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12月に入った。
私は今、特例大使館から正式な大使館にいる。理由は、
『こちらが私の娘であり、特命連絡員である』
『ローズマリー・ベネットです。初めまして』
ビシッ
『大統領から話は聞いております。お会いできて光栄です。ハリス大使並びに、ローズマリー・ベネット特命連絡員。』
表向きの面会理由は、【日米合同軍事演習】の為に来日した本国の司令官との挨拶。だが、実態は、
『ローズマリー特命連絡員。』
そう言い、左手を出してきた。
『必ずや、この国にいるお嬢様以外のMonsterを駆逐してみせましょう。』
私に目線を合わせ、握手をし、微笑みながらも物騒極まりない発言をする。
鬼の存在を予め教えられている少数の1人であり、部下がうっかり死地に巻き込まれないように、それとなく誘導する役割の人だ。
『頼もしいお言葉、安心します。』
握手をする…普通の挨拶だけど、私が鬼であると知った上で握手をする意味を考えると、やはりこの人もまた、覚悟を決めている。
『…さて、2人の挨拶も終わりましたし、ここからは私たちの領域です。リアム、ローズマリーを特例大使館に』
『はい、ハリス大使。ローズマリー様こちらに』
『先に失礼します。お父様、司令官』
当事者とはいえ、あくまでも私は
真剣な話に口を挟める立場ではないのだと、この時ほど感じた事はないだろう。
『ローズマリーお嬢様、帰りましょう。』
『はい、リアムさん』
そう…どこまでいっても、私は【お嬢様】なんだ。
▽▽▽
ハリス・ベネットside
バタン
『お待ちしておりました、ルーカス・ホワード司令官。』
そう言うと、先程までの和やかな雰囲気から一転した。
『フルネームは長いので、肩書きだけで結構です。こちらこそ初めましてハリス大使。』
『では司令官、実物を観察した結果の心情は?』
ローズマリーと握手をして、目を見ていた。
ただの挨拶ではなく、相手の感情を推し量るための行動でしかない。
『国で観た映像と資料が無ければ、
オニとは、夢の存在だ。【不老不死の兵士】を創れるならば、国も予算は惜しまない。
『【人を喰べないオニ】を創る事は不可能です。
ローズマリーが特異体質だったからこそ、今の形に収まっただけ。ですが、その分…強靭な肉体を代償としています。とはいえ…権力者にとっては、それでも十分な価値なのでしょうが。』
不老不死の実在、ソレの生息地域が日本国内であるからこそ、反日議員の反対を押し切ってまで、本来ならメリットよりもデメリットが多い【合同軍事演習】を行うのだ。
権力者にとって一番の目的は、当然ながら真面目な軍事演習ではない。
【オニの絶滅】を見届けるのも2番目の目的でしかなく、1番大切な目的は【不老不死者の帰国】でしかない。
『不老不死…ね…。権力者と呼ばれる人間は何故こうも、永遠に拘るのでしょうか。
私としては名目だけとはいえ
『死なない兵士に魅力がないと?』
この人は、私の予想と違う考えのようだ。
『もちろん、軍人として見る分には【死なない兵士】は十分魅力的です。ですが
オニは、個人プレーしか出来ないのでしょう?
その上、人肉しか受け付けられない。
我々は
共食いの習慣も知っているからこそ…か。
効率を優先するならば、確かに
後ろから喰われる可能性の高さも考えれば、最初から造らない方がマシだ。
『なるほど…私も司令官と同じ考えです。
未知の生物を…ましてや主食が人間の生物を、軍事転用は危険すぎます。では司令官も【絶滅】の方面で進むのですね。』
『はい、ハリス大使。大統領からは《特命連絡員と予備のオニを数匹捕まえて持ち帰れ。》と命令されておりますが、私以外の軍人は【オニ】の存在其の物を知りません。
軍艦に入れて本国に持ち帰るのは非現実的、最初からローズマリーお嬢様以外、輸送する気はありません。』
『こちらとしても、その考えで動いてくれるのは、助かります。欲張って死亡者が出た方が不利です。
ところで…作戦内容は?』
『はい、まず合同軍事演習において、我々は南鳥島を占領したという展開で始めます。』
『南鳥島、TOKYOの島で、確かに軍艦で日本を攻め込むなら中間地としては、効率的ですね。』
『はい、そこで合図として【青い薔薇】を渡します。
ハリス大使はオニの頭領に罠をかける際に、青い薔薇を餌にするのならば、年明け前…ならば1番日の出が早い場所であり、軍事演習で立ち寄っても不思議ではない場所となると、そこしかありません。』
『こちらの要望を受け入れてくれて、ありがとうございます。次は?』
人力で倒せるのならば、それに越した事はないが、千年も内輪揉めをしている組織では無理だろう。
『私の搭乗する軍艦には、小型、固定型紫外線放射装置を持ち込みました。大型は南鳥島に配置します。
小型機の方は日本側に提供しましょう。こちらが指示できる立場でない以上、キサツタイは日本政府に任せます。』
見えない所であるが、この国は大日本帝国、他国の領土で私兵だったキサツタイならまだしも、帝国軍にまでは手出しできない。
あのクキと呼ばれる男なら、こちらが持ち込んだ武器を効率的に使うだろう。
『外交的にもそれが1番良いでしょう。日本側にも有能な役人がいますので、問題はないです。
それと、軍事演習の真の目的に勘づいている人はいないのですか?』
