!注意!
【鬼殺隊】という組織の当主へのヘイト発言が多いです。
産屋敷一族が好きな人は読まないでください。
私は、ウィリアム。ウィリアム・ウィスティリア
イエズス会所属の宣教師です。
最初はヨコハマで布教をしようと考えていたのですが、貿易港の町であるのも相まって、私と同じ考えを持つ同業が多く、仕方なくアサクサ方面に移動しました。しかし、ここで思わぬ事態が発生しました。
「もし、あなた」
「ヒッ!異人!」
見た目で逃げられ、ならば強面ならいけるかと声をかけてみれば、
「あの…」
「ああ、耶蘇教のやつか、鬼を殺すのに一つも役に立たたねぇ教えなんぞ聞く暇はねぇ。」
「おい、不死川、次の任務は俺様と合同だ!足引っ張んなよ」
オニなる聞くところ、こちらで言うドラキュラのような存在がいる事から、最初から聞く耳も持たない者
「神がいるならば…なぜ…姉は…殺された…?」
黒髪に青い目の物静かな少年からは、そう言われ、
「うむ!完璧な存在などこの世にいるわけがないな!」
やっと、話を聞いてくれる人に会ったと思ったらバッサリと言い切られ、
「信用しない、信用しない、鬼も人間も大っ嫌いだ。」
と一緒にいた包帯を巻いた子供にも言われ、
「ナム…ああ、哀れだ。このような国で布教などと…」
ジャラジャラと丸い飾り(確か仏教の道具だった気がする)をつけた盲目の男性はそう言いながら去っていった。
「そうですねー、異国の道具には興味があるのですが」
「まぁ!国を超えてまで教えを説くなんて、素敵だわ!」
奇抜な髪色のレディ達は、道具にしか興味を示さない。
カツンカタン
ワタシは、宣教師として駄目だったのか?せっかく兄の取引先であるウブヤシキさんから、土地を借りられたのに、未だに1人もキリスト教に興味を持ってくれる人が現れないなんて。
「帰国も考えるべきか…。ん?あの色は?」
緑の髪?この国には奇抜な髪色の人が少数いるのは把握している。髪色もさることながら、傘のように髪を固めるなんて、なんと奇妙な…。そもそもこの山の現持ち主が《異人》であると分かっているのか?
「ヘイ!beautiful green hair Girl!」
奇抜な髪色の人は、ワタシの見た目で驚く人はいなかった。だが、
「Thank you!You are name?」
日本語の発音に引っ張られているが、英語を話す人は初めてだった。その上、
「【懺悔】したいです。」
懺悔、日本語だが、ワタシの服装をすぐに【カソック】と見抜き、ワタシの所属がカトリックであると把握していた。
日本人はキリスト教を知っている人は多かったが、カトリックとプロテスタントの区別を明白に理解している人はワタシの聞く限りは、ヨコハマの日本人しかいなかった。それに彼女の服装、土汚れが目立つ上に、切り裂かれた後、散歩道で会わなかった事からあの山道を歩いて来たのは明白。
さてさて、この人は何者なのやら?
教会(自宅)についたが、問題はここからだった。
「随分とまぁ…本格的に作られましたね。」
簡易的な教会を見て、彼女が最初に言った言葉だ。【本格的】と言うことは、つまり本物を見ていなければ言えない言葉だ。だが、トウキョウにある教会のほとんどはヨコハマにある。彼女のような目立つ存在が一度も噂にならないなんて有り得ない。つまり、彼女はヨコハマ以外で本物の教会を見たということ。…少し、カマをかけてみるか。
「ははっ、本国には及びませんが、これでも兄の伝を使って教会らしくしているのですよ。」
あくまでも、本国だ。バチカンとは言わない。
「本物には及ばない?サン・ピエトロは壮大ですが、アレはもはや教会ではなく、芸術作品ですよ。本来の教会はこのくらい敷居が低い方がいいのでは?ましてや布教に来たのならば。」
やはりだ…。彼女は、カトリック=バチカンだと理解している。
そして…本来なら一般人が入ることが許されていない、サン・ピエトロ大聖堂の中を知っている。
「これは、一本取られましたな。確かに本国に寄せようと思ったのが間違いだったか…。」
室内に入ってから、彼女の髪は大きな傘から、ストレートの長髪になった。もう……認めよう……。
彼女は……人の子ではない。
