カイマクルの鬼   作:セッル@ポケモン熱発生中!

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大きなツクシもとい、青い彼岸花を焼き払う話です。


mission【大きなツクシ】を絶滅させよ!

「あら?異人さんかい。」

 

ほんわかとした老女

 

「大きいなぁ」

 

子どもたち

 

「失礼しましたぁ!」

 

慣れていないのだろう、距離を取る若者。

 

 

『私たちの見た目は、やはりこの国では目立ちますね。』

『そうですね、リースさん。』

 

ローズマリーに会う前は、この対応に慣れていなかったが、ローズマリーが教えてくれた【日本人から見た外国人】への印象を知った今となっては、対応も慣れた。

 

「あのー、君、ちょっといいかい?」

 

「なんだよ、異人さん」

 

日本人には日本語で話す。少し間をおいて日本語が話せる事を示す。そして、できるだけ14〜15歳に話しかけるのがポイントだ。

クモトリヤマは、山の中だ。普段から山の地形に詳しいのは、現地民の子ども。幼すぎると聞き取りできないし、大人だと街の住人に慕われている竈門一族の住処を、外国人が入り込むことに警戒してしまう。

下手したら警察に連絡をされてしまい、日本人の警護がついてしまう。

 

「クモトリヤマに入りたいのだが…カマドさんのヤマには、この時期にもツクシがあると聞いてね。差し入れしたいのだが、カマドさんの家に案内してくれるか?」

 

「異人がぁ?んじゃ俺よりも詳しい奴を紹介してやるよ。ついて来い!」

 

『どうされるので?』

『ついて行きましょう』

 

怪訝な顔をされてはいるが、万一があろうとも子ども1人に、私たちが負ける訳がない。

 

 

 

 

しばらく歩き、クモトリヤマの麓に着いた。

 

『ここが例の山ですか。』

 

リース氏は植物学者だ。外側の植物を見ている。

交渉は、私の仕事だな。

 

「三郎爺さん!お客さんを連れて来たよ!!」

 

ガラッ

 

小さい小屋のような所に、日本特有の傘を作っているお爺さんが中にはいた。

 

「なんだい太郎、こんな山に客なんざ…何のようだい、異人さん方。」

 

一瞬、固まったお爺さんだったが、すぐに私たちの目を見る…いや、睨みつけてきた。

 

「クモトリヤマに、正確にいえばタンジロー君の家への道のりを教えてください。できるならば地形も知りたいデス。」

 

今日ここに来た目的は、大きなツクシの絶滅。

炭治郎一家が定期的に摂取できていたとすれば、場所は大人が1日で往復できる距離になる。

 

「何の目的だい?あの山はお前たち異人が、欲しがるような面白いモンなんざないが?」

 

疑っているな…それにこの山の麓に住んでいるならば、炭治郎君たちと親しい間柄。外国人と交流があると思わないだろう。

それにこの人は、炭治郎君の話からすれば、オニガリを知っている。

 

「あのヤマのショユーシャ(所有者)であるタンジロー君からの許可はもらってイマス。このヤマには、【大きなツクシ】があると聞きました。ソレの研究材料を採取しに来たのです。」

 

炭治郎君の名前を出すことは、正直かなりの賭けだ。

だが、疑われて警察に行かれるよりはマシだ。

 

「ツクシ…かぁ?こんな冬の時期にあるとは思えんが。だが、炭治郎の名前を出す所からみれば、お前たちは嘘はついていないようだな。…わかった。炭治郎の家に案内する。」

 

「ありがとうございます」

『リースさん、案内できるそうです。』

『では、早速行きましょう。』

 

「では、早速案内してください。タロー君、今日はありがとう、コレは君の好きなように使ってネ。」

 

財布には硬貨があったはず、流石にこの年の子供に紙幣はダメだ。これでいいか。

 

「わあ!50銭硬貨!?いいの!ありがとう異人さん!」

「大切に使えよ、太郎。」

「うん!三郎爺さん!じゃあね!」

 

よし!現地の案内人は大きい。

 

「では、よろしくお願いします。」

「あぁ…」

 

あまり気乗りはしていないようだが、炭治郎君の客人である私たちを、危険に晒すような真似はしないだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

▽▽▽

ガシュ

ガシュ

 

