カイマクルの鬼   作:セッル@ポケモン熱発生中!

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今回は、炭治郎が教会に来るまでの道のりを描きました。
本格的な主人公とのお話は次回です。


善逸、とんでもねぇ音を聴く…の巻

炭治郎side

 

今日は久しぶりの休日、善逸が唐突に言った会話から浅草に行くことになった。

 

「ええー!ありえん!ありえない!こんなかっわいい禰豆子ちゃんに着物ひとつも買わないなんてぇー!」

 

「うっせえぞ!紋逸!」

 

「そうは言っても、うちは貧乏だから着物は家族みんなで使いまわしているし…」

 

「それは、鬼殺隊に入る前でしょ!今は給料もあるから既製品の着物くらい新調できるでしょぉ!何も布から帯まで全て新調するわけじゃないのに!」

 

「それも…そうだなぁ。」

確かに禰豆子も一応、あの裁判から鬼殺隊公認になり、禰豆子分の給与も入り出した。着物一つくらいなら買えるよな、それに元々禰豆子には綺麗な着物を買いたかったし。うん、

 

「じゃあ、みんなで呉服屋に行ってみるか?」

 

「やったー!じゃあ、じゃあさ!俺のおすすめの店があるんだ!そこに行こう!女の子の着物の柄がたくさんあるんだ!」

 

「でもよぉ、禰豆公は鬼だろ。服合わせとかいうやつ、出来るのか?」

 

「大丈夫、大丈夫!大体の身長を言えば、店員さんがおすすめを教えてくれるからさぁ!まあ!禰豆子ちゃんの顔を見せられないのは勿体無いけどね!」

 

そんな会話をしたことで、俺たちは浅草にやってきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そうしてついた善逸おすすめの呉服屋。

 

「いらっしゃいませ、今日はどのような着物を?」

 

善逸は昔ここにきたことがあるらしく、店員さんも慣れた手つきで可愛らしい着物の柄を見せていった。

 

「こちらは輸入物の西洋の柄を取り入れた、お着物とドレスを半々にした物です。」

 

ドドンと大きな薔薇の花をあしらわせた白い柄と、上は着物だが、下はスカートになっている物、でも、

 

「うーん、妹には派手すぎるかな」

「俺は可愛いと思うけど、炭治郎がそういうなら、店員さん、他には?」

 

「ならば、こちらはどうでしょうか?黒と言われれば地味と思われるかもしれませんが、レースを入れたことにより、逆に華やかに見えます。女学校の生徒さんがレースだけを買うこともありますよ。」

 

掛襟や襟部分を細やかな白いレースを入れて、レース単品の柄の説明をする店員さん。

 

「いや…、レースの素材が高いな。」

「まあ、これ、輸入物だからねぇ」

 

「予算内に収めたいとのことなので、いっそ、洋服もどうでしょうか?

お客様方の予算内なら女学校のセーラー服なら3着は買えますよ。」

 

「いいねぇ炭治郎、禰豆子ちゃんも動くし、鬼殺隊服も洋服でしょ。」

 

「洋服…か。」

確かにいいかも、着物は禰豆子が人間に戻ってからでも遅くない。

でも、それなら鬼殺隊服の方がいいよな?

 

「と、とりあえず、レースだけをください。」

着物はダメでも、髪飾りくらいなら蝶屋敷の子なら、お願いすれば作ってくれるだろう。すみちゃん達へのお土産もコレでいいか。

 

「はい、お買い上げありがとうございます。またのご来店をお待ちしております。」

 

「よし、帰ろっか、善逸、伊之助。」

「えー、まだあるのにぃ!」

「おう!帰るぞ子分ども!」

 

ドン

「オウ!」

「うわっ!」

 

そこに立っていたのは、大きな異人だった。

 

「コレはシツレーシマシタ。オケガはありまセンカー?」

「いえ、こちらこそ前を見ていなかったです。すみませんでした。」

 

「あっ!ウィスティリアさん、ご予約の品、完成しましたよ。」

「アリガトーゴザイマス」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから、俺たちは浅草の町で、食事をとっているところ、善逸だけは心ここに在らずの顔でいた。

 

「さあ善逸、蝶屋敷へ帰ろう……か。」

「た、た、炭治郎、あの人、」

「どうしたんだ善逸!」

 

善逸が怯えている?あの人?呉服屋の人か?それに、決心の匂いがする。でも、都会育ちの善逸が異人に怯えるとは思えないけど、

 

「炭治郎…、あの人、微妙に……鬼の音がする。」

 

「えっ?」

鬼の音?でもあの人は昼間に呉服屋に入っていたんだぞ、それにあの人からは濃い藤の花の香りがした。

 

「おっ?あのイジンとかいう奴、鬼なのか?」

 

もし…、あの人が太陽と藤の花を克服していたら、大変な事になる。

 

「微妙…微妙に違うんだ。人間の音が大きいけど、ふと思い出したかのように、鬼の音がするんだ。」

 

一体、どういうことなんだ!?