そんなヒトから懺悔を聞く機会がうまれるなんて、神は一体、矮小なワタシ如きに何を求めているのだろうか。
「お待たせしました、では懺悔をお聞きします。」
ロザリオを握る。正直かなり怖い。
「先ほどの道中、…あなたが仰った通り、私はあの散歩道を通っていません。そして…私のこの髪も本来の色ではありません。」
「そして?」
ある程度予想はついていた。
「私は……人間ではありません。」
いろいろと聞きたいことはある。でも一番に知りたいのは、
「元々ですか?」
回答次第で、国に報告をしないと。
「いえ、日付は曖昧なので分かりませんが、大体一月前までは、普通の人でした。」
そうなのか?だが、嘘をついているようには思えない。
「なぜ、人間をやめてしまったのですか?」
「私の意志ではありません。人間を【鬼】にする存在に会ってしまったが為に、人間をやめさせられたのです。聞いたことはありませんか『夜には鬼が出る』と。」
彼女の目…猫のような縦に線が入った瞳。確か…そういう目は夜行性の生き物に多いと習ったことがある。この国の人に聞いた《オニ》という生き物の特徴に当てはまる。
まさかと、かつてのプロテスタントの宣教師の手記について聞いたら当たっていた。
「はい…、幸い私は人を食い殺す前に、人喰いが原因の病気を知っていることで、人間を食べたい欲求を抑えることに成功しましたが、それもまだ不完全です。今は幼虫や太陽、水による補給で抑え切っていますが、いざ、怪我をした際に、人間を見て襲わないと言い切れません。」
人間を喰うことでおこる病気?私はそんなのは知らない。
「疑うわけではありませんが、オニである証拠はありますか?」
彼女は私に嘘をついたところで何かの得を得られることはない。だから最初から疑うことはしないが、証拠がなければ、話しにならな
ダンッ
「何をしているのですか!!」
つい叫んでしまったが、彼女は木の枝を鋭利に加工した手製ナイフで、自分の腕を切った。
「見てください、これでも私が…人間だと?」
彼女が自ら傷つけた跡を私に見せる。じわじわと傷口は塞がり、かさぶたさえ出来ずに治ってしまった。
「あっ……あっ…」
うそ…幻覚…幻影…そう思いたかった。
だが、この心臓をつかまれたような息苦しさと、ロザリオを握りしめすぎて少しだけ、手のひらが出血しているのを見て、コレが、この現象が、現実であると物語っていた。
Japan…日本…、この国が《宣教師の墓場》と呼ばれている本当の理由は……
「gomennasai sorry…天と地と精霊のみ名において誓います。二度と教会には近づかないと。懺悔を聞いてくださり、ありがとうございました、Thank you very much、…それではさようなら」
黒髪に茶髪?それにあの瞳は…、
「Please wait.… Please wait!!お待ち下さい!お嬢さん!」
自分でもなぜ引き止めたのか分からなかった。だけど、あの一瞬の姿、あれは確かにみた!
「えっ?」
彼女の姿は、今は緑の髪にグリーンアイ、縦長の猫の目だが、あの一瞬は確かに人の子だった。
「たとえ、たとえアナタが人の子でなくとも、ワタシは…私はClergy of the church *1です!人と共に生きようと願うヒトを見捨てることなどできません!」
(それに…)
「オニについては一通り聞いています!
でも、でもアナタは私に襲い掛からなかった!それが証拠です!
ワタシは…私は、アナタを信じます」
いつの間にか、神父にあるまじき感情論で話してしまった。
懺悔とは…あくまでも聞き方は懺悔者から意見を求められない限り、話さないのが基本である。ましてや、相手からすれば私は他人。この言葉は寧ろ重荷になる。でも、彼女は、
「ナミダ…流れています。」
絶望でも、憎しみでもなく、ただただ泣いていた。
そして、ポツポツと独り言を言い出した。
「寂しかった…」
「鬼だから、おちおち人にも会えない。」
「教会の門はいつでも開いています。」
そうだ…こういう人を救うためにあるのが、教会だ。
「ゴシック様式の椅子、ステンドグラス…この教会は、懐かしい。」
「いつでも来て下さい。人を傷つけないうちは、この教会はアナタを拒みません」
何故、この椅子や机が【ゴシック様式】であると知っているのか?
