主人公と父親も出てきます。
『ゴホッ!ゴホゴホ』
咳が治らない。子供の頃に戻ったようだ。
ガチャ
『体調はいかがですか?ウィリアム司祭。』
『ゴホッ…何とか…』
『お医者様からは、慣れない山登りによる疲労との事ですが、いくらローゼ…今は大使館のNo.3とはいえ、本職でもない司祭に山登りをさせるとは…』
私がリース博士と山登りする期間。
表向きの同行理由は【ローズマリー特命連絡員が季節外れの山菜を欲したから】だ。正式な命令ではなくとも、一国の役人のお願いを無下に出来ないのもあり、私がリース博士と同行する行動はおかしくない。
だが、そのせいでローズマリーが誤解されるのは本意ではない。
『シスター、体調こそ崩してしまいましたが、布教に体力は不可欠。ゴホッ…良い運動になりましたし、登山に興味を持ったのは私です。あまりローズマリーを責めるものではありません。』
『それもそうですね。あくまでもお願いでしたし…。ところで他に欲しい物はないでしょうか?』
『紙とペンを…こちらに』
『手紙ですね、どうぞ』
『ありがとうございます。』
『神のご加護を』
『シスターにも神のご加護を』
カチャン
ふー…よし、書くか。
…‥………………………………………………………
イエズス会〇〇様
パンドラの箱は無事に封印に成功しました。もはや同じ悲劇は起こらないでしょう。
パンドラの箱がある土地は現在、未成年の少年の所有財産ですが、後見人は国の役人であり、事実上国有地となっております。土地の買取は不可能です。大日本帝国側も鬼の原材料がある山を手放す気配はなく、現在その山は【陸軍の訓練施設】という名目で、軍人が定期的に見回りをしております。
私があの山に入れたのは、一重に【大使のご息女の我儘を叶えるため】という名目があった為です。
もはや同じ手を使う事は不可能であり、これからは更に警戒度も高まりますでしょう。
確実性を重視して、例の山を全て燃やし尽くしたいですが、そのような行動を起こそうとすれば、カトリック全体が大日本帝国に敵視されるので、放火はやめました。
見たところ、植物が群集していた場所は限られていましたので、燃やし尽くし、土壌に炭や消石灰、ジャーキーなどを混ぜました。
素人目ですが、植物の生え方から土壌が特殊ゆえのものであると判断し、土壌を変えたので、同じ植物が生える可能性は限りなく低いと判断します。
パンドラの箱は存在しません。
我々の目的は果たせました。
全ての人が神のみもとで幸せでありますように。
Amen
イエズス会日本支部司祭
ウィリアム・ヤコブ・ウィスティリア
………………………………………………………
『燃やしたかったな…』
状況的に諦めるしかないのは分かっているが、懸念材料は無くしたかった。だが、布教が本業の私が犯罪者になるわけにはいかない。
『ローズマリーにも会わなくては』
1番気にしていたのは、ローズマリーだ。
『ゴホッ!…これは…』
▽▽▽
特例大使館
『お嬢様、大使からの電話がきています。』
『お父様から?』
合同軍事演習における司令官が到着したことにより、一気に慌ただしくなった。今の特例大使館職員には、鬼殺隊に対する関心が初期よりも低くなっている。
政府が本格的に鬼殺隊士の監視と教育を行った影響で、時折の敵意こそあれど、柱などの上級幹部は本心はどうであれ、私たちに丁寧に接しているからだ。
『お父様、ローズマリーです。ご用件は?』
《おはようローゼ、なに、ご用件などと言う堅苦しい話ではない。司令官も軍艦も来た事だ。帰国する上で持ち帰りたい物があれば、用意しておこうと思ってな。》
『帰国…』
忘れていた…。そうだった、私が【異端の能力者】がアメリカに受け入れられた理由は、私を手元で管理できるからだ。
《ローズマリー嫌なのか?》
『いえ、そんな事はありません。ただ…鬼が滅びる保証もない今の時期に、帰国の話が出るとは思わず、つい反応が遅れました。』
《ならば良いのだが》
考えろ。私の帰国は絶対だ。これは変えられない案件
だが、鬼舞辻無惨が死ねば、全ての鬼が死ぬ。という法則を知られれば、最悪アメリカは鬼滅殺作戦を変更して、鬼保護作戦に変更しかねない。
ただでさえ、鬼殺隊、日本政府、米国政府という三つ巴になっている上、それの影響で本来の流れから離れてしまっている。
でも待て…この時代は、まだ航空輸送は一般化していない。飛行機の原型自体はあっても、戦争でさえ、陸戦と海戦が通常。
基本、国家間の移動なら、船での移動が一般的だ。
合同軍事演習という名目である上、私の身の上なら移動手段は軍艦になる。
『帰国の話が出ると言う事は、私のお役目は終わったと言うことですか?』
《端的に言うならば、そうだ。君を
だが、日本側がキサツタイの教育を行い、我々に害なす動きを排除した上、公式に記録には残らないとはいえ、一国に2つの大使館を認めた以上、今の日本側を探る理由がなくなりつつある。
