カイマクルの鬼   作:セッル@ポケモン熱発生中!

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兄弟のお話
ローズマリーのお話は次回。


話をしましょう。

不死川実弥side

「銃器中隊ぃ?何だそれ?」

 

お館様の起こした事件をきっかけに、これまで俺たちの存在を無視し続けていたお国様が正式に動いた。それにより、他国の外交官への牽制も兼ねて国軍が鬼殺隊内で大きな顔をしている。

だが、実際に鬼と戦うのは俺たち鬼殺隊だ。

向こうもそれを理解しているから、牽制はすれど、柱稽古の邪魔はしてこない。なのに、国軍が引き込んだ元鬼殺隊士を集めて、柱稽古とは別に稽古をしている?

 

「お前は柱の中で唯一、身内が鬼殺隊士として所属しているから警告していたよな。《さっさと弟と和解しろ》と。」

 

「だから何だ?」

いっそのこと、今回の件で鬼殺隊を抜ければいいんだ。

アイツは大した実力もない雑魚隊士、確かに上弦の月を追い詰める役割を果たしていたが、結局決定打をつけたのは、竈門炭治郎、我妻善逸、嘴平伊之助だ。

 

「やっぱお前…聞いていなかったみたいだな…。」

 

ため息をついた宇髄は、そのまま菓子を食べた後、

 

「んじゃ!俺様は帰るぞ。」

 

シュッ

 

 

「何だったんだアイツ?」

 

カァ

 

「ん?どうしたぁ蒼莱?」

 

「“ジュウキチュウタイ”タイチョウ!アスホウモンヨテイ!カァ!」

 

「銃器中隊の隊長が明日…か、分かった。おい!客間の準備を頼む!」

「はい!風柱様!」

 

相手は軍人、俺は傭兵。一方的な訪問とはいえ、それなりに()()()()()をしないと、また苦情を言われる。

 

「会いたくねぇなぁ…」

どうせ訪問理由は、その銃器中隊の訓練に俺の土地を使いたいだけだろうし、土地利用は手短に許可して、終わらせるか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カツカツ

 

(独特な規則正しい音程…来たか)

 

「あー…ようこそ、いらっしゃいまし…お前!!」

 

こいつが何故こんなところに!

いや、代理で来たのか!だが、

 

「テメェ玄弥!何だそのふざけた格好は!!」

 

きっちりと着込まれた軍服、明らかに正規の物だ。

まさか…!こいつ!

 

「帝国陸軍、憲兵中尉!不死川玄弥であります!」

 

「テメェが憲兵中尉だとぉ!?」

憲兵…あのイケ好かねぇ政府代表と同じだとぉ!

 

「お久しゅうございます。兄上」

 

お久しゅうございます?兄上?

粗暴な玄弥に、一体何があった?だが、まずは、

 

「とりあえず上がれよ、()()()()殿()。」

 

コイツの身に何が起こったのか確かめないといけない。

 

 

 

 

招かれざる客の為に用意した菓子と茶には、一切手をつけずに玄弥は、

 

「さて…()()()()()()殿()。要点を話してもよろしいか?」

 

この口調…あの男の話し方にそっくりだ。

宇髄が言っていたこと、このことだったのか。

 

「いいぜぇ…」

今の玄弥が言った言葉が事実なら、玄弥の方が立場が上になる。

それに階級がおかしい…。中尉は確か、学校を出ていないとなれない立場だ。

 

「私が指揮しております銃器中隊は、基本的に後方支援の軍人を集めて構成された中隊です。しかし少なからず鬼殺隊士が入隊しております。」

 

最後に見かけてから、まだ2ヶ月も経っていない。

その時の言葉遣いは俺と暮らしていた時と変わっていなかった。

この2ヶ月の中で、コイツの身に何があったら、中隊の隊長なんて立場におさまるのか?

 

「ああ、知っている。()()()()()()()()()が直接戦闘に関わらない立場の鬼殺隊士を集めて、秘密裏に何かをしているとな。んで?それがどうしたぁ?鬼殺隊士が面倒だから引き取れと。」

 

「半分正解です。こちらに入隊した鬼殺隊士は、熱量だけは一丁前ですが、猪のように前に進むしか能がない肉弾は、人間との戦争ならまだしも、人間を食べれば食べる程強くなる鬼との戦闘では、逆にこちらの足を引っ張ります。なので、私の指示に反発する鬼殺隊士を、風柱殿には扱き倒していただきたい。」

 

》ダン《

 

「それは構わねぇよ、俺も最近の鬼殺隊士の質の低さには辟易していたくらいだからヨォ!