「ありがとう…」
聞きたいことは山のようにある…、でも、彼女のこの言葉はどことなく澄んでいて、居心地がいい。
彼女は……悪しき存在ではない。
その後、数日に1回の頻度で、彼女は遊びにやってくるようになった。
そして、彼女は《鬼殺隊》についても多く語った。
「ウィリアム神父さん、タンポポです。天ぷらで揚げると美味しいですよ。私の住む山に多く咲いていたので食べてみますか?」
「今のところ鬼殺隊には会っていないけど、もし遭遇したら私は死ぬでしょう。鬼は人と異なり死体が残ることはありません。もし、私が一ヶ月以上こちらに来なくなったら、死んだ者として扱ってください。」
「えっ?鬼殺隊についてですか?あぁ、そうですよね、政府公認組織ではないので聞くことはないです。あなたの反応が普通ですよ。」
「鬼殺隊とは、産屋敷という公家、あー、貴族が千年以上前に結成した鬼を狩る為の組織です。《鬼を殺す軍隊》と書いて鬼殺隊です。
といっても、本物の軍隊のように認められているわけではありませんが。」
「なぜ産屋敷が鬼殺隊を維持しているのか?ですか。
まー、わっかりやすくいうと自分の為なんですよ。表向きは【鬼による悲劇を防ぐ為】とか【弱き人を守る為】とか立派な大義の名の下にやっていますが、そもそもの鬼による悲劇の元凶って、産屋敷なんですよね。
ほら、前に私が懺悔の時に言った《人を鬼にする存在》は実は産屋敷家の先祖である、鬼舞辻無惨なんですよ。
だから、産屋敷家の人間は長生きできない、若いうちに死んでしまう。でも、元凶である鬼舞辻無惨を殺せば自分達一族の寿命が伸びるのではないか…とね。」
そう言って一息ついた彼女は、「はー」といい、
「勝手なものですよね。柱とか言われる上級幹部なら知っていてもおかしくないけど、ほとんどの鬼殺隊関係者は鬼舞辻無惨が産屋敷家の先祖で、自分達は、貴族のお家騒動に巻き込まれて家族を奪われている。なんて…知らないんでしょうね。恐らく知っていたら鬼よりも産屋敷へ、ヘイトが集まって、あんなに組織内で和気あいあいと付き合えるわけないですし。」
『君はキサツタイが嫌いなのかい?』
彼女が話す鬼殺隊の内部事情に関しては、疑っていない。私が鬼殺隊を嫌っても、鬼殺隊も産屋敷も支障が出るわけがないからだ。彼女もただの神父1人が騒いだところで鬼殺隊の基盤が崩れるとは思ってもいない。なんと言っても彼女の態度や言動が馴れ馴れしいから。
「いえ、鬼殺隊の人はそれぞれ立派な人だと思っていますし、辛い過去を背負っていながら、人を守りたいと願い、行動に移せる高潔な人が多いと思っています。勿論、組織だから【金目当て】【名誉欲】に取り憑かれている人もいますが、本当の意味で腐った人はいないと思いますよ。」
『根拠は?』
鬼殺隊という組織は嫌いだが、鬼殺隊関係者は好ましい。と言う事か。
「本当に金が欲しい、世間に認められたいなら、最初から鬼殺隊は論外です。経歴や出生を度外視する組織は、それこそ孤児や、やましい仕事をしていた人には最適ですが、それよりもデメリットが大きすぎます。
考えてもみてください。
明日の命の保障がない、
仮に戦死しても世間はそれを知ることはないし、身内に金が入るとは限らない。
契約書を交わしても、相手は個人であり政府に認められていない武装集団、わかりやすく言うと【マフィア】と同じです。
ただの親なし子で男なら軍人になった方がマシです。給料は鬼殺隊よりも劣りますが、なんといっても皇軍、世間に堂々と自分の職業を言えるし、実力を出せれば良家のお嬢さんと結婚も夢ではありません。」
確かに彼女の言い分は、最もだ。どんなに給料が高くても、それよりも仕事の量が多くて、まとまった休みは取りづらく、いつ死んでもおかしくないならば、軍人の方がマシだろう。少なくとも名誉は守られる。
「女ならばどうなるか?と仮に問われても【分からない】としか言えません。この時代、まだ女性が経済的に自立することが困難であり、誰かの妻になるのが一般的な就職先とされています。ですから《仕方なく》鬼殺隊しか選択肢がない人もいたでしょう。もしも、鬼殺隊が【完全な志願兵】で占められた組織だったら、私も鬼殺隊を悪く言うことはなかったでしょうね。」
『キサツタイに大きな欠点があるからこそ、君はそこまで組織を嫌うのですか?』
「はい、そうです。ウィリアム神父、これから話すのは現在も行われている《鬼殺隊に入る前の試験》の一つです。」
《前》を強調して一息ついた彼女は、話し始めた。
「その試験の名は【最終選別】鬼が生け獲られた藤襲山と呼ばれる山で7日間生き延びれば合格です。
ちなみに生き残ればいいので、他の試験者を見殺しにしてもOK、助ける助けないは個人の選択。そして、大事なのはこの試験の死亡率、
大体20人が参加して合格者は5名。それだけでも人命軽視もいいところなのに、この試験の一番の胸糞悪いところは、産屋敷耀哉…現在の鬼殺隊当主が、『5人も生き残ったのかい、優秀だね』と言ったこと。
ダン
『ヒッ!』
5人もじゃない!5人以外殺したのはお前だ!!!
