胡蝶しのぶside
鬼の根城に連れ込まれ、部屋を開ければ姉の仇がいた。
その男は、聞かれもしていないにも関わらず、己の立場を話だし、挙句
「正気とは思えませんね、貴方、頭大丈夫ですか?本当に吐き気がする」
国が全力で探しても見つからなかったわけだわ。信者の数を
私の言葉、姉さんの羽織で、思い出しはしたが、姉さんへの言葉は侮辱以外の何者でもなかった。
(蟲の呼吸… 蜂牙ノ舞 真靡き)
「凄い突きだね、手で止められなかった」
直ぐにあの鬼の血鬼術が飛んだ。
きた!
カポッ
冷たい!!ガスマスクをつけていてもこの冷たさ!肺を裂くような冷たい空気!姉さんがやられた理由はこれか!
「あれー?なーにそれ?せっかくの綺麗な顔が隠れるなんて勿体ないよ。」
この鬼は、その気になれば姉さんを瞬殺できた。なのにしなかった。理由は女だからだ。なら、姉さんより弱い私の肺をもう一度、壊死させようとは思わない。
ガポッ
トン
「ぷはっ…突きでは殺せませんが、毒ならどうです?」
顔の色が変わった。少しでも効けばいい。だって私は、
「ぐっ!!」
とにかく、上弦にこの毒が通用するかどうか、今わかる。姉さん…お願い…姉さん
ドッ
「ガハッ!これは…累君の山で使った毒よりも強力だね」
やはり、情報は共有されていた…毒は諸刃の剣。
政府役人が最も懸念していた、毒の配合の分析により、自力で無惨が毒の解毒をしてしまうという最悪の事態を避けるために、無惨用の毒に含まれる成分は外した。
「ゲホッグッ……あれぇ?毒、分解できちゃったみたいだなあ。ごめんね。せっかく使ってくれたのに」
やはり…か。私は…いや、柱全てに言えるけど、私たちは足止め要員にすぎない。だが、この男は、
「うわーっ楽しい!!毒を喰らうのって面白いね!癖になりそう!次の調合なら効くと思う?やってみようよ!」
個人的に気にくわない存在だ。
「うーん五回目。これも駄目だね、効かないや」
息が続かなくなってきた。肺胞の壊死はしなかったのに、この体力差。
この鬼が、私を舐めてかかっているのも納得せざるを得ない生まれ持った違い。
でも、諦めない!駄目で元々!
連続で大量の毒を打ち込む。
蟲の呼吸蜻蛉ノ舞 複眼六角
「いやぁ君、本当に速いね!今まで会った柱の中で1番かも」
バッ
斬ら…れた…!
ドッ
まだ、ダメ、本命が到着しないうちに私が倒れてはダメ。
ボタボタ
血が流れる。医者だから分かる。私はこの場で死ぬ。
《君が死ぬ分には、なんら問題ありません。我々の目的は君ではなく、君の纏めた毒の資料ですから。》
《第一、個人の復讐は法律で禁止されております。今回は相手が人間ではないから認められただけのこと。》
《剣士の才能がないと分かった時点で、君が変な意地を張らずに裏方に落ち着けば我々としてもやりやすかったと言うのに…だが、周りの意見を弾いてまで剣士になったのは、君の意志。》
《弱いと嘆く暇があるのなら、立ち上がり死ぬまで戦い続けろ。》
カナヲ…に引き継ぐ。
「え、立つの?立っちゃうの?えー…君ホントに人間なの?」
「鎖骨も肋も斬っているのに、君の体の大きさ…その出血量だと死んでいてもおかしくないんだけど…」
ゴフッ
肺に血が!