だが、テメェも同じ【能がない肉弾】のくせによく言えるなぁ!!」

 

玄弥はもっと感情的な性格だ。

なのに、今の玄弥は政府役人の九鬼大和と同じように、俺たち鬼殺隊士を【使いずらい駒】としか見ていない。

少しだけ目を離した隙に、あの男…!俺の唯一を誑かしやがって!

 

「否定はしません。しかし、こちらが預かっています鬼殺隊士の扱いづらさと言ったら、目も当てられない。私は銃器中隊の隊長ですよ、上官の命令に従えないなんて、鬼殺隊は一体どのような教育を施していたのですか?」

 

「テメェも鬼殺隊士だっただろうがよ!」

 

ムカつく、ムカつく、コイツの動き、言葉、あの男の影が見える。

 

「私は最初から鬼殺隊士ではありません。」

 

「…はっ?」

鬼殺隊士ではない、最初から?

コイツは学校に行ったことがないのはお館様から聞いている。

だが…この目…。嘘ではない。

 

「どういうことだ、玄弥。」

 

俺は…何か…大きな思い違いをしていたのか?

 

「兄上…いえ、兄貴…俺は、兄貴と別れた後…食事欲しさに年齢を偽って、陸軍の雑用係をしていたんだ。そこで俺は暇潰しでパチンコを打っていた所を見かけた軍人によって、特例で陸軍士官学校に通うことが認められた。俺はそこで士官候補生…狙撃手としての才能を上げることが求められた。あの時の俺は、兄貴の居場所も知らなかったし、士官学校に通えば、衣食住は保証されていたから、このまま軍人になるのも悪くないと思いながら、過ごしていた。」

 

玄弥は俺の目を見ながらそう言った。

 

「なら何故、鬼殺隊になんざ入ったぁ?少なくともお前は軍人の立場に不満があったわけじゃねぇだろぉ?」

 

なるほどなぁ、だから中尉になれたわけかぁ。

 

「兄貴だよ…」

 

玄弥は俺の目を逸らして、小さな声でそう言った。

 

「俺か?」

 

「その時の教官が、俺の兄貴が鬼殺隊の柱であることを知ってしまったんだ。そして、軍は過去に何度も鬼殺隊に密偵を送り込んでいたけど、毎回最終選別で死んでしまう。成人してから剣士を目指して弟子入りしても、最初から警戒されてしまい、幼子を送り込んでも、逆に産屋敷一族に飲み込まれてしまう…。幼すぎず、そこそこの年齢で、自我を保ち、帰るべき場所を間違えない密偵を求めていた軍にとって、実の兄が鬼殺隊の上級幹部であり、俺も鬼を憎む理由がある。

特に【兄が鬼殺隊の柱】であることが大きかった。

…たとえ、どんなに怪しい素振りを見せてしまっても、俺を殺せば兄貴は、鬼殺隊に対して不信感を抱く。

そうなれば…強い味方である兄貴が、大きな障害として鬼殺隊に歯向かいかねない。」

 

「ツ……!」

否定できなかった。玄弥が鬼殺隊に所属して死んだら、それが人為的に行われた形跡が残っていたら…お館様を疑うだろう。

 

「だから俺は命令された…。【産屋敷に消されないように、風柱が実の兄であることを公言しながら、鬼殺隊に潜入調査せよ。】とね。」

 

玄弥の目は何も映していなかった。

 

「なので…改めて謝罪致します。

()()の地位を、権力を利用したこと、何より騙していたことを…でも、俺は…!」

 

バン

 

「そこまでです。不死川中尉。」

 

「テメェ!」

「九鬼様!?」

 

いつの間に俺の屋敷に入り込んだ!?