「タンジロー君から聞いてはいましたが、ホントーにヤマの中なのですね。」

 

現在、3名で登山をしている。

先頭を三郎さん、植物学者で体力があるリースさんが二番手、普段は平地で過ごしている私が一番最後だ。炭治郎君、いつもこんな道を通っていたのか。

 

『まだ昼間ですし、休憩を入れましょうか?ウィリアム神父。』

『いえ、結構です。』

 

期限は今日を入れても一週間、ならば早く拠点地である炭治郎君の家に到着しなければ。

登山中は体力温存のために、会話は必要最低限だ。ある程度舗装されているとはいえ、ただ闇雲に見知らぬ土地を登り続ける事が、苦痛だとは思いもしなかった。

 

「おい異人さん、着いたぞ。」

 

一気に視界が広がる。木がない開いた土地になった。

ここが…炭治郎君が住んでいた場所か。

 

「オジャマシマース!」

 

ガラッ

 

埃かぶっていると思っていたが、

 

『思ったよりも綺麗です。掃除する必要がないのは嬉しい誤算ですね、ウィリアム神父。』

『そうですね、リースさん。』

 

随分と町の人に好かれているようだ。家主がいない山の家に、掃除に来る人がいるとは。

 

「ここを拠点にして、【大きなツクシ】を探すんだろ?ツクシはしらねぇが、お前たち食材は持って来ているのか?」

 

「ええ、モチロンです。」

 

一週間分の食材とマッチを持ってきている。それに大人の足なら、町へ降りるのもそこまで時間はかからない。目印もたくさん付けた。

 

「お前らの前にも《炭治郎の許可を得た》と言って、役人が来ていた。そいつらも、この山の植物や動物を採取していたな。」

 

「…そうですか。」

予想はしていたことだ。キサツタイが政府公認となった上、ネズコお嬢さんは、あり得ないイレギュラーになった。

となれば…血筋と同時に、後天的に克服の材料を採取していたと考えるのは当然だ。

 

「お前たちも前の役人共と同じ理由だろうし、炭治郎が許可を出しているのならば、俺たちが口出しできる話でもねぇ。そこそこいい身分なお前たちが、警護の1人もつけずに来るなんざ、()()()()()()()()()なんだろ?お前のその、わざとらしい日本語も含めてな。」

 

ただの老人ではなかったようだ。バレたのなら誤魔化す必要もないか。

 

「私の演技に気づかれたとは、恐れ入ります。」

 

「やっぱりお前の本質はそれか。まあいいさ、お前たちは炭治郎に危害を加えるつもりではないのは、分かりきっているしな。

はぁ…役人と軍人共の緊迫した捜索に比べりゃあ、お前たちは穏やかな方だしな。」

 

「理由は聞かないのですね。」

 

普通の山に日本政府の役人と軍人がやって来て、この山の周囲にある植物、動物を採取して回る。その上、炭治郎君の家族は原因不明の殺害。異常事態だ。

 

「聞けば…答えるのか?答えないだろ、役人も軍人も、そして…お前たちも。その上、俺は元の生活には戻れなくなる。

俺は何も知らない。

知らされる事もない。

だから、お前たちが何をしようとも、俺は止めない。」

 

「ご配慮…ありがとうございます。」

「…何かあれば、俺の家を訪ねろ。」

 

そう言った《三郎爺さん》は山を下っていった。

 

『さて…私たちも探しますか。』

『はい、リースさん』

 

日本人がまた来る前に、処分をしなければ。

 

 

 

 

 

 

 

 

▽▽▽

1日目

あたりの地形と、日本軍が調べた痕跡を地図に記した。

 

2日目

 

筋肉痛が痛い…だけど、1日目で分かった事がある。

 

『リースさん、日本人が調べた場所は、捜索範囲から外しましょう。』

『ええ、山菜の乱獲が激しい。それに、あそこまで調べているのならば、目的の物はないでしょう。』

 

そして、女性である母親が日帰りで帰れる場所を中心に、迷わないように注意しながら捜索した。

残念ながら、大きなツクシは見つからなかった。

 

3日目

そう言えば…炭治郎君…子どもも、山菜を取りに行っていたと聞いたな。

 