「あっほら〜!肺に血が入ってゴロゴロ音がしてる。想像を絶する痛みだろう。俺が直ぐに首をストンと落としてあげるから無理しないで!君はもう助からないよ、意地を張らずに」
狙うなら、やはり急所の頸。頸に毒を叩き込めば勝機はある。
(蟲の呼吸 蜈蚣ノ舞 百足蛇腹)
あはは、父さん
幸せな道はずっとずっと遠くまで続いているって思い込んでいた。
破壊されて初めて、その幸福が薄い硝子の上に乗っていたものだと気づく
そして自分たちが救われたように、
まだ破壊されていない誰かの幸福を、
強くなって守りたいと思った。
そう約束した。
《鬼を倒そう一体でも多く、2人で。私たちと同じ思いを他の人にはさせない》
力が弱くても、鬼の頸が斬れなくても、鬼を一体倒せば何十人、倒すのが上弦だったら何百人もの人を助けられる。
できる、できないじゃない。
やらなきゃならないことがある。
《怒ってますか?》
そう、私怒ってるんですよ炭治郎君。ずっとずーっと怒ってますよ。
親を殺された。
姉を殺された。
カナヲ以外の継子も殺された。
蝶屋敷のあの子たちだって、本当なら今も鬼に身内を殺されてなければ今も、家族と幸せに暮らしてた。
ほんと頭にくる
ふざけるな馬鹿
なんで毒が効かないのよコイツ馬鹿野郎
ガシッ
「えらい!!頑張ったね!」
何だ?この鬼?
「俺は感動したよ!!こんな弱い女の子がここまでやれるなんて」
弱い女の子?弱いのは事実だが女の子扱いされるほど、幼くはない。
「姉さんより才も無いのに、よく鬼狩りをやってこれたよ!今まで死ななかったことが奇跡だ。」
むかつく男だ。
「全部全部無駄だというのにやり抜く愚かさ、これが人間の儚さ、人間の素晴らしさなんだよ」
私の思惑には勘付いていないという事か。
「君は俺が喰うに相応しい人だ、永遠を共に生きよう。言い残すことはあるかい?聞いてあげる!!」
「地獄に堕ちろ」
「師範!!」
よかった… カナヲまで引き継ぐことができた。
後は頼みました。カナ
ガキッ
ヲ…
ここは…地獄?
「いいえ、正確には【地獄行き魂向けの三途の川】ですかね?」
「あなたは?」
「初めまして、私は未練を残した魂の案内役をしております。キョウコと申します。このまま家族の元に帰りますか?」
死んだからこそ分かる。この人は嘘をついていない。
「いいえ、姉の仇が来るまでここで待っています。」
「そうですか。では私は他の方の案内もあるので失礼します。」
そう言ったキョウコさんは、光の道を進んで去っていった。
胡蝶しのぶ
先の欧州大戦(第一次世界大戦)で使った【ガスマスク】を血鬼術対策をしたのを国が渡していた。
なので、原作のように肺が壊死することはなかったが、元々の体力差で攻撃を受けることになった。
童磨の過去を知っているので、童磨の発言は基本的にガン無視しているので、原作の姉さん回想シーンが政府役人の毒舌に変わった。
童磨への未練(憎悪)のせいで魂が穢れすぎて天国への直通ルートが使えなかった。なので案内人を派遣された。
九鬼大和
しのぶの回想シーンでの毒舌は全てこの人の発言。
胡蝶しのぶは精神不安で1番大切な場面で転びそうだと危惧していたので、日頃の問題行動も含めて毒舌発言が多かった。
胡蝶しのぶは踏まれて強くなる雑草体質だと確信していたからこその毒舌攻撃。
踏まれて弱くなる箱入り娘体質だと思っていたら、そもそも会話さえしなかった。
弱いと知った上で、剣士になったのだから死ぬまで戦え。
橘香子
主人公の本来の名前であり、今はあの世とこの世の境目で案内人をしている。無限城では当然ながら死者予定が重なっているので大忙し。
大正コソコソ噂話
九鬼大和が胡蝶しのぶを嫌っていたのは、何も常識がないからだけではありません。
弱いと自覚していたのに、姉の望みである『普通の生活をして幸せになってね』という遺言を破ったからです。
その道しかまともな生活が出来ない隊士もいる中で、退職しても一般生活に戻れる立場でありながら、自ら修羅の道に進んだくせに、自分の弱さに怒りを持っているからです。
九鬼大和から見れば、胡蝶しのぶは
【どこまでも中途半端でまともな薬(鬼を人に戻す薬)すら作れないくせに、有能な外部者(珠世やイーサン軍医)は敵対的にみている厄介な女】という印象が抜けませんでした。