アメリカ視点が、例の非人道的な兵器を出しますので、被爆者及び関係者の皆様には不快な思いをさせます。
申し訳ありません。
炭治郎一向が宇髄天元の修行を受け終わり、甘露寺蜜璃の屋敷に移動していた時期、
無惨は浮かれていた。
千年にも渡る長い時の中で、ようやく現れた【太陽を克服した鬼】の出現。
無論、鬼舞辻無惨の配下、上弦の月、妓夫太郎堕姫兄弟、半天狗、玉壺という戦力の半数を失ったが、それを踏まえても尚、【竈門禰豆子の覚醒】は、無惨にとっては、上弦の半数程度の犠牲を些事だと、言い切れるほどの重大情報だった。
鬼舞辻無惨にとっては、上弦だろうが、そこらの鬼だろうが、自分の目的を果たすために、嫌々作った同族だ。
目的を果たせる目処が立てば、
(上弦の半数を失ったが、竈門禰豆子を喰えば私の目標は果たせる!この時期に死んだのは寧ろ喜ばしい!)
普段の無惨ならば、不変を好み、変化を嫌う。
上弦の月が討伐されたとなれば、生きている上弦に八つ当たりしていただろう。だが、状況は変わった。
元より彼は、太陽を克服するのは自分だけで、他の鬼を生かす気はなかった、切り捨てる気満々である。
そんな訳で、今の無惨にとっては、最重要事項は【竈門禰豆子の確保】並びに、【鬼殺隊の絶滅】だ。
(だが、念のために確認してみるか)
「鳴女、例の店に」
「はい」
ベベン
▽▽▽
おほほ、
ほほほ、
「いゃ〜、芸者は会社の接待でよく来るから、飽きてきたと思っとたが、君のような端麗な芸者は別格だなぁ。」
「まあ、ほほほ、お上手ですこと。」
(この男の会社情報は手に入れたし、用済みだな。油っぽい身体だが、鳴女に渡す分にはいいだろう。)
そんな事を考えながら、表向きは客人をよいしょしていた時、
「そういえば…そろそろ米国の戦艦がやってくるなぁ」
「戦艦?ですか?」
(戦争するなど聞いていないが?)
「知り合いの軍人に聞いたところ、最近の我が国は戦争で負け知らず、だからか、軍人の質が下がっている事があり、それを問題視した上層部が、米国に依頼したそうだ。
『侵略される恐怖を戦争を知らない世代に味わせたい』とな。
米国側から見ても、演習だが負け知らずの帝国軍の観察ができる。お互いの利害が一致したことから、帝都を侵略する演習を年末に予定しているそうだ。」
「まあ!随分と大きな影響を受けそうですわね。」
舞妓の1人がそう言った。
「ああ、そうだ。演習とはいえ、戦艦派遣をし、陸上上陸を予定しているそうだから、私たちのような一般人は、年末は帝都中心には入れないようになっている。病院も別で作り、そこに移転する予定だそうだ。」
「そんな事をなさっては国の経済にも打撃がくるのでは?」
(帝都の人口だけで何万人いると思っているのだ?国の中枢をガラ空きにするなど考えられない。)
「知り合いの官僚の話によると、帝都に政治・経済・文化を集結させたことによる、地域格差の問題が上がってきていたそうだ。
今回の軍事演習を理由に、経済と文化を他地域に分散させる計画があるようだ。今回はその件の練習台にする目的も含まれているからこそ、軍事演習に積極的だと聞いた。
まあ…言われてみれば、帝都に全てを集中させてしまえば、いざ戦争になった時に、敵軍に潰されたら、詰みだからな。」
「そのような理由もありましたの…」
(軍事演習…資産家の家庭を先に潰したのかは、正解だった…。拠点の変更で家族遊びに時間をかけられるほど、私も暇ではない。)
「それでは、私はここで…」
「ああ、そう言えば、君が欲しいと言っていた
【青い彼岸花】とは異なるが、【青い薔薇】を米国が持ち込むそうだぞ。」
「青い…薔薇」
(薔薇に青は存在しなかったはず…作れないからこそ、花言葉は【不可能】だが。)
「気になりますわ、もう少しこちらに座っていても?」
「勿論だ。」
「それで…【青い薔薇】とは?」
(もしや、彼岸花は比喩表現だったのでは?)
