不死川玄弥とゲスメガネが出てきます。
九鬼大和side
『荷物はこれで全てです。説明書はこちらに記載しています。』
『はい、確かに承りました。ルーカス司令官』
今の場所は陸軍の施設内だ。あの問題児集団…もとい、鬼殺隊士から目を離す事は、正直したくない。だが、連中に付きっきりでは、それこそ本分を果たせない。
今は、不死川中尉率いる【銃器中隊】に雑務の半分は割り当てているが、一部の連中は相変わらずな態度だ。
「九鬼警視、小型の紫外線放射装置を倉庫に配置しました。」
「そうか、ではここに、銃器中隊の軍人だけを集めなさい。」
「はっ!!」
新しい武器も手に入った。ならば試し打ちをさせなければ。
数時間後…
カツカツ
ダン
「銃器中隊、全て到着しました!」
「よく来ました、不死川中尉、並びに将官達」
「九鬼警視、新兵器とはどの様な物なのでしょうか?」
随分と軍人らしくなったな…。今の彼ならアレを任せても問題なかろう。
「本日、皆が知っている様に【日米合同軍事演習】において、米国から渡された
「お待ちください!
不死川中尉は対鬼用銃を使う。
…本来ならば、不死身者相手に刀一本の方が異常な戦い方だ。
罠とか銃が無理なら、せめて弓矢とか毒餌とか考えなかったのだろうか?毒餌は…知性が高い生物だと、猪対策じゃあるまいに無理…か。
兎も角、国公認となった以上、組織として武器の増量と多様性を広げる必要があった。こちらも科学力で対鬼兵器の開発をしていたが、やはり本物の列強国の本気には勝てなかったようだ。
似た様な物は作れたが、性能が段違いだった。
…一応、こちらが作った分は、鬼殺隊士にでも渡すか…。
「そうです。最初の命令通り、君たちに求めるのは【鬼を殺すこと】ではない。しかし、鬼に対抗する手段は必要です。なので、刀以外で鬼に対抗する武器を提供していますが、銃だけだと弾数問題が残る。
しかし、本日支給する物は、一見だと照明器具ですが、この明かりは太陽と同じ成分が含まれている物です。普段は銃器による対抗、危機的な状況に陥った場合は、こちらを発光させ、確実な情報を持ち帰りなさい。」
「この…短刀のような長さの物から…太陽の光が?」
不死川中尉は支給品を持つ手を強くした。彼は元々は鬼狩りであるとともに、鬼もどきだ。太陽の恐ろしさを誰よりも実感している。
「ええ、鬼舞辻と言う鬼の頭領は一千年も、この国に蔓延んでいる。刀一本で追い詰められる相手ではない。武器は多ければ多いほど不意をつけます。
これだけでは決定打とはなり得ないでしょう…。
しかし、見た事がない兵器は、敵に警戒心を持たせる。
戦争とは情報戦です。
鬼には、上の立場から下の立場には【思念伝達】*1が出来ます。
我々がゆく鬼との最終決戦では、ほぼ確実に鬼舞辻は自分の領域内で、我々を根絶やしにするでしょう。」
そう…産屋敷が鬼殺隊を公認組織にしようとしなかった理由の一つは、我々政府側が
勿論、それ以外にも後ろ暗い人間が多いのもあるが。
だが、逆に言い換えれば、鬼舞辻が我々との繋がりを求めなかった理由、彼も
ローズマリー特命連絡員。
鬼でありながらも、人としての理性を保ち、産屋敷を放任している我々に失望し、他国に頼った元帝国民。
鬼の頭領に関する情報を秘密裏に提供している彼女…、手紙に書き記しられていた【鬼の誕生理由】と、【産屋敷一族が鬼狩りに熱心すぎる理由】
血縁であるならば、考えも似る。
特に珠世と言う、元人喰い鬼からの鬼舞辻の性格も含めて予想すれば、鬼舞辻は人間時代の虚弱体質により、極端な完璧主義でありながら、基本的には野心はない。彼の望みは、【完璧な肉体】だけであり、【支配欲】や【征服欲】があるわけではない。鬼の量産も、致し方なく使っているだけだ。そうでもなければ…とうの昔に、この国は鬼の国になっていた。
鬼舞辻無惨と呼ばれる男は、争いを好む者ではない。
むしろ…損害を考えなければ、かなり常識人の類に近いだろう。
そんな男が、表舞台、ましてや帝都で暴れ回るとは思えない。
仮にそれで鬼殺隊は滅ぼせても、それが原因で国家を敵に回すことは、鬼舞辻の本意ではない。
ならば…普段隠れ住んでいる、異次元空間とやらに討伐対象だけを巻き込んで、後腐れないように始末するだろう。
「九鬼…」
「…警視」
「「九鬼警視」」
「あっ…」
「考え込んでおられましたが、何か不都合でも?」
「いや…何でもない。不死川中尉。」
この所のゴタゴタで疲労が溜まっているようだな。
「この新兵器は、基本的には内密にしてくれたまえ。カイガク?とやらの様な裏切り者が出た以上、鬼殺隊士には出来るだけ、兵器に関する情報は与えたくない。何処で漏れるか分からないからな。
