

 

顔だけ喜びを表した童磨と、眉を顰めている黒死牟は対照的だ。

 

「童磨、お前にも言いたい事があるぞ。」

「はいはい、無惨様、何なりと」

 

「上弦の中で唯一、人間を利用する立場であり、最も竈門禰豆子に近づける立場なのは、お前だ童磨。なのに何故見つからない。他の鬼はまだしも、お前まで報告なしとはどういう事だ!」

 

童磨の実力を知っているからこその言葉だった。

私情で【嫌い】なのもあるが。

 

「そこは申し訳なく思っていますが、相手は仮にも産屋敷ですよ。千年かけて鬼殺隊を隠し通せる一族が、本気で鬼を隠したら見つけるのが、難儀になるのも当然では?」

 

童磨には感情がない。だからこそ、他の鬼と異なり、無惨に口答えできるのだ。童磨の厄介な所は、実力があり如何に無惨と言えども、下弦のように簡単に処分できない立場、相手の怒りボルテージのギリギリを見抜き、殺されないラインを超えないことだった。

本人は全く理解していないが、無惨と相性が悪すぎる立場であった。

そして、無惨は猗窩座と異なり、童磨は嫌いである。

 

「お前には期待しない。黒死牟、猗窩座」

「「はっ!」」

「しばらくは、食糧庫に保管されている物を中心に喰べよ。猗窩座は青い彼岸花の捜索に集中、黒死牟は産屋敷邸の捜索に集中せよ。」

「「はっ!!」

 

「上弦会議は以上だ。鳴女!」

 

ベベン

 

「全く、どいつもこいつも役に立たぬ。久方ぶりに人間界に出て行く、鳴女!」

 

ベベン

*1
郵政省は電気通信、電波・放送に関する行政を行っていた。




リアム・オニヅカ
主人公の護衛兼通訳
本業は【通訳】と見せかけて、実態は【大使の連絡員】
主人公も日系の顔立ちから、【諜報員】だと確信しているが、まさかターゲットが、日本人ではなく、自分専属だとは思っていない。
主人公の大使館侵入ルートを使い、秘密裏に大使館にいる本命に定期連絡を入れている。
最初こそ、人間ではないローズマリーを恐れていたが、ターゲットは【日光浴と食事以外には仕事をしていない(ように見える)】のと、特例大使館内から出る機会が少なかったので、感覚が鈍っていた。
すっかり初心を忘れていた自分に、冷や汗を流した。

ハリス・ベネット大使
主人公の義父
表向きは【養女】で【娘】だが、自分の子供として見たことは一度もない。かと言って【化け物】扱いもしない。ただの【不老不死者】として認知している。ローズマリーが自分には畏まって対話しているのを理解しているし、それを咎める資格はないと思っている。理由はどうあれ、無抵抗の子供に銃口を向けたのは事実だから。
そんな絶妙な距離感の人だからこそ、ローズマリーが特例大使館で『目立て』と命じたとはいえ、子どもっぽすぎる行動に違和感を感じた。
もしこれがワザとやっていたとすれば、とんでもない演出家だと思っている。

鬼舞辻無惨
パワハラ上司
まさか、国絡みで殺意を向けられている事など知らずに、【陽光を克服した鬼】を隠す産屋敷一族にイライラしている。
上弦を全て産屋敷の居場所特定に使っているのに、報告がないので、上弦を役立たずと思っている。
だが、仮にも数100年単位で作り上げた強者を切り捨てるほど、馬鹿ではなかったので、苛つきながらも殺さなかった。

黒死牟
人に化けて探しているが、図体がでかい、男である事から情報収集に不向き。パワハラの被害者

猗窩座
人に化けて【青い彼岸花】を探しているが、強者を見るとそちらに意識が奪われるので、情報収集に不向き。
パワハラの被害者

童磨
コミュ力お化け
万世極楽教の教祖の立場を利用して、情報収集しているが、新興宗教にハマるような人間だと、周りは警戒して交流を避けるし、人間に迫害されて保護された人々は、人間不信で外に出たがらない。
結果、食糧はあるが、食糧以外に使い道がないのが万世極楽教の実態。
ついでに、万世極楽教と関わりがある有力者は、国が嘘情報を入れ込むので、寧ろ早々に切り捨てた方が得という。









大正コソコソ噂話
ローズマリーは大使を仕事優先の典型的なビジネスマンだと、認識しているので、【愛情】や【子ども扱い】を期待していません。
だから、利用できる共犯者の立場を確立する為に、大人ぶっています。
しかし、大使の奥方は【甘えても問題ない人】と認識しているので、程々に交流しています。しかし、やはり実母ではないことから、甘えは抑え気味でした。
護衛や諜報員は、【自分に害をなさない人】と認識しているのと、親の目がないことから、押さえ込んでいた【甘やかされたいという我儘】が爆発しました。
鬼である事から、本当の意味で愛情を注いでくれるウィリアム司祭がいない環境で、ストレスが溜まっていたので、特例大使館では、前世の記憶持ちでありながら、情緒面は本物の10歳の少女になりつつあります。
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