『リースさん、大人の足で往復できる距離だけでなく、子どもの足も基準に入れるべきでは?炭治郎君も山菜を取りに行っていたそうです。』

 

『なるほど、それならば子供の遊び場所も視野に入れるべきですね。とはいえ…』

 

『子どもが行きたがる場所なんて、私たちは知りませんよね。』

 

私たちは両方、裕福な家庭で不自由なく生きて来た。だからこそ、本当の意味では、炭治郎君たちの行動を把握できない。

 

『うーん、私たちは頻繁に服やおもちゃ、お菓子を与えられていましたよね。』

 

『確かに…幼少期の思い出といえば、おもちゃとか、チョコレートとかです。』

 

私の実家は貿易商人だ。外国のおもちゃもよく貰っていたな。

 

『ですが、服を新調するのも出来ないような家庭では、そんな思い出はあるわけがありませんからねぇ。』

 

『山の中ですし…身近なお気に入りの場所とは…少し遠い秘密基地とか?』

 

自分で言って思うが、食事にも困るような家庭で、遊び回れるか?

 

『秘密基地ですか、懐かしいですね。私も公園の木にハンモックをかけようとして、怒られたものです。』

 

『いい線はいっているはずです。うーん、あっ!女の子もいるなら綺麗な場所とか!』

 

結局、この日は【子どもが行きたがる場所】の話で盛り上がってしまい、捜索はできなかった。

 

4日目

時間が迫って来ている。さすがに今日は捜索に集中するべきだ。

 

『リースさん、【大きなツクシ】を見つけるのを最優先としますが、珍しい花とかも採取してください。土壌の問題かと思います。』

 

『ええ、私も一番はこの山の土壌だと考えています。それと一つだけ気になったのですが、この国には火葬と土葬の文化が入り乱れていますよね、あの墓石も土葬の証です。もし、その特異な土壌が()()()()()()()()()()普通の土では無くなったと仮定すれば…、過去を遡ると、その特異な土壌を見つける事が出来るのでは?』

 

特異な土壌は死体を埋めたから…。肯定は出来ないけど、否定する理由もない。

 

『そのような考えも出来ますね、そうなると…やはりこの拠点から1日で往復できる距離になります。炭治郎君に聞いたところ、数100年、この拠点は動いていないそうです。』

 

『なるほど…どうりで小さい子屋だと思いました。』

 

『探しましょう、私たちがこの山に来ていると、日本政府側にバレたら、あらぬ誤解をされてしまいます。』

 

『そうですね。』

 

範囲を再度確認できた。そうか…死体を埋めたから…か。

ネズコお嬢さんの状態を見ると、それも否定できないから、恐ろしい。

 

5日目

昨日も探したが、大きなツクシも、珍しい花も見つけられずに、半分以上過ぎてしまった。

後2日で、見つけ出さなくてはならない。

このリース氏よりも早く。

 

保存食で作った料理を食べていたところ、

 

『ウィリアム神父』

『何でしょうかリースさん?』

 

『時間が迫って来ています。これまでは、遭難を避けるために2人1組で行動をしていましたが、ウィリアム神父もこの山に慣れてきましたので、別行動を取るべきです。』

 

ついに来たか…。相手は植物学者、山に慣れているからこそ、山の危険性を危惧して、効率よりも、安全性を配慮してくれたが、5日も山に入り込んで捜索していれば、嫌でも慣れてしまう。

その上、熊や鹿などの大型生物は、先に来ていた軍人が、あらかた狩ってしまっているのもあり、安全性も高い。

 

『えっ…しかし、私の本職は『ウィリアム神父、確かに私も山慣れしていない人を、1人行動させる事はしたくはありません。しかし、時間が迫って来ている上、この山の安全性の高さを思えば、別行動するべきです。』

 

『わかりました…探します。』

 

緊急案件だが、正直いうと別行動は避けたかった。

私は【大きなツクシ】を焼却処分するが、リース氏は根っからの学者だ。【不老不死の植物】をこっそり研究しないと保証できない中での、単独行動は避けたい。

しかし、確かにこの山の安全性が確保されている現状で、リース氏の言い分は正当だ。ぐすぐずと渋れば、疑われてしまう。

 