今の藤襲山の所有権は政府にある。そこで、適当な鬼に光を当てて性能を確かめてくれ。政府が作った物と、米国から贈られた物、どちらが使いやすく、効果時間が早いのかの検証も頼む。」
「「承知致しました!九鬼警視!」」
「話は以上だ。持ち場に戻りたまえ。」
「「はっ!!」」
▽▽▽
不死川中尉side
兄貴とは【生意気な鬼殺隊士の躾】の件で了承を得たので、俺は風柱邸の土地から早々に出る事になった。
そもそも、俺が率いる部隊は、帝国軍の部隊という扱いだから、基本的には軍人しか派遣されないし、派遣された鬼殺隊士も、《国公認の組織員に相応しくない》と判断された、国から見れば厄介者しかいない。
だから当然、後から来たのに大きな顔で歩いている俺たちに悪感情しかない奴らばかりだ。
「あー!嘆かわしい!何でこんなむさ苦しい野郎どもの隊服なんぞを」
まあ、コイツはある意味、厄介者の中でも例外枠だが。
文句を言いながらも、銃器中隊の偽装用の隊服を作っている男。
コイツは縫製係のゲスメガネこと、前田まさお。
本来、コイツは隠、しかも戦闘を望んでいる鬼殺隊関係者ではないので、この部隊に派遣される事などない立場だ。
だが、この男、ある悪癖が原因で九鬼警視の怒りを買い、罰としてこの部隊に派遣されたという、他の鬼殺隊士とは別の意味で厄介な立場なんだ。
「全く!あの男というか!政府の人間は硬い頭しか持っていない!!なーにが『女性隊士の服の露出がすぎる』だ!なーにが『帝国軍の品性を疑われる』だ!なーにが『甘露寺蜜璃を殺したいのか?』だ!そもそも!恋柱の隊服は、柔軟性を重視した結果、胸が目立つ隊服になっただけだっーの!しかもあの男!それを言ったら『その理屈ではスカートではなく、ズボンでも問題ないですね。今すぐズボンを作るように。』だ!!あの男!男のロマンを全く理解していない!!」
やっぱり甘露寺さんの短すぎるスカート…ゲスメガネの趣味だったんだな。兄貴に殺されかけたとか噂で聞いたけど、これはコイツが悪いな。
「不死川中尉、藤襲山への入山許可が取れました。」
「では、参りましょう。」
こういう言葉がすらすら出てくる俺は、もはや鬼殺隊ではないんだな。
「隊服に着替えました。」
「こちらも終わりました。」
「ああ、ではこれより【実証実験】を開始する。」
「「はっ!」」
藤襲山は政府の管轄に入った事により、変わった事。それは、
ガサガサ
「よっしゃー!久しぶりの肉だぜー!!」
人間の形を残した鬼。
バン
「ガハッ‥テメェ…一体俺に何を…」
「ただの飛び道具です。下級の鬼にはそこそこ効く…か。」
試験会場から実験施設になった。鬼殺隊時代でも藤襲山は胡蝶さんが藤の毒の実験に、鬼を利用していたそうだが、あくまでも個人使用が限界だった。だが、政府管轄になった事により、これまでの人員不足が無くなった。その分、大規模な実験施設として利用する事が可能となったのだ。
「時間計測完了しました。この程度の鬼だと5分です。」
「上弦はそれこそ、30秒もかかりませんでした。」
あの鬼…あの時は不意打ちかつ、俺が弱いのもあり、舐められた結果だった。本気で治そうと考えていたなら、それこそ数秒で治っていたはずだ。
「やはり、もっと毒の多様化が必要です。」
「おい!テメェら!何をごちゃごちゃと!」
バン
次は心臓部だ。鬼は首を斬らない限り死なない。だが言い換えれば、それ以外の箇所なら、何度でも実験できる。
「ガハッ…!!」
「トリカブトも混ぜた弾丸です。不死川中尉から見てどうでしょうか?」
計測と記録をする科学者は、俺がほぼ人間の姿である鬼を撃っても、冷静だ。狂っているな…。俺が言えた義理ではないが。
「先ほどよりも回復速度が落ちているようにも見えますが…、一度撃っているので、同じ検証とは言えません。ですが、効果アリと判断します。」
「なるほど…藤をベースに他の毒を混ぜ込む事による相乗効果も期待出来ると。」
カチッ
さあ、本命だ。
「しっかりと記録を」
「了解しました」
「おい、お前ら何を…!」
パッ
「この明かり…この焦げつく匂い…!お前らまさか!」
ガサッ
「逃げられたら困ります。」
カチッ
「足…!ギャーーー!!」
足からゆっくりと灰のように消えていく。
「不死川中尉!足の次は胴体までゆっくりとお願いします!」
「了解した、少尉」
「ヒッ…!ヒィーー!!許してくれ〜!!」
鬼はゆっくりと胴体も消え、最後は首を消したら、顔までいかずとも消滅を確認した。
「ふぅー、政府側の開発品は15分から20分ですか。弱い鬼でもここまでかかるとなると、実戦では使え無さそうですね。」
「同意します。」