軍事演習に使う兵器は兎も角、明らかに使わない物も大量に持ち込んでいる。物が物だ。なるべく少数かつ、実験用の器具と称しているとはいえ、疑問に思う人がいてもおかしくはない。
『現時点では何とも言えません。確かに大量の小型紫外線放射装置と、照明と称した大型紫外線放射装置には、疑問を抱く者もありますが、名目としては【健康増進装置の実験】としての持ち込みであり、殆どを日本側に渡すので、どちらかと言うと、
『友好とは言い切れない国を強化するような真似を何故するのか?』と言った疑問が多いです。
オニの存在に勘付く軍人はいないです。』
『そうですか…』
本国も考えたものだな。太陽を浴びる事による健康増進は、経験則で知られている事。それを軍人に対して行うのは理にかなった実験だ。名目だけなら、誰も疑わないだろう。
『オニの存在が漏れないのなら、計画についての詳細をお願いします。』
『はい、まずは今日中に日本代表に、小型の紫外線放射装置を秘密裏に流し、その後、私たちの艦隊にいる地上部隊の一部は、この国の滞在場所に降ろし、海から攻め込む隊員のみを連れて、南鳥島に行きます。
そして、合同軍事演習として
『司令官はTOKYOから移動する際は、どのような言い訳を?』
オニの存在を知っているのは司令官のみ。
今更の話だが、目撃者は少なくしなければならない。
『それは今回の軍事演習において、日本側と正式に決めております。
日本側には、演習とはいえ、リアリティ追求のために、ある程度の攻撃を受けたら、一部の軍艦の撤退をし、日本側の攻撃が緩やかになったら、またTOKYOに近づく。
…というのを、不定期に行う事も事前に決めています。だから、こちら側も予め、司令官不在の演習を前提に来ていますので、お気になさらず。』
『なるほど…両国ともに、リアリティ重視の演習という名目ですか。』
それなら、途中から司令官が、南鳥島から動かなくても演習上は正常扱いになるのか。
『はい、なので後は…お任せください。計画の変更があれば即座に連絡をします。』
『分かりました、後は頼みます。』
合同軍事演習における交渉、矛盾点の埋め合わせが終わった以上、大使としての一応の仕事の区切りはついた。
後は本職に一任するべき…か。
▽▽▽
主人公side
合同軍事演習における最高司令官と面会し、私は早々に特例大使館に帰ることになった。
まあ…そうなるよね。
オニであるだけの子どもには、関係のない話だ。
特命連絡員と言う役職も、どうせ名目だけのお飾りなのだし。
でも、何でだろう?…分かっていた事とはいえ、
『蚊帳の外…か。』
当事者であり、この事態の元凶は私なのに、どこまでいっても、私は余所者なのだと突きつけられる。
私の周囲は常に人がいる。護衛という名の監視者でしかないが、ウィリアム神父との交流時期では、1人よりはましだと思っていた。だけど、教会の温まりを知ってしまった今となっては、人に囲まれて、そこそこ贅沢な生活をさせてもらっていても、拭いきれない虚しさがある。
『贅沢な生活をして、我儘放題な貴族が、蛮行に及んだ理由…今なら分かる気がするな。』
鬼舞辻無惨…今なら少しだけ…アナタの気持ち…共感できる気がするよ。
ローズマリー・ベネット
主人公
此度の【日米合同軍事演習】という名目の、実態は【鬼絶滅作戦】の元凶。
お飾りとはいえ、大統領から任命されている《特命連絡員》という役職持ちの役人です。
当時の基準から見れば、贅沢な生活と安全が保障されていながらも、心の虚しさを感じ、鬼舞辻無惨に少しだけ同情しました。
ルーカス・ホワード司令官
日米合同軍事演習における最高責任者
挨拶と作戦説明と、罪人の引き取りに大使館に寄りました。
軍事演習が終わった後は、非公式に主人公を国に送り届ける係も兼ねています。
主人公が鬼であると知っている本物の軍人は彼だけです。(リアムさんは情報部)
【不老不死の兵士】なら欲しいが、【指示を聴かない不老不死者】は要らないので、【オニ】にはそこまでの関心がない。
裏側から見れば妥当な判断だけど、表から見れば《事情持ちの子どもに役職を与える》という前例をつくった自国の大統領を、(馬鹿か…こいつ)と思っています。
理由:公式記録に残るため
後の世で【ローズマリー・ベネット】が何者か探られてしまう。
ハリス・ベネット
米国大使館の全権大使
主人公の義父
利用価値と外交の意味合いで引き取ったが、【未知の生物】と見ながらも、なるべく【人の子】として扱おうとしている。
【オニ】という、何処に行っても狙われる立場にされてしまった主人公に、哀れみを感じている分、
(せめて籠の中だけでも、快適に過ごさせよう)と、ある程度の我儘は許しています。
ウィリアム神父との交流や手紙のやり取りが認められていたのも、この人が情報漏洩の危険性を知った上で、見逃していました。
例の女
主人公の現世での実母であり、当時《外交官の娘》であった主人公に襲いかかって、米国大使館に拘束されている罪人です。
産屋敷一族に利用された上、実の娘は奪われ、他国の思惑に利用されている、この作品で一番の被害者とも言えます。
大正コソコソ噂話
司令官は、主人公の事は【お嬢様】と呼んでいますが、会話の節々で【帰国】ではなく、【輸送】と表現している所から分かるように、主人公の事は【人間】ではなく、【珍獣】扱いです。
言うならば、主人公は扱いとしては【パンダ】です。
国の保護対象なので、丁重に扱いますが、それ以上でもなく、それ以下でもないです。