「これまでは、薔薇に青は存在せず、これほど科学が発達した時代になっても、人工的に青い薔薇を作ることは出来なかった。
だが、米国で発見されたそうだ。
演習とはいえ、米国の名目は侵略戦争。【不可能】の花言葉を持つ【青い薔薇】を日本側に送りつけ、【絶対に勝つ】という雅な宣戦布告をするそうだ。それが軍事演習の始まりの合図になると聞いた。」
「まあ、その青い薔薇是非とも見たいですわ。」
(可能性がある以上、帝国議会に送られる前に手に入れたい。)
「演習が終わった後なら見れるだろうが、演習前に見るのは無理だと思うぞ。米国が青い薔薇を発見してから日が浅く、栽培までの試行錯誤の時期だ。貴重な薔薇を送る事は外交面での対応だ。一般人の見せ物ではないからな。」
「そうですか…残念です。」
(帝国議会?それとも軍部か?送り先に鬼を配置するべきか?だが、国に鬼の存在を公表してまで、手に入れる価値があるのか?)
無惨は保身の面では一流である。
【青い薔薇】と【国を敵に回す】を天秤に掛けた結果、国を敵に回してまで、青い薔薇を手に入れる必要性はないと考えた。
「ささ、もう一杯いかが?」
「もらおう」
(やはり、確実な竈門禰豆子に絞ろう。軍事演習が終わった後に青い薔薇を手に入れるとするか。もっともその時の私は、太陽を克服しているだろうが)
「では、私はここで失礼しますわ。」
「ああ!また…グサ…な?」
「キャ…きゃーー!お客様!お前!何を…!」
「五月蝿い…貴様らはもう必要ない。だが、【青い薔薇】の情報提供は大義であった。」
▽▽▽
無惨が自分の偽りの姿を知る者を殺戮していた
一方、警察庁では、
「やはり、あの武器商人は行方不明になりましたか。」
九鬼警視は書類を片手に、報告を聞いていた。
「米国がわざわざ【青い薔薇】を送ると明言していたので、妙だとは思っていましたが、九鬼警視の仰る通り、標的を絞る為の罠だったようです。」
「相手は保身第一の男だ。確実な餌*1を発見した以上、人間社会に溶け込む時間は必要ない。」
「【不定期にやってくる美人な芸妓】を調べ上げるのは、簡単でしたが、これで最早、例の最終決戦以外では見つかりませんね。鬼殺隊に頑張ってもらいますか。」
「資産家一族皆殺し事件、そして今回の事件、鬼舞辻無惨はこちらの予想通り、利用している人間の切り捨てに掛かっています。
どうするおつもりですか?」
「何一つ問題ない。鬼舞辻に情報を提供させていたのは、共産主義者に秘密裏に援助している不穏分子だ。あの男ならば、一族郎党殺しにかかる。精々、こちらの仕事を肩代わりしてもらう。」
淡々と鬼の頭領を利用して、仕事を減らしている上司に、部下は、
(何と効率良く、人道を外すのか…。万一敵だと思うと身震いする)
「それと…ああ、そうだった。この手紙を添えて、琵琶の花をウィリアム司祭に渡しなさい。ローズマリー特命連絡員が、中々会えない教会の人に健康だと伝えたいと言っていたからな。」
「はい、明日にでも渡してきます。」
バタン
「明日にでも炭治郎君に聞いてみるか、【青い薔薇】についてを。」
(日本で採れるとしたら、あの山しかない)
▽▽▽
一方その頃、アメリカ大使館はというと、
『ローズマリーの体調悪化?』
前回の密会とは異なり、今回は正規ルートで入場したイーサン軍医が、娘であり、大統領が直接任命した特命連絡員の父親、ハリス・ベネット大使に、定期健康診断の報告をしていた。
『はい、大使。ローズマリーお嬢様は日照時間が少なくなる程、栄養失調に似た症状が出ております。』
『食事で補充できないのか?土もよく食べていたぞ?』
彼の知っているローズマリーとは、夏の時期で止まっていた。
『補助にはなっております。しかし…どれほど摂取させても、あくまでも
『これから冬がくるのだぞ。合同軍事演習の時期は年末だ。近々やってくる、名目しか知らない軍人たちとの面会ができなくなってしまう。
そうだ…!ブラックライトの効果はどうだ?』
『補助食品や土を食べさせるよりかはマシですが、やはり本物の太陽光に比べると、弱々しく、上手く光合成ができているとはいえません。』