6日目

私は見つける事が叶わず、リース氏も表向きは見つからなかったと言っているが、別行動をした手前、それが真実である保証はない。

それとなく、リュックの中身を見たが、何もなかったとはいえ、油断はできない。

 

『私は山の中間に焦点を絞り込む事にしました。ウィリアム神父はどうしますか?』

 

『私は川の先に進む事にしました。子どもが好みそうな場所がありましてね。昼食もそこで済ませようと。』

 

『では、今日も単独行動で進みましょう。』

 

 

ザッ

ザッ

 

洗濯に使っていただろう川の先に進む、もし、炭治郎君が【大きなツクシ】を見たとすれば、年齢は一桁。家族仲が良かったと聞いたし、そうなれば母親が同行するだろう。幼子と母が無理なく行ける距離かつ、万一、暗くなったとしても、帰りやすい場所。つまりは、拠点地以外で、よく行く場所。

 

『やっぱり、この鈴付きの紐、最近の物ではない。』

 

最初こそ、先に来た軍人が張った物だと思っていたが。

山に詳しくなくても、知っている。

野生動物、特に肉食獣から身を守るために、棲家の境界線に音がなる罠を仕込む事があると聞いた事がある。

炭治郎君の父親は、病弱でありながら、熊を一撃で倒せたと聞いた。最初こそ、記憶違いの妄想と判断していたけど、今の炭治郎君の強さを思えば、本当のことだったのだろう。

と、なれば、この土地の周辺は、炭治郎君にとって馴染み深い場所になる。

 

炭治郎君が、父亡き後もよく来ていた場所だろう此処と、近場で山菜がとれる場所。

 

バッ

 

『うわっ!』

 

随分とひらけた場所になった。太陽に晒されて、冬の寒さが染みるが、悪い感覚でもない。私もいつかこんな清々しい場所に墓を……ん?

 

『幼子と母の足で往復できる距離、かつ、山の中とは思えないほど、ひらけた場所、そして…墓を建てたいと思える場所…。』

 

まさか…!!

 

墓石はあるか?

なくても、何かしらの痕跡が残っているはずだ。石は数100年程度では、原型をなくさない。

幸いこの周辺には、草が多い。

 

ガツン

 

『痛!!』

 

つい、足元がおぼついでしまった。革靴だったからまだ良かった。これで柔らかい素材の靴を履いてたら大怪我をしてしまう所だった。

って!石ぃ!!

この石を中心に半径1メートル、季節外れのツクシ。これが?

 

『よし、土壌だけ少し持って帰って…』

 

ツクシの外側に延焼しないように、少しだけ大きめの円形の穴を掘った。

 

『土壌があれば、復活する可能性もあるから、乾物の肉も一緒に混ぜ込もう』

 

専門家ではないから、不十分な対応だろうけど、スコップで内側のツクシごと掘り返して、肉を混ぜてぐちゃぐちゃにした。

 

『そして、此処で火を起こす。よかった、薪を1つだけとはいえ、持ち込んでいて。』

 

パチ

パチパチ

 

一応、疑われないように、保存食も口に入れるか。

このパンは、保存食だけに、味も風味もイマイチだ。水でふやかして食べるのが一般的だと、リース氏は言っていたが、水筒の水は火消しに使いたいから、残しておくか。土で火を消すそうだけど、外側とは言え、ツクシの近くの土を入れたら、復活する危険性もある。

水で消すのが一番確実だ。

 

『よし、燃え尽きたな。仕上げに』

 

バシャ

バシャ

 

此処にツクシが生えていたということは、この場所の下には遺体がある。理由があるにせよ、墓の上でジャーキーを土に混ぜ込んだのだ。

謝罪はするべきだろう。

 

『名も知らない人よ、どうか貴方が来世でこそ、幸運を手に入れる事ができますように。…アーメン。』

 

この人が幸せに生涯を終える事が出来たのかは、わからない。だけど、此処は日本。日本の考えに従うべきだろう。

 

『来世…か。本国にいたときは絶対に口にしなかっただろう。』

 

他にもツクシがないか調べたが、あの墓石周辺以外には発見できなかった。

 

7日目

今日は最終日だ。

ツクシの近くにある土は、とりあえず採取したが、本来なら、こんなパンドラの箱になりかねないモノは捨てたい。

だが、どこかでまた【ツクシ】が自生されたら、困る。

あまりしたくなかったが、私は昨日、帰りの道中、採取した土を自らの身体に入れた。

 