 

「善逸!それは禰豆子とは違うのか?」

もしかしたら、禰豆子のように人を食べない鬼かもしれない。

 

「うおっ!びっくりした。違うよ、禰豆子ちゃんは常時鬼の音がするけど、あの異人さんは、普段は人間の音、時々鬼の音って感じで、音の入れ替わりがあるんだ。俺たちとぶつかった時は鬼の音がしたけど、店員さんと話している時は人間の音がしていたんだ。」

 

「んで?結局、そのイジンは鬼なのか、人間なのか?」

 

鬼舞辻は人間に擬態していた、あの異人さんが鬼で人間に擬態していたとしてもおかしな話ではない。だが、鬼舞辻からは、とんでもない悪臭がしたけど、あの異人さんは寧ろ藤の花のいい香りがしていた。

 

「人間……だと、思う。店員さんへ向けた音は穏やかだったし、仮に鬼だったら、あんなに目立つ容姿にはしないだろうし…。炭治郎、炭治郎どうしたの?」

 

あの人は、異人な上に男性なのに、女性物を多く置く呉服屋に来た。

と、いうことは、あの人には妻子がいる。車でも人力車でもなく徒歩で来ていたから、家も浅草の近くだ。

 

「善逸、伊之助!先に帰ってくれ!俺はもう一度、呉服屋に行ってくる!」

 

「おい!待てや!子分」

「えっ?えぇー…まぁ、大丈夫そうだけど。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんな2人の会話を聞く暇なく、俺は呉服屋に入った。

 

「すみません、」

 

「おや?あの時のお客様ですね、お忘れ物でしょうか?」

 

「いえ、あの…俺たちの後に入った異人さんには、奥さんか娘さんでもいらっしゃるのでしょうか?」

もしかしたら、妻子が鬼の場合もある。でも、

 

「奥さん、娘?いえ、あの方はキリスト教の宣教師なので、妻子は持てない立場ですよ。」

 

「えっ!でも、確か女物の服を持っていましたよね?」

予約の品と言っていたし、妻子もいない人が頼むとは思えない。

 

「ああ、それですか。ウィスティリアさんのお手伝いをしている、別の異人の女性の物ですよ。一度教会に行った時に会った人でしてね、緑の髪に緑の瞳を持つ、日本語が得意な人で、昼間は教会に、夜間はウィスティリアさんとは違う自宅に帰っているそうですよ。今日もできれば来たかったそうですけど、予定が合わずにウィスティリアさんが代理で受け取りに来たそうです。」

 

「そうですか…」

この時点ではその女性が鬼なのかが、分からない。緑の髪…緑の瞳…でも、異人ならおかしくない色合いなのかもしれないし、店員さんは昼間に会っている。

 

「あの、そのウィスティリアさんの教会を教えていただけないでしょうか?」

 

「もちろんです。浅草の外れにある藤の木が多い山の散歩道を通った先に、教会があります。ウィスティリアさんは日曜日ならそこにいますよ。」

 

「はい!ありがとうございました!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「えっ?着物?いや、これは修道服、どういうことですか、ウィリアム神父さん!」

 

「どうもこうも、あなたはアサクサの人と会ったでしょ。あの時、アサクサのショーニンになんて言われたか、分かりますか?

『綺麗なお嬢さんですね、羨ましい限りです。』……よ。」

 

「あっ……」

そうか、あの時は客人が来たから、神父さんからカソックを借りて、丈を無理やり合わせた服で対応したんだった。(隠れるほどの時間がなかった)確かにカソックを知らない人から見たら、男物、女物の区別は付きづらい服だ。親子でペアルックしているように見えてもおかしくない。

私も緑の瞳に緑の髪、透き通るような…を通り越して死人のような白い肌だ。日本人に見えた方がおかしい。ならば、必然的に親子判定をくらうだろう。

 

「すみません…、外見による誤解を甘くみていました。」

 

「いえ、こちらもヒイキにしているショーニンが来ることを想定せずに、あなたの外見と服を見過ごしていました。それに、布教のお世話になっていながら、あなたに服をプレゼントする考えさえ、浮かびませんでした。この修道服と着物はそのお礼です。受け取ってください。着物の方は、汚れに強い麻の布です。」

 