『やはり、出力は太陽レベルまで上げないと駄目か。』
『ウラン?でしたっけ?それを使った爆弾を投下する計画はどうなったのですか?』
『初期はそれを投下する計画があったが…、威力が強すぎるそうだ。
現在の予想調査だと、一発で一つの都市を壊滅させるほどの威力…。とても、戦争状態でもない、表向きは友好国の首都に落とせるものではない。』
『手榴弾程度の範囲だったら、キブツジに投げる手もありましたが…、そこまでの威力…ですか。不可能ですね。』
医師は医師でもイーサン・クラークは軍医。戦争における武器の質が戦況に与える影響も知っている。
『場所が問題だ。人がいない、もしくは退去させられる土地だったら、誘き寄せる手もあるが…』
『今回の真の目的を知る者は、ほんの一握り。ほとんどの軍人は、日本軍との合同軍事演習しか知りません。それは日本側も同じこと。
キシツタイシのみの犠牲者なら兎も角、日本の軍人に死者が出れば、それこそ、外交問題です。』
軍事演習で怪我することはまだしも、演習でどちらにしろ、軍人の死者が出て終えば、民衆相手に表沙汰になってしまう。
少なくとも、鬼が滅びる証拠がない内に、戦争に発展すると困るのが、アメリカの本音である。
『今は、ローズマリーの事件があり、こちら側が有利だが、【鬼の軍人】が日本側にいる可能性がある内に、日本側が優勢になられると困る。』
『同意します。』
『はぁ…とりあえず、ウラン爆弾の投下はしない。だが、持ち込む可能性はある。そうなると、やはり場所は…ここだな。』
【南鳥島】
『一応、行政の扱いはTOKYOの村ですね。』
『ああ…民間人の立ち入りが禁じられている上、位置は東京から1800Kmも離れている。そして、日の出が日本一早いという話だ。仮に開発中の爆弾を投下したとしても、苦情はくるが、わざわざ外交問題にするほど騒ぎ立てるとは思えない。外交問題にするつもりなら、こちら側も切り札を出す』
南鳥島は現在でも、観光客の受け入れをしておらず、海上自衛隊、気象庁、関東地方整備局の人員が常駐している。
そして、アメリカが使える切り札は1つ。
『ローズマリーお嬢様を殺すのですね。』
『冷静ですね、仮にも医師、反対すると思ったのですが?』
『大使…私は軍医ですよ。死が必ずしも絶望ではないことを、散々…思い知らされました。お嬢様の望みが【消滅】であることくらい、これまでの行いを見れば、嫌でも理解してしまいます。』
『ローズマリーに限らず、《オニと呼ばれる生き物は、本来ならば死人です。全てキブツジムザンの操り人形》…と、ローズマリーは最初に話した。オニとなった時点で、人間としての生は終わっている。だから、何百年と生きることが出来る。……本来あるべき形に戻すだけです。』
と、ハリス大使は言ってはいるが、顔は分かりやすく歪んでいた。
『最初は大使の事を【情がない人】と思っていましたが、少なからず思ってはいるのですね。承知しました。なるべく長く保てるように延命処置をします』
利用するだけ利用して、最後は【特命連絡員が日本人に殺された】という情報を流して、戦争をする気だったら、さっさと病死にする予定だったが、親子ほどではなくとも、少なからず【化け物】とは見ていないようだ。ギリギリまでの延命措置をしてもローズマリーお嬢様は傷つかないだろう。
『軍医が頼りです、必要なものは何でも要請してください。』
『はい、それでは…失礼します。』
カツカツ
(なんとしても、表向きは健康体に保たねば…。
今からその調子では利用価値が無くなってしまう。そうなれば、国がローズマリーを守る意味がなくなる。【アメリカに輸送可能】…だからこそ、不老不死者を受け入れたんだ。アメリカまで持たないとなれば、別命令で、護衛に殺されてしまう。)
ハリス・ベネット大使はローズマリーを娘としては見ていない。
だが、情がないわけではないのだ。
少なくとも、奪われて当然の命とは思ってはいない。
だからこそ、
………………………………………………
ローズマリー・ベネットの健康状態は、夏に比べれば低下があれど、良好。