土だから当然、不味かった。

そして、やはり本来口に入れるべきではないモノを摂取したせいで、私は、

 

『ゴホ、ゴホ』

『ウィリアム神父、やはり、慣れない土地での生活は堪えてしまいましたか。』

 

『ゴホ!リースさん…私は大丈夫です。大きなツクシを探してください。』

 

白々しい嘘を言ってしまった。

だが、今の私は病人だ。送り出さないとそれはそれで不自然。

 

『はい、なるべく早く戻って来ます。』

 

『ゴホッ!』

 

硬いパンで誤魔化していたけど、土は食べるものではないな。

ゴホッ…!

 

最終日では、リース氏は【大きなツクシ】発見ならずで、滞在期間を終えた。

とりあえず、ローズマリーの願いは叶った…かな?

 

 

 

『どうか、身体にはお気をつけてください。』 

『ゴホッ!ありがとうございます。リースさん。』

 

 

 

 

 

▽▽▽

三郎爺さんside

秋に差し掛かった頃だった。

町が騒がしくなったのは。

小さな町に、明らかに高いスーツを着込んだ役人が1人、それを警護するような軍人が数十人。

役人は自動車で、軍人も軍用トラックに乗って町に押し寄せた。

当然、町人は混乱した。

「何があったのか?」

「軍人はともかく、なぜ役人が来た?」

 

役人…九鬼大和と名乗った男は、雲取山を陸軍の新しい訓練場所にしたいから、竈門一族と良好な関係を築いていた俺を名指し、

 

「国としての命令です。雲取山の地形、生息動植物を余す事なく全て、報告並びに案内すること。」

 

山の麓にある寂れた俺の家に、銃口をちらつかせた軍人を侍らせながら、命令し、

 

「無論、あなたの生活を脅かすつもりはないです。雲取山を案内している時間帯は、ちゃんと給金を払います。では、案内を。」

 

どこまでも、高圧的であり、山に入れば山菜を中心に、根こそぎ採取をする始末。流石に、山菜全てを取られたら2度と同じモノが取れなくなると忠告すれば、

 

「山の掟…ですか。なるほど、理にかなった考えです。お前たち!必ず1つは残すように!」

「「はっ!!」」

 

高圧的ではあるが…、話を聞かない無礼者ではないようだ。

そんな流れで、雲取山を人海戦術の如く、山菜を、動物を狩った国の集団は、二週間程度で撤退した。

 

そして、冬がやってきた。

 

また、町が騒がしくなり、例の集団が来たのかと思っていたが、

 

「えっ!異人がこんな町に?」

「マジかよ、なあ!ちょっと見てこないか!」

「いいぜ!行こう行こう!」

 

嫌な予感はしていた。そして、

 

「三郎爺さん!お客さんを連れて来たよ!!」

 

町の子ども、太郎が連れて来たのは、その噂の異人だった。

 

「クモトリヤマに、正確にいえばタンジロー君の家への道のりを教えてください。できるならば地形も知りたいデス。」

 

鬼殺隊が政府公認になったのは、前の役人の件で知ってはいた。だが、まさか異人まで関わり、炭治郎の名を出すとは。

 

「何の目的だい?あの山はお前たち異人が、欲しがるような面白いモンなんざないが?」

 

それにこの異人、話し言葉は完璧なのに、音程だけを外している。

 

「あのヤマのショユーシャ(所有者)であるタンジロー君からの許可はもらってイマス。このヤマには、【大きなツクシ】があると聞きました。ソレの研究材料を採取しに来たのです。」

 

炭治郎が許可を出した…か。隣の一言も話さない異人は学者なのか。

それにこいつら、服の質が高い。山に入るというのに、革靴を履いているという事は、本来の立場なら、山とは無縁の身分か。

学者さんに至っては、ハンカチーフは絹製だ。

揃って上流階級。警護をつけないのは、日本人に知られたくない案件か。

 

「…わかった。炭治郎の家に案内する。」

 

そして登山をすれば、通訳の異人が山に慣れていないのが、丸わかりだ。普段は横浜あたりにいる商人といった感じか。

 