「それは、助かります。ありがとうございます。では、教会では修道服で過ごしますね。」

 

「それでお願いします。ところで、洋服も着れるのですね?」

 

「はい、一応ですが、分からなければ聞きます。」

本当に助かる。いや、鬼になってから服をどう調達すればいいのかわからなかったんだ。だから、ある程度土汚れをおとした最初の服をずっと着続けていた。でも、それも限界に近かった。

そこに、麻の布で作られた黒い着物と、緑の帯だ。使い回しできるように3着もある。これは助かる。

 

「そうだ、今日、呉服屋でキサツタイの子どもに会いました。」

 

「えっ!それ大丈夫だったんですか?」

もし、あったのが柱クラスだったら、鬼の気配とかいう第六感で、神父さんに違和感を覚えるかもしれない。

 

「はい、相手は14か15くらいの子どもでしたし、店員さんに聞いたら妹への着物を探していたそうですよ。結局、レースだけ買ったそうですが。」

 

「そうですか…、それは、よかった。」

珍しい髪色だったら、神父さんも言うだろう。この様子なら村田さんあたりの鬼殺隊士だろうな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そう思って油断したのが、いけなかったのだろうか?その会話から数日後、

 

修道服を着て、外の掃除をしようとした時に来客があった。

 

コンコン

「私が先出るので、あなたは後ろにいてください」

 

「はい、なんでしょうか?」

 

「あの…ここに!緑の髪を持つ昼間しか会えない人がいると聞いたのですが!」

 

あの時の隊士はお前か、竈門炭治郎。




ウィリアム・ウィスティリア
お世話になっている鬼の女の子に、着物と修道服をプレゼントした。
実は最初の予定では、使い回しのきく丈夫な着物をプレゼントするつもりだったが、自分の服の修復で贔屓にしている浅草呉服屋の主人が、突撃訪問した事により、ちょうど日本人の精神性について議論していた主人公とエンカウント。
その時は自分のカソックを着せた事で、事なきを得たが、のちに、『可愛いお嬢さん』と言われて他者から見た自分と主人公の関係性に危機感を覚えた。
誤解を解くためには、親子や血縁に見えないように、信者ではないが修道服を作り、着せる事で誤解を解くことにした。
日本人から見れば、金髪碧眼の自分と緑髪緑目の少女が同じ括りにあると知った。

主人公
着物はマジで助かる!
修道服?なんで?と思っていたが、他者から見れば確かに自分も『異人さん』の括りで収まっちゃうよなー。と納得。それからは、わざと会話に英語を入れたり(普通に和製英語が入っていたりする)、大げさなリアクションやハグ・握手を繰り返すことで神父さんと同じ異人ですよ、とアピールしている。
その甲斐あって、たまに来る商売人からは、『日本語が上手い異人の女』扱いをされている。ヨッシャァ!

我妻善逸
今回のMVP兼被害者
神父さんと炭治郎がぶつかった時、ふと鬼の音がしたからブルブル震えていた。(叫ぶほどの余裕がなかった)
その後は、店員さんと話す時の音は人間の音で、『エッ?』となった。
あの人は、鬼なの?人なの?と食事中は上の空だった。
満を期して炭治郎に話したら、呉服屋に直行するし、無事に帰ってきたら『日曜日にその人がいる場所に直撃訪問するね!』と言われて気を失った。禰豆子ちゃんは連れて行かないように約束させた。

竈門炭治郎
善逸の言葉で、禰豆子の着物を見に浅草に行った。
着物は確かに可愛かったけど、禰豆子に似合うか?と問われればNO
禰豆子はやっぱり可愛い系より、シャンとしたお淑やか系だよなと思った。
善逸の音を聴き取る能力は疑っていないので、《時々鬼の音がする異人》の話は秒で信じた。女物の着物を見ていたので、妻子が鬼ではと思っていたが、妻子がいないと聞いて『うん?』となった。
分からないなら仕方ない!直接聞こう!と日曜日に突撃訪問する事にした。
善逸からは『禰豆子ちゃんを連れて行く気なら俺が全力で、お前を止める!』と言われたので妹はお休みです。

伊之助
女物とか、着物とか、流行とかは分からないし、興味もない。
でも、浅草の天麩羅は美味かった!また食いたい!






















大正コソコソ噂話
神父さんは、浅草ではけっこう有名人です。
呉服屋の店主以外にも、緑の異人が教会にいることを知っている人は多いです。でも、有名=布教が進むとは限らないので、神父さんは未だに信者を1人も獲得できないのです。
緑の髪の異人さんは、昼間しか会えない知る人ぞ知るレアキャラ扱いです。
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