合同軍事演習が終わり次第、帰国を要請します。
………………………………………………
(【キブツジムザンを殺せば、全ての鬼が死ぬ法則】は、誰も知らない。それにこれは全てが嘘ではないからな。自分が裁かれる道理はない)
『通信室にこれを渡してくれ』
『はい、大使』
(それとなく噂を流すか…)
鬼舞辻無惨
竈門禰豆子の太陽克服を機に、一気に鬼殺隊も滅ぼそうと決意。
養子先の一族を殺し、芸妓としての経歴を消し去った。
全ては、【太陽を克服した鬼】を手に入れる為に、無限城で生き残った上弦の指示を出す為である。
そもそも、情報収集をしたり、人間社会に交わっていたのは、【青い彼岸花】を見つける為だった。
事実上の青い彼岸花である竈門禰豆子の居場所を探すのには、人間よりも新上弦である鳴女を利用した方が早い為、人間にわざわざ化ける理由が無くなった。
なので、取引先や利用していた家族を始末していたが、まさかその行動も織り込み済みで、国に使われているとは思っていない。
獪岳
鬼となった時期は遊郭編を少し過ぎてからだったので、鬼殺隊が国公認の傭兵部隊になったと知らない。
せっせと強くなる為に、人間を喰い、鍛錬をしている。
もし、国公認になった後だったら鬼側に情報が漏れていたので、ある意味ナイスタイミングな鬼化だった。
九鬼警視
外務省に移動したとはいえ、特高で警視と呼ばれている時点で、実力はある。
今回は警察モードだった。
鬼舞辻が人間社会に紛れ込んでいるのは、炭治郎の話で知っていたので、情報が集まりやすい界隈(遊郭とかお座敷とか)で、【変な噂がある女性】【特定の物を欲しがる女性】の経歴や、出現箇所を確認し、わざと情報を漏らしていた。
ハニートラップに引っかかりやすく、かつ国の不穏分子の排除に【青い薔薇】の話を意図的に漏らしていた。
部下
名もなき警察庁の部下
芸妓の無惨を調べ上げた優秀な警察官
鬼の頭領について知っている極小数の1人
鬼の頭領を利用する上司が少し怖い。
ハリス・ベネット大使
【娘】として見ないが、ただの【取引相手】のような感覚よりかは、ローズマリーに対して情がある。
ローズマリーが【日本で死ぬ事】を望んでいる事を知っているので、鬼が滅び次第、死ぬ事を見て見ぬふりはするつもり。
身の安全を確保する為に、今の身分が剥奪されることは阻止している。
勿論、自分が裁かれない範囲内ではあるが。
イーサン・クラーク軍医
オニについては珠世や、しのぶから聞いているので、いくら【不老不死者】とはいえ、量産されたら人間が滅びる要因になると思い、オニの不死性を研究されるのは禁忌だと認識している。
だから、ローズマリーが消滅を望んでいる事を知っても、それを知らないふりをしている。
実は大使がローズマリーを利用するだけ利用して、死さえも政治利用する気だったら、病死させる予定だった。
医師だからこそ、死者の尊厳は守る気持ちが強い。
ギリギリまで延命措置はするが、それと同時に【オニに効く毒物】の開発も手伝っている。
大正コソコソ噂話
原爆の開発が【鬼】と言う名の不老不死者が蔓延っている国がある事により、史実より早く開発が進んでいます。
表向きの原爆開発の理由は【効率的なエネルギー資源の確保】です。
アメリカは「パワーにはパワーで対抗して確実に滅ぼす」と言う考えがあり、【太陽のようなエネルギー】、いざとなれば全てを解決出来る強大な力を求めた結果、【ウランの核分裂を利用した兵器】という、最悪の兵器に行き着きました。
勿論、【毒物で弱らせる研究】もしていますが、アメリカには鬼がいませんので、研究が進みません。なので兵器開発の方に予算が多く振り分けられています。
無惨がいたお座敷を提供している店は、成金や地方の坊ちゃんが使うどちらかというとリーズナブルな店でした。
そして、不穏な噂が絶えない店でもあります。
だから特高は放置していました。
【青い薔薇】の情報は、機密情報でした。
軍事演習が終わった後なら、話しても問題なかったのですが、始まる前に話してしまったので、どの道、特高に捕まっていました。