途中で、山に慣れている方の異人が話しかけていたが、そのまま登り続け、炭治郎の家に着いた。

2人はまた何かしらを話していたが、背中袋(リュック)に入れた食料をおろして、捜索の準備を始めていた。

 

この2人は、誤魔化してはいるが、一度も嘘をついていないからな。俺なりにお礼でもするか。

 

「お前たちも前の役人共と同じ理由だろうし、炭治郎が許可を出しているのならば、俺たちが口出しできる話でもねぇ。そこそこいい身分なお前たちが、警護の1人もつけずに来るなんざ、()()()()()()()()()なんだろ?お前のその、わざとらしい日本語も含めてな。」

 

そう言えば、登山に慣れてない異人は、これまでの貼り付けた笑顔から真顔になり、

 

「私の演技に気づかれたとは、恐れ入ります。」

 

やはりか…、この男、初めて会った時から目が笑っていなかったからな。本来の性格は、冷静な現実主義者か。

 

「聞けば…答えるのか?答えないだろ、役人も軍人も、そして…お前たちも。その上、俺は元の生活には戻れなくなる。

俺は何も知らない。

知らされる事もない。

だから、お前たちが何をしようとも、俺は止めない。」

 

俺は止められる地位も、立場でもない。

炭治郎と禰豆子が、今とんでもない立ち位置なのを察することはできても、無力だ。だから俺にできることは、あの兄弟に関心がない権力者に、兄弟に関心がある権力者よりも先に、【要らないもの】を処分してもらうことだ。

 

「ご配慮…ありがとうございます。」

「…何かあれば、俺の家を訪ねろ。」

 

俺にできることは、それだけなのだから。




ウィリアム・ヤコブ・ウィスティリア
主人公の友人で、最初の保護者
イエズス会の宣教師の1人
いつもは笑顔で明るい異人さん。
しかし、本来の性格は、冷静な現実主義者
【大きなツクシ】こと、【青い彼岸花】を燃やし尽くす事に成功。
炭治郎の過去話を律儀に、聞き通した事が成功の鍵となった。
土の摂取により、最終日に体調を崩した。

リース・グリーン
イエズス会が送った植物学者
日本語は話せはするが、あくまでも単語のぶつ切りレベル。
本人は好奇心のままに行動しているので、ウィリアム神父の懸念は、割と当たっていた。
彼が仮に【大きなツクシ】を最初に見つけていたら、不老不死関係なしに研究に回していました。

三郎爺さん
竈門一家と縁深い人
竈門兄弟の安否の未来の身の安全を心配している。
雲取山に詳しいので、最初に来た政府役人に脅されながら、こき使われました。鬼を知っているからこそ、鬼の危険性と軍事転用を恐れているので、政府役人には【季節外れのツクシ】については話さなかったです。
次に来た異人は、身元を隠しているとはいえ、一度も脅さず、権力を振り回さず、あくまでもお願いをしに来たので、友好的に対応しましたし、先に来た軍人の話もしました。

九鬼大和
雲取山の調査に来ました。
本来ならば、もっと時間を割いて、雲取山を調べ尽くしたいのですが、鬼殺隊絡みで、何ヶ月も空ける事ができず、急ピッチで権力と銃器中隊の軍人を率いて、雲取山に突撃しました。
三郎爺さんも、本来の彼のやり方なら、敵を作るような高圧対応などしませんが、時間がなかったので権力のゴリ押しをしてしまいました。














大正コソコソ噂話
町の人たちは竈門一家と親しいので、権力に物を言わせて、竈門一族が所有する山に押し入る軍人や、政府役人に怯えてしまいました。
一応、九鬼大和は「竈門炭治郎の許可はもらっている」と言っても、威圧感丸出しの特高が言っても、説得力がありません。

本人も、鬼殺隊の教育係をしているせいで、高圧的に、威圧感で圧倒する癖がついてしまいました。
→反抗的な鬼殺隊士への躾

そのせいで、政府側は本当に求めていた情報【季節外れのツクシ】を得る事ができませんでした。
結果論だけでみれば、威圧的な自国民の権力者よりも、友好的な他国の権力者に、町の人々は心を許す展開になってしまいました。
》敵に塩を贈る《
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