ともなれば、ローズマリー特命連絡員の存在はあっても、なくてもいい。必要性が低くなったのならば、君は早急に安全な場所で、匿うべきだ。》
『確かに私に向けられる敵意の眼差しは、日を追うごとに少なくなっています。特例大使館にこだわる必要はありません。
しかし、そうは言っても名目だけとはいえ、私は【特命連絡員】です。理由もなく、国に帰るのはアメリカの評価にも関わるのでは?』
誰が見ても分かるお飾りとはいえ、役人は役人。表向きは健康体の私が急に親元に帰ります。帰国します。と言い出すのは、余りにも無責任な対応だ。
《多少の評価低下は許す。というのが国の方針だ。合同軍事演習が終わり次第、アメリカに帰りなさい。安心なさい、君は貴重な存在、無下に扱われる事はありません。それは、大使として保証いたします。》
『そうですか。』
無下に扱われる事はない…か。鬼というサンプルが私1人である以上、その手の心配はしていなかったが、大使として保証されているのは大きい。
『お父様、私には帰国の際に特別必要な物はありません。水と太陽とそれこそ、補助用に土や野菜があれば、数ヶ月は待ちます。でも…もし許されるならば…教会の関係者と共に、帰国の時間ギリギリまで共に過ごしたいです。』
そもそも、私を受け入れてくれたのはウィリアム司祭だ。始まりの人と共に過ごすのが、日本でのフィナーレに相応しいと思う。
彼だけなんだ。全てを知った上で、私を鬼としてではなく、人として見てくれたのは。
《最後の最後は、あの教会で過ごしたいと?》
『はい、
《なるほど…分かりました。後日、また連絡します。Good night, sweet dreams. rosemary》
『お父様も良い夢を』
ガチャン
『ふう…』
なんとしても、時間を稼がないと。
▽▽▽
産屋敷耀哉side
「あまね…これを子どもたち…ゴホ…柱に…」
【煉獄外伝】
「ついに…決めたのですね。」
「父上!こんな劇薬を渡すつもりですか!」
ウィリアム・ヤコブ・ウィスティリア
主人公の友人で、イエズス会所属の日本派遣組
主人公が鬼と知った上で、本部を騙して国籍所得の際、身元保証先にさせた。
今回、本部の密命もあり、【大きなツクシ】こと【青い彼岸花】の生息地域における、土壌の成分変更、土壌を変えられない土は、飲み込んだ事により、体調悪化でダウン。
とはいえ、無事に【鬼の原材料】は処分完了。
まだ合同軍事演習は始まっていないけど、仕事は終わったも同然です。
後顧の憂を無くすために、本当は山を燃やし尽くしたかったけど、状況的に無理だと諦めた。
炭治郎の山と知っていますが、悲劇の連鎖と個人の資産だと思うと、大衆のために炭治郎が苦労する程度の犠牲なら、仕方ないと思っています。
【大きなツクシ】を根絶やしにしたことをローズマリーに説明したい。
イエズス会
身元保証した孤児が人間ではないことを、アメリカを通して知った。
騙されていた事を知ったが、もう後に引ける立場ではなかったので、仕方なく主人公は『人間ではない事は知っていたけど、人の心を持っているのでセーフ』と表向き認めている。
アメリカで散々、ローズマリーを主人公にしたプロパガンダ映像が出回っていたので、カトリックのイメージが上がる美談を潰したくなかった。
同じ理由で、ウィリアム司祭を責める理由が表向きはない為、このまま放置するしかなくなった。
仕返しに、【鬼の原材料】の処分を命じた。
ローズマリー・ベネット
本作主人公
米国大使館の大使の養女で、特命連絡員
役職はお飾りのものだが、大統領が任命した役人なので、地位自体は高い。
教会関係者を呼び出せるのも、権力を利用しているからです。
この度、帰国の話が出たので【日本にいる間は、教会で過ごしたい】と父親に希望。
ハリス・ベネット
ローズマリーの父親
アメリカ大使館の全権大使
ローズマリーが人間ではないと知った上で、国益のために引き取った。
そこそこの情はあるが、国益と養女を天秤にかけたら、国益に傾く。
鬼殺隊は挑発し終えたし、広告塔の役目も必要無くなったので、安全な場所に匿い、全てが終わり次第アメリカに帰国させたい。
本人の希望先が、【最初に助けてくれた居場所】だったので、もう一度安全確認しないといけないな。と考えていた。
場所自体は横浜で、軍艦が通っても違和感がない場所なので、地理的には問題はない。
産屋敷耀哉
爆弾投下準備
大正コソコソ噂話
主人公がキリスト圏国家アメリカで、受け入れられた理由は、主人公が鬼でありながら、主人公の身元保証先が【イエズス会】だったからです。宗教関連でセーフ判定かつ、主人公の見た目が完全に白人で言葉が通じるからです。
両方の条件が揃っていたから、ギリギリ容認されました。
片方だけの条件だったら、よくて迫害。
悪ければ鬼殺隊以上に厄介な敵になっていました。