 

「不死川中尉、部下を岩柱邸から風柱邸に移したいので、許可をもらいたかったのですね。しかし、立場を忘れては困ります。いくら風柱個人が強くとも()()()()()()ごときに、()()()()憲兵中尉が直接訪問するとは、何かあったらどうするのですか。君は肉弾戦では不利なのは身をもって知っているでしょう。」

 

「はっ!申し訳ありません!九鬼警視!」

 

玄弥は、この男を上官として見ているのか。

だが、この男の目は、

 

「銃器中隊の移動許可は?」

「はっ!許可取り完了しました!」

「ならば、今は用はありませんね。銃器中隊の活動の視察をします、案内なさい。」

「はっ!ではこちらに。風柱殿、稽古の件は頼みました、失礼します。」

 

「玄弥!行くな!アイツは、お前を生かしておくつもりなどないぞ!!玄弥!!」

 

 

シン

 

「あは…ははは…!」

 

バン

 

「風柱様!どうされましたか!」

 

隠がきたが、今はどうだっていい。

 

「九鬼大和…!俺の唯一さえ奪うのか!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

不死川玄弥side

嘘で塗り固めた虚像の経歴を、兄貴に話した。

激昂して暴力に走ると思っていたけど、兄貴は俺が思うよりずっと大人だった。

最後の言葉は、身にしみてわかっている。

 

「不死川中尉、立場を弁えた行動をしなさい。血縁であろうとも、君は軍人、相手は傭兵です。中尉が直接訪問する理由はありません。手紙や部下を送り込むことに慣れなさい。」

 

「はい…九鬼警視」

 

そう、俺は一応、中隊の隊長でもあるから、部下に伝言を頼めば済む話だったんだ。でも、俺が直接訪問をした理由は、

 

「あの時…兄上に謝罪した君は、()を言おうとしていた。」

 

ああ…分かっているんだな。それであんな都合のいい時機に割り込めたんだ。

 

「はぁ…大方検討はついていますが、ソレは全てが終わった後に言ってもらいます。少なくとも、今言う理由はない。

軍に移籍する前に言いましたよね、『演技を嘘を貫き通せ』と。」

 

「はい…私が軽率でした。」

 

「君のそういう【狡猾さ】も含めて、軍人に相応しいと思っています。お願いですから、私を()()…させないで下さいね。」

 

釘を刺された、もう同じ手は使えない。

 

「君の望みは、しっかりと果たします。安心なさい、()()()()憲兵中尉殿。」

 

「はっ…!」

でも、これが俺の選んだ道なんだ。




不死川実弥
ちゃんと話しあわなかった結果、一番大切な存在を横から掻っ攫われてしまった。
ちゃんと宇髄の忠告を聞いて、正直に話し合っていれば、少なくとも玄弥の帝国軍行きを阻止できていた。
九鬼警視が玄弥に向ける目を瞬時に【余命宣告された患者に対する医師の目】だと本能で理解してしまった。

宇髄天元
忍としての職業柄、情報戦においては得意分野であるので、陸軍が玄弥に目をつけていたのは知っていたし、玄弥の師匠である悲鳴嶼行冥には警戒するように忠告していた。
もちろん、兄である実弥にも話していたが、実弥はどうせなら軍の下っ端になった方が安心だと、聞く耳を持たなかった結果、本人の予測通りに、玄弥は陸軍に囲われてしまった。

不死川玄弥
帝国陸軍憲兵中尉
立場上、鬼殺隊士を低く扱わないといけないので、煽りの呼吸保持者であり、現在の上官九鬼大和に【煽りの語彙力】を教えてもらっていた。
鬼殺隊士への評価(九鬼目線)では、自分にも刺さる言葉を教えられたので、メンタル面の回復に時間がかかっていた。
兄貴との対談では、常に気を張って虚像の姿を見せていた。
最後の言葉を理解した上で、振り返らなかった。

九鬼大和
弟を誑かした野郎←実弥
利用されているけど頼もしい上官←玄弥
兄弟で評価が、天と地ほどある人
死ぬ予定の玄弥に対して、【未来ある】と強調して言っているのは、言霊の力を頼っているからです。
それでも、心の中では死ぬんだろうな。と思っているし、約束を破るような行動には釘を刺します。
この人はどこまでいっても、【政府の人間】ですので、一般人なら兎も角、戦闘員には容赦しません。















大正コソコソ噂話
あの時、玄弥か実弥に言おうとしていた言葉は、
「たとえ、どんな立場でも兄貴と共に戦いたい!」でした。

九鬼警視は、銃器中隊を岩柱邸から風柱邸に移したいという要望を聞いた時点で、玄弥の企みを見抜いていました。
しかし、途中まで口出しをしなかったのは、どこまで()()()()との約束を貫くか、試したかったからです。
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