強い鬼の回復速度、ましてや鬼舞辻ならそれこそ、傷を作った側から治っていくだろう。実験のためにわざと急所を外して計測したけど、それでも時間がかかりすぎる。
それに俺たちの目的は鬼舞辻無惨討伐ではない。
下手な援護攻撃で、鬼舞辻にこの兵器が太陽と同じ光だと、バレてしまったら優先的に俺たちを殺しにかかる。
俺たちはあくまでも後方支援だ。表立って目立つわけにはいかない。
確実に鬼舞辻無惨を殺せる場面以外では、使用できない。
もしくは、この明かりが太陽と同列だと判断する間もなく刀だと誤認させるような状況でもない限り。
「では、次は米国からの贈り物の検証を。」
「そうだな…」
俺はいつから、鬼を躊躇いなく殺せるようになったのだろうか。
▽▽▽
日本政府
「では…、この度の合同軍事演習における期限付き条約を締結します。」
「貴族院、意義なし」
「衆議院も意義はありません。」
「両議院の承認を得たので、外務省」
「はい」
「これを米国大使館に渡すように」
「承知致しました」
▽▽▽
米国大使館
『久しぶりだな、九鬼殿!』
『お久しぶりですハリス大使、こちらが、日米合同軍事演習における特例措置の内容です。』
パラパラ
『はい、確かに頂きました。米国大統領の代理として、この条約を受け入れます。』
『サインも確認致しました。失礼を』
「さて…ようやく、始まるのか。」
鬼舞辻無惨の産屋敷邸襲撃まで、後…
九鬼大和
【ローズマリー特命連絡員の通訳】として、交流という名の情報交換。
アメリカの戦艦が到着した事による、【外務省職員】としての予定合わせと、条約締結の為にアメリカ大使館へ。
【特高の警視】として、治安維持の為の国内世論の調節。
【鬼殺隊の監視役】として、対鬼兵器の受け取りと説明。
1人4役という、何処ぞのトリプルフェイスよりも、忙しい日々を送っている。ひとえにこの男が優秀すぎるせいだが。
ローズマリー・ベネット
本作の主人公
お飾りとは言え、特命連絡員という役職持ちの役人
【鬼舞辻無惨】と【産屋敷一族】が血縁であることや、鬼が徒党を組めない理由。無惨の大まかな性格などを、交流会という表から見れば、大使のお嬢さんによる、暇つぶしのお茶会開催の招待状に書き込んで、日本側に情報提供している。
理由は、日本側は本気で鬼を滅ぼさないと列強国の立場が崩れるので、鬼は潰さなければならない立ち位置だから。
アメリカは変な欲を出す可能性が高いので、【鬼は群れて戦えない】とか、【鬼は基本的に人肉以外受け付けられない。例外の割合は低い】など、鬼へのネガティヴ情報を提供している。
基本的に守ってくれる人たちには嘘はつかないが、大切だからこそ国に有利な情報は流さない。
不死川中尉
帝国軍に栄転した元鬼殺隊士、不死川玄弥
現在は、銃器中隊という部隊を率いる中尉
特例の待遇だが、大人の思惑に振り回されないように、気丈に振る舞っている。
実験施設で、ただ無常に鬼を殺せるようになった自分自身に恐怖を感じている。
前田まさお
鬼滅の刃における有名人、ゲスメガネ
本来なら、銃器中隊になど配置される立場ではないが、《良心の欠落》という問題を抱えているという理由で、罰も兼ねて、むさ苦しい男衆しかいない銃器中隊へ派遣された。
元々、後方支援部隊なので、戦闘訓練は最低限だが、その分、軍人が鬼殺隊士に偽装するための隊服の発注が多い。
ハリス・ベネット
主人公の養父であり、大使館の大使であり、大統領の代理
条約のサインを書いた。
大正コソコソ噂話
九鬼大和が、前田まさおを知ったのは、甘露寺蜜璃の防御性皆無の破廉恥隊服を恋柱邸(一応の配慮)で咎めた所、隊服担当の前田まさおが、ちょうど、さらに改良(という名の魔改造)した隊服を持ち込んだ事により知りました。
九鬼大和は、今来ている物よりも布面積が少ない隊服を即却下。
しかし、ここで収まるゲスメガネではない。
いかに甘露寺蜜璃の戦い方にあった隊服かを力説。
「急所の胸がガラ空きなのはどういう事だ?」という質問に、待ってました!と言わんばかりの、甘露寺の柔軟性に特化した隊服だと力説。
それには、九鬼も納得しましたが、
「では、スカートの理由は?」と聞いた所、男のロマンについて語ったため、私情により戦闘員の安全性に配慮しなかったと判断し、殴り倒して気絶した所を部下に運ばせ、銃器中隊に投げ込みました。
目が覚めたゲスメガネに「甘露寺蜜璃用のズボンを作るように」と命令し、甘露寺蜜璃には、「上半身の隊服は、身体上仕方なしと判断しますが、これからはズボンを履き、みだりに素足を出さないようにしなさい。」と言い、不死川中尉には、「銃器中隊の軍人全員分の隊服をあの馬鹿に発注しなさい。」と命令しました。