産屋敷は呪われて正解だ!!!鬼舞辻無惨の呪いが産屋敷家を蝕む?
本気でそう思っているのか!お前たちを呪っているのは、【鬼】ではない!【人の子】だ!!」
怒り心頭とはまさにこの事を言うのだろうか。
彼女は基本的には明るい子だ、昼間を愛し、布教が思うように進まない私の現状に同情し、日本人がなるべくキリスト教に親しみやすいようにアドバイスもしてくれる。
「あっ……ごめんなさい…神聖な教会で怒鳴ってしまって…」
今もそうだ。彼女は異人である私の考えを否定しないし、度を超えそうにならない限り尊重してくれる。教会の道を清掃するのも率先してやってくれる。そんな人がここまで怒るとは…、いや、気持ちは分かる。
『あの…その試験って、試験であっていますか?死者が出る試験なんてあり得ません。処刑の間違いでは?』
彼女がいくら正確な情報を持っていても、間違いの一つや二つはあるだろう。公開処刑を試験と勘違いしているのではないか?
「いえ、私もそう思いましたが、間違いなく【試験】なんですよ。
全く、さすがは血縁というべきか…鬼舞辻無惨と対して変わらない本性です。」
彼女は、情報元は分からずとも鬼殺隊そのものを恐れている。
間違った情報かと疑えば、何度でも確かめるだろう。
彼女には身代わり人形があるし、藤の花は効果がない、実際にそのフジカサネ山に行って確かめたのだろう。
ああ、それは、
『なんと…非人道的なことを…。』
「ほんとですね、【役に立たなければさっさと死ね】と鬼殺隊に入る前で、自分の所属でもない未来ある若者を殺す産屋敷と、【自分の意に沿わぬ者は死ね】の鬼舞辻無惨。一体、どこに違いがあるのやら。」
あぁ、なんと残酷な人たちなんだ。知らぬとはいえ、そんな人から土地を借りて、教会を開いた私もまた、【オニ】のようではないか…。
「あの…ここに!緑の髪を持つ昼間しか会えない人がいると聞いたのですが!」
ハオリと呼ばれるジャケットにカタナという剣を帯刀した、おでこの横に赤いアザをつけた黒髪の子どもが教会の門を叩いた。
ウィリアム・ウィスティリア
洗礼名 ヤコブ
鬼の少女と仲良くなった。異人であったことが逆に主人公の警戒心を解いた。(原作で外国人が登場しなかった為)
鬼の少女は、キリスト教の良いところ悪いところを知った上で、布教の手伝いをしてくれるし、信者じゃないのに「ウィリアム神父!」と懐いてくれるので、自信喪失していた心を癒やしてもらっていた。
だからこそ、そんな明るい少女が【キサツタイ】の当主へ向ける怒りに驚いた。けど、内容が内容だから産屋敷は擁護できない。
人命軽視すぎる発言にドン引きしている。
そして、そんな人から土地を借りた自分にも罪悪感がある。
だって土地借りるということは、産屋敷に投資したも同然だから。
神父さんは、主人公の鬼殺隊情報を疑っていません。
彼女の性格から、平和主義者であると判断したからです。
悪戯に嘘をついて、産屋敷にヘイトを集める行為をするほど性悪な性格ではないと、短い期間ながらも一緒に過ごして知っているからです。
主人公
別に鬼殺隊士は嫌いではない。むしろ好ましいと思っている。
獪岳やサイステ先輩も、本当に金が目当てなら身体もしっかりしているし、職業軍人になっていただろうと思っている。
だからこそ、そんな尊い存在を殺しにかかる鬼殺隊当主や、産屋敷一族へのヘイトは溜まりに溜まって爆発した。
【お家騒動に他人を巻き込むな!】
前世では、漫画だったから産屋敷一族が嫌いだったわけではなかった。所詮、マンガだしね。
でも、これが現実世界となると話は別。
手鬼に始まる管理者責任違反、
柱には自分は隊士と同じと言いながら竈門禰 豆子の報告義務違反、
当主のくせに風柱を抑えきれない優柔不断さ、
新人相手に柱も敵わない敵を殺せと無茶振り、
挙句に家族巻き込んでの自爆、
主人公の中では、鬼舞辻無惨と同じくらい存在自体がヤバいのが、産